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日語文法研究
(大学院)
6月4日(木)~
担当 神作晋一
第11章 テンス
――述語のル形とタ形
ねらい:
 述語のルとタは発話現在を基準にし
たテンス(時制)と見ることもプロセス
の側面を捉えるアスペクト(相)と見る
こともできます。
 ここでは、まずテンスとしてのル形とタ
形の対立について考えます。

第11章 テンス
――述語のル形とタ形


キーワード:
テンス、発話時、ル形、タ形、動的述語、
静的述語、過去、未来、非過去、現在、超
時的、臨場的、発見のタ、想起のタ
第11章 テンス
――述語のル形とタ形



§1 テンスと述語のル形とタ形
§2 非過去を表さないル形と過去を表さ
ないタ形
§3 静的述語のル形とタ形
§1 テンスと述語のル形とタ形
§1 テンスと述語のル形とタ形

テンス(時制):発話時を基準にして出
来事を時間軸に位置づける文法範疇。



発話時より前 → 過去
発話時より後 → 未来
ル形とタ形 代表的な形
§1 テンスと述語のル形とタ形

例:たべる(食)

「さっき食べた」 過去


「今食べる」


発話以前「さっき」と共起するタ形
未来○ 現在×
食べ始める直前○、発話現在×
「あとで食べる」

発話以後「あとで」と共起するル形
§1 テンスと述語のル形とタ形
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「いる」「ある」のふるまい
(1)犬はさっきここにいた/本はさっきここ
にあった。←過去を表す
(2)犬は今ここにいる/本は今ここにある。
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
←発話現在を表す「今」と共起
(3)*犬はあとでここにいる/*本はあとでこ
こにある。
ル形のテンスの解釈→述語の意味に依存
§1 テンスと述語のル形とタ形
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述語の意味・性質による分類
(4)述語
動的述語:動態動詞


食べる、飲むなど
静的述語:状態動詞、イ・ナ形容詞、名
詞+ダ(含デアル・デス)

いる・ある、おいしい、元気だ、学生です
§1 テンスと述語のル形とタ形
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
述語の意味・性質による分類
(5)テンスの対立:
述語のタイプとテンスの意味
動的
静的
述語のタ形=過去
述語
述語
述語のル形=非過去


静的述語のル形=現在
動的述語のル形=未来
ル形
未来
タ形
過去
現在・
未来
過去
§1 テンスと述語のル形とタ形
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動的述語と静的述語の見分け方
時間を表す副詞をつけてみる
動的述語
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
「あとでする」「もうすぐ来る」→発話以後
静的述語

「現在、太郎は外国にいる」「現在、いい
天気だ」→発話現在
§1 テンスと述語のル形とタ形

動的述語で発話時現在の出来事を表すには

「テイル」の形を使う



「現在、食べている」
「現在、飲んでいる」
「現在、書いている」
「明日、私は忙しい」
(58)述語のタイプとテンスの意味
動的述語
静的述語
ル形
未来
現在・(未来)
タ形
過去
過去
§2 非過去を表さないル形と
過去を表さないタ形
(58)述語のタイプとテンスの意味
動的述語
静的述語
ル形
未来
現在・(未来)
タ形
過去
過去
例外に
ついて
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形
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

動的述語のル形が未来を表さない場合
(6)太郎は毎日七時に起きる。
時
制
(7)田中は毎週ゴルフをする。
を
 →誰かの習慣
超
(8)関東の人は納豆を食べる。
え
(9)その年ごろの子供はよく遊ぶ。 た
も
 →人々の一般的な習慣や傾向
の
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形
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


静的述語のル形が現在を表さない場合
(10)この地方の人々は平均的に背が高い。
(11)渋谷はいつ行っても人が多い。
(12)早朝の空気はすがすがしくて、気持ちが
よい。
→一般的な性質、具体的な時間を越えた超
時的な状態
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形
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
動的述語ル形が現在を表す場合
(13)あ、夕日が沈む。
(14)あ、おみこしが通る。
(15)あ、バスが来る。
(16)頭がずきずきする。
→話し手が発話現在で、臨場的に言語化

目の前で認識・知覚したことを実況放送のように
表現
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形
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
述語のル形とタ形が混在する場合。
(17)早朝に起きだして、太郎は窓を開けた。
すがすがしい部屋に空気が流れ込む。太郎
は大きく深呼吸した。
タ形→出来事の時点と発話時からの距離
ル形→発話時点の状況としての臨場感
→語り手の視点
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形

過去の出来事や状態を表さないタ形

「あ、こんなところにあった」※ある


「彼は田中さんだった」※だ


探し物は話し手が見つける以前からそこにあった。
知人の名は話し手が思い出す前から記憶の中に
あった。
→発見のタ、想起のタ ※単純な過去ではない

発話以前の認識を、発話時点で再発見
§2 非過去を表さないル形と過
去を表さないタ形

過去の出来事や状態を表さないタ形

「ご注文の品はこれでよろしかったでしょうか。」





忘れた、自信がない?無責任?
→発話時より前の認識を、タ形で再認識
→(間違いを恐れ)断定的な物言いを避ける
よろしいですか→よろしかったですか ?
(レストラン)ご注文の品は以上でおそろいです
か(でしょうか)
§3 静的述語のル形とタ形
§3 静的述語のル形とタ形
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意味の違い
「その本おもしろいよ」



発話現在に真である
みんなに認められる性質のもの
「その本おもしろかったよ」


発話時点より前の状態は真(今はわからない)
個人的な見解(少なくとも、その時、話し手自身は)