資料2 個人消費の動向について 平成28年3月24日 内閣府 1.個人消費と賃金・所得の動向 ○ 雇用者数の増加などから雇用・所得環境が改善する中で、総雇用者所得は、 2015年春以降、名目・実質とも に増加しているが、個人消費は力強さを欠いている。 ○ その背景の一つとして、実質賃金の伸びが緩やかなものにとどまっていることがあげられる。また、2015年夏 以降は、世界的に株価や為替が大きく変動する中で、消費者マインドが足踏みしており、先行き不透明感から 消費が抑制されている。 116 消費総合指数(実質) (2005年=100) 消費者態度指数 (DI) 50 消費税率引上げ 114 消費税率引上げ 45 112 110 40 108 改善 106 35 104 102 1 4 7 10 1 4 2012 7 13 10 1 4 7 10 14 1 4 7 15 10 1(月) (年) 16 (備考)内閣府による試算値。季節調整値。 5 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 4 7 2013 10 1 4 7 14 10 1 4 7 15 10 1 2(月) 16(年) (備考)1.内閣府「消費動向調査」により作成。季節調整値。 2.「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、 今後半年間の見通しを「良くなる」(+1)「やや良くなる」(+0.75)「変わらない」(+0.5) 「やや悪くなる」(+0.25)「悪くなる」(0)の5段階で集計したもの。 総雇用者所得(水準) (2005年=100) (2005年=100) 108 101 実質総雇用者所得 雇用者数要因 名目総雇用者所得 107 名目総雇用者所得 100 消費税率引上げ (2016年1月+1.8%) (2016年1月+2.2%) (目盛右) 106 99 105 98 104 97 103 96 102 95 101 物価要因 実質総雇用者所得 94 名目賃金要因 100 実質総雇用者所得 消費税率引上げ要因 (含む消費税率引上げの影響) 99 93 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1(月) 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1(月) (年) 2012 13 14 15 16(年) 2012 13 2014 15 16 (前年比寄与度、%) 1 総雇用者所得(前年比) 悪化 30 (備考)1.総務省「労働力調査(基本集計)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「国民経済計算」により試算。 2.消費税率引上げは、物価を2%ポイント押し上げると仮定。 3.破線部分は、2014年4月の消費税率引上げの影響を除く実質総雇用者所得。 (備考)1.総務省「労働力調査(基本集計)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「国民経済計算」により試算。 2.消費税率引上げは、物価を2%ポイント押し上げると仮定。 3.破線部分は、2014年4月の消費税率引上げの影響を除く実質総雇用者所得。 2 2.個人消費が力強さを欠く中期的要因 ○ マクロ的には、消費税率引上げに伴う予想外に大きな駆け込み需要の発生により、2013年度まで賃金・所得 の伸びを上回って個人消費が増加したため、消費・貯蓄水準の調整が現在まで続いている可能性。 ○ 品目別では2008年のリーマンショック以降の取得支援策、地上デジタル放送への移行、消費税率引上げに伴 う駆け込み需要などからトレンドを大きく上回って増加してきた耐久財の減少が顕著。 消費・雇用者報酬比率 (%) 90 125 家計の情報・通信機器(テレビ等)の 期末残高(実質) (兆円) 80 消費・雇用者報酬比率 (実質民間最終消費支出/実質雇用者報酬) 70 60 120 50 40 30 115 20 10 110 0 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ (期) 2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 2000 01 15 (年) (備考)内閣府「国民経済計算」により作成。季節調整値。 150 (2010=100) 形態別国内家計最終消費支出(実質) 90 耐久財 140 130 120 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 13 14 (年) (年) 家計の個人用輸送機器(自動車等)の 期末残高(実質) 85 80 75 半耐久財 110 70 100 65 サービス 90 (兆円) 02 非耐久財 60 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ (期) 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年) (備考)1.内閣府「国民経済計算」により作成。暦年末の実質残高。 2012 13 14 15 (備考)内閣府「国民経済計算」により作成。季節調整値。 10 11 12 2.破線部について、上図は2006年以降を2005年の前年比で延長、下図は2008年以降を2007年の前年比で 延長した場合の残高。 3 3.年齢階層別・所得階層別の消費の動向 ○ 家計調査の階層別の動向は振れを伴うため幅をもってみる必要があるが、39歳以下の世帯は可処分所得が 増加する中、消費税率引上げ後は消費を抑制する傾向が顕著。平均消費性向が低下し続け、過去と比べても 低い水準となっている。 ○ 60歳以上の世帯は可処分所得が2015年以降減少する中で、消費も弱めの動きとなっているが、平均消費性 向は比較的高めの水準で推移している。 ○ 所得階層別の動向をみると、低所得者層の消費は2013年半ば以降、総じて弱い動き。高所得者層の消費は 消費税率引上げ後も底堅く推移してきたが、2015年夏以降は減少傾向で推移している。 39歳以下 50 (万円) 50 45 45 40 40 35 消費支出 50 60歳以上 (万円) 45 40 可処分所得 35 35 30 30 可処分所得 30 25 消費支出と可処分所得(名目) 40~59歳 (万円) 消費支出 可処分所得 消費支出 25 25 1 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101(月) 1 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101(月) 1 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101 4 7101(月) (年) 11 12 13 14 15 16 2010 11 12 13 14 15 16(年) 2010 11 12 13 14 15 16(年) 2010 80 75 所得階層別消費支出(名目) 平均消費性向 (%) 95 60歳以上 (目盛右) 90 110 (2013年1-6月平均=100) 第Ⅴ分位(高所得者層) 105 100 85 70 95 39歳以下 65 40~59歳 80 90 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1(月) 1 2010 11 12 13 14 15 16(年) 第Ⅰ分位 (低所得者層) 4 7 2013 10 1 4 7 14 10 1 4 7 15 10 (備考)総務省「家計調査」により作成。二人以上の世帯のうち勤労者世帯。名目原数値の後方12か月移動平均。ただし、右下図は内閣府による季節調整値の後方3か月移動平均。所得階層は年間収入五分位階級による区分。 年間収入五分位境界値は2015年平均で、第Ⅰ分位と第Ⅱ分位は439万円、第Ⅳ分位と第Ⅴ分位は913万円。 1 (月) 16 (年) 4 4.個人消費が力強さを欠く背景(物価・資産価値・天候) ○ 2015年の個人消費は、消費者にとって身近な食料品の価格上昇、2015年後半の株価低下による消費者マイ ンド悪化、天候不順の影響が下押ししたとみられる。 ○ 非耐久財消費の品目別の動向をみると、食料品価格が上昇する中で食料品を中心に支出額が増加し、他の 品目への支出額を抑制。 ○ 今後半年間の資産価値の見通しは高齢者層や高所得者層で2015年後半以降、大きく低下しており、これらの 階層の消費に影響している可能性。 ○ 2015年4-6月期の冷夏・降雨はエアコン等の耐久財等の売上、10-12月期の記録的な暖冬は衣料品等の 売上を中心に消費を下押し。 非耐久財の費目別寄与分解(名目) 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 (2013年Ⅳ四半期比累積、%) 55 50 食料 その他 Ⅱ Ⅲ Ⅳ 45 40 40 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 60歳以上 15 30 (期) 1 (年) 消費者物価 (折線) 公共料金 4 7 10 2014 1 4 7 15 35 10 550万円以上750万円未満 300万円未満 30 2(月) 1 16(年) 4 7 10 2014 1 4 7 10 15 2(月) 16 (年) (備考)内閣府「消費動向調査」により作成。原数値の後方3か月移動平均。年齢階級は世帯主の年齢。年間収入は世帯の年間収入。 消費者物価の分類別寄与度 (2013年12月比累積、%) 1.0 950万円以上1,200万円未満 50 45 (備考)総務省「家計調査」により作成。総世帯。内閣府による季節調整値。その他には、主なものとして、 「光熱・水道」、「教養娯楽」、「交通・通信」が含まれる。 1.5 55 40~59歳 35 2014 2.0 消費者マインド(資産価値) (DI) 年間収入階級別 39歳以下 合計(折線) Ⅰ 年齢階級別 (DI) 小売業販売額(名目) (前期比、%) 6 その他 個人サービス 4 2015年 4-6月期 暖冬等の影響 7-9月期 10-12月期 2 外食 0 0.5 -2 0.0 耐久消費財 1 4 7 15 10 16(年) (備考)1.総務省「消費者物価指数」により作成。季節調整値。消費税率引上げによる直接の影響を除いたもの。 2.消費者物価は、「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」。 (備考)経済産業省「商業動態統計」により作成。季節調整値。 燃料 2014 10 機械器具 7 冷夏等の影響 織物 衣・服 ・ 身の回り品 4 -6 1(月) 各種商品 (百貨店等) 1 -4 小売業計 -0.5 食料 5
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