スポーツにおける統計の利用 ソフトテニス編 Part Ⅱ 秋田県立西仙北高等学校 藤田秀明 指導における統計の必要性 1.指導者も生身の人間である 2.客観的事実のみが説得力を持つ 説得力のある話が重要! 3.各データの時系列比較により上達度が分かる 部員との信頼関係の構築 理想のテニスの戦い方 1.威力のあるストローク 2.広い守備力 戦う“姿勢”を持つ! 3.広い視野で相手の隙をつく 技術、体力、判断力 我が部の状況(8月時点) ずばり、弱い!!(です) 1.威力の無いストローク ⇒ 未熟な技術 2.消極的な攻撃 ⇒ 精神的弱さ 3.瞬発力の無さ ⇒ 筋力不足? 4.顧問の経験不足 ⇒ 致命的? 統計的に見た我が部の現状 1.低いファースト・サーブ決定率(50%未満) 2.高い自滅ショット率(70%以上) 3.低いマッチポイント決定率(50%未満) チームの改造が急務! 実際の戦いはどうか? 例えば 1年生大会の結果を見ると... 夏の戦い 決 定 要 因 Serve R_miss R_out R_net S_コース S_out S_net Smash Sm_m 1 6 5 9 3 4 11 2 決 5 2 要 2 1 6 2 4 4 10 3 2 2 因 Serve R_miss R_out R_net S_コース S_out S_net Smash Sm_m 2 2 Block Blk_m Sw_O DF 1 1 定 1 Drop 〔県南1年生大会〕 5 2 Drop 3 〔全県ジュニア〕 Block Blk_m Sw_O DF 1 Jr.では相手に支配された 1 6 夏以降の戦い 〔県南1年生大会〕 Pts. O.P Dif Pls Sco. 14 18 -4 32 59 10 14 -4 24 54 Ap/Tp 24 Eff. 43.8 56 41.7 〔全県ジュニア〕 Pts. O.P Dif Pls Sco. 11 11 0 22 48 6 25 -19 31 66 Pts:得点 OP:失点 Dif:得失点差 PLs:プレイ総数 Ap/Tp 17 Eff. 50.0 53 19.4 Sco:得失点 Ap/Tp:活躍点/総プレイ数 Eff:プレイ効率 今年の状況 DFが多い 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 1stサーブ アウト率① アウト率② 自滅率 決定率 0.0 県南総体 全県総体 1年生大会 全県ジュニア 県南錬成会 県南新人戦 チーム力強化の方策 1.速いストロークを打てるようにする(8月) 2.ファースト・サーブの決定率の向上(9月) 3.コートの広さをフルに使った幅のある攻撃(8月) 戦いの主導権をいかに握るか ストロークの強化 1.ボールを水平に打つ ⇒ X軸方向に力を集中 2.高い打点 ⇒ ネットにかけない 3.大きなステップ幅 ⇒ 下半身の力の利用 1.相手を後方に下げる ⇒ 返球の範囲&威力を制限 2.時間的余裕を奪う ⇒ 無理なフォームでの打撃 3.打球自体の威力増大 ⇒ ミスショットの誘発 ファーストサーブの強化 1.トスの安定化 ⇒ 同じ打点で打てる 2.面の角度 ⇒ 理想のラインを描く 3.コントロール ⇒ 捕球ミスの誘発 1.相手を後方に下げる ⇒ 返球の範囲&威力を制限 2.時間的余裕を奪う ⇒ 無理なフォームでの打撃 3.打球自体の威力増大 ⇒ ミスショットの誘発 幅のある攻撃 1.どこでも攻める ⇒ スペースの活用 2.主導権はこちら ⇒ 相手を守勢に置く 3.何でもあり! ⇒ 兵は詭道なり 1.前衛を迷わせる ⇒ 前衛が機能しなくなる 2.前衛の動きを制限 ⇒ 後衛の負担の増加 3.後衛を迷わせる ⇒ ペア自体の機能低下 統計的検証 1.何をしたいのか 2.その検証には、どんなデータが必要なのか 3.そのデータをどう使うのか 1.得失点の内容・状況 ⇒ どんな決め手だったか 2.誰が決めたのか ⇒ 得点に絡めるか 3.どのエリアで起きたのか ⇒ 誰が狙われているか 自滅率(%) 〔県南総体〕 前衛 66.7 1 後衛 69.6 前衛 48.6 2 後衛 51.7 前衛 72.7 3 後衛 65.7 全体的に悪化 〔全県総体〕 前衛 87.5 1 後衛 90.9 前衛 22.2 2 後衛 83.3 前衛 100.0 3 後衛 100.0 〔県南錬成会〕 前衛 後衛 前衛 2 後衛 前衛 3 後衛 1 50.0 89.3 63.3 69.7 53.3 91.3 〔1年生・Jr〕 前衛 53.7 1 後衛 70.9 〔県南新人戦〕 前衛 66.7 1 後衛 82.9 前衛 92.3 2 後衛 61.8 前衛 69.2 3 後衛 75.0 自滅打に占める自己誤打率 全自滅打 自己誤打 率 県南総体 85 72 84.7 全県総体 34 24 70.6 1年生大会 32 31 96.9 全県Jr. 36 30 83.3 県南錬成会 103 79 76.7 県南新人 140 118 84.3 1stサーブ成功率(%) 〔県南総体〕 前衛 40.0 1 後衛 62.5 前衛 45.8 2 後衛 43.8 前衛 30.0 3 後衛 61.5 全体的には上昇 〔全県総体〕 前衛 25.0 1 後衛 71.4 前衛 50.0 2 後衛 72.7 前衛 0.0 3 後衛 55.6 〔県南錬成会〕 前衛 後衛 前衛 2 後衛 前衛 3 後衛 1 42.9 47.6 57.1 33.3 35.0 53.3 〔1年生・Jr〕 前衛 50.0 1 後衛 45.7 〔県南新人戦〕 前衛 50.0 1 後衛 51.7 前衛 27.8 2 後衛 59.3 前衛 46.2 3 後衛 42.5 マッチポイント時の戦い方 3県 南 総 体 全 県 錬 成 会 新 人 戦 ① ② ③ ④ ① ② ③ ① ② ③ ① ② ③ W 2 10 5 2 2 1 9 4 1 2 +2 +2(W) (※) 1 1 7 7 3 2 2 1 2 2 3 3 2 2 2 2 2 2 1 2 1 2 1 2 1 2 3 3 1 1 3+: マッチポイントを先にとった回数 W: それで勝利した回数 +2(※): 2点差をつけて先にマッチポイントを取った回数 +2(W): それで勝利した回数 -3: 相手に先にマッチポイントを取られた回数 Rev: それで逆転勝ちした回数 -3 Rev 7 8 10 2 4 4 4 3 3 4 8 8 8 % 1 1 50.0 90.0 80.0 50.0 100.0 0.0 0.0 66.7 66.7 100.0 100.0 0.0 100.0 %(+2) 100.0 100.0 66.7 50.0 100.0 0.0 0.0 100.0 100.0 100.0 100.0 0.0 100.0 Lost.% 100.0 87.5 100.0 100.0 100.0 75.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 マッチポイント後の1点 ◇マッチポイント奪取率(%) 県南総体: 55.0 全県総体: 100.0 錬成会: 37.5 県南新人: 54.5 トータル: 46.9 ◇マッチポイント自力奪取率(%) 県南総体: 40.0 全県総体: 100.0 錬成会: 12.5 県南新人: 36.4 トータル: 28.6 ◇マッチポイント被阻止率(%) 県南総体: 5.0 全県総体: 50.0 錬成会: 18.8 県南新人: 27.3 ◇ストロークアウト率(%) 県南総体: 25.0 全県総体: 50.0 錬成会: 18.8 県南新人: 9.1 トータル: 20.4 トータル: 16.3 リードを守れない理由 ◆流れが大切 R × ○ ○ ○ × × × ○ ○ ○ Play Player Srv St_cors - R 1 St_out - R 1 Smash L 1 Drop L 2 Smash - L 1 得点の入り方が鍵! St_out L 1 Serve - L 1 St_out - L 2 DF - R 2 St_net - R 1 - Serve Rec_miss Rec_out Rec_net St_cors St_out St_net HR Smash Smash_miss Drop Block Block_miss Swing_out DF 1 1 1 - 1 1 2 1 1 1 得点の内訳を見ると ◆全県ジュニア vs Y校 自力得点 6 - 13 他力得点 17 - 12 ◆ゲーム数でいうならば 自力獲得 2 - 3 他力獲得 1 - 1 ゲームの流れを見ると ◆県南新人 vs S校 1st game 自力得点 他力得点 0 - 1 4 - 1 2nd game 自力得点 他力得点 0 - 1 1 - 3 3rd game 自力得点 他力得点 3 - 1 1 - 1 4th game 自力得点 他力得点 自力得点 他力得点 結局 5th game ミスした方の負け! 2 - 0 0 - 4 1 - 2 1 - 2 6th game 自力得点 他力得点 0 - 0 4 - 2 7th game 自力得点 他力得点 4 - 3 3 - 6 ということで、今は・・・ ◆少しずつ改善の兆し! 1stサーブ アウト率① アウト率② 自滅率 県 南 総 体 12.5 32.4 54.1 59.9 全 県 総 体 48.4 36.4 47.1 81.8 1 年 生 大 会 55.6 35.7 62.5 57.1 全県ジュニア 39.7 30.2 44.4 67.9 県 南 錬 成 会 45.1 35.7 49.5 72.0 県 南 新 人 戦 46.8 31.6 42.1 74.9 部内ミニゲーム 50.7 16.4 25.6 64.2 そして.... ◆次なる課題も見えてきた S_Net 全 県 . 9.4 18.9 県 南 錬 成 会 11.2 17.5 全 人 15.5 17.1 部内ミニゲーム 17.9 26.9 県 J 新 r All net その後も(おまけ?) ◆安定感の向上が鍵(でも打てるようになったね!) vs Total 11/23 決 定 要 因 サーブ内訳 Gam 番 手 Pos es 1st 2nd Pct. Serv R_mi R_ou R_ne S_コー S_ou S_net Sma Sm_ Drop Bloc Blk_ Sw_O DF Pts. O.P Dif Pls Sco. Ap/Tp Eff. 1 e ss t t ス t sh m k m 前衛 10 9 7 0.56 2 1 1 5 1 1 3 4 10 -6 14 31 9 28.6 1 前衛 10 8 17 0.32 1 1 2 5 2 2 8 5 16 -11 21 32 63 23.8 2 3 前衛 9 9 7 0.56 1 1 3 後衛 9 7 13 0.35 1 1 1 1 前衛 7 3 1 0.75 1 1 4 後衛 7 6 1 0.86 2 7 2 6 7 2 5 2 1 1 2 2 1 1 4 21 2 15 2 1 5 4 Total 4 3 2 0 4 5 1 1 0 15 -15 15 37 2 5 12 -7 17 34 3 14 -11 17 28 12 30 1 10 1 12 1 3 9 -6 5 71 29.4 6 17.6 58 25.0 個人データ 決 サーブ内訳 0.0 11/24 定 要 因 Gam 番 Pct. Serv R_mi R_ou R_ne S_コー S_ou S_ne P_sh Sma Sm_ Bloc Blk_ Sw_ Pts. O.P Dif Pls Sco. Ap/Tp Eff. 手 Pos es 1st2nd Drop DF 1 e ss t t ス t t ot sh m k m O 前衛 18 14 15 0.48 5 5 2 1 1 2 4 1 2 16 7 9 23 42 69.6 1 前衛 20 18 17 0.51 5 4 3 13 10 2 3 4 1 1 6 26 26 0 52 0 50.0 2 3 前衛 15 12 15 0.44 3 1 2 6 3 2 1 1 1 1 10 11 -1 21 10 後衛 47.6 0 前衛 20 14 16 0.47 2 3 後衛 18 17 16 0.52 2 17 1 8 1 1 5 6 4 1 3 3 28 5 27 5 12 2 1 3 11 1 11 2 2 2 4 2 1 2 12 16 -4 28 2 13 9 17 -8 26 4 3 4 でも、波は大きいね。これを何とかしなくっちゃ! 21 42.9 0 34.6 その後も(おまけ その2) ◆この調子でこのまま行ってくれ~ぃ! 項目別比較 1st Srv率 自滅率 アウト率 単位:% ネット率 受動率 自力G率 1年生大会 55.56 57.14 35.71 8.93 1.79 60.00 全県Jr. 39.66 67.92 30.19 9.43 11.32 40.00 錬成会 45.11 72.03 35.66 11.19 16.78 50.00 県南新人 46.84 74.87 31.55 15.51 11.76 22.22 11/16 50.75 64.18 16.42 17.91 16.42 50.00 11/23 47.73 79.17 21.88 15.63 17.71 7.69 11/24 48.70 51.33 18.00 8.00 10.00 65.22 12/1 56.72 26.12 8.21 5.22 8.96 60.00 1stSrv率:1stサーブの入る確率 自滅率:アウトの数/プレイ総数 ネット率:ネットにかかった数/プレイ総数 受動率:相手に振られてミスしたショット数/プレイ総数 自力G率:自分たちが攻めてゲームを獲得した数 進む方向性は見えてきた 1.速いストロークの習得 ⇒ スピードで勝負できる 2.1stサーブの確率の向上 ⇒ ゲームの支配 3.攻撃の幅の拡大 ⇒ 自由にコースを狙う ①個々の技量の向上が見られる ②安定性にはまだ課題が見られ る > 冬場が勝負! 今後の計画 ◆プレイのディジタル化 ①チャート化し、状況に応じてコール ②シナリオプレイの展開 ③リアルタイムのプレイの評価 アメフトでは常識 プレイチャートとは 行き当たりばったりはダメよ! まとめ 1.時系列での比較をし、上達度を検証 (1stサーブ、自滅率、マッチポイント) 2.得点の主導権の検証 (自力で勝ち取った得点なのかが重要) 積極的に戦った者勝ち! 今から来シーズンが楽しみ 部員達と共にレベルアップを図り、 苦しい時でも充実した時を共有し、 勝利の喜びを分かち合いたい! By Fujita君 御 静 聴 あ り が と う ご ざ いま した
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