PowerPoint プレゼンテーション -

『イスラム報道』
プレゼン資料
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岡沢啓一
使用した文献
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エドワード・W・サイード『イスラム
報道』みすず書房、1996年
イスラムの利用方法
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アメリカの戦略家や知識人は、どのよ
うにイスラムを利用したのだろうか?
変化の兆し…1974年初め、OPECの石油
価格が突然上がり始める
アメリカの輸入石油への依存
経済に加える新たな圧力
変化に関する見解
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「西側の民主主義国家」は腕をこまね
いて、傍観することはできない
アメリカの歴史史上初めて、国外から
アメリカそのものに平等主義が適用さ
れている
不思議かつ危険なほど頑固に見える
列強から戦いを挑まれている
アメリカの動き
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ベトナムからの撤退
防衛の対象が、イスラム世界へ移る
新しいイスラムの主張
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1973年10月のラマダン戦争にまでさか
のぼる
抑制がなく直接的
「イスラム」という固有の名称は、直
接に指し示せる単純なもの
イスラムの爆発
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マイケル・ウォルツアー「イスラムの爆発」
『ニュー・パブリック』1979年12月8日発行
重大な20世紀の出来事を挙げる
出来事には共通点がある
西洋を侵害しようとする永続的な政治権力のパターン
を示す
驚くべき道義的人情に端を発している
「見えすいた植民地主義者の見せかけだけの自由主義、
世俗主義、社会主義、民主主義」を打破するもの
「イスラム」がなければ、これらの出来事はばらばら
になってしまう
もうひとつのイスラムのイメージ
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正常で、西洋的で、日常的な「われわ
れ自身のもの」との対決関係に見られ
る
イスラム世界という概念そのものが
「われわれ」の世界に対する反抗を意
味する
イスラムは、ほとんどのムスリムと同
一視することが可能
イスラムの紹介形式
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世界を親米と反米に分ける
政治的プロセスを報道したがらない
自民族中心
全くの誤報や繰り返し
重要な影響
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イスラム特有の像が提供されている
全体として、その意味やメッセージが限定さ
れ、型にはめられつづけている
対決的な政治状況が作られ、「われわれ」を
「イスラム」に敵対させている
矮小化されたイスラムのイメージは、イスラ
ム世界そのものに明白な結果をもたらした
マスコミの描くイスラムのイメージは、文化
の制度、情報や知識の政治、国家政策につい
ても教えてくれる
イスラムを解釈することの意味
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歴史の中で生まれる意思と解釈のなせ
るわざ
人間の歴史や社会で起こる人間行為の
中に現れる信仰を解釈する場
解釈の上で、他人から受け入れる解釈
や意味に依存しなければならない
しかし、それらは無視したり過小評価
されがちである
イスラムを伝える文化装置
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新聞、ラジオ、雑誌だけではない
本、専門雑誌、講演などの見方は、複雑
マスコミは、一定のルールや慣習を決めてしまう
手に負えない現実を「ニュース」や「記事」に矮
小化する役目
イスラムは、画一的、矮小化、単色になりがち
アメリカのマスコミの役割
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フランスやイギリスとは違う
社会も受け手も組織も利害も大きく異なる
他の諸国にはない利益を、様々な手段で追求している
超大国
マスコミは、アメリカの権力への参加者である
独立した報道は、外交政策に効果的に寄与する
「われわれ」の外国への関心をさらに深くする
何がニュースか、どのようにニュースになるのか決定
づける
これらの特徴は「文化の所産」に基づく
アメリカ社会の特徴
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対立する多数の下位文化からなる複雑な社会
マスコミによって、標準化された共通の文化を伝え
る必要がある
コンセンサス(一つの共通の中心)が限界を設け、
圧力をかける
伝統文化を信頼せず、あまり関心を持とうとしない
ほんの一握りの組織が、最も広範にニュースを配信
している
一握りの大ニュース配信会社と数え切れないほどの
小さな配信会社
現実に対するアメリカのイメージを提供している点
で首尾一貫している
アメリカ人にとっての「イスラム」
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アメリカ人は、イスラム世界を眺める機会を
持たない
「イスラム」は、受け入れ不能で不毛なもの
復活する先祖帰り、中世に逆戻りする脅威
西洋世界に民主主義的秩序の破壊も暗示
「イスラム」を、特定のイスラム権力と同一
視する
相対的で、矮小化された意味は、相互に依存
しあっている
西洋に依存するイスラムの現状
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イスラム世界は、西洋の作るイメージ
や歴史、情報によって、自らを学んで
いる
中東研究は、欧米の図書館や研究所に
依存
英語が世界言語
イスラム世界のエリート集団は、西洋
が作る消費市場の恩恵を受けている
イスラムに関するムスリムの解釈
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イスラム教の根本協議
コーランの様々な対立する解釈
イデオロギーが確実に影響を与えた実践
以上三つのレベルに加え、時間軸と地理的環
境も考慮
全てを「イスラム」の一語で片づけてしまう、
西洋のマスコミ
イスラム世界の定義
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イスラムの歴史は、存在するか
イスラムのルーツは、ある特定の地理的場所
にあるか
イスラム内部の定義、解釈、性格付けの問題
はあまりに大きい
「イスラム」およびそれから派生した言葉は、
「観念型用語」であるため
イスラム社会が歴史的・地理的に広範囲に散
乱しているため
イスラム地域における国家のジレンマ
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西洋における「イスラム」と同じイメージを
抱いている
抽象観念の表現であり、不健康で、多くのひ
どい矛盾を隠蔽するものとなりうる
独自の方法で外部からの脅威に対応している
反動として、宗教、伝統、ナショナリズムに
頼ってきた
どの国も以上に困難なジレンマに陥っている
国家の構造は、複数の国籍、宗教、宗派対し
て、必ずしも敏感に反応していない
イスラム地域における民衆のジレンマ
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多くの政治的現実を体現している
多様なムスリムのエネルギーはほとん
ど利用できる状態にない
何が正義で、何が悪で、正義と伝統は
いつ信頼できるのか
疑問は膨らむ一方だが、西洋に伝わる
ことはない
「イスラム」と「西洋」の争い
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イスラムとの戦いは、西洋を一つにした
同じように、西洋との戦いは、イスラムを一
つにした
アメリカにとって、イスラムは比較的新しい
要素かもしれない
けれども、ムスリムにとって、アメリカは西
洋の一部である
イスラム世界は、「西洋」の影響を受け続け
てきたわけではない
時として焦点の向け先が異なるから
イスラム文化の偉大な特徴
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豊かで大変精緻な解釈力
意識した強力な自己イメージを作り、明確に表現す
る能力
実践的価値を真剣に評価すること
イスラム、アメリカ双方の社会ともに、わずかな対
決点のみに注目している
対決に関係ないことは全く無視している
西洋社会は、実際にはイスラム社会で何が起こって
いるのか見るべき
イスラム以外の世界にも、結果や論点を伝えること
が重要
イスラムについて拡散している敵対イメージに、追
従する人が増える危険性
これからのイスラム
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刑罰、独裁政治、中世風の論理、神政政治などは、
ムスリム自身が反対している
しかし、西洋のイスラム観は、これらを「イスラ
ム」と結びつけたがる
急激な近代化の中で、多くのイスラム地域は、消費
市場への変革を進めてきた
オリエンタリズムやステレオタイプを払拭する必要
がある
初期のイラン革命は、人間の存在に関わる、勇気づ
ける挑戦だった
別の形の歴史、新しい種類の社会学、新しい文化の
自覚を広めていくこと
新しい形の歴史を生きるという目標を強調すること