福井地震について 防災工学レポート1 02T3093H 山田敦 福井地震とは? 今から丁度50年前の1948年(昭和23年)6月28日16時13 分(当時はサマータイム制であり実時間は午後5時13分), 福井県北部にある丸岡町付近の直下を震源とするマグニ チュド7.1の地震が発した.北は関東甲信越地方から南は 中国・四国地方の広い範囲で有感となり,主な被害は福 井県と石川県に発生した.震源が浅く沖積平野の直下に 発生した地震ということで,地震の規模に比べてその被害 は極めて甚大で,福井平野の中部と北部は壊滅的な状態 となり最大震度6を記録した.火災が主な原因で死者は3 千人以上となり,全壊率が100%に達する集落も多かった. 地震の概要1 発生年月 1948年(昭和23年)6月28日16 時13分 震源地名 福井県北部(丸子町付近) 震源位置 東経36.17度,北緯136.20度, 深さ0km 福井県丸岡町付近 震源規模 M7.1 断層 北北西-南南東,左横ズレ 地震概要2 人的被害 死亡者3,769名,負傷者22,203名 住家被害 全壊36,184戸,半壊11,816戸 液状化 福井平野の河川流域で多数発生 津波 発生せず 火災 焼失3, 851戸 山地崩壊 砂丘地帯で発生 道路施設被害 650個所,599km,被害見込額4 億1000万円 河川堤防被害 126個所,140km,復旧見込額20 億5000万円 地震の概要3 橋梁被害 道路橋300橋,鉄道橋131橋,復旧額 2億1574万5361円 砂防施設被害 記述なし 鉄道施設被害 96km,復旧見込額8億2182万 6000円 港湾施設被害 4港,復旧額4996万8000円 電力施設被害 発電施設17個所,変電施設17 個所,送配電施設多数,被害額3億円 地震の概要4 通信施設被害 通信電話線7回線不通,復 旧額1億975万1000円 ガス施設被害 給水管9万9491m(福井 市),被害額7402万722円 上水道施設被害 送配給水管2,304個所 (福井市),復旧額8400万円 下水道施設被害 施設希少かつ被害軽微, 事業額1億8600万円 震度分布 他の大規模地震の者 に比べて震度5以上 の範囲は比較的小さ い。 直下型地震の本質 被害の大半は、南北25km,東西10km強の福井 盆地に集中した。福井盆地は、軟弱な堆積層で覆 われているが、基盤岩の深さは100m前後である。 断層は、地表面には現われなかったが、地震波 の発震機構の解析、測量結果によれば、この盆 地の中央部よりやや東側に存在し、走向は南北、 左横ずれのストライクスリップタイプの断層である ことが判明した。水準測量の結果からは、この断 層を境に西側では約70cmの沈下で、東側では約 30cmの隆起となっている。 直下型地震の本質2 福井地震の際の倒壊率は阪神淡路地震と 同じように、ある限界被害距離を境にして、 この距離(3-5km)以内では被害がほぼ一 定となっている。 起震断層の直近では、非常に大きな地震 動となるために、地震被害も大きくなるが、 限界被害距離は、限界被害距離は3-5kmと なっていることである。 家屋倒壊率について 福井地震における家屋の耐震能は、阪神 淡路震災におけるそれとは、異なっていて 小さかったであろうが、阪神淡路震災の事 例での築後30年以上の倒壊率にほぼ等し いことが分かる。新築の建屋の倒壊率は減 少しているから、建屋の耐震性は時代と共 に向上しているが、さらに改善が必要な状 況にあるといえよう。 学ぶべき教訓1 第1:限界被害距離以内での被害率は、構 造の違いに左右されずにほぼ一定値を示し ている事実である。 学ぶべき教訓2 第2:地盤の種類によって大きく倒壊率が変 わることが示される。 学ぶべき教訓3 第3:直下型地震の震源近傍域では、震源 深さが浅いために非常に大きな強震動が 見られ、限界被害距離内では、ほぼ一定の 強震動の強さとなっていると考えられること である。 学ぶべき教訓4 第4:築後10年以内の木造建屋の倒壊率 は約30%で、過去の長い歴史をみれば、確 実に被害率は時代と共に減少している。し かし、なお、直下型地震の限界被害距離以 内の地域の構造物に対応するためには、さ らに耐震性を向上させるための努力をおこ たってはならない。 学ぶべき教訓5 第5:今後も、地域における地盤情報は、以 前に増して社会的に重要な基礎情報の一 つであることの認識が高まっている。地盤 工学に携わる技術者、研究者は常に社会と の対応に留意して、研究成果を正しく分か り易い形で示す努力を怠ってはならない。
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