介護職のための認知症ケア (新人~2年) ○○事業所 平成27年○月○日 講師:○○○○ ■認知症とは 「認知症」とは老いに伴う病気の一つです。さま ざまな原因で脳の細胞が死ぬ、または働きが 悪くなることによって、記憶・判断力の障害など が起こり、意識障害はないものの社会生活や 対人関係に支障が出ている状態(およそ6カ月 以上継続)を言います。 利用者を知ることは職務です。 ■中核症状 脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状 記憶障害 短期記憶(新しいことを覚えておくこと)が失われていきます。 比較的、長期記憶(昔のこと、以前のこと)は保たれます。 見当識障害 年月日や季節、曜日、時刻、自分がいる場所、人と自分の 関係などが分からなくなる症状です。 理解・判断力の障害 物事を適切に理解し、判断することが難しくなります。 実行機能障害 日常生活の中で、目標を決めて計画的に何かを行うことが できなくなります。例えば、買い物をして料理をする、衣類に 合わせて洗濯するなどの家事や仕事にかかわることです。 感情表現の変化 その場の状況がうまく認識できなくなったり、表現の仕方が 分からなくなり、周りの人が予測しない、思いがけない感情 の反応を示すようになります。 ■心理・行動症状(BPSD) 脳の病変が直接の原因ではなく、 いろいろな中核症状が原因で起こる症状。 猜疑心・妄想・不安・不穏・興奮・暴力・徘徊・ 帰宅欲求・幻覚・不眠・異食・抑うつ・拒否など。 心理的ストレスは大きな影響を与えるので、 介護者の対応は重要です。 ■ワーク① 軽度認知症のAさんは、毎朝、 「出勤したいがメガネが見当たらない」と、 スタッフに声をかけられます。 しかし、Aさんはメガネをかけておらず、 仕事も定年退職されています。 さて、あなたはどのような 声かけをしますか? ■ワーク② 認知症のBさんは、見当識障害が 目立ちます。孫が面会に来られましたが、 「久しぶりで覚えているか心配」と、 言われています。あなたは、 孫をBさんの居室へ案内します。 さて、Bさんにどのような 声かけをしますか? ■ワーク③ 軽度認知症のCさんは、 夕方になり、あたりが暗くなると、 荷物をまとめて「外に出たい」と スタッフに言われますが、実際は今すぐ 出ることはできません。 さて、あなたは、Cさんに どのような声かけをしますか? ■認知症の方への基本態度① ◇今を大切にします。 ・発言や行動には、理由があります。 ・感情に寄り添い、働きかけます。 まずは、受容。 しっかりと傾聴していきましょう。 ■認知症の方への基本態度② ◇馴染みの関係を大切にします。 ・人、物、習慣、場所を理解します。 「認知症が進行して、 馴染みのものが分からない?」 私たちが、馴染みの人になればいいのです。 ■3つの安のために 安心 笑顔 安全 安楽 私たちの心身の健康を保ち、チームケアを行うことが、 利用者の安心・安全・安楽につながっています。 介護職のための認知症ケア (3年目~) ○○事業所 平成27年○月○日 講師:○○○○ ■個別化(個別ケア) パーソン・ センタード・ケア ・3つの安 ・自分らしさ 傾聴 (基本態度) ☆前半参照 疾患の理解 ■パーソンセンタードケア イギリスの臨床心理学者トム・キットウッドが、 提唱した「その人らしさ」を中心とした介護。 主語は利用者 ■傾聴とは ◇経験 ◇考え方 ◇行動 ◇感情 これらを総合的にとらえ、 相手を感じ取ること。 ■疾患の理解 アルツハイマー型 認知症 (脳)血管性 レビー小体型 認知症 認知症 前頭・側頭型 認知症 (ピック病) 軽度認知障害 (MCI) 他にもいろいろな種類があります。 ■認知症の疾患別特徴 疾患名 アルツハイマー型認知症 脳の全体的な萎縮による認知症。初期には、記憶障害、 見当識障害が出現し、ゆるやかに進行する。最も多い認 知症で女性に多い。 (脳)血管性認知症 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)の後遺症として出現 する。片麻痺や言語障害を伴うことが多い。症状は階段 的に進行し、男性に多い。 レビー小体型認知症 レビー小体という特殊な構造物が大脳の神経細胞を障 害することにより発症する。パーキンソン症状(安静時振 戦、筋固縮、動作緩慢など)幻視、日内変動が特徴。転 倒に注意が必要。 前頭・側頭型認知症(ピック病) 脳の前頭葉から側頭葉にかけて萎縮し発症する。初老 期に好発し、性格変化や常同行動が特徴。万引きなど の社会的逸脱行動も認めることがある。 軽度認知障害(MCI) 認知症と同じような症状のようだが、物忘れは目立つも のの、会話は普通にできて日常生活には支障がなく、認 知症の場合とは異なる。 ■認知症の方の健康管理① ①食事量・水分量の確保 食べやすさ、飲みやすさに配慮する。 食事行為そのものに疲労感を与えない。 ②排泄コントロール ペースや排泄サインを知り、適切な方法で 快適さを心がける。 ■認知症の方の健康管理② ③睡眠時間の確保 入眠障害、中途覚醒など特徴をとらえる。 日中の行動を活性し、昼夜逆転を予防する。 ④処方薬の管理 適切な時間と方法で内服する。 拒否がある場合は医療職へ相談する。 ■ワーク① 軽度認知症のAさんは、1日に数回、 「明日、家に帰るので準備をお願いします」と、 スタッフに声をかけます。 「分かりました。準備しておきますね」 「Aさんの家はもうありませんよ」 「Aさんの家はここですよ」 毎回、スタッフの対応が違いますが、何とか 納得されます。 Aさんへのチームケアとして、 私たちが行うことを考えてみましょう。 ■ワーク② (脳)血管性認知症のBさんは、 尿意がありますが、最近は、間に合わず、 パッド内失禁が続いています。 食事の際、お茶を促すと、 「トイレが気になるから飲まない」と 口にしませんでした。 さて、あなたはどのような声かけを しますか? ■ワーク③ レビー小体型認知症のCさんは、 「部屋中に、小さな虫が飛びまわり、 床にもいっぱい這っているから、 気持ちが悪い」と言われていますが、 実際には、虫は一匹もいません。 さて、あなたはCさんに どのような声かけをしますか? ■安心・安全・安楽のために A B C きっかけ 行動 結果 どのような時に 出現するか。 どのような行動が 出現するか。 その行動はどのような 結果をもたらすか。 ☆認知症の方の言葉、行動は、 すべて、本人の発信ととらえましょう。 ☆介護職は観察に始まり、観察に終わります。
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