PowerPoint プレゼンテーション

Excelを用いたBODE線図の作成方法
平成18年8月
1.Windowsパソコンで広く使用されているExcelを用いて、できるだけ易しくBODE
線図の作り方を解説する。
2.Excelは応用範囲が広く、使い方も奥が深いが、ここでは逐一分厚いユーザーズ
ガイドを見なくても学習が進められるよう、Excelの使い方に関する必要最小限の
知識を織り交ぜつつ、段階的にBODE線図が作成できる教材構成となるよう配慮
した。
3.教材の構成は以下の通りであり、以下、順を追って解説 していく。
(1)BODE線図について
(2)モデルにした伝達関数
(3)BODE線図の作成範囲
(4)BODE線図作成に必要な計算式
(5)Excel上での変数の設定
(6)Excel上での計算式の書き方
(7)計算の実行
(8)計算結果を基にしたBODE線図の作成方法
(9)簡単な動画の作成方法
2015/10/1
1
1.BODE線図について
(1)伝達関数G(jω)は複素数なので、ωに対するG(jω)の変化の様子は、G(jω)
の絶対値と位相角で表す。
(2)横軸に対数目盛りで表した 角周波数 ω [rad/秒]
縦軸に伝達関数の
◎ 絶対値のデシベル値 g [dB]
◎ 位相角 φ [度]
をとって、G(jω)の変化の様子をグラフ化したものが BODE線図 である。
(3)BODE線図の一例を図-1に示す。
この図では
・・ g を Gain
・・φ を Phase で表
している。
40.00
30.00
20.00
10.00
0.00
-10.00
-20.00
-30.00
-40.00
-50.00
0.00
-10.00
-20.00
-30.00
-40.00
-50.00
-60.00
-70.00
-80.00
-90.00
Phase (deg.)
Phase(Deg)
0.10
0.16
0.25
0.40
0.63
1.00
1.58
2.51
3.98
6.31
10.00
15.85
25.12
39.81
63.10
100.00
158.49
251.19
398.11
630.96
1000.00
Gain (dB)
Gain (dB)
図-1
2015/10/1
ω (rad.)
2
2.モデルにした伝達関数
(1)BODE線図作成の基本的事項が学習できるよう、下記の 一次遅れ の伝達関数
をモデルにする。
G ( j ) 
30
1  jT
・・・・・①
(2)この演習では、上記の伝達関数について、 絶対値のデシベル値 g と 位相角 φ
をωの関数として求め、Excel を使って ω に対応する g と φ の値を計算し、
これを基に BODE線図を作成する。
2015/10/1
3
3.BODE線図作成に必要な g と φ の計算式
(1)伝達関数の絶対値のデシベル g
a.まず、伝達関数の絶対値|G(jω)|を求め、これをデシベル値 g になおす。
b.絶対値 |G(jω)|
・ ①式の分子は正の実数なので、そのままで絶対値になる。
・ 分母の絶対値は、実数部 1 と虚数部 ωT の2乗和 1+ ω2T2を
平方根で開けば求まる。
∴
G( j ) 
30
1   2T 2
(下図参照 )
c.X のデシベル値は 20 Log 10 X
として、
g  20 Log10 (
と表せるので、
X=
G( j
) 
∴
30
)
2 2
1  T
30
1   2T 2
対数記号の中では、掛け算は和に、
割り算は差に直せる
 20 Log10 30  20 Log10 ( 1   2T 2 )
1
2 2
 20Log10 30  20Log10 (1   T )
2
A
Log10 ( )  Log10 A  Log10 B
B
対数記号の中では、ルートは指数に
直して外に出せる
∴ g  20Log10 30  10Log10 (1   T )
2
2
kLog10 X n  nkLog10 X
d. 伝達関数の絶対値のデシベル値は
g  20Log10 30  10Log10 (1   2T 2 )
虚軸
・・・ ②
(絶対値)
1   2T 2
jωT
(虚数部)
G(j
ω)
2015/10/1
4
0
1
(実数)
実軸
(2)伝達関数の位相角φ
a.分母が複素数のままでは扱えないので、分母の共役複素数を分母と分子
にかけ、式の値を変えずに分母を実数に、分子を複素数にする(有理化)。
G( j ) 
30(1  jT )
30(1  jT )

(1  jT )(1  jT )
1   2T 2
=
30
1  T
2
(実数
部)
2
j
30T
1   2T 2
(虚数部)
b.複素ベクトルG(jω)と実数軸とがなす角度 φ が位相角になるので、
(下図参照 )
 T  30
2 2
tan   1   T
  T
30
1   2T 2
1
∴    tan (T )
c.このままでは、単位が[rad]なので、単位を[度]に直して、位相角は
  (180 /  ) tan1 (T )
・・・③
(2π[rad]=360[度])
a
0
φ
実軸
jb
虚軸
G(jω)
tanφ=b/a
a
30
1   2T 2
jb   j
2015/10/1
T  30
1   2T 2
 T  30
2 2
tan   1   T
30
1   2T 2
5
4.BODE線図の作成範囲
(1)g と φの曲線の大体の様子を掴むため、ωを 0.001≦ω ≦100 の範囲に設定
して値を計算する。
(2)初めから全範囲に渡ってωを同じ刻みで計算しても効率が悪いので、以下の
表のように対数目盛に合わせた形で 値を設定する。
5.Excel上での変数の設定
(1)セルA1、B1、C1 にそれぞれ変数名 ω、g、φを記入。
(2)ωの値は、予めA列に入力しておく。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
2015/10/1
A
ω
0.001
0.002
0.003
0.004
0.005
0.006
0.007
0.008
0.009
0.01
0.02
0.03
0.04
・
・
・
80
90
100
B
g
C
φ
セルA1、B1、C1に変数名ω、
g、φを記入
①ωを 0.001~0.01 まで
0.001刻みで入力
②ωを 0.01~0.1 まで
0.01刻みで入力
ωの入力
以下同様に100まで入力
6
【参考】 連続したセルへの入力と連続データの作成
(Excelのユーザーズガイドより)
①初期値の設定されたセル範囲を選択する
②マウスの右ボタンを押しながら、
フィルハンドルをドラッグして連続
データを入力する範囲を指定
③マウスのボタンを離す
④ドラッグで指定した範囲内に
増加傾向*)を直線に当てはめ
たデータが入力される
とショートカットメュー
が出てくるので、
[連続データ(加算)]
コマンドを選択
連続データ(加算)(L)
*)この場合10を初期値として10刻みで増加させている
もちろん、0.001を初期値として0.001刻みで増加
させても問題はない
2015/10/1
ωの入力について : 数が多くなるとこの方法が役に立つ
この他にも、[編集]- [フィル]-[連続データの作成]などの方法がある。
7
6.Excel上での計算式の書き方
(1)Excelで定義されている特有の演算記号のうち、BODE線図の計算を行うために
必要な演算記号を整理しておく。(詳細は[挿入]-[関数]-[数学/三角]を参照)
(2)本演習では以下の演算記号を使用する。
(通常の書き方)
(Excel上の書き方)
かけ算記号 ×
*
対数 p = Log a X
(aは対数の底、Xは真数)
p = LOG(X,a)
べき乗 Xn
X^n
逆三角関数 φ=tan-1X
φ=ATAN(X)
(3)従って、②式はExcel上では④の形で書き
g  20Log10 30  10Log10 (1   2T 2 )
g=20*LOG(30,10)-10*LOG(1+(ω*T)^2,10)
・・・④
ω^2*T^2を短縮して(ω*T)^2の形で書いてある
(4) ③式はExcel上では⑤の形で書く
   (180 /  ) tan1 (T )
φ=-(180/3.14)*ATAN(ω*T)
・・・⑤
◎π=3.14とした
*の記号は書き忘れやすいので注意すること
2015/10/1
◎
8
7.計算式の入力について
(1)計算式中の変数、例えばωはセル番号でA2と書くことができる。通常は、この
ままの形で計算は実行される。
(2)技術計算の場合、変数をセル番号のままにしておくと、式の意味が分かりにくく、
変数が多くなって式が複雑になると、記入ミスなどの発生も考えらる。
この他にも、変数を定義してそのままの形で書くことにより、ブックの中で共通変数として使えるなど、
ユーザーズガイドには御利益がいろいろ書いてあるので参照されたい
(3)このため、変数をそのままの形で使って式を書くことにする。
(4)しかし、単に g 、φ を ω の関数で書いただけでは、Excelが ω を変数として
認識しないので、計算は実行されない。試しに、定数 T=0.5 として、
o セルB2 に g の計算式・・・④
o セルC2 に φの計算式・・・⑤
を入力してみる。
④、⑤式がωを認識していないの
で、計算が実行されない
ω
ωをセル番号A2で書いておけば
計算は実行される
2015/10/1
(5)次の章で、ωを変数として登録する方法を説明する。
9
8.ωを変数として登録し計算を実行する手順
手順① Aをアクティブにする。 (A列全体がアクティブになる)
手順② [挿入]-[名前]-[定義] で、名前の定義のダイアログボックスを出す。
手順③ ωを変数として登録するため、
‘bode’ ! ω
(シート名)
を入力する。
(変数名)
A列のデータが全て変数として参照される
シート名は仮に bode とした
2015/10/1
10
手順④
OK ボタンを押す。
セルB2、C2にω=0.001の場合のgとφの値が表示される
手順⑤
ω に対応する g と φ を計算する。
セル B2、C2を同時にアクティブ
にして、ハンドルをダブルクリック
全ての ω に対応する g と φ の値の計
算が実行される
2015/10/1
これで変数の登録と計算は終了
11
9.計算結果を基にしたBODE線図の作成方法
(1)0.001~100までの範囲のωに対応するgとφの値は下表の通り。
ω
g
0.001
29.54242
0.002
29.54242
0.003
29.54242
0.004
29.54241
0.005
29.5424
0.006
29.54239
0.007
29.54237
0.008
29.54236
0.009
29.54234
0.01
29.54232
0.02
29.54199
0.03
29.54145
0.04
29.54069
0.05
29.53971
0.06
29.53852
0.07
29.53711
0.08
29.53548
0.09
29.53364
0.1
29.53158
0.2
29.49921
0.3
29.44579
0.4
29.37209
0.5
29.27914
0.6
29.16816
0.7
29.04056
0.8
28.89785
0.9
28.74157
1
28.57332
2
26.53213
3
24.42359
4
22.55273
5
20.93905
6
19.54243
7
18.32027
8
17.23794
9
16.26884
10
15.39269
20
9.499211
30
6.001341
40
3.510981
50
1.576682
60
-0.00482
70
-1.34248
2015/10/1
80
-2.50149
90
-3.52397
100
-4.43871
φ
-0.02866
-0.05732
-0.08599
-0.11465
-0.14331
-0.17197
-0.20064
-0.2293
-0.25796
-0.28662
-0.57323
-0.85981
-1.14634
-1.43282
-1.71923
-2.00555
-2.29177
-2.57788
-2.86386
-5.71349
-8.53509
-11.3157
-14.0434
-16.7077
-19.2998
-21.8125
-24.24
-26.5785
-45.0228
-56.3385
-63.4671
-68.2332
-71.6014
-74.0922
-76.0023
-77.5105
-78.73
-84.3322
-86.2296
-87.1818
-87.7539
-88.1355
-88.4082
-88.6128
-88.772
-88.8993
(2)初めに g のグラフを作図する。以下に具体的
な手順を示す。
【手順1】 ExcelシートのAとBをクリックして、A列とB列
を選択する。
12
【手順2】 [挿入]-[グラフ]-[グラフウィザード画面]-[散布図]
-[データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図]を選ぶ。
【手順3】 [次へ>]-[次へ>]で下の画面を出し、グラフのタイトルとX軸とY軸に名前をつける。
o グラフタイトル :
o X軸 : ω
o Y軸 : g
2015/10/1
g (自動で出力されたままにしてある)
13
【手順4】 グラフウィザードで完了をクリックすると以下のグラフが出力される。
(X軸の目盛りはまだ対数ではないので、 ωが小さい所はかなり圧縮されている)
【手順5】 X軸の座標を書き直す。グラフ上のX軸にカーソルを合わせて右クリックすると、
下の画面が出るので、軸の書式設定を選ぶ。
2015/10/1
X軸にカーソルを合わせて右クリック
14
【手順6】下の画面が出てくるので、目盛のタブを選んで
o X軸の最小値を 0.001
o 〃 最大値を 200
合わせてチェックは外しておく
o 目盛り間隔を 10
o 補助 〃
o 対数目盛を表示するにチェックマークを入れておく
値の設定
チェック
外す
チェック
マーク
【手順7】 OKボタンを押すと、X軸を対数目盛にした g のグラフが描ける
2015/10/1
15