心理学Ⅰ 5月30日 感覚と知覚③: 色々な視覚トリック 奥行き手がかりを利用した 視覚トリック ステレオグラム (両眼視差の利用) エイムズの部屋 (奥行き手がかり、大きさの恒常性の利用) ステレオグラム 両眼視差を人工的に生じさせるような特殊 な見方をすれば、図形が浮かび上がって 見えるように描かれたもの 左側には、現実の立体を見たときに左眼 の網膜に映る図形が、 右側には、現実の立体を見たときに右眼 の網膜に映る図形が、描かれている ※実は左側に右眼網膜像、右側に左眼網膜像でもよい 私たちが普通にものを見ているときは、両 目で同じところを注視している それをやめて、右眼は右図形を、左眼は 左図形を注視しているような両眼状態に (あるいはその逆に)してみると、図形が浮 かび上がる ステレオグラムの見方 交差法・・・寄り目 平行法・・・遠くを見る目 どっちの方法で見ても、視界には3つの図 形が浮かぶようになるが、その真ん中の 図形がはっきり見えるように頑張ってみる と、その真ん中の図形が立体的に見える (どうしてもできない人でも、専用の道具を使えば見れます) エイムズの部屋 奥行きの手がかりを逆手にとって、奥行き 判断を誤らせるように作ってある部屋 普通の四角い部屋に見えるが、実際はゆ がんだ部屋 遠くのものほど大きく、近くのものほど小さ く描かれている 普通の四角い部屋を見たときと同じ網膜 像になる 左側の人物は実際には遠くにいるから小 さく見えているだけなのだが、 奥行き判断が狂わされているため、その人 が遠くにいるということが分からない ↓ そのため、ただ小さいだけの人、という風 に見えてしまう 錯視、多義図形、残像 錯視図形 幾何学的錯視とも呼ばれる (1)長さ・大きさが実際と違って見えたり、線 が曲がって見えたりするもの (2)輪郭線がないのに「形」が見えるもの ・・・etc. 色を使った錯視 Adelsonのチェッカーシャドー錯視 Purvesのキューブ錯視 同じ灰色(や茶色)なのに、置かれている 場所によって違う色に見える 錯視の特徴 1.自動性 ・・・自分の意志とは無関係に起きる。分 かっていても見え方を変えられない。 2.一般性 ・・・誰に見せてもたいてい錯視が生じる。 (どれくらい強烈に見えるかは個人差あり) 錯視研究の意義 1. 人間がものを見るしくみがどうなっている か、についてヒントを与える 例 ミュラー・リヤー錯視、ポンゾ錯視 ・・・反論はあるが、奥行き説 カニッツァの三角形 ・・・知覚の「補完」であるという説が人気 (輪郭が完全でなくても、そこに「モノを見 る」ことができる) 北岡明佳「蛇の回転」 ・・・周辺視における動きの検出機構? チェッカーシャドー錯視とキューブ錯視 ・・・灰色と茶色の謎を解く手がかり? 錯視は「間違い」か? 錯視は、 人間の目に見える世界と、 物理的測定によって知られる世界とが、 違っている、ということを示すもの 「物理的測定によって知られる世界こそが唯一 無二の真実」と考えるならば、たしかに錯視は誤 りと言える しかし、目で見た場合と物理的測定で見た場合 とで、世界の現れ方が違っているだけ、と考える こともできる どちらの考え方をとるかは、人それぞれ 図地反転図形 多義図形 同じ絵なのに、二通りの見方で見える 1. 一方の見え方で見えているときは、もう 一方の見え方では見えない 2. 地になった部分は、図になった部分の背 後にも連続して広がっているように「見え る」 図地反転図形、多義図形 の意義 1.物理的刺激と「そこに私たちが見るもの」 との対応は、必ずしも一対一対応ではな いことを示す 物理的な世界では、ひとつの物理的配置 はひとつの物理的内容しか持たない。 しかし生物は、そこに幾通りもの「意味」 を見出すことがある。 意味とは何か?という哲学的問題を喚起 2.どちらか一方の見方でしか見えない。両 者の中間という見方は普通はできない。 →極小の物理的世界に見られる二状態系、 ないしN状態系に似ている →意識の量子力学的性質を示唆?? 残像 「補色残像」 残像を利用した視覚トリック 補色 補色・・・色相環の上で、反対側にある色 どういうわけか、次の性質をもつ 補色同士を混ぜ合わせると灰色になる 一方の色をずっと見続けていると、その 残像には、それと補色関係にあたる色が ついている
© Copyright 2024 ExpyDoc