公共経済学 (第2講 生産者の行動1) 今日の講義の目的 (1)費用関数、限界費用、平均費用という概念 を理解する (2)利潤最大化条件を理解する (3)供給曲線という概念を理解する 公共経済学 第2講 1 費用関数(Cost function) 費用関数:生産量と生産費用の関係を表したもの 例 生産量 費用 生産量 費用 0 0 5 1000 1 100 6 1350 2 250 7 1750 3 450 8 2200 4 700 9 2700 公共経済学 第2講 2 限界費用(marginal cost) 限界費用:生産量を1単位増やしたときに余分にか かる費用 生産量(Y) 費用(C) 限界費用(MC) 0 0 1 100 100 2 250 150 3 450 4 700 公共経済学 第2講 3 限界費用が逓増する理由 ・生産を増やす際にその生産に適した土地から使って いく→生産を増やすにつれてより不適当な土地を使 わざるを得なくなり、費用がかさむ ・生産を増やす際にその生産に慣れた人から雇ってい く→生産を増やすにつれてより不慣れな人も使わざ るを得なくなる ・生産を増やすために稼働率を限界に近づけていくと メンテナンス費用がかさむ 公共経済学 第2講 4 限界費用曲線 MC 350 300 250 200 150 100 0 公共経済学 第2講 1 2 3 4 5 6 Y 5 利潤最大化 企業は利潤を最大化すると仮定 利潤=収入ー費用 収入=価格*生産量 価格受容者:価格を与えられたものとして行動する経済 主体=自分の行動(生産量)と価格が無関係であると 思っている経済主体、自分が生産量を増やしても価格 が下落しないと思っている経済主体 公共経済学 第2講 6 利潤最大化 P(価格)=160とする Y C MC 利潤 0 0 0 1 100 100 60 2 250 150 3 450 200 4 700 250 公共経済学 第2講 Y 5 6 7 8 9 C 1000 1350 1750 2200 2700 MC 利潤 300 350 400 450 500 7 利潤最大化条件 P>MC →増産すると利潤が増える P<MC →増産すると利潤が減る P>MCである限り生産量を増やしていき、P<MCと なる直前で増産をストップする ⇒利潤が最大化される 公共経済学 第2講 8 利潤最大化 P(価格)=210とする Y C MC 0 0 1 100 100 2 250 150 3 450 200 4 700 250 公共経済学 第2講 Y 5 6 7 8 9 C 1000 1350 1750 2200 2700 MC 300 350 400 450 500 9 利潤最大化 P(価格)=280とする Y C MC 0 0 1 100 100 2 250 150 3 450 200 4 700 250 公共経済学 第2講 Y 5 6 7 8 9 C 1000 1350 1750 2200 2700 MC 300 350 400 450 500 10 利潤最大化 P(価格)=330とする Y C MC 0 0 1 100 100 2 250 150 3 450 200 4 700 250 公共経済学 第2講 Y 5 6 7 8 9 C 1000 1350 1750 2200 2700 MC 300 350 400 450 500 11 個別供給曲線 個別供給関数:価格が与えられた時、その価格と、そ の価格の下でその企業が選択する(企業の利潤を 最大化する)生産量を対応させる関数 個別供給曲線:個別供給関数をグラフに表したもの 公共経済学 第2講 12 個別供給曲線の導出 Y 0 1 2 3 4 P C MC 0 100 100 250 150 450 200 700 250 0~100 →0 100~150 → 150~200 → 公共経済学 第2講 Y C MC 5 1000 300 6 1350 350 7 1750 400 8 2200 450 9 2700 500 200~250→ 250~300→ 300~350→ 13 個別供給曲線 P 350 300 250 200 150 100 0 公共経済学 第2講 1 2 3 4 5 6 Y 14 限界費用曲線 MC 350 300 250 200 150 100 0 1 公共経済学 第2講 2 3 4 5 6 Y 15 MC 0 公共経済学 第2講 限界費用曲線 Y 16 個別供給曲線 P P1 0 Y 公共経済学 第2講 17 MC 限界費用曲線 MC2 MC1 0 Y1 公共経済学 第2講 Y2 Y 18 個別供給曲線 P P1 P2 0 公共経済学 第2講 Y2 Y1 Y 19 平均費用(average cost) 平均費用:費用を生産量で割ったもの。生産量1単位あ たりの費用 生産量(Y) 費用(C) 限界費用(MC) 平均費用(AC) 0 0 1 100 100 100 2 250 150 125 3 450 200 4 700 250 公共経済学 第2講 20 平均費用 Y 0 1 2 3 4 C 0 100 250 450 700 MC AC 100 100 150 125 200 250 公共経済学 第2講 Y 5 6 7 8 9 C 1000 1350 1750 2200 2700 MC 300 350 400 450 500 AC 21 平均費用 平均費用が生産量の増加に伴って増加していくのは現実 的か? 量産効果が働いて平均費用がある程度は下がっていくと いう産業は多い。 たとえば、生産に伴ってset-upの費用(初期費用)がか かったりすると、生産量が少ないと費用が高くなる。 公共経済学 第2講 22 平均費用と限界費用の関係 AC>MC→生産量の増加に伴ってACが減少する AC<MC→生産量の増加に伴ってACが増加する 公共経済学 第2講 23 U字型平均費用曲線 AC P* AC 0 公共経済学 第2講 Y 24 限界費用と平均費用曲線の関係 MC AC MC AC 0 公共経済学 第2講 Y 25 平均費用と限界費用の関係 AC>MC→生産量の増加に伴ってACが減少する ⇒AC曲線がMC曲線より上にある( AC>MC)ときには AC曲線は右下がり AC<MC→生産量の増加に伴ってACが増加する ⇒AC曲線がMC曲線より下にある( AC<MC)ときには AC曲線は右上がり AC=MCの時AC曲線は右上がりでも右下がりでもない (ちょうどこれが切り替わる)AC曲線の底になる ~ACの最小値でAC=MCが成り立つ ~ACが最小値を取るときAC曲線とMC曲線が交わる 公共経済学 第2講 26 個別供給関数 ACの最小値をP*とする。 P<P*⇒生産をすると必ず赤字になる。生産しなければ 利潤ゼロ。 ⇒利潤を最大化する生産量はゼロ ⇒生産を停止するのが最適 収入=P・Y 費用=平均費用・Y≧P*・Y 利潤=P・Yー費用≦(P-P*)・Y≦0 公共経済学 第2講 27 個別供給関数 P>P*⇒生産量ゼロなら利潤ゼロ。正の利潤を稼ぐ機会 はある。 ⇒利潤を最大化する生産量は正。 ではどの生産量で利潤が最大化されるか? P>MCである限り増産し、P=MCとなるところで止め る。 ⇒MC曲線上で決まる。 公共経済学 第2講 28 MC AC P P* 0 公共経済学 第2講 個別供給曲線 MC AC Y 29 ポイント ・個別供給曲線は平均費用の最小値と限界費用曲線 がわかれば描くことができる。 ・ACの最小値P*より価格が低ければ生産しない ~P*をこれ以上価格が上がれば利潤が出るという意 味で損益分岐価格、これ以上価格が下がると生産を 停止するという意味で生産停止価格という。 ・価格がP*を超えていれば企業はP=MCとなる所 まで生産する。 公共経済学 第2講 30
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