第11章 図書・電子媒体等 第11章 図書・電子媒体等 【到達目標】 図書館は、学習、教育、調査研究等に必要な図書、雑誌、視聴覚資料および電子媒体等の資料を収 集、整理、保管し、利用者の要求に対して資料を迅速、的確に提供することを目的に設置され、学 部・学科構成や教育目標に即して、体系的、計画的に図書資料の充実を図っている。教学と連携した 資料収集、利用者教育、図書館間協力、レファレンス等、利用者の要望に合わせたきめ細やかなサー ビスを目標とする。今後、WEB利用サービスや電子的情報提供等、学術情報基盤としてより一層 のサービス向上を目指す。 【現状説明】 (図書、図書館の整備) 図書、学術雑誌、視聴覚資料、その他教育研究上必要な資料の体系的整備に関しては、図書館長、 各学科から選出された図書館運営委員、図書館職員で構成する図書館運営委員会で集書方針・計画 を決定し、教養書・入門書等の一般図書、学生および教員が学習・教育研究に必要な図書等を選定 して収集整備している。併せて、学部・学科対象の「学科推薦図書調査」による教育用・研究用図 書、教員対象の「参考書調査」によるシラバス掲載等の授業関連図書、学生を中心とした利用者の 「購入希望票」によるリクエスト図書等を計画的に整備している。 図書資料の量的整備に関しては、2008年 3 月 末 の 図 書 館 資 料 の 所 蔵 状 況 は 、 蔵 書 数 247,160 冊、所蔵雑誌種数2,465種、視聴覚資料2,652点である。全体の蔵書構成は学部構成上、主として社 会科学26%、言語10%、文学20%でこれら分野の占める割合が大きい。2003年現代ビジネス学部、 2004年家政学部、2007年薬学部が増設され、社会科学系、自然科学系設置基本図書資料の量的整備と 速報性・遡及性に優れた電子ジャーナル268種類を整備している。(大学基礎データ表41) 図書館の規模、開館時間、閲覧室の座席数、情報検索設備や視聴覚機器の配備等、利用環境の整備 に関しては、次のとおりである。 図書館の規模については、1966年の大学開学と同時に2号館2階の一角に大学・短期大学の共用施 設として設置され、1984年に延床面積約2,472㎡、図書収容能力約11万冊の独立棟図書館を建築し 現図書館に移転した。1997年には、学生数、蔵書数等の増加に伴う狭隘化により拡張が必要となった ため増築され、地上4階、延床面積約4,218㎡、図書収容能力約33万冊となった。 開館時間は1994年の大学院設置を契機に、開館延長を開始し現在に至っている、日曜日・ 国民の祝 日・大学の定める休日・清掃日・その他館長が定める日を除く年間約259日であり、開館状況および 開館時間は、授業期は月曜日から金曜日が9:00∼20:00、土曜日は9:00∼17:00、休業期は月曜日から 金曜日が9:00∼17:00、土曜日は9:00∼12:00である。 閲覧室の座席数は450席で学生収容定員数3,767名に対する座席数は11.9%である(大学基礎データ 表43)、椅子は長時間の読書にも利用者が疲れないように身長に合わせて3種類の椅子が用意され、 広い閲覧机、個人閲覧机、グループで利用できる研究室、新聞や一般雑誌を気軽に閲覧できるブラウ ジング・コーナー、数人でのグループ談話ができる休憩室、1∼2名で利用できる閲覧個室等も備え、 書架は固定・集密とも全て開架式としており、学生が資料や設備を自由に選択し学習できる環境を整 えている。 情報検索設備や視聴覚機器の配備等、利用環境の整備状況に関しては、マルチメディア室をはじめ として、館内には56台のパソコンと4台のプリンターを設置しており、うち12台 を OPAC等の検 索用端末として利用に供している。視聴覚資料を館内で閲覧するために AVブースを設置し、DV D、ビデオテープ、CD、レーザーディスク等の視聴に対応している。その他、マイクロリーダー1 台、簡易製本機1台、コピー機3台等を設置し、入口はBDS(Book Detection System)による退館 253 第11章 図書・電子媒体等 システムを導入している。また、身体障がい者対応としては、身体障がい者用トイレ、エレベーター が用意されている。これらは大学・短期大学の共用施設で互いに補完させて図書資料・設備・サービ ス等の整備の充実を図っている。 (情報インフラ) 学術情報の処理・提供システムの整備に関しては次のとおりである。 図書館サービスの対象者は、本学所属の学生(研究生、研修院生、科目等履修生等を含む)並びに 教職員(臨時教職員、退職教職員を含む)、同一法人内教職員、卒業・修了生、一般利用者、他大学 学生等、多岐にわたる。サービス内容は、学内利用者および卒業・修了生は閲覧・複写・貸出、一 般利用者および他大学の学生・教職員等の学外利用者は閲覧・複写である。(大学基礎データ、表42) 地域との連携としては、一般館内利用のほか、地域団体の行事への協力として図書館見学等の要望 に応じている。新入生に対しては、入学時に図書館利用案内と説明資料を配布し、図書館運営委員 から図書館の利用についてガイダンスを実施している。利用者教育としては、教員からの希望によ り、利用ガイダンスおよび文献調査ガイダンスを都度実施している。職員が作成した関連資料を配 布し、インターネットを使った文献検索(本学蔵書検索システム、NACSIS Webcat、CiNii等)、館 内見学(施設利用案内・資料紹介等)、本学図書館で利用できるサービス(図書購入希望、予約、 他館閲覧、学外文献複写依頼、相互貸借依頼等)等を主として、可能な限り個々の教員の要望に沿っ た内容のガイダンスを実施している。図書館カウンターは2階にあり、貸出返却をはじめ、レファ レンス、リクエスト(予約・購入希望・文献複写依頼・相互貸借依頼・他館案内等)、複写等のサ ービスを行っている。貸出は、通常、学部生10冊2週間、大学院生20冊1ヶ月とし、必要に応じて 長期貸出や禁帯出資料一時貸出等も実施している。そのほか、入口付近への「推薦・新着図書コーナ ー」の設置、広報誌である図書館報『図書独娯(としょひとりたのしむ)』の発行(年2回)、教員・ 図書館職員による展示(年2∼3回)等も実施し、図書館に親しみやすい環境を提供し図書館広報に も努力している。過去3年間の利用状況は、館外貸出冊数が増加傾向にあり、学生1人あたりの年 間貸出冊数も増加し2006年度には10冊を超えている。また、サービスにあたる職員のうち6割以上 が司書資格を保有しており、利用者の要望に沿った専門的なサービスを提供している。図書館ネッ トワークの整備と並行して1988年に図書館にパソコンを導入し、図書館資料の受入、整理、貸出、 返却、閲覧業務等の図書館業務の電算処理化を図り、図書館内におけるオンライン所蔵目録検索 サービスを開始している。1995年度から国立情報学研究所(NII)が提供するNACSISCAT(目録・ 所在情報サービス) や NACSIS-ILL(図書館間で行われている相互貸借サービス)に参加し、オンラ インを利用して業務の効率化や他館との連携を図っている。2003年度には新しい図書館システムを 導入することで業務を再構築し、図書館外からのオンライン所蔵目録検索も可能になった。また、 同時に公開した図書館ホームページでは、オンライン所蔵目録のほか、図書館利用案内、開館カレ ンダー、図書館報、特別展示案内、お知らせ等を掲載し、サービス提供および図書館利用促進をし ている。図書館所蔵の資料については、図書館ホームページ上にオンライン所蔵目録検索(OPA C)を設け国内外を問わず図書館の蔵書検索を可能にしている。そのほか、学外の学術情報へのアク セス支援としてホームページ上に、国立情報学研究所等の関連機関、国立国会図書館、近隣大学図 書館、近隣公共図書館等へのリンクを用意し、CiNii、NACSIS Webcat等の利用や他館OPACを案内 している。 国内外の他大学との協力に関しては、2004年度か らNACSIS-ILL 文献複写等料金相殺サービスに参 加し、業務の効率化を図っている。また、外国への文献複写・貸借は、主としてBLDSC(The British Library Document Supply Centre)を利用している。2000年度からはCiNiiの収録データベ ース「研究紀要目次速報データベース」に情報を登録しており、同時に紀要の国立国会図書館納本後 は、国立国会図書館の作成する「雑誌記事索引データベース」に論題名、著者名等の情報が登録され る。これらの情報収集には図書館ホームページを公開し、オンライン所蔵目録検索(OPAC)、他 254 第11章 図書・電子媒体等 機関のOPACやデータベース、国立情報学研究所のCiNii、NACSI-Webcat等が利用できるように用 意されており、基本的な学術情報へのアクセスは整備されている。国内外の他大学との相互協力の 状況は、図書貸借、文献複写ともに増加傾向にある。また、価格高騰や契約の煩瑣な海外の学術研究 雑誌購入や電子ジャーナルの契約に際しては私立大学図書館コンソーシアム(PULC)や日本薬学 図書館協議会(JPLA)に加盟して共同購入している。 学術資料の記録・保管のための配慮に関しては、図書館内に恒温恒湿制御可能な貴重資料室があり 版本、写本、軸物、古書等の貴重資料を収蔵しているが、近年、稲賀文庫、森田文庫、桂園文庫等の 本学の教育研究活動に多大な影響を与えた教員の遺贈文庫、明治期から昭和45年頃までの雑誌や単行 本の寄贈コレクション黒田文庫で貴重資料室も狭隘化している。これらの資料記録のための電子目録 や保存のために一部アウトソーシングをしながら計画的に整備している。 資料の保存スペースの狭隘化に伴う整備状況や電子化に関しては、2004年度より「図書館資料の不 用決定および廃棄に関する処理要綱」を図書館運営委員会で決定し、狭隘化を避け、スペースをでき る限り確保するために図書廃棄措置をしている。同時に書架利用や書架整理の利便性から1段目と7 段目を空けて書架整理をしており利用頻度数の少ない図書の所蔵スペースとして使用できないか工 夫する必要がある。社会科学系・自然科学系新学部設置に伴い電子ジャーナル、海外文献データベー ス、国際ニュース(JIJI‐Web)等の電子情報を図書館ホームページより268種類閲覧可能にしている、 これにより電子情報でカバーしている所蔵の定期刊行の学術雑誌や冊子体、ペーパー資料での契約を 解約している。 【点検・評価】 (図書、図書館の整備) 図書、学術雑誌、視聴覚資料、その他教育研究上必要な資料の体系的整備と量的整備に関しては、 所属学生数を勘案して教育用図書予算を配分する等、学部学科構成に沿い教員と職員で調整を図り ながらバランス良く収集している。蔵書構成は各分野に亘っており、従来の研究用図書、教育用図 書に加え、近年は学生の活字離れを意識して文庫新書等の一般図書も積極的に購入している。現 在、学科の設置年数や研究分野の特質上文学部関連分野の比率が高いので、比較的新しい学部学科 関連の資料を積極的に収集する必要が生じている。自然科学系、社会科学系の学術研究雑誌は速報的 提供サービスが必要であり、電子ジャーナルや各種電子的資料によるサービスが充実してきた。 書架は基本的にすべて開架式とし、学習しやすい環境を整えている。閉架書庫を待たないため、 集密書架を開架して利用する等の工夫により収容冊数を確保しているが、書架の狭隘化が進み年々 収蔵スペースの確保が困難になっている。閲覧席は広い閲覧机や個人机(キャレル)等を用意し、利 用目的にあわせて選択できる環境を整えており、閲覧席数も充足している。ただし固定書架付近に 閲覧席が多く集密書架付近に閲覧席が少ないため、分野や学部学科等により利便性に偏りが生じて いる。また、近年グループで学習・調査研究する学生が増加しているため、3室あるグループ閲覧 室の利用が高まり、複数人での利用が可能な学習環境が不足しつつある。館内各所にパソコンを設 置し利用に供しているが、最近では学生個人のパソコンを持たせる学部学科が増えており、ノート パソコンを持ち込む利用者も見られるようになっているが、情報コンセントの設備がないためWEB で公開された電子情報の取得が閲覧席では出来ない。その他、視聴覚資料として映画やアニメのD VDを積極的に収集したためAVブースの利用、また、カラーコピー機の導入によりコピー機の利用 も多く、機器が有効活用されている。 開館時間に関しては、土曜日の午後や夜間の開館延長を実施し、授業時間外における図書館の利 用サービスを提供し、学生の教室外の学習・調査研究の場を確保している。早朝開館については、 現在の通常9:00開館に対し、学生から授業開始前の利用希望も出ている。地域コミュニティーへの 開放という点では、一般利用者に対し閲覧および複写サービスを実施している。ただし貸出サービ 255 第11章 図書・電子媒体等 スを行っていない事と正門から図書館までのアクセスが良くなく、積極的な広報はなされていないと いうのが実情である。 (情報インフラ) 図書館業務はパッケージの図書館システムを使用して、サービスや事務処理の効率化を図ってい る。当面の課題として、雑誌等逐次刊行物や一部の登録されていない図書等、システムで処理が整 備されていない図書資料の貸出処理等について見直す必要がある。また、教育研究活動の成果とし ての大学紀要、学会誌、研究所報の著作権処理を踏まえて電子化し公開する必要がある。館内のサー ビスカウンターは1ヶ所であり、時間帯よってはカウンターの混雑がみられるため、サービスの充 実を図るために工夫が必要である。大学院生自習室と学部自習室に必要最小限の図書を禁帯出図書 として別置しており管理は教員が担当している。図書館利用者数および貸出冊数等は近年増加傾向に あるが、今後、電子ジャーナルの導入や有料データベースの契約等による電子的なサービスの充実 に伴い図書館の利用方法の変化が想定されるため、WEBを利用した非来館型サービスの導入が期 待される。 【改善方策】 (図書、図書館の整備) 図書、学術雑誌、視聴覚資料、その他教育研究上必要な資料の体系的整備と量的整備に関しては、 引き続き計画的収集を継続するとともに、薬学部設置用関係図書の年次計画整備を中心として自然 科学系の図書資料の充実を図る。また、電子ジャーナルやデータベース等の WEBを利用したサー ビスを導入し、電子的資料提供等、利用者の需要に合致したサービスを充実させる。同様に、図書 館システム も WEBの利用を意識し、図書予約や文献取寄等ができる非来館型サービスの導入をシ ステム更新時に検討する。また、登録状況により図書館システムで処理ができない図書館資料の遡 及入力を進め、貸出処理や蔵書検索の利便性を向上させる。書架の狭隘化対策として書庫スペース が必要であるため、図書館内外を問わず書庫として転用できるスペースの確保を努力する。併せ て、破損・汚損・重複図書、利用の少ない図書等の廃棄、定期刊行物や教育研究活動の成果として の大学紀要や研究所報、学会誌等著作権処理を踏まえて電子化し冊子体の量的軽減と配送費用の削減 を可能にする。その他、写本や版本、書軸等経年劣化し現物での閲覧が取扱上困難な稀覯書の電子的 資料への切り替え等を検討し対応する。その他設備については、パソコン持ち込みの利用者への情 報コンセントの提供、集密書架付近の閲覧席確保、学習環境の変化に対応したグループ閲覧室や休憩 室(リフレッシュルーム)の増設、図書配架計画の見直しがあげられるが、書庫の増設も含め、書架 の移設や増改築等の大きな事業となるため時間をかけて再構築する。 開館日、開館時間に関しては、学生の要望があることから、学生へのサービス向上、学びの環境 整備の観点から学部学科自習室への別置図書や自動貸出返却装置の導入も視野に入れ、人的確保の 上、早朝開館の実施を検討する。また、地域コミュニティーへの開放という観点から、一般学外利用 者への貸出サービス導入と併せて、夜間20:00以降の開館および日曜・祭日の休日開館の需要を調 査し、相当の時間をかけて検討を進める。 256
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