「確かな印象を残す 純文学 」

6 月の特集
6月
開館スケジュール
通常開館 (平日)9:30~18:30、(土)9:30~14:30
る
雑誌のリクエスト受付中
・・・単発購入はじめました!
雑誌の長所は、ニッチだけとディープでラ
ピッドであること。つまり、情報の間口は
「狭い」が「深度」があって、「今!」の情報が
手に入る。雑誌から、自分の知らない世界に通じ
る扉が開かれるかもしれません。
皆さんのちょっとした興味を応援します☆
≪ルール≫
◇年間購読契約はできません。
◇単発発注(一回きり)のみ可能。
◇予算の範囲で受け付けます。
◇続巻は、書店や公共図書館でお求めください。
「CAR GRAPHIC」6月号\1240
徹底的なテストに基づき厳正中立な
評論で定評の自動車専門誌。
<目次>300万円クラス限定4カテ
ゴリー12台で競う/最後の至宝・12
気筒エンジンの誘惑/クルマはかく
して作られる:第121回日本特殊塗
料と autoneum の最新防音材技術
「スマッシュ」6月号 \670
テニス愛好者に最も読まれているテ
ニス専門誌。テニスのことならすべ
ておまかせ!
<目次>巻頭技術特集
“返すだけ”から次のステップへ。
これができれば中級の仲間入り!
「明星(Myojo)」6/23発売 \700
50年以上の歴史を持つ、ティーン向
け今が旬のタレント情報誌。
<目次>春のジャニーズ Jr.祭り【ジ
ャニーズ銀座2015】プレ★ライブ
パーティー
早稲田大阪学園
図書館発行 №14
2015.6.1
「確かな印象を残す 純文学」
6/3(水)14:30 閉館
6/8(月)創立記念日のため休館
」
絵の依頼人である殿は、なんと良秀の愛娘を乗せて
最後の最後に明かされる驚愕の真実!
☆特集☆
純文学-文学という芸術
近・現代文学の中から、類を見ない個性と芸
術性に富むものをセレクト。リアリティーを
炙り出す豊穣な描写、物語構成の無駄のなさ、
文体にからめた暗喩(メタファー)の秀逸さ・・。
一冊でずっしりとした印象を残してゆきます。
普段読んでいる小説との違いが新鮮です!
憧れは、劣等感と背中合わせ・・・青年の告白
「金閣寺」三島由紀夫/新潮文庫
「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の
青年僧」
。自分の吃音や不幸な生い立
ちへのコンプレックスと金閣に対す
る美の憧れが、明暗を交互に反転さ
せながら暴れ狂う。キリキリと破滅
への糸を手繰っていく緊張感が凄い。
1950年の実際の事件をそのままモ
デルにしたことで、青年の狂人的思考に、当時の社会
の欺瞞の構図を重ねて見せることができた気がする。
硬質な文体は実に観念的だが、絢爛豪華と評される
この三島の文体に一度触れて欲しい。圧倒される。
砂が怖い!喉が渇きっぱなしです。助けて~!
「砂の女」安部公房/新潮文庫
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴
の底に埋もれていく一軒の女の家に閉
じ込められた。女も村人もグルなの
か?現実から逃げ出すように砂丘に来
たとはいえ、砂かきの義務だけ負わさ
れ、「不条理」とはこのこと。女の魅力
に負けたり、脱出を試したり、不幸な中でも現実と折
り合いをつけてしまう人間の弱さを見た。非現実な
物語が寓話か舞台装置のようであり、悪夢もまた芸
術。ラスト3pで急に静寂。鳥肌がぞわっと立つ。
芸術に魂を売ってしまった狂人絵師
の地獄絵
「地獄変」芥川龍之介/国書刊行会/
日本幻想文学集成(28)芥川龍之介
高名な絵師・良秀は、薄気味悪い卑しい
人間だった。この目で見たものしか描
けぬと言っては、弟子に怪しげな要求
を与え、苦痛に苦しむ姿を恍惚として描きとるのだ
った。美しい高貴な女房が乗る牛車が、炎を上げて天
空から降ってくるところを描きたいと求めたところ、
燃やして見せる。良秀の筆は悦んで走る・・・。狂気と
美が紙一重になって読む人を打ちのめす。
究極だわ。
「今昔物語」「宇治拾遺物語」から題材を取った、王
朝物の作品群の一つで、なんといっても文語体の文
体の響きが美しい。YOU TUBE で音読作品が視聴
できます。
(以上3冊千葉)
共通点は「壁」!?
「壁」安部公房/新潮文庫
短編集。1つ目は自分の名刺に名前を
奪われ、立場を取って代わられた男が
社会から認識してもらえず孤独に苦悩
する話。自身の心に広大な荒野を取り
込んでしまい、その荒野は現実とリン
クしているように感じた。次の話は狸のような動物
に影を喰われ、目だけを残して透明人間になってし
まい、何もしていないのに周囲の人々から犯罪者扱
いされ迫害される。狸を見つけて影を取り戻そうと
するが逆に説得され・・・。最後に収録されている話は、
食品偽装を堂々と行う事業家が全く悪びれもせず独
自の考えを書いていて、逆に面白い。もちろん現実に
居たら憤慨するが(笑)
主人公補正なんかない!
「浮雲」二葉亭四迷/新潮文庫
日本で最初に言文一致という手法で
書かれた作品。ストーリーは優柔不
断な性格の文三が、美人でわがまま
な女性、お勢をめぐる恋模様の中で
振り回されるという話。文三とは違
い、世渡り上手で出世コースを歩ん
でいる元同僚に、好きな女性の気持ちを奪われてい
く様子は見るに堪えない。自分に重なる部分もあり、
読んでいてムズムズした。現代に生きる男性諸君も
きっとこんな思いをしたことがあるだろう(笑)この
作品の終わり方も、主人公の性格に相応だと感じた。
プロの流儀
『幇間』谷崎潤一郎/新潮文庫
短編。人を笑わせ、笑われることを至
上の喜びとする三平。その振る舞い
は、ストイックさを感じるほど。惚れ
っぽい性格でもあるため気のある女
性からは恋愛対象として見てもらえ
ないが、無茶振りはされる。それすら
嬉しく感じ、何でもやってのける三平。まるで顔で笑
って心で泣いている道化師。心で泣いている描写す
ら見せないのがカッコイイ。
(以上3冊林口)
「さぶ」山本周五郎/新潮文庫
江戸下町、住みこみで働く同い年の職人
「さぶ」と英二は見かけも性格も正反対。
器用で短気、男前の英二は前途洋洋に見
えたが無実の罪をきせられ復讐に取りつ
かれ自暴自棄になる。何度も英二に助け
られていた愚直なさぶはそんな英二を支
え続ける。人の情けを知り英二の頑なな
思いも徐々に解けていく。友情と成長を描く最高傑
作だが、英二がなぜ「おのぶ」ではなく「おすえ」を
伴侶にするのかだけが疑問。英二、女を見る目がなさ
すぎる(笑)
ゆったりと時が流れるやさしい話です
「海のふた」よしもとばなな/中公文庫
主人公まりは、大学卒業後すたれゆく大好
きな故郷に戻り、大好きなカキ氷屋を始め
る。彼女の所に母親の親友の娘はじめが一
夏を過ごすためにやってくる。傷ついたは
じめを慰めるつもりが逆に大きなものを受け取る。
一日を大切にして正しく生きること。自然を愛し人
に感謝して生きること。特別な事は起こらないが人
間のあるべき姿を描いている。版画家・名嘉睦稔の
挿画が素敵だ。自分らしく生きる道を探したくなる。
平和な今、若い人にこそ読んでほしい名作
「野火」大岡昇平/新潮文庫
敗北間近なフィリピン戦線で肺病になり
本隊を追放された私は行き先がない儚い
自由ではあるが生涯最後の幾日かを軍人
としてではなく思うまま使うことができ
る。一個の手榴弾を与えられ死の自由を
手にしながらも常に生を選択する。ジャングルを脅
えながら徘徊し飢餓に狂いそうになる。綿密な描写
は自分が体感しているようで怖くなる。今まで読ん
だ戦争の話で一番衝撃を受け一番考えさせられた。
ぜひ読んでほしい。
(以上 3 冊 福居)
「恋」と「友情」は、青年の永遠のテーマ
「友情」武者小路実篤/小学館
/武者小路実篤全集(5)
野島は女性に会うたび、結婚を考えてし
まう男であった。ある日妻にと望む杉子
と出会う。杉子の一挙一動に振り回され
る野島は、一番の友、大宮の元に訪ね想い
を分かち合う。濃いと失恋、女性の在り方」そして友
情、読み方次第でこの本から考えさせるものが変わ
ってきます。
(向陽台・少女M)