人工知能特論2011 資料No.7 東京工科大学大学院 担当教員 亀田弘之 前回までの確認から はじめに論理式φありき 1. 論理式φを等価変形し、Prenex Conjunctive Normal Form (PCNF)の形式ψにする。 例 xP( x) xQ( x) ~ xP( x ) xQ( x ) ~ xP( x ) yQ( y ) x ~ P ( x ) yQ( y ) x (~ P ( x ) yQ( y )) xy (~ P ( x ) Q ( y )) Prenex Conjunctive Normal Form q1x1 qn xn (C1 Cm ) qiはかであり、 x1, x2 ,, xnはすべて論理式に現れる変数 4 Prenex Conjunctive Normal Form Clause q1x1 qn xn (C1 Cm ) Prenex Matrix qiはかであり、 x1, x2 ,, xnはすべて論理式に現れる変数 イメージ: ∀x∃y∃z∀u... イメージ: (P(x)∨Q(y, f(z))) ∧P(u)∧(Q(x, u)∨P(z, f(f(y)))) 5 PCNFをSSFに 2. PCNFをさらにSkolem Standard Form (SSF) に変形する。 (注)この変形は真理値を保存しない ことに注意。 Skolem Standard Form Clause q1x1 qn xn (C1 Cm ) Prenex Matrix qiはだけであり、 x1, x2 ,, xnはすべて論理式に現れる変数 7 Prenex Conjunctive Normal Form Clause q1x1 qn xn (C1 Cm ) Prenex Matrix qiはだけであり、 x1, x2 ,, xnはすべて論理式に現れる変数 イメージ: ∀x∀u... イメージ: (P(x)∨Q(g(x), f(z))) ∧P(u)∧(Q(x, u)∨P(h(x), f(f(g(x))))) 8 PCNF => SSFへの書き換え • 限量記号(存在記号)∃を除去しなければなら ない。そのために、スコーレム定数やスコーレ ム関数を導入する。 • 例: xyP( x, y) xP( x, f ( x)) yxP( x, y) xP( x, a) 9 確認:大切な注意事項(その1) • 任意の論理式はPCNFに変形可能 • 任意のPCNFはSSFに変形可能 • 任意の論理式とそれから導かれるSSFとは 論理的に等価であるとは限らない(真理値は 必ずしも保存されない!)。 10 真理値が保存されない例 xP( x) P(a) 1.D {1,2} 2. a 2 D 3. I p (1) T and I p (2) F ; I {P(1)} 確認:大切な注意事項(その2) • BUT • 充足不可能な論理式は充足不可能なSSF に変形される。 • 元の論理式がモデルを持つための必要十 分条件は、SSFがモデルを持つことである。 (これは重要な定理の1つ) 12 定理 • 任意の論理式φに対して、そのSSFをψとする。 このとき、以下の関係が成り立つ。 Ψ |= φ つまり、 ・φはψの論理的帰結である。 ・ψが真となる解釈はどれも φを真とする解釈にになっている。 ・ψのモデルはφのモデルでもある。 定理 • 任意の論理式φに対して、そのSSFをψとする。 このとき、以下のことが成り立つ。 ・ψが充足不可能ならばφも充足不可能である。 ・ψがモデルを持たなければ φもモデルを持たない。 定理 • 任意の論理式φに対して、そのSSFをψとする。 このとき、以下のことが成り立つ。 ・ψが充足不可能ならばφも充足不可能であり、 かつ、その逆も成り立つ・。 ・ψがモデルを持たないことと、 φもモデルを持たないこととは等価である。 Herbrand Models(復習) • フランスの論理学者Jacques Herbrand が考 案したとある解釈(interpretation)のこと 。 この解釈を特に、Herbrand interpretation とよ び、この解釈に基づくモデルを Herbrand model と呼ぶ。 その実態は... 16 HMの構造をもう一度見てみよう! • • • • • Herbrand universe U Herbrand base B Herbrand pre-interpretation J Herbrand interpretation I Herbrand model M 以下、例で説明する。 17 HMの構造をもう一度見てみよう! • Herbrand universe U <= 解釈の領域 • Herbrand base B <= アトムの集合 • Herbrand pre-interpretation J <= 項と領域要素との対応を定義 • Herbrand interpretation I <= アトムの真理値を定義 • Herbrand model M 以下、例で説明する。 18 例: {P(a), Q(a, f (b)),x( P( x) Q( x, x))} まず、このような論理式 の集合を考える。 19 Herbrand Universe U {a, b, f (a), f (b), f ( f (a)), f ( f (b)),} 元の論理式に含まれていた定数と関数に着目し、 これからか得られるすべての項を集めたもの。 20 Herbrand Base B {P(a), P(b), Q(a, a),Q(b, b), P( f (a)), P( f (b)),} 元の論理式に含まれていた述語を、先ほどのUの 要素に適用して得られる述語すべてからなる集合。 21 Herbrand pre-interpretation • 解釈の領域D:Hebrand Universe U • 定数記号の解釈: 自分自身に対応させる。 • 関数記号の解釈:自分自身に対応させる。 22 Herbrand pre-interpretation • 解釈の領域D:Hebrand Universe U • 定数記号の解釈: 自分自身に対応させる。 • 関数記号の解釈:自分自身に対応させる。 ここがポイント! 23 Herbrand interpretation • Herbrand pre-interpretation に基づく Interpretation をHerbrand Interpretation (HI) と呼ぶ。 • なおHIの内、所与の論理式(群)を充足する ものを Herbrand Model (HM) と呼ぶ。 24 例: {P(a),Q(a, f (b)),x( P( x) Q( x, x))} • H Pre-I J: 1. 領域 U = Herbrand Universe 2. 定数記号 a in φ 個体 a ∈ U, 定数記号 b in φ 個体 b ∈ U. 3. 関数記号f in φ 関数f(t) ∈ U. 4. 真理値割り当て: • • • • I1 ={P(a), P(b), Q(a, b), Q(b,b) } I2 ={P(a), Q(a, a), Q(a, f(b)) } I3 ={P(f(f(a))), P(b), Q(a, a), Q(a, f(b)) } I4 ={P(a), P(b), Q(a, a), Q(b, b), Q(a, f(b)) } 注意事項 • HMの意義 1.Σがモデルを持つ ΣがHMを持つ。 2.Σ |= φ SはHMを持たない。 ただし、Sは Σ∪{~φ} のSSF。 述語論理における推論 • • • • Resolution 代入 論理プログラミング(Prologなど) 帰納論理プログラミング(Progolなど) =>知識分類・知識獲得・知識発見 以降は、Prologを使って説明します。
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