緊急検査 ~至急報告が必要なデータ~

2013.10.27(日) 新入会員研修会
データの見かた・読み方
~ちょっと苦手をやっつけろ!~
心電図検査の基礎
1
生理研究班
心電図がキライな理由
 胸部誘導の肋間がわかりにくい…
 電極の付け間違いをしていないか不安
 結果を聞かれるのがイヤ
 患者が女性だと、ちょっと…
 難解な用語ばかり
AF? AFL? VT? VF? PSVT? SPVC?
PVC? VPC? APC?・・・・・・あぁぁー???
2
怖い・キライを克服しよう
* まず、一人で考えるのをやめましょう
→ 二人って結構心強いです
* 全部理解しようと思うのをやめましょう
→ わけわかんなくなるし、たぶん途中で挫折します
* 教科書の順番に一から覚えるのをやめましょう
→ 必要で、わかりやすいところからはじめましょう
3
この研修会での目標
~苦手・キライな心電図とどう対応するか~
① 正しく 電極を装着 する
② 正しく 波形を記録 する
③ 正しく 波形を判断 する
4
この研修会での目標
~苦手・キライな心電図とどう対応するか~
① 正しく 電極を装着 する
② 正しく 波形を記録 する
③ 正しく 波形を判断 する
5
いつも同じ手順で行いましょう
1. 心電計の電源スイッチを入れる
2. 患者さんを確認し、検査の説明をする
3. 患者情報を心電計に入力する
4. 電極を装着する
5. 波形を記録する
6. 記録した波形を判断する
緊急の現場だからこそ、手順を変えずに
ミスの防止につながります
6
正しい場所に電極を装着しましょう
左
右
右手
左手
右足
左足
-
-
-
-
赤
黄
黒
緑
V1:第4肋間胸骨右縁
V2:第4肋間胸骨左縁
V3:V2とV4の中点
V4:第5肋間と左鎖骨中線上との交点
V5:V4と同じ高さで左前腋下線との交点
V6:V4と同じ高さで左中腋下線との交点
7
とはいえ、その第4肋間が…
胸骨柄
胸骨角
胸骨体
第2肋骨
第3肋骨
1
2
第4肋骨
これで第4肋間は探せます
8
記録する前に再度確認しましょう
電極を装着したら
記録を開始する前に
四肢、胸部のコードを
再度“色”で確認しましょう
緊急の現場だからこそ、必ず再確認を
ミスの防止につながります
9
この研修会での目標
~苦手・キライな心電図とどう対応するか~
① 正しく 電極を装着 する
② 正しく 波形を記録 する
③ 正しく 波形を判断 する
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きれいに&美しく記録しましょう
交流(ハム)
・電気機器が近くにある
・不要なコードがある など
筋電図
・患者さんが緊張している
・室温が低く寒い
など
基線のゆれ
・電極の接着が悪い
・患者さんが動いている
・患者さんが汗をかいている
など
ですが、所見をとることが優先です
11
心電図波形は何を表している?
QRS
電位
P
R-R間隔
T
時間
横軸;時間 25mm/秒
縦軸;電位 1mV/10mm
P波 :心房の興奮
QRS波:心室興奮の瞬間
T波 :心室興奮の回復
12
正常心電図波形
Ⅰ
V1
Ⅱ
Ⅰ
V2
Ⅲ
V3
aVR
V4
aVL
aVF
aVR
V5
V6
 Ⅰ誘導のP波は上向き、aVRでは下向きとなります
 胸部誘導のR波がV1からV5まで徐々に大きくなります
13
もしも…
Ⅰ
 Ⅰ誘導のP、QRS、Tがすべて下向きの場合は
四肢電極を確認してみましょう
14
右手と左手の付け間違い
正しい装着
間違った装着
 Ⅰ誘導は反転、Ⅱ誘導とⅢ誘導は入れ替わります
 aVRとaVLも入れ替わり、aVFはほとんど変化ありません
15
間違っていないけど…
Ⅰ
V1
Ⅱ
Ⅲ
aVR
aVL
V2
Ⅰ
V3
V4
V5
aVF
V6
16
胸部誘導がなんか変なような…?
電極すべて左右入れ替えました
Ⅰ
Ⅱ
Ⅰ
V1
V2
Ⅲ
V3
aVR
V4
aVL
aVF
aVR
V5
V6
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この研修会での目標
~苦手・キライな心電図とどう対応するか~
① 正しく 電極を装着 する
② 正しく 波形を記録 する
③ 正しく 波形を判断 する
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心電図で何がわかる?
1. 不整脈
2. 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
心房および心室の肥大
心筋炎、心筋症
3. 電解質異常
4. 内分泌障害
5. 自律神経障害
6. 薬剤の影響
など
患者さんの来院目的に応じた記録を心がけましょう
患者さんや医師とのコミュニケーションをとる工夫と努力を
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様子をみる心電図① 期外収縮
上室性期外収縮
PAC
*P波が先行している
*一般に、正常波形に似たQRS波
*健常人の過半数にみられ、加齢とともに増加する
心室性期外収縮
PVC
*P波が先行しない
*一般に、幅の広いQRS波で、奇妙な形を示す
症状がなければ、経過観察でよいです
20
様子をみる心電図② 心房の異常
心房細動
AF
*はっきりとしたP波がなく、基線に周波数の不規則
な細かい揺れ(f波、350-600/分)がみられる
*R-R間隔は常に不整
心房粗動
AFL
*P波がなく、基線がしっかりしたギザギザの波、
鋸波状波(F波、300/分くらい)がみられる
*通常、F波のすべてが心室へ伝えられることはなく、
21
2:1、4:1など、一定の比率で伝わる
ドクターコールが必要な心電図
① 極端な頻脈(心拍数180以上)
② 極端な徐脈(心拍数 40以下)
③ 著明なSTの上昇/低下
④ 多発する変な波形
22
脈の異常①
Ⅰ
V1
Ⅱ
V2
Ⅲ
V3
aVR
aVL
V4
aVF
V5
V6
23
9歳、男児
ドッジボール中に、胸で捕球して頻脈発作を自覚。息こらえにて停止しないため、救急外来受診。
脈の異常②
Ⅰ
V1
Ⅱ
V2
Ⅲ
V3
aVR
aVL
V4
aVF
V5
V6
24
75歳、男性
OMI、DMにて外来フォロー中。ふらつき、3-4分の眼前暗黒感、気分不良あり、外来受診となった。
脈の異常③
ポーズ
19歳、女性
13歳時より、SSS(Ⅱ型)にて外来フォロー中。自覚症状はなかった。
2007年、忙しいときや疲れたとき、お風呂あがりなどに、立ちくらみ・フラっとするとのことで
ホルター心電図にて精査となった。
3.0秒以上のポーズはドクターコールしてください
25
著明なSTの上昇①
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
aVR
V1
V2
V3
V4
aVL
V5
aVF
V6
26
63歳、女性
基礎疾患なし。バレーボール練習中に呼吸困難感、前胸部痛が出現し、救急搬送となった。
著明なSTの上昇②
Ⅰ
Ⅱ
V1
V2
Ⅲ
V3
aVR
V4
aVL
V5
aVF
V6
27
65歳、男性
DM、HTあり。突然の後頭部痛、その後、胸が締め付けられるような痛みがあり、救急搬送となった。
著明なSTの上昇③
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
V1
V2
V3
aVR
V4
aVL
V5
aVF
V6
28
8歳、男児
筋ジストロフィーにて外来フォロー中。起床時に胸痛を訴え、3時間持続があり、外来受診となった。
急性心筋梗塞
STの経時的変化
梗塞部位と心電図変化
29
もう忘れない!早わかり心電図
石橋克彦
メディカ出版
安静時心電図
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
aVR
著明なSTの低下
V1
V2
V3
V4
aVL
V5
aVF
V6
61歳、男性
呼吸器外科にて肺癌の術前検査のために、マスター負荷心電図の依頼があった。
30
負荷後 3分
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
aVR
著明なSTの低下
V1
V2
V3
V4
aVL
V5
aVF
V6
31
“胸痛”というイベントに対して
『胸の痛みは、まだ続いていますか?』
と、ひと言だけ聞いてみる
『今は痛くないけど、朝方に痛かった』
→ 異型狭心症の疑い?
『今でも痛い』
→ 狭心症発作中、または心筋梗塞
『じっとしていると、胸は痛くない』
→ 労作性狭心症の疑い?
32
多発する変な波形①
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
aVR
V1
V2
V3
V4
aVL
V5
aVF
V6
33
21歳、女性
DCMにて外来フォロー中。意識は清明だが、吐き気・気分不良が強く、救急外来受診となった。
多発する変な波形②
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
aVR
V1
V2
V3
V4
aVL
V5
aVF
V6
34
60歳、男性
自宅アパート付近にて、自転車にまたがったまま倒れているところを発見され、救急搬送となった。
この研修会のまとめ
~苦手・キライな心電図とどう対応するか~
 正しい場所に電極を装着しましょう
 記録手順を遵守しましょう
 波形を的確に判断しましょう
 患者さんの話をよく聞き、
様子をよく観察しましょう
35
あなたの対応は?

しばらく様子をみていいのか

ドクターコールが必要なのか

緊急対応が必要なのか
“正常心電図ではない“ことに気づけること
致死的あるいは緊急性の高い所見を見逃さないこと
36
参考テキスト
社団法人
日本臨床検査技師会
日当直者のための心電図症例集
メディカ出版
Hon de ナースビーンズシリーズ
もう忘れない!早わかり心電図
37
たとえで覚える心臓の動きと心電図の読み方