Mar.27.2005 JPS2005_Noda シミュレーションによる地球近傍における 陽子・反陽子の空間分布III 1.はじめに(動機・目的) 普喜 満生 2.計算モデル(作業仮説) 方程式と磁場 高知大学 教育学部 理科専修 高知市曙町2-5-1, Kochi 780-8520, JAPAN 入射モデル エネルギースペクトル 3.結果 空間分布 Email: [email protected] Web: http://akebono.ei.kochiu.ac.jp/~fuki 到来方向分布 エネルギー分布 4.結論と考察 1. はじめに 1-1 反陽子の観測実験の現状 気球実験 ⇒ 反陽子 & 陽子 BESS, CAPRICE, etc. 人工衛星・宇宙船・宇宙ステーション(Mir/STS/ISS) ⇒ 反陽子, 陽子, 原子核,電子 AMS, HEAT, PAMERA… 数千個の反陽子が観測された ⇒ 地球近傍でどこにどのくらい“天然”の反陽子は 存在しているのか ? 。。。目的 1. 2. 3. コンピュータシミュレーションで空間分布とエネルギー分布を推定 反陽子の(ほとんど衝突からの2次といわれる)発生の起源の探索 JPS2003(宮崎)報告I・・・両極到来・捕捉確率・放射線帯の形成 JPS2004(福岡)報告II・・・エネルギー分布・到来方向分布 JPS2005(野田)報告III・・・今回 1) エネルギースペクトル ●陽子 ●反陽子(< 1/10000) Fisk BESS 反陽子はどこから? Mode energy ~ 0.3 – 0.7 GeV Mode energy ~ 2.0 GeV 2) 放射線の空間分布 (高度400km) 反陽子はどこにある? ●陽子 & 電子(by Mir) ●中性子(RRMD@STS/NASDA) Solarmin Solarmax SAA(南アメリカ異常地帯)と両極地方に多い 2. 計算モデル 2-1 運動の方程式 Lorentz 力 F; m: 質量 , c :光速,q:電荷, V=(dx/dt, dy/dt, dz/dt) : 速度, B:磁場 (静的), ⇒地球磁気圏(RE<r<10RE;IGRF+Mead補正) E = 0;⇒ 電場はなしとする…(共回転電場~0.1MeV) 2-2)地球磁気圏磁場 1)双極子モデル 簡単、粗い、速い 2)IGRF(国際標準磁場) 地球近傍(RE ≦ r <5RE )、 SAAを説明できる 3)GEOPACK (Tsyganenko) 地球磁気圏全域(r <50RE )、 複雑・計算時間、 日・季節・経年変化など Dipole IGRF Geopack 44 sec 373 sec 3694 RKG4,1000個,Model-I,Tmax=4sec,dt=1e-5, PentiumIII_1GHz,WinXP+C++ 2-3 入射モデル (初期条件) 陽子 I) 宇宙線陽子 (磁気圏外からの一様入射) 銀河 (or 太陽) 宇宙線一次陽子 :GCR II) p + A → p + X(空気との原子核衝突から陽子発生) 生成@20 km, アルベド(Albedo) 陽子 :CRAP III)p + A → n + X (空気との原子核衝突から中性子発生) n → p + e- + ν (アルベド(albedo)中性子の崩壊) τ = 900sec, 発生<10・RE, 崩壊陽子:CRAND 反陽子, (衝突2次起源;対発生) I) 銀河宇宙線反陽子 (磁気圏外からの一様入射) II) p + A → p + p + p- + X (空気の原子核衝突から反陽子の対発生) III)p + A → p + n + n- + X (空気の原子核衝突から反中性子の対発生) n- → p- + e+ + ν (反中性子からの崩壊) 2.5 計算モデルとパラメータ 1)3次元運動方程式を時間について数値的に解く Adamus-Bashforth-Moulton 6th method Runge-Kutta-Gill 4th method ・・・(better) 計算範囲: RE(=6,350km)+20km ~ 10・RE(地球磁気圏内) 時間刻み: 可変,10μ秒(<1000km) ~ 10m秒(外側) 時間制限: 最大max.600秒(10分間) 磁気圏磁場: 静的, IGRF (内側) + Beard-Mead項補正 (外側) 2)初期入射条件としてモンテカルロ法 エネルギー範囲: 10 MeV ~ 10 GeV ランダム エネルギースペクトルからサンプル Em(陽子)=0.3GeV , Em(反陽子)=2.0GeV 出発位置と方向: ランダム(球面上一様, 等方ベクトル) モデルⅠ(地球外から入射、cosθ>0.9)、 モデルⅡ・Ⅲ(地球表面から出発) (反)中性子崩壊: 指数ランダム(τ=900 秒),< 10・RE 3. 結果 (1)捕捉確率(反陽子) 3つの解(脱出・到着・捕捉) Escape …. 磁気圏からの脱出 Arrive …. 地球に到着 Trap …. 捕捉(>10分) 磁気圏内でのカオス的運動 (⇒ バンアレン放射線帯) 3モデルからの3解の 確率(⇒右表) 典型例 @ Ek=1 GeV (エネルギー依存性あり) モデル I GCR モデル II CRAP モデル III CRAND Escape 99 % 18 % 81 % Arrive <1 % 82 % 18 % 0 ~0 1.5% Trap 2) 空間分布(1) ModelⅠ GCR ModelⅡ モデル-II CRAP ModelⅢ CRAND モデル-III 脱出確率・到着確率・捕捉確率 2)空間分布 (2) ・) 極地方の表面分布 @400km 陽子/モデルI input 100,000 粒子 オーロラ帯 反陽子/モデルI input 100,000 粒子 広く拡がる *)宇宙線カットオフ・Rigidity分布/モデルII 両極地方に穴 *)宇宙線カットオフ・Rigidity分布/モデルII 2)空間分布 (3) 50E 130W ・) 世界表面分布 ISS高度@400km 陽子/モデルIII Input 100,000 粒子 右周り SAA、東に尾 ⇒陽子 反陽子/モデルIII Input 100,000 粒子 左周り SAA、西に尾 ←反陽子 Same color means same particle (orbits) 2)空間分布(4) 高度分布 断面 (Φ=-50°(SAA側) vs 130°(反対側) ) ●陽子/モデルIII ●反陽子/モデルIII 陽子は 4000 km付近に多く、 反陽子は 2000 km付近に多い 低高度成分はSAA領域をつくる 2)空間分布(4) •高度分布 断面 (傾斜角Θ=10°,Φ=-50°(SAA) vs 130°(反対側) ) ●陽子/モデルIII ●反陽子/モデルIII 10万粒子@1week (もう一桁⇒ 100万粒子) 陽子は 4000 km付近に多く、 反陽子は 2000 km付近に多い 低高度成分はSAA領域をつくる 3) 到来方向の違い ISS軌道上 (@400km・Θ<52°) ● 陽子/モデルIII Input 100,000 粒子 上方到来: 北 下方到来: 南東 ● 反陽子/モデルIII Input 100,000 粒子 上方到来: 南西 下方到来: 西 4)エネルギースペクトルPreliminary ISS高度@400km (放射線内帯) Input Observed 反陽子/モデルIII •0.1~2GeVで増加 スペクトルの変形 •もっと統計量必要 両極地方@400km 反陽子/モデルI スペクトルの変形は小 4. 結論 両極地域 (高緯度;High Latitude) 宇宙線 (反)陽子 は地磁気圏外から両極地方に到着しやすい (by モデルⅠ)・・・・GCR due to Rigidity Cut-off 反陽子は陽子より広がって分布 反陽子エネルギー分布は変形されない 放射線帯中(RadiationBelts) 崩壊(反)陽子がVan-Allen放射線帯を作る (CRAND; Cosmic ray Albedo neutron decay:modelⅢ) 低エネルギー側(<0.1GeV)の崩壊陽子は広く補足される 高エネルギー側(~1GeV)の反陽子は内帯に捕捉される 反陽子は低高度(~2000km)に集まる ISS軌道高度(Altitude400km) 陽子と反陽子は同様にSAA領域に集まる 到来方向は陽子(北)と反陽子(南西)で反対方向 SAAでは尾を陽子(東)と反陽子(西)にひく (これらは定性的な結果) 5. 考察と今後の課題 陽子と反陽子の空間分布の定量的な考察の必要 入射条件の精密化(2次粒子の出発位置・方向) もっと統計量! ⇒ もう一桁 100K 粒子 → 1M…..今,10K/1日(Pentium4,2GHz) 統一的な議論: 3モデル⇒1モデル 流束, p-/p比, (原子核, 同位体, 反原子核?) エネルギースペクトル, 到来方向分布. 発生率, 捕捉時間, 漏れ出し率. 時間変動 (短期, 長期, ストーム). 太陽活動, モデュレーションなど. 他の結果との比較 理論・シミュレーション (coming)実験データ その他の太陽系効果 ・・・> 反陽子生成の起源 太陽磁場、惑星磁場(木星など)
© Copyright 2024 ExpyDoc