確率と統計 平成19年11月22日 (徐々に統計へと進みます) 今日の内容 1. 確率変数と期待値 2. 母集団と標本 3. パラメータと統計値 (μとm、およびσ2とs2) 4. 標本平均とその分散 確率変数と期待値 • 確率変数とは: – 無作為行為により定義される(得られる)値を とる変数のこと。 – 例: • サイコロ投げでの出る目 • コイン投げでの裏表 • 箱から取り出される球の色 などの値をとる変数 確率変数の例 • サイコロ投げ – 出る目: 1, 2, 3, 4, 5, 6 (確率変数Xのとる値) • このように無作為行為により与えられる値をとる 変数(これをXとする)を、確率変数という。 • 「確率変数Xは1, 2, 3, 4, 5, 6の値をとり、Xが それぞれの値をとる確率は、1/6である。」などと いい、例えば P( X = 1 ) = 1/6 あるいは、P{ X = 1 } = 1/6 のように書く。 確率変数の例 (サイコロ投げ) • 出る目: 確率変数X • Xの値: 1, 2, 3, 4, 5, 6 • P(X): X 1 P(X) 1/6 2 3 4 5 6 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 確率変数の例 (コイン投げ) • 結果: 確率変数X • Xの値: H(表、Head), T(裏、Tail) • P(X): X H P(X) 1/2 T 1/2 確率変数の例 (球の取り出し) • 出る球: 確率変数X • Xの値: 赤、青、黒 • P(X): X 赤 P(X) 1/5 青 黒 3/5 1/5 ? 確率変数と期待値 • 期待値とは: – 確率変数のとる値の平均値 – E(X)などと書く。 • 数学的定義: – 確率変数Xの取りうる値をxi(i=1,2,…,n)、 各xiの生起確率をP(xi)とするとき、 – E(X) = x1・ P(x1) +x2・ P(x2) +x3・ P(x3) + … +xn・ P(xn) 確率変数と期待値 • 例:サイコロ投げ • 出る目X(これは確率変数)の期待値は、... (各自考えてみてください) 期待値の例 (サイコロ投げ) • 出る目: 確率変数X • Xの値: 1, 2, 3, 4, 5, 6 • P(X): X 1 P(X) 1/6 2 3 4 5 6 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 • 期待値E(X) = 1*(1/6) + 2*(1/6) + … + 6*(1/6) = (1 + 2 + … + 6)/6 = 21/6 = 3.5 確率変数の例 (コイン投げ) • 結果: 確率変数X • Xの値: H(表、Head), T(裏、Tail) • P(X): X H P(X) 1/2 T 1/2 • 期待値E(X)=H*(1/2) + T*(1/2) <- non-sense! さて、… “確率”というものを前提として、これから統 計の話に入ります。 母集団と標本 • 母集団とは: – 一般に、研究や調査の対象となっている集団 のこと。 • 標本とは: – 母集団を代表する一部分として実際に観察さ れている集団のこと。 – 通常、母集団を対象とする実験や調査により 得られる。 母集団と標本 母平均:μ 母分散:σ2 母集団 無作為 抽出 標本平均:m 標本分散:s2 標本 パラメータと統計値 • パラメータ(母数): – 母集団の特徴を表わす数値 – μ(母平均)やσ2(母分散)など • 統計値(統計量): – 標本の特徴を表わす数値(データから算出) – m(標本平均)やs2 (標本分散)など パラメータと統計値 μとmの関係 σ2とs2の関係 を調べてみよう。 定義の確認 • 平均 = (データの合計)÷(データの個数) = ( x 1 + x2 + x 3 + … + xn ) / n • 分散 = (偏差の自乗)÷(データの個数 - 1) = {(x1 – m)2 + (x2 – m)2 + … + (xn – m)2 } / (n – 1) この式を利用する。 母集団と標本 標本平均:m 標本分散:s2 母平均:μ 母分散:σ2 無作為抽出 5 1 2 4 1 3 4 3 標本 (標本の大きさn=3) 母集団 (母集団の大きさN=5) 母集団の分析 • 母集団 : {1, 2, 3, 4, 5} (大きさN=5) – μ = (1 + 2 + 3 + 4 + 5) / 5 = 3 – σ2 = {(1-3)2 + (2-3) 2 + (3-3) 2 + (4-3) 2 + (5-3) 2 } / (5-1) = (4 + 1 + 0 + 1 + 4) / 4 = 2.5 標本の分析(n=5) • 標本 : {1, 2, 3, 4, 5} (大きさn=5) – m = (1 + 2 + 3 + 4 + 5) / 5 = 3 – s2 = {(1-3)2 + (2-3) 2 + (3-3) 2 + (4-3) 2 + (5-3) 2 } / (5-1) = (4 + 1 + 0 + 1 + 4) / 4 = 2.5 m=μ=3 s 2 = σ2 = 2.5 (当たり前!) 全数調査だから 標本の分析(n=4) • • • • • 標本1: {1, 2, 3, 4} 標本2: {1, 2, 3, 5} 標本3: {1, 2, 4, 5} 標本4: {1, 3, 4, 5} 標本5: {2, 3, 4, 5} m = 5/2, m = 11/4, m = 3, m = 13/4, m = 7/2, s2 = 5/3 s2 = 35/12 s2 = 10/3 s2 = 35/12 s2 = 5/3 mの平均 = (5/2+11/4+3+13/4 +7/2)/5 = 3 = μ s 2の平均 = (5/3+35/12+10/3+35/12+5/3)/5 = 2.5 =σ2 (ぴったり一致!スゴイ) 標本の分析(n=3,2,1) • n=3 標本1: {1, 2, 3} 標本2: {1, 2, 4} 標本3: {1, 2, 5} 標本4: {1, 3, 4} 標本5: {1, 3, 5} 標本6: {1, 4, 5} 標本7: {2, 3, 4} 標本8: {2, 3, 5} 標本9: {2, 4, 5} 標本10: {3, 4, 5} n=2 n=1 標本1: {1, 2} 標本2: {1, 3} 標本3: {1, 4} 標本4: {1, 5} 標本5: {2, 3} 標本6: {2, 4} 標本7: {2, 5} 標本8: {3, 4} 標本9: {3, 5} 標本10: {4, 5} 標本1: 標本1: 標本1: 標本1: 標本1: {1} {2} {3} {4} {5} 各自でそれ ぞれのmとs2 を 計算して みよう! 是非計算してみてみよう! • (手を動かして、汗して学んだものはよく身 につきます。) 練習問題(宿題) 問題 母集団 {1, 2, 3, 4, 5} (大きさN=5)に 対して、大きさn=3の標本を作るとき、以下の 問(1)~(4)に答えよ。 (1)n=3のときの標本をすべて列挙せよ。 (2)これらの各標本の平均をそれぞれ求めよ。 (3)「上記(2)で求めた平均」の平均を求めよ。 (4)上記(3)で求めた平均と母平均を比べよ。 母平均 標本平均の平均 E(m) =μ 標本平均 証明して みよう! 発展問題 標本平均mの性質(重要) 大きさnの標本から求めた標本平均mの 平均(期待値)と分散は、次の性質を持つ。 • E(m) =μ (標本平均mの期待値は、母平均μと等しい。) • V(m) = σ2/n (標本平均mの分散は、母分散σ2の1/n。) 標本分散s2の性質(重要) 大きさnの標本から求めた標本分散s2の 平均は、次の性質を持つ。 • E(s2) =σ2 (標本分散s2の期待値は、母分散σ2と等しい。) (注) E(s) =!=σ 確認 • • • • E(m)=μ V(m) = σ2/n E(s2)=σ2 E(s) =!= σ レポート課題(1/2) 課題1 母集団:{1, 2, 3, 4, 5, 6}に対し、 n=3の標本を作るとする。このとき、 E(m)=μ, E(s2)=σ2 であることを確かめよ。 レポート課題(2/2) 1. 課題: 前記の課題1を行いなさい。 2. 提出日:平成19年11月29日(木) 授業時間中 3. 提出形式:A4レポート用紙(表紙をつけ ること)。手書きでもOK. 「確かめました」等だけのものは 不可とします。 予告 順次推定と検定へと話を すすみましょう。お楽しみに! 途中で、確率分布 の話 も入ります。予習しておく といいかも…
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