2.人事戦略、人事労務管理システム、内外環境 人事労務管理システムを規定する諸要因 Ⅰ人事労務管理システム ・)経営目標を実現するために必要とされる労働のサービスの提供が 合理的に行われるように設計されたもの。 ・)また経営目標以外にも企業が選択した人事戦略と人事管理システム をめぐる内外環境に基づいて構築される →したがって人事労務管理システムは内外環境によって変動する。 人事労務管理システムを制約する内外環境 「内部環境」 1. 2. 3. 経営者の価値観やイデオロギー 技術的条件 労働者の価値観や就業ニーズ 「外部環境」 1. 2. 3. 4. 労働市場条件 製品市場などの市場的条件 権力構造 法システム (制約) 人事戦略 企業が必要とする労働サービスの質 動機づけに有効な誘因 (制約) 企業が採用可能な人的資源の量と質 提示できる労働条件 経営目標やコーポレート・ガバナンス ミニマムの労働条件や雇用ルールなどを規定 Ⅱ人事戦略としての「柔軟な企業モデル」 国際競争の激化や競争範囲の拡大、さらには産業構造や技術構造の変化などを背景とする 製品市場における不確実性の増大などに対する人事労務管理面における企業の適応力を高 める方法として提起されたもの。 数量的柔軟性 numerical flexibility ①労働力需要の量的な変動への対応能力 有期雇用労働者の活用、業務の外部化、派遣労働者や請負労働者などの外部人材 の活用など、労働力需要の変動に対して柔軟に労働投入量の調整を可能にする仕組 みを導入することで実現 機能的柔軟性 functional flexibility ②労働力需要の質的な変動への対応能力 職場や職種の転換を受け入れることを可能にする幅広い技能や知識を保有した労働 者を確保・育成することで実現 金銭的柔軟性 financial flexibility ③支払能力と労働費用の連動化 業績給や利益配分制の導入により実現 時間的柔軟性 temporal flexibility ①労働力需要の量的な変動への対応能力 フレックスタイム制や変形労働時間制などで実現 Ⅲ内部化と外部化 「柔軟な企業モデル」は、 企業が必要とする人的資源の内部調達(内部化)と外部調達(外部化)を 組み合わせることで、環境変動への適応能力を高めることができる。 *内部化と外部化を規定する要因 1) 2) 3) 4) それぞれの業務に求められる技能の企業特殊性の程度 外部労働市場における需給の状況や外部労働市場から供給される人的資源のレベル (技能水準) 企業の人事労務管理や労使関係の慣行 業務を分離したり外部化する難易度 上記の程度が高かったり、困難であるほど 企業は人事戦略として人的資源の内部化を選択する傾向が強まることになる。
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