第1回 序論 -計算力学の位置づけ- 2007.04.16 1.計算力学の目的 v 計算機を利用して力学問題を解く - 対象: 固体,流体,熱,振動,etc. v 計算機の支援のもとで設計,生産を行う - 設計工学,CAD,CAM,CAI v そのために必要な数値計算法を確立する - 特に微分方程式の数値解法について v 計算結果の処理方法の開発 - マルチメディアの利用 2.熱流体力学への応用 v 数値流体力学 - Computational Fluid Dynamics : CFD v マクロスケールでの解析 -航空機,自動車 etc,輸送機器に関するシミュレーション -都市の温暖化,地球温暖化 etc,環境問題に関するシミュレーション -化学反応,ふく射,電磁力 etc を伴う熱流体現象の複合問題 -気泡運動,固気/気液二相流 etc,多相流のシミュレーション v ミクロスケールでの解析 ~分子動力学の応用 -沸騰現象,冷却現象,界面現象などへの応用 v 流体力学の難問 ~乱流現象の解明 3.数値シミュレーションの位置づけ Euler方程式 1750年 Newtonの運動方程式 を連続体に対して適用 Reynolds 1883年 流れが層流から乱流へ 遷移する現象を可視化 20世紀中頃~ 4.流体運動の決定 保存量 保存則の定式化 解 運動量 Navier-Stokes方程式 運動量 質量 連続の式 密度 エネルギー 熱力学第一法則 熱力学的変数 独立変数は時間と空間座標 従属変数は速度と熱力学的変数 偏微分方程式 5.計算手順(1) -基礎式の記述- 1st step 流れの支配方程式を座標系にあわせて記述する 【例】 2次元非圧縮性流れの Navier-Stokes 方程式 y v u 粘性応力 x この方程式を解く 速度の時間変化が求まる 5.計算手順(2) -基礎式の簡略化- 2nd step 支配方程式を簡略化する 現象の特徴や本質をとらえ,方程式に近似やモデル化を施す ・1次元 ・圧力こう配ゼロ ・非粘性 5.計算手順(3) -基礎式を解く- 3rd step 方程式を離散化してコンピュータで解く コンピュータにできることは四則演算と判断なので,解きたい 微分方程式を代数方程式に変換することが必要 離散化 計算機で解く代数方程式 6.シミュレーションの流れ ■ 計算機が受け持つ3つの処理 ■ 1. 前処理 = 格子形成 解析空間の中に適切な格子を配置する 2. 本処理 = 浮動小数点演算 離散化された代数方程式を解く 3. 後処理 = 計算結果の可視化(flow visualization) 膨大な量の計算結果を人間が認識しやすい形で示す 7.格子形成 もとの微分方程式は連続関数 u(x, t) についての方程式 これに対してコンピュータで計算させるための代数方程式は, 離散関数 u(x+Dx, t+Dt), u(x+2Dx, t+2Dt), ・・・ についての方程式 代数方程式を解く場所を指定しなければならない 空間を格子で分割し,格子点の上で解を求める – 格子点以外の場所の解は得られないので,流れの状態を詳しく調べるた めには,格子を密に設定し格子点の数を増やすことが必要 – 時間についても,離散化されることに注意! 8.格子形成の実例 http://www.sw.nec.co.jp/APSOFT/SX/alfa/jirei.html http://www.vinas.com/gridgen/gallery.html 図1. 2次元翼まわりの流れ 図2. 車体まわりの流れ 図3. ノズル入口部の流れ 9.計算結果の可視化 v 可視化の意義 データ量が膨大になるとただちに物理現象を理解するのは至難の業 目的に適した物理量を認識しやすい形で表示することが必要 v 流体シミュレーションにおける可視化処理 -流線,流脈,タイムライン,ベクトル図 -等値線(2次元),等値面(3次元) -面塗り(カラーマップ) -アニメーション 10.可視化の具体例 -静止画- 一様流中に置かれた円柱まわりの流れ 基礎方程式:2次元・非定常・非圧縮性Navier-Stokes方程式 離散化処理:有限差分法 円柱後方にカルマン渦が発生 非定常なので1時刻ごとに解が 得られる. その一例を示すと... Flow ※表示方法 ・流線 ・等値線 ・面塗り 低圧側に流線が引き込まれる 【参考】計算流体力学研究所 http://www2.icfd.co.jp/karman/kr1.htm 11.可視化の具体例 -アニメーション- 円柱後方から渦が規則的に放出さ れる様子は,静止画だけを眺めて いても理解しづらい ※現象に対する理解が深まる ※情報量は豊富になるが扱うデータ量も膨大になる 【参考】計算流体力学研究所 http://www2.icfd.co.jp/karman/kr2.htm 12.講義概要 v 講義内容 -熱流体の基礎方程式について -偏導関数の差分近似:近似の方法,近似の種類など -偏微分方程式の差分近似:移流方程式,熱伝導方程式 -差分近似の精度,誤差解析 -差分法の計算実習 「プログラミング言語」を履修すること v 教材・資料 -参考書:流体力学の数値計算法(藤井孝蔵,東京大学出版会) -資 料:機械工学科Webサイトからダウンロード 13.講義予定(1) v 達成目標と学習・教育目標 1.流体運動を記述する基礎方程式の「物理的意味」と「数学 的特徴」について説明することができる(目標E・F) 第1週・第2週 2.差分法の考え方を理解し,簡単な微分方程式について差分 式を導出することができる(目標H) 第3週~第6週・第9週~第11週 3.近似精度,安定性,収束性など差分法の基本的な評価がで きる(目標H) 第7週~第11週 13.講義予定(2) v 達成目標と学習・教育目標 4.差分法を用いた初歩的な数値計算についてFORTRANによ るプログラミングができる.さらに,プログラミングとそ れに付随する知識について,インターネットを通じて有益 な情報を取得することができる(目標H・G) 5.講義ビデオとレポート投稿システムを中心とするe-Learning 環境を利用して,自主的に学習を継続することができる (目標G・J-1) 第12週~第14週 14.評価 v 評価方法 -授業中の確認テスト 20% -プログラミング演習 30% -期末試験 50% v 自己点検 -学習到達度の自己確認 → 定期的にチェックシートを提出 ( 期末試験終了後に回収 ) v 出席 -出欠管理用カードリーダーを打刻すること -2/3以上の出席が成績評価の条件 1 )Except for the very simplest flow geometries, it is not possible to obtain analytical solutions to the Navier-Stokes equations. 2 ) However, by using high-speed computers it is possible to obtain numerically generated solutions to a variety of complex flow situations. 3 ) To do so the continuous flow field is described in terms of discrete (rather than continuous) values at prescribed locations. 4 ) By this technique the differential equations are replaced by set of algebraic equations that can solved on the computer.
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