末梢神経ブロックの ススメ

超音波ガイド下
傍脊椎神経ブロック
傍脊椎神経ブロックとは
• 片側の脊髄神経と交感神経を遮断することを
目的とするブロック
• 適応症
乳腺手術や開胸手術や肋骨骨折、
帯状疱疹痛など
• 乳がん術後鎮痛に用いることにより、がんの
再発率、転移が低下するという報告もある
Anesthesiology 2006;105;660-4
他の神経ブロックとの違い
• 肋間神経ブロックは1皮膚分節のみのブロッ
クとなる
⇒傍脊椎神経ブロックは上下に広がるため多
分節にブロックできる
• 硬膜外ブロックでは運動神経ブロック(呼吸,
尿閉)が時として問題になる.またワンショット
での効果時間が短い
⇒傍脊椎神経ブロックでは運動神経ブロックが
問題になることは少ない.ワンショット時も硬
膜外ブロックよりも長時間持続する
解剖
• 傍脊椎腔は
前面‥‥壁側胸膜
後面‥‥内肋間膜,上肋横突靭帯
内側面‥椎体,椎間板,椎間孔
外側面‥後肋間膜
からなる.
肋間神経,脊髄神経後枝
灰白交通枝,白交通枝
交感神経鎖
が含まれる.
手技
• 交差法 と 平行法
目標となる傍脊椎腔は深部ブロックであり、
胸膜穿刺(深すぎ)では気胸が発生するため
針先が追いにくい交差法は難易度が高い
• 傍脊椎アプローチ と 肋間アプローチ
プローベを脊柱と平行に当てる傍脊椎アプ
ローチと肋骨に水平となるように当てるのが
肋間アプローチ
⇒刺入する針の角度が比較的浅い(エコーで針
が見やすい)のが肋間アプローチ
平行法 肋間アプローチ
TP:横突起 LDM:広背筋
矢印(IIM):内肋間膜
PVS:傍脊椎腔
局所麻酔薬
局所麻酔薬
発現時間(分)
麻酔持続時間(時間)
鎮痛持続時間(時間)
2%リドカイン
10~15
2~3
3~4
1.5%メピバカイン
10~20
2~3
3~4
0.5%ロピバカイン
15~25
3~5
8~12
0.75%ロピバカイン
10~15
4~6
12~18
• 1か所穿刺でも3~5椎体分の広がりが期待
できる.(広がりにくい場合は2か所で穿刺す
る場合もある) Anaesthesia 2003;58:684-711
• 手術では0.375%か0.75%ロピバカインを
15~20mlを投与する
• 他のブロックよりも血中濃度が上昇しやすい
ことに留意する
合併症
• 硬膜外・クモ膜下麻酔
針先が内側に行き過ぎてしまった場合起こる
可能性がある.特にクモ膜腔に注入した場合
は全脊麻や神経損傷を生ずることがある.
⇒肋間アプローチでは針が横突起の下まで進
むと針先が見えなくなる.そこまで進めない
• 血管損傷(血腫形成)
硬膜外ブロックと比較すると血腫による神経
障害の危険性が小さいが、肋間動静脈を避
けるべく、プローベの位置を調節する
• 気胸
最後に
• エコー下神経ブロック、はいきなり始めると
難しいかも しれません。
• エコーの画面上に針が出せるような練習を常
にしておきましょう。