科学者が見つけた 「人を惹きつける」文章方程式 ~第1章「恋」の名文方程式~ 小山研究室 30216032 谷田竜一 第1章 「恋」の名文方程式 第一章では「恋」にまつわる文章をかくための技 法を、 江国香織 『冷静と情熱のあいだ』 高村光太郎 『智恵子抄』 太宰治 『斜陽』 の3つの作品のなかの名文を用い解説している。 今日の発表では第1章で紹介された技法のひと つずつを、3つの作品をもとに紹介していく。 江国香織 『冷静と情熱のあいだ』 角川文庫 P203~204 ① あおい。 たったその一言で、順正の声がよみがえる。順正は、順正にしか できないやりかたでいつもその名前を発言した。あらゆる言葉を。 ② 誠実に、感情をこめて。 ③ 私は彼に名前を呼ばれるのが好きだった。 あおい。 ごくわずかに躊躇して、やさしい声で呼んだ。その声の温度が好 きだった。 順正の声がききたかった。いますぐききたかった。 ① 具体性を省く‥具体性を省くことで読者の想像を引き立 てる。 ② 繰りかえす‥さらに読者の想像をふくらませる。 ③ 相似形‥歌謡曲のリフレインのような効果をだす。 高村光太郎 『智恵子抄』 新潮文庫 P74 「あなたはだんだんきれいになる」 をんなが付属品をだんだん棄てると ① どうしてこんなにきれいになるのか。 年で洗はれたあなたのからだは 無辺際を飛ぶ天の金属 。 ② ① 日常超越‥神秘さや、違和感をあたえ読者の情感を刺激する ② 対比‥イメージの落差を味わうことができる。 太宰治 『斜陽』 新潮文庫 P99、116 ① もう一度お逢いして、その時、いやならはっきり言って下さい。 私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して 行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来なのです。 ③ ② 革命も恋も、実はこの世でもっともよくて、おいしい事で、あまりに いい事だから、おとなのひとたちは意地わるく私たちに青い葡萄だ と嘘をついて教えていたのに違いないと思うようになった。 ① 非論理的‥恋愛の盲目さを表現できる。 ② 最初の一撃‥作者の舞台に読者を強引にひきこむ。 ③ たたみかけ‥催眠効果。読者の恋心を燃え上がらさせる。 まとめ 第1章は全体的に、著者が名文の表現方 法を主観的にとらえ、それを説明していく かたちだった。 今日紹介した技法は、その箇所以外にも 用いられてる場所があり、それらが相互作 用しあって名文をつくっている。しかし方程 式というかたちでとらえられるかは疑問で あった。
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