日本発達心理学会第25回大会 2014年3月22日 日本臨床発達心理士会シンポジウム 「保育を通しての家族支援」 大津市保健所健康推進課 発達相談員 松原巨子 人口34万人出生約3千人乳幼児人口2万2千人 障害・発達障害・要発達支援児の把握は0歳か ら6歳児の約5%(約1000人)3歳児から5歳児で は約8%(約800人)毎年障害・発達障害の新規 の発見と把握は約350人(療育・発達支援療育150 人、保障害認定60人、幼稚園支援90人、在宅50人) 1973年「保育元年」1974年乳幼児健診大津方 式 1975年障害乳幼児対策大津方式 以降 常勤の小児科医1名・発達相談員12名(健康推 進課6療育4保育課2)の相談支援体制 大津市全体のデータと情報共有、処遇方針検 討の関係機関担当者による定期的会議(スタッ フ会議) 保 健 分 野 乳幼児健診・発達相談事業(障害の早期発見と早期対応) 「療育前早期対応親子教室」1,2歳児障害児への早期対応 北部(わくわく教室)中部(やまびこ教室)東部(のびのび教室) 保育園 0~5歳児 障害児保育 巡回相談 発達相談員正規2名嘱託1 名 子どもの発達保障のため の保育園入園 就労・保護者の病気・家庭 支援(虐待)等による保育 園入園 (療育に通えない家庭) 障害児療育 児童発達支援センター 0~3歳児(障害児・発達障 害児・4,5歳の医療的ケア 必要児)早期療育 北部子ども療育センター (わくわく教室) 発達相談員1名 やまびこ園・教室 発達相談員1名 東部子ども療育センター (のびのび教室・のびのび ランド*) 発達相談員1名 (*発達支援療育事業) 要配慮児 保育園への保育観察 健康推進課の発達相談 就 (学区担当保健師・小児科医1発達相談員4・嘱託2) 在宅児への育児や発達の相談や医療相談 保育園・幼稚園への発達相談や医療相談 発達外来への紹介 子育て総合支援センター 1歳前半児 2歳児(要発達支援児) 発達支援療育事業 発達支援療育事業育ち合い3広場 (ゆめそだち) 木 (親子教室) 戸・浜大津・瀬田 (りんごっこ・ぷちトマト・きりんくらぶ) 2~3歳児(要発達支援児) 早期療育 発達支援療育事業 ぱるランド *(2、3歳児への療育通所) 発達相談員1名 幼稚園 公立 4~5歳児 国立 3~5歳児 私立 2~5歳児 障害児・・・加配対応・観察訪問・療育相談員の 発達相談 要配慮児・・・特別支援教育巡回相談・健康推進 課発達相談 学 ★発達相 談員や保 健師から 小児科医 師の発達 外来をす すめ、希望 者に診断 を行う。 ★ペアレン トレーニン グ紹介(就 学後も可) 350 300 250 200 150 100 50 0 0歳児 在宅 0歳 7人 0.2% 1歳児 療育 発達支援 1歳 47人 1.5% 2歳児 保育園 2歳 238人 7.5% 3歳児 公立幼 3歳 298人 9.3% 4歳児 私立幼 無認可保育園 4歳 276人 8.6% 5歳児 他 5歳 232人 7.0% 保育園では、障害児保育制度(対象は障害児・発達上 の支援を必要としている児)公立民間同じ体制。 保護者の同意のもとに、重度1対1、中軽度3対1の加 配保育士の配置と保育課巡回相談による発達と保育 への相談体制(同意を得るのは健康推進課の役割) 保育園での要配慮児については、保育課の保育観察と 園への保育助言 幼稚園では、教育委員会の実施する就園相談会で特 別支援加配教諭の配置。(発達相談は健康推進課等の 発達相談員) 幼稚園での要配慮児については、特別支援巡回相談 にて園への保育助言、必要に応じ保護者への相談。 各健診で、保健師・小児科医師・発達相談員・栄養士・ 歯科衛生士の専門職種による相談体制(常勤職員) 地域別「すこやか相談所」7箇所の存在、身近なところ で学区担当保健師の訪問や来所による相談体制 新生児訪問・ハイリスク訪問。早期から学区担当の保 健師が関わり、育児相談の窓口としての機能 健診後のフォローの発達相談事業(正規4嘱託2)は、 保健師とペアで、すこやか相談所に来所・家庭訪問・保 育園で発達相談を実施。ペアの役割分担を大切に。 保育園での発達相談は「子どもへのより良い関わりの ために」保育園からの「障害認定」要望と、保護者の障 害受容の葛藤のはざまで、子どもを真ん中に、どう育っ てほしいか、という内容での合意作りを大切に 乳幼児健診から継続した発達相談や育児相談の体制 療育や障害児保育は「障害がある」と自覚されにくい 1、2歳という低年齢の利用も進めており、利用の迷い は当然ある。発達相談員と保健師のペアによる支援体 制で、保護者のゆらぎを受け止め、選択肢の提案をし て、支援をうける一歩を踏み出すことを支える。 発達障害は、保護者に育てにくさの自覚はあっても障 害とわかりにくい。利用しやすい「子育て支援施策」とし て市独自の「発達支援療育事業」を実施している。 保育園幼稚園の入園後に発達相談につながる場合も 多い。保育園での育ちを確認する中で、さらにより良い 支援を行うために、という点で認定の必要性へ。 発達相談は、保護者の主訴から始まる。あくまで、 どう子どもを支援するか、という前向きの提案を通じ て、保護者との合意づくりをすすめる。 保護者に主訴のない場合も多い。子どもに、困り感 がないかどうか、子どもの今の発達と生活実態か ら、丁寧な相談を通じて、子どもの実態についての 共有をすすめ、保護者の心情に合わせて、療育や 発達支援療育・障害児保育等の選択肢を提案して いる。 診断については、保護者にとっての必要性が高まっ た時期をみて、おおむね就学前をめどに、常勤小児 科医師による発達外来を実施している。 以上の体制を乳幼児健診担当の当課のみで担うのには 限界があり、その支援も就学前で途切れている現状。 学齢期への支援は、発達相談を経て、就学相談会を受け るよう勧め、就学先の助言をしたり、通常学級への入学 児に対し、保護者と学校にわたす就学送り状の提出まで 就学前の把握と支援を就学後の支援につなぐために。 平成27年2月「仮称子ども発達相談センター」の設立へ 保育園・幼稚園・学校との連携を進め、発達障害の発見 から支援への窓口の一本化へ 保護者の親の会やぴあグループへの支援の発展 発達障害児の保護者支援プログラムの充実 大下彩子 2014 「保護者の思いに寄り添い、家族としての決断や選択 を待つー保健師として心がけていることー」 2014年1月発行 雑誌「発達」137号 特集‘‘発達障害’’ を問い直す 平成24年度版 大津市保健所事業年報
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