診療の極意

“You can not teach anyone
anything, you can only help
them find it within
themselves.”-
目から鱗は自分が素敵
美しい自分との出会い
なぜ自分は神経内科が
苦手なのか?
神経内科を苦手にするこつ
あなたは知っている!
神経内科を苦手にするこつ
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神経内科が苦手だと思う
少し神経内科を勉強する
でも苦手意識がなくならない
もう少し勉強する
まだ苦手意識がなくならない
もっと勉強する
それでも苦手意識がなくならない
やっぱり自分はだめなんだと思う
自分が神経内科が苦手であると
するエビデンスは?
得意vs苦手
ランダム化比較試験?
自分は神経内科が苦手である
とする「信仰」
診察コンプレックスという「呪い」
→その「呪い」からの解放
神経学的診察という「呪術」
「名医」願望
よくある自動思考
=向上心という名の恐喝犯
(押売りより悪質)
「名医」になれない自分
無数の代用EPを取り上げ、自分を攻撃する
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中心静脈が入らない
医療面接がうまくない
スタッフとのコミュニケーションが下手
挿管ができない
英文の論文を書いたことがない
留学したことがない
医療経済のことを知らない
教授になれない
神経内科が苦手
苦手意識の根本原因
ー診察の嘘と問診の真実ー
問診に対する苦手意識→興味への変換
• 神経診断の鍵は神経診察である
→嘘!病歴8割,診察2割
→嘘!問診無くして診察なし
• 問診は職人芸である
→嘘!患者さんが教えてくれる
非専門医の方が難しい環境に
=鍛えられる&上達する
より雑多な集団を常に相手にしているから
医者は易者ではない
話を聴かなければ話にならない
• 問診しなければ診断できない
– 最も基本的、最も重要な情報源
– 除外診断の99.99%以上は問診による
– 病歴の感度の高さ
– 問診しなければ診察できない
• 病歴聴取→鑑別診断リストの作成→診察→検査
あなたが神経内科が苦手である
とするエビデンスは?
患者不在の問いの立て方から
患者を意識した問いの立て方へ
苦手な神経内科を克服する
神経内科をどうやって使えば、自
分と患者さんが幸せになれるか?
神経病ほど問診が重要な疾患はないと
思う。誇張ではなく、診断の八割くらいは、
これでおおよその見当がつく(椿 忠雄)
患者さんが教えてくれる
「朝目がさめる。起きて顔を洗う、歯を磨き、
ひげをそる。家族と話しながら朝食をとる。
コーヒーを飲みながら新聞に目を通す。ネクタ
イを締め、洋服を着、クツをはいて出かける。
いつも混んだ電車に乗り、幸い足も踏まれずに
駅におりる。さあ、会社では山積みの仕事だ。
こんな日常のなんでもない生活や動作の、どれ
ひとつをとってみても、脳や神経系の働きなし
にはうまくできないものばかりです。・・・」
(『日常の中の神経学』 より)
「問診なくして診断なし」
という「自尊心」!
自分はMRIのような能なしではない
人間不信と機械信仰からの脱却
病歴の感度
Lou Gehrig
の場合
問診がないと診察ができない理由
問診・診察の学び方の原理原則
患者さんに教えてもらう・助けてもらう
道徳・倫理ではなく
学習戦略!
どうやってうまく患者を使うか?
診療の原点としての問診・診察
患者に助けてもらう,教えてもらう存在
道徳ではなく,基本的診療戦略
• 問診・診察そのものが教えてもらう行為
– 問診:何が困っているのかを教えてもらう
– 診察:どうして困っているのかを教えてもらう
• 非言語性メッセージを引き出す
– 治療が始まった後も,モニタリング・評価のため
に問診,診察を継続し,繰り返す
• 問診・診察は,相互学習の過程
なぜ患者に教えてもらうのか?
• 偉い先生は教えてくれない・助けてくれない
– いつもそばにいない
– 答えを知らない
• 患者は教えてくれる・助けてくれる
– 目の前にいる
– 教えてくれる
• 問診で病気の歴史を
• 診察で病気の状態を
• もちろん答えも
患者さんが教えてくれる
「朝目がさめる。起きて顔を洗う、歯を磨き、
ひげをそる。家族と話しながら朝食をとる。
コーヒーを飲みながら新聞に目を通す。ネクタ
イを締め、洋服を着、クツをはいて出かける。
いつも混んだ電車に乗り、幸い足も踏まれずに
駅におりる。さあ、会社では山積みの仕事だ。
こんな日常のなんでもない生活や動作の、どれ
ひとつをとってみても、脳や神経系の働きなし
にはうまくできないものばかりです。・・・」
(『日常の中の神経学』 より)
43歳の男性:無呼吸を疑われ紹介来院
3ヶ月前から瞼が何となく重く(閉じるまでいかない)睡
眠不足かと思っていた。 まぶたをあげようと努力して
いるので同僚から人相が悪くなったといわれる。左 へ
振り返ったときに一瞬ものが二重に見えることが時々
あり、片目をつぶればはっ きり見える。同じ頃からか
らつばやものが飲み込みにくいと感じる事がありのど
が狭くなった(少し体重が増えたので)と思った。1ヶ
月前から食事(特に量の 多いとき)の後半になると顎
が疲れてうまくかめなくなり時間がかかるようになっ た。
(やすめばもどる)同時にこのころからシャンプーをし
ていると右手が重く なり支えないと頭まであがらなく
なる。(休めば治る)
神経内科問診で使う「軸」
• X: 状況・経過という外因軸
• Y: 解剖好き・嫌いな病気という疾患軸
• Z: 患者の属性という内因軸
– 年齢
– 性別
– 既往歴,家族歴
– 嗜好
三手詰
脳卒中はどちら?
• 昏睡
• 81歳男性
• 昏睡
• 18歳女性
脳卒中はどちら?
• 昏睡
• 81歳男性
• 昏睡
• 18歳女性
年齢・性別という内因軸
脳卒中はどちら?
• 65歳男性
• 今朝起床時に
左の手足に力
が入らない
• 65歳男性
• 半年前からペッ
トボトルの蓋が
開けにくくなった
20
脳卒中はどちら?
• 65歳男性
• 今朝起床時に
左の手足に力
が入らない
• 65歳男性
• 半年前からペッ
トボトルの蓋が
開けにくくなった
経過・場面・状況という外因軸
55歳男性:二次会のカラオケの
最中に急に頭が痛くなって救急
外来にやってきた
患者の行動に学ぶ
↓
軸を頼りに除外診断
(状況・経過,解剖好き・嫌い,患者自身)
患者の受療行動から学ぶ除外診断
二次会のカラオケの最中に急に頭が痛くなって救急外
来にやってくる55歳男性の病気はどれか?
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卵巣癌の脳転移
脳梗塞
髄膜炎
筋収縮性頭痛
帯状ヘルペス
側頭動脈炎
脳腫瘍
66歳 主婦
「急に歩けなくなった」
それだけでわかるわけないよ
解剖が好きな病気と嫌いな病気
解剖が好き:えり好みする
解剖が嫌い:所構わず
• 運動か感覚のどちらか。意
識は障害しない
• ほとんどが慢性の経過
• 脳
• 運動も感覚もそして時には
意識も障害
• 多くは急性
– 多くの神経変性疾患
• 脊髄・末梢神経
– 筋萎縮性側索硬化症
• 神経筋接合部
– 重症筋無力症
• 筋疾患
– 血管障害
– 炎症
– 脱髄
• 慢性の経過は限られている
– 腫瘍
– 栄養障害
解剖好き
神経筋固有の炎症
(ギラン・バレ症候群
多発筋炎)
神経変性疾患
重症筋無力症
筋疾患
慢性
急性
脳血管障害
全身性血管炎
脱髄
腫瘍
栄養障害
解剖嫌い
日常生活動作
家の中と外
リカちゃんハウスとプラレール
詳細はケアネットDVDへ
プラレールの病歴
屋内移動・作業でも応用可能
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徒歩で駅まで要する時間:筋力低下+固縮寡動
駅前の放置自転車の間を抜ける:姿勢反射
駅の階段を上る,降りる:筋力・痙性,運動失調
車内で立っている:姿勢反射
つり革に掴まる:上肢筋力
網棚に荷物を上げる:上肢筋力
座席から立ち上がる:姿勢反射+(下肢近位筋)
自動車の運転
使うのは力ばかりではない
パーキンソン病
• ハンドル:遅い
• アクセル:遅い
• ブレーキ:遅い
脊髄小脳変性症
• ハンドル:切りすぎ
• アクセル:踏込み過ぎ
• ブレーキ:急
ではリカチャンハウスで
は?
リカチャンハウスでのチェックポイント
トイレ動作の障害
トイレ動作のチェックポイント
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立ち上がり:洋式,和式
手すりの位置:左右・縦横
お尻を拭けるか
下着を下ろす動作の速度
部屋の広さの影響
風呂場,
洗面・脱衣所での障害
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湯船の出入り
右手(左手)で頭をうまく洗えない
頭を洗うとき腕が疲れやすい
シャンプーが目に入ってしまう
顔を洗うときふらつく
着替えが遅い
パンツを下ろす:立って?座って?
ダイニングキッチンの障害
台所での障害
• パーキンソン病
–米をとぎにくい
–生卵をときにくい
–炒め物が苦手
• 脊髄小脳変性症
–漬物の切り方が不揃い
電話
電話が嫌いになる
ー聞き取りにくいと文句を言われるー
• 声が小さい・早口:パーキンソン病
• 酔っ払い:脊髄小脳変性症
• 声がかすれる:ALS
会話の負荷と問診の感度
• 負荷軽:家族と直接話す→感度低
• 負荷中:他人と直接話す→感度中
• 負荷重:他人と電話で話す→感度高
電話での会話障害の問診は感度がずっと高くなる
書斎での障害
書字障害の問診
量・質の負荷
• 大量に書く:年賀状
• 他人にわかりやすいように書く
– お客さんへの領収書
– 教師の板書
• キーボードの神経学はこれから
着替え,整容
• ボタンをはめにくい
– 手の筋力低下
• ズボン・スカートを立って穿けずに座って穿く
– 体幹失調 or 下肢近位筋筋力低下
• 上着の袖を通すのが困難
– 上肢近位筋力低下
• 着替えそのものが遅くなる
• 髪を梳かす
神経疾患問診鑑別診断バッテリー
診察の勉強
脳卒中患者さんに教えてもらう
• 患者さんに貢献できる・喜ばれる
– コミュニケーション
– ADL障害の評価:日常生活で困ること
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急性期→慢性期:経時的変化が追える
病巣との対応が明確
健常側と病側の比較ができる
症状が多彩