第1章 電気工学の基礎

第1章 電気工学の基礎
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
電磁気学
回路素子
直流回路
交流回路
電気計測
通信用電力
1.5 電気計測
1.5.1 倍率器と分流器
1.5.2 波形計測
1.5.3 測定値の処理および誤差
1.5.1 倍率器と分流器
(1)電気計測器
①主に電圧,電流,抵抗を測定する。
②電圧計・電流計の使用が多い。
電圧計・電流計では,
可動コイル計測器が主流
(フレミングの左手の法則を動作原理とする)
測定最大目盛を拡大するために,
倍率器・分流器が使われる。
(2)倍率器
電圧計の最大目盛がVのとき,n倍の電圧を測定したい。
内部抵抗をriとする。
ri
V
nV
V
  nVri  V ri  RV 
ri  RV ri
V
ri
RV
nV
流すことができる電流の大きさは同じ
RV  n  1ri
電圧計と直列につなぐこの抵抗を
倍率器という。
(3)分流器
電流計の最大目盛がIのとき,n倍の電流を測定したい。
内部抵抗をriとする。
ri
I
I
RAにI (n-1)の電流を流せばよい。
Iri  I (n  1) RA
nI
ri
R A 
n 1
ri
電流計と並列につなぐこの抵抗を
分流器という。
RA
(4)計算例
内部抵抗10Ω,最大目盛指示時の電流10 mAの
可動コイル形計器を最大目盛の値20Vの電圧計と
するための倍率器の抵抗値
最大指示目盛 : 1010103  101  0.1 [V]
最大指示目盛値20Vとするには, 20 / 0.1  200 倍の倍率器が
必要。したがって RV  (2001) 10  1,900  1.9k
内部抵抗9Ω,許容電流が1 mAの電流計で,
10 mAの分流器の抵抗。
分流器の倍率は10であるから RA 
9
1
10  1
1.5.2 波形測定
(1)オシロスコープによる測定
①オシロスコープとは,
縦(Y)軸に電圧目盛,
横(X)軸に時間目盛のブラウン管
②X・Y軸両方に電圧を加えて,位相差を読
むこともできる。これをリサージュ図形という。
(2)オシロスコープの読取り
横軸 山から山2目盛
T=2ms
周波数=1/T=1/(2×10-3)=0.5×103=500Hz
縦軸 振幅 1 目盛=0.1 V (P-P値で0.2V)
横軸 : 1目盛当たり1ms
縦軸 : 1目盛当たり0.1V
(3)リサージュ図形
周波数が等しく位相が異なる正弦波電圧を縦軸・横軸に加えると
位相差を傾きとする楕円(リサージュ図形)となる。
水平端子 : E1 sin ωt
垂直端子 : E2 sin(ωt + φ)
E2
φ
E1
1.5.3 測定値の処理および誤差
(1)測定値の処理
(a)平均値(相加平均)
1
1 n
平均値 : x  x1  x2    xn    xi
n
n i 1
(b)標準偏差と分散


1
1 n
2
2
2
分 散 : D  x1  x   x2  x     xn  x    xi  x 2
n
n i 1
n
1
2
標準偏差 :   D 


x

x
 i
n i 1
(2)誤差
測定値には必ず誤差が発生する。
M :測定値
  M T
T :真の値
誤差率 
  T  M  
真の値が得られないとき
使うこともある。

T
 :誤差  :補正

誤差百分率 
T
 100

を誤差率の代替として
M
(3)計算による誤差の例
抵抗 R で消費される電力 P を P = I2R で求める場合,
I および R の測定値にΔI≪I,ΔR≪Rの誤差があれば
I  I  R  R 
2
 I 2 R  2I  IR  (I ) 2 R  I 2 R  2I  R  I  (I ) 2 R
2
これらのうち (I ) , I  R,
(I ) 2 R は非常に小さいので
 I 2 R  2I  IR  I 2 R
 I  I  ( R  R)  I 2 R  2I  IR  I 2 R
2
P I  I  ( R  R)  I 2 R 2I  IR  I 2 R 2I R




2
2
P
I R
I R
I
R
2