宇宙の科学(第11章) 1

宇宙の科学(第11章)
前回の問題の答え
太陽は、銀河系の中のどの部分に位置
しているか?

科学技術理解Ⅲ(宇宙の科学)


第11章 銀河と宇宙



銀河の形は、いろいろある。
その分類には、ハッブル分類が広く使
われている。

渦巻銀河

銀河は一般名詞、銀河系は固有名詞として使
われる。




7
形は楕円形。楕円の程度により、E0から
E7まで細分類される。
楕円銀河にはガスやチリがほとんどない。
ほとんどが古い星。
楕円銀河の中で星は無秩序に運動してい
る。
5
棒渦巻銀河
バルジ部と円盤部がある。円盤部には渦
巻き構造がある。
円盤部や渦巻きの腕にはガスやチリが多
く、若い星が多い。
バルジの円盤に対する相対的な大きさに
より、Sa、Sb、Scに細分類される。
3
楕円銀河
ハッブル分類では次のように分類される。
 楕円銀河(E)、レンズ状銀河(S0)、
渦巻銀河(S)、棒渦巻銀河(SB)、
不規則銀河(I)
近くの明るい銀河については、EとS0が
30%、SとSBとIが70%。しかし、銀河団の
中ではEとS0が多い。
4


ハッブル分類



銀河=我々の銀河系と同様な、星の大集
団。
我々の銀河系は数ある銀河の中のひとつ。
2
銀河の形態分類


惑星状星雲
球状星団
円盤部
ハロー
バルジ
1

銀河とは?
6
レンズ状銀河
渦巻銀河に似ているが、中心部に棒状の
構造がある。


8
楕円銀河と渦巻銀河の中間的な銀河。
バルジと円盤があるが、渦巻きがない。つ
まり、ガスやちり、明るい高温の星が見ら
れない。
9
1
宇宙の科学(第11章)
不規則銀河

標準光源と距離測定
形が不規則で、楕円銀河、渦巻銀河など
に分類できないもの。


逆二乗則(復習)
標準光源=何らかの方法により絶対光度
が推定できる天体。
いろいろな標準光源を使って、銀河までの
距離が測られている。

(注)絶対光度が分かれば、それと見かけの
明るさとを比較して、距離が分かる。(見かけ
の明るさは距離の2乗に反比例する。)
10
銀河までの距離



11
銀河までの距離(つづき)
近くの銀河(~2000万光年)


セファイド型変光星が標準光源(周期-光度
関係を利用) 。
ハッブル宇宙望遠鏡なら1億光年ぐらいまで可。


銀河の中の一番明るい天体(巨大電離水素
領域、球状星団、新星、超新星など)が標準
光源。


銀河全体の明るさが標準光源。
渦巻銀河 ⇒ タリー・フィッシャー関係(銀河
円盤の回転速度と絶対光度の関係)
楕円銀河 ⇒ フェイバー・ジャクソン関係(銀
河中心の速度分散と絶対光度の関係)






15
銀河団
銀河も集団を作っている。


名称
メンバー数 直径(光年)
3~50
銀河団 50~数千
16
遠くなるほど、誤差が積み重なって、距離の精
度は悪くなる。
14
銀河群
v=Hr
Hはハッブル定数。 H = 約20km/s/百万光
年。

ハッブルの法則を使う。
銀河の集団
ハッブルは、遠い銀河ほど速い速度で
我々から遠ざかっていることを発見した
(1929年)。
銀河の後退速度をv、銀河までの距離をrと
すると、
距離のはしご ⇒ 距離の近い天体から遠
い天体へと、順番に距離を決めていくこと。
もっと遠い銀河
13
ハッブルの法則
12
宇宙の距離のはしご
さらに遠い銀河(~12億光年)

より遠い銀河(~8000万光年)

星から出た光が照らす面積は距離の2乗に比例して増加する。
よって、見かけの明るさは距離の2乗に反比例して減少する。
代表例

数百万
局部銀河群
数千万
かみのけ座
銀河団
17
中心部では、楕円銀河が多い。
銀河の総質量と同程度またはそれ以上の
質量の高温ガス(1千万度~1億度)が、存
在している。
銀河と高温ガスの総質量の10倍ほどの暗
黒物質が存在している。
18
2
宇宙の科学(第11章)
宇宙の大規模構造


宇宙の大規模構造(つづき)
宇宙の階層構造はどのくらい大きい範囲
まで存在するか?
ゲラーたちは、ハッブルの法則から多くの
銀河の距離を決めて、銀河の3次元分布
図を作った(1986年)。



特殊な天体「クェーサー」の発見
宇宙の中で銀河は一様に分布していない。
銀河団が連なるように存在する部分(超銀
河団あるいは壁)と、銀河があまり存在し
ない部分(ボイド)がある。
このような構造は泡構造とも呼ばれる。



19
クェーサーの特徴と正体


20
宇宙の電波源の中に、光で見ると点に見える
(つまり、銀河ではなく、星のように見える)が、
スペクトルの赤方偏移が非常に大きいものが
発見された。
赤方偏移が大きい原因 ⇒ 天体が非常に
遠くにあるので、宇宙膨張による後退速度が
非常に大きいから。
これらはクェーサー(quasar) と名づけられた。
 quasar = quasi stellar object または
quasi stellar radio source
21
クェーサーのエネルギー源
特徴: 遠い、異常に明るい(ふつうの銀河
の100倍以上)、サイズが小さい。
正体: クェーサーは異常に明るい銀河中
心核(銀河の中心部分)。



22
クェーサーは莫大なエネルギーを放出して
いる。
通常の核融合反応では不十分。では、何
がエネルギー源か?
⇒中心にある超大質量ブラックホールへ
降り積もるガスの落下(重力)エネルギー
がエネルギー源である。
23
3