国際経済の基礎 絶対優位と比較優位 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 国際経済の基礎 2005年11月24日 復習 前々回に交換-この場合は貿易-は双方 に利益があることを学びました. 前回は日本の産業構造と貿易パターンの 変化を見てきました. 各国で貿易の利益がどのように定まるか 貿易パターンはどのように決まるかを考え ていきます 比較優位と絶対優位 絶対優位とは他の国々に比べてほとんど の財をより効率的に生産できることを意味 します.(p.97) それでは絶対優位にない劣位にある国は どのように貿易をすればよいか それを解き明かすのが比較優位です. 比較優位 ある財が他国と比べ相対的な費用が低い 場合にその国はその財に比較優位がある と言います. つまり貿易の利益は相対的な費用の大小 で決まる. 比較優位の例 日本と中国は今川焼きと杏仁豆腐のみを 作っているとします. その国でのその財の生産量一単位あたり の生産費を表します. 今川焼き 杏仁豆腐 中国 10 10 日本 20 30 比較優位の例/2 今川焼きも杏仁豆腐も中国の方が安く生 産できます. つまり中国は絶対優位にあります. それでは絶対優位を持っていない日本は どのように貿易を行えば成功を収めること ができるでしょうか? その答えを提供する概念が比較優位です. 比較優位の例/3 ここで杏仁豆腐の相対費用を比較してみ ましょう. 中国の杏仁豆腐の相対的な費用=10/10=1 日本の杏仁豆腐の相対的な費=30/20=1.5 中国の杏仁豆腐の生産費は今川焼きの 生産費の1倍 日本の杏仁豆腐の生産費は今川焼きの 1.5 比較優位の例/4 1<1.5 中国は杏仁豆腐の生産に比較優を持って いる ある国のある財が他国と比べて相対的に 安く作れる場合,その国はその財に比較 優位を持っていると言います. 各々の国が比較優位にある財に特化して 貿易することによって両国は利益を得る 比較優位の例/5 特化とはその財のみを作ることをさします. 生産に必要な費用を負担できる金額の存 在量は各国で次のようになっている 金額 中国 600 日本 1200 比較優位の例/6 各国で半分ずつのお金で今川焼きと杏仁 豆腐を作ったとします 今川焼き 杏仁豆腐 中国 30 30 日本 30 20 世界全体 60 50 比較優位の例/7 それぞれが比較優位にある財に特化した としましょう 今川焼き 杏仁豆腐 中国 0 60 日本 60 0 世界全体 60 60 比較優位の例/8 そうすると今川焼きの量は同じです しかし,杏仁豆腐の量は10単位増加してい ます. これが比較優位による特化の利益です. ここで両国が貿易を行います 日本が今川焼きを輸出し中国から杏仁豆 腐を輸入することによって両国が利益を得 ます.
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