2:人事戦略、人事労務管理システム、内外環境 ●人事労務管理システムを規定する諸要因 • 人事労務管理システム 経営目標を実現するために必要とされる労働サービスの提供が合理的に行われる ように設計されたもの。 経営目標以外にも、企業が選択した人事戦略と人事管理システムをめぐる内外環 境のもとに構築される。 固定的なものではなく、内外の環境変動に適応するために常に変化する。 人事労務管理システムを制約する内外環境 (内部環境) 経営者の価値観やイデオロギー 技術的条件 労働者の価値観や就業ニーズ (外部環境) 市場的条件 労働市場の条件(人口構成、学校教育、労働組合の 供給規制など) 企業の製品市場における位置(予算上の制約など) 権力構造(中央集権的・分権的、民主主義の浸透度、 資本構成や所有と経営の分離の程度など) 法システム(労働基準法、労働組合法、男女雇用機 会均等法、社会保障システムなど) 制約 人事戦略 必要とされる労働サービスの質 動機づけに有効な誘因 人的資源の量と質 提示できる労働条件 経営目標やコーポレート・ガバナンス 労働条件のミニマムや雇用ルールなどを規定 ●「柔軟な企業モデル」 国際紛争の激化や競争範囲の拡大、さらには産業構造や技術構造の変化などを背景とす る製品市場における不確実性の増大などに対する人事管理面における企業の適応力を高め る方法として定義されたもの。 数量的柔軟性 numerical flexibility (労働力需要の量的な変動への適応能力) 有期雇用労働者の活用、業務の外部化、派遣労働者や請負労働者などの外部人材の 活用など、労働力需要の変動に対して柔軟に労働投入量の調整を可能にする仕組みを導 入することで実現 機能的柔軟性 functional flexibility (労働力需要の質的な変動への適応能力) 職場や職種の転換を受け入れることを可能にする幅広い技能や知識を保有した労働者 を確保・育成することで実現 金銭的柔軟性 financial flexibility(支払能力と労働費用の連動化) 業績給や利益配分制の導入により実現 時間的柔軟性 temporal flexibility フレックスタイム制や変形労働時間制などで実現 「柔軟な企業モデル」は、企業が必要とする人的資源の内部調達(内部化)と外部調達(外 部化)を組み合わせることで、環境変動への適応能力を高めることができる。
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