中級日本語 第 10 課 天気のことわざを考える 吉林華橋外国語学院 日本語学部 製作 第10課 形式段落 第1段落 (話題提示) ラジオやテレビで報道される天気予報は、たくさんの観測資料に基 づいて、専門家が天気の変化を予測したものである。 第2段落 (話題の展開) 昔の人々は、空や風の様子などから天気の変化を前もって知ろうと した。そして、それらの知識はことわざになった。 第3段落 (ことわざの例の紹介) たとえば「夕焼けは晴れ」ということわざがある。 第10課 形式段落 第4段落 (ことわざの説明) 夕方になると、太陽の光線は斜めに差し込んでくる。そのため、空気 中を通る距離が昼間より長くなる。 第5段落 (ことわざの説明) 斜めに差し込む光線のうち、青・藍・紫などの色の光線はこちらまで ほとんど届かないが、赤・橙は届く。だから、空の赤くなる夕焼けは、 西の空が晴れている証拠なのである。 第6段落 (ことわざの説明) 日本の上空には西風が吹いていて、低気圧や高気圧も西から東へ と移動する。そのため、天気も西から東へと動く。 第10課 形式段落 第7段落 (説明のまとめ) 「夕焼けは晴れ」ということわざは、理屈の成り立つことが多い。 第8段落 (まとめ) 自然をよく観察して作られたことわざの中には、気象学的に説明の つくものがわりに多い。 第10課 意味段落 1段落 話題提示 天気予報 2、3段落 例の紹介 天気とことわざ 4-7段落 例の説明 「夕焼けは晴れ」の 気象学的説明 ことわざと気象学 8段落 まとめ 第10課 ① ラジオやテレビで報道される天気予報は、たくさんの観 測資料に基づいて、専門化が天気の変化を予測したもの である。私たちは、この天気予報によって、翌日の計画を 立てたり、持ち物を用意したりしている。 第10課 ② 昔の人々は、空や風の様子などから天気の変化を前 もって知ろうとした。そして、これらの知識は、整理され、 まとめられて、ことわざという形で今日まで伝えられてい る。私たちは、こういうことわざがよく当たることを経験し ている。また、ことわざに関してはそれぞれ理屈に合った 説明も考えられている。 第10課 ③ 例えば、「夕焼けは晴れ」ということわざがあるが、夕 方、西の空が赤く染まっていると、その翌日は晴天の 日が多いようである。このことわざを気象学的にやや 詳しく見てみよう。 第10課 ④ 夕方になると、太陽は西の地平線に近づき、やがてそ のかなたに沈み、隠れてしまう。そして、光線は、地球を 覆っている空気の層の中に、斜めに差し込んでくる。だか ら、空気中を通る距離が、昼間よりずっと長くなる。 第10課 ⑤ この斜めに差し込む光線のうち、青・藍・紫などの色の 光線は、空気の分子などにぶつかると、四方八方に散ら ばる性質があるから、こちらまではほとんど届かない。し かし、赤・橙などの光は、まっすぐに進んできて、空を一 面に赤く染める。だから、夕焼けは、西の方の空が、かな り広い範囲にわたって、よく晴れている証拠なのである。 第10課 ⑥ では、西の空が晴れていれば、なぜ、次の日は快晴な のであろうか。日本の上空にはたいてい西風が流れてい る。天気の変化の原因である低気圧や高気圧も、この上 空の西風に流され、西から東へと移動することが多い。し たがって、天気も西から東へと動くわけである。 第10課 ⑦ ここまでくると、なぜ、「夕焼けは晴れ」が事実を言い表 している場合が多いかがわかる。 つまり、 ①夕焼けの時は、西の空の向こうが晴れている。 ②天気は、西から東へと移ってくる。 ③西のほうの晴天が移ってくるから、明日は晴れ。 という理屈の成り立つことが多いからである。 第10課 ⑧ 昔の人は、夕焼けが起こる理由を知って、このことわざ を作ったわけではないだろう。しかし、自然をよく観察して 作られたことわざの中には、気象学的に説明のつくもの が割りに多いのである。
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