レイヤー・ブロイラー部会研修会 平成16年10月8日 主催: 鹿児島県養鶏協会 適正農業規範(GAP)の推進: 生産システムにおける安全管理体制の構築 鹿児島大学 岡本嘉六 ● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を 取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努 力が必要とされている。 ● 衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経 費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。 ● 安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何 よりも大切である。 日本中央競馬会 特別振興資金助成事業 平成16年度 獣医師生涯研修事業 HACCP手法研修用教材 「基礎編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会 Objectives of application HACCP システムを of the HACCP system 適用する目的 Prevention of foodborne illness 食品媒介性疾患の防止 Reduction of costs 食品検査に要する of food analyses 費用の削減 More efficient より効果的な quality assurance 品質保証システム system Reduction of 製品回収による losses due to 損失の削減 product recall Protection of reputation 企業の評判を守る WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚 パート1 ● 安全性についての正しい知識と 理解を広げることが、何よりも大切で ある。 農薬 輸入食品 添加物 汚染物質 組換え食品 健康食品 微生物 飼料 プリオン 器具・容器包装 カビ毒・自然毒 ウイルス 放射線照射 新開発食品 動物用医薬品 肥料 異物混入 その他 0 こうした不安は、事実に基づくものか? 半世紀前の資料を使った「タカリ屋評論 家」の扇動に過ぎないのではないか? 10 20 30 40 50 60 70 食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 「食の安全性に関する意識調査」結果 80 % 件 2,500 2,000 1,500 :細菌 :化学物質(10倍表示) :自然毒(10倍表示) :動物性 :植物性 1377 123 1,000 79 500 44 9 0 食中毒事故件数の推移 1997年以降は、1名の場合も計上することになったため、見かけ上多くなっている 細菌 40,000 35,000 細菌 600 30,000 25,000 自然毒 化学物質 自然毒 500 20,000 400 15,000 300 化学物質 200 100 0 食中毒患者数の推移 20 :総数 :細菌 :自然毒 化学物質による死亡者はいない 18 16 14 年 12 間 死 10 亡 数 8 6 4 2 0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 原因物質別にみた食中毒による死者数の推移 25 20 累 積 15 死 亡 者 10 数 5 これらの事故の大半は、市販のもの ではなく、自分で採ってきたものを家 庭で調理して起きた! 0 原因食品別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002) 40 30 累 積 死 20 亡 者 数 10 ハイリスク集団への特別措置 諸外国並みに「食品衛生法」に 規定することが重要である。 0 食事場所別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002) 「安全・安心」がセットで使われるが、科学的には何を意味するか? “Food Safety” とセットされた表現が英語であるか? 安全 科学に基づかない大衆心理は、 古代へのノスタルジアか? それとも、 21世紀のファシズムか? 安心信頼性 品質・安全性保証 健康障害の発生確率 「消費者の機嫌取り」は、科学に反する! 「ナチュラル=安心」は、フグ、キノコによる死亡事故を生んでいる! 「食品の品質と安全性システム(FAO、1998)」の付属文書2。 Understanding the association between a reduction in hazards 「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切 that may be associated with a food and the reduction in the risk of な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なこと adverse health effects to consumers is of particular importance in に、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の development of appropriate food safety controls. Unfortunately, 何についても言えることだが)。」 there is no such thing as "zero risk" for food (or for anything else). 死者数 人口 50歳 70歳 15歳 患者数 0 20 40 60 80 100% 食中毒患者数および死者数の年齢別割合 :0~4 :30~39 :5~9 :40~49 :10~14 :50~59 :15~19 :60~69 :20~29 :70~ 4 2 0 0~4 累 積 死 亡 者 数 12 10 8 6 4 5~9 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10~14 15~19 20~29 ハイリスク者への特別対策 衛生教育 2 0 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002) 米国の食品規格コード(Food Code ) 1-201 用語の定義と適用範囲 (44)高感受性集団(Highly susceptible population)とは、次の理由で、一般集団の人より食 品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。 (i) 免疫低下者、就学前児童、老人 (ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または 療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または 補助生活を受けている人。 そうした行政対応を待っていても何時になるか判らない。こ 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に れらの施設と提携してより高度の安全性を確保した鶏卵を 関する法的根拠を設けることが重要である 供給することで、死亡者発生を防ぐことが望ましい。 年齢 昭 和 25 年(1950) 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 総人口: 84,114,574 :女性 :男性 600 400 200 平 成 12 年(2000) 0 総人口: 126,925,843 0 200 日本における人口構成の変化 400 600 万人 閾値がない 化学物質 栄養素 ▲ 閾値がある 化学物質 ▲ 健 康 へ の 悪 影 響 ▲ ● ● ● NOAEL ● 無有害作用 濃度 ● ● ● ● ● ● ● 化学物質の用量・反応関係 LOAEL 最小有害作用 濃度 用量(摂取量) WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource book for school, college and university students. 2000 一日摂取許容量(ADI )= 無有害作用濃度 100 食品中の残留許容濃度 生 体 反 応 の 強 度 閾 値 致死量 無 有 害 作 用 濃 度 中毒量 閾値がある 化学物質 薬効 用量 一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性) 日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより 十分に低いことをもって安全とする。 一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率 発 癌 率 閾値がない 化学物質 10-6 低濃度直線性 実質的安全量(VSD) 用量 DNA 障害性物質の安全性基準 パート2 ● 食生活における不安をなくし、 安全性についての自信を取り戻す ためには、農場から食卓までの関 係者すべての努力が必要とされて いる。 リスクが減るのは2箇所だけ リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 薬食動病 剤中物気 耐毒薬 性菌残 菌 留 農 査に に と 基よ畜 づる検 く法査 検律員 的温 間増 る 輸 基度 も殖 に 送 準管 長に つ 距 も理 く必 れ 離 な等 な要 、 細が いの るな 菌 延 。法 。時 び 場 食肉センター 流 通 過 程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 ばを し を調 、室 か 殺理 菌温 し 滅時 はで 、 すの 増の 食 る加 殖放 材 。熱 す置 や は るす 料 細 。れ 理 菌 消費過程 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(1) リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 農場における 適正な衛生管理 Pathogen Reduction / HACCP 病原体低減/HACCP 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP ? HACCP 流通過程が 変わらなければ 農 消費者は ? リスクは 残る! 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(2) Sanitary Food Transportation Act 食品輸送衛生法 (米国、1990) GHP: Good Handling Practice 流通業における適正取り扱い規範 リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル GAP QAP 流通過程の 衛生基準 ? 消費者 教育 ? HACCP 農 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 食 解 カ 出 輸 市 問 小 調 保 喫 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実 畜 料 舎 物 肉 体 ッ 荷 送 場 屋 売 理 存 食 ト 環 薬 検 店 ・ 飲 施することによって、初めてリスクが小さくなる。 査 水 境 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 米国で「食品輸送衛生法」を制定した理由 The Sanitary Food Transportation Act of 1990 Sec. 5701. Findings (法制定の根拠となった)事実認定 (1) the United States public is entitled to receive food and other (1)米国民は、輸送作業によって安全性が損なわれることなく、食品 consumer products that are not made unsafe because of certain やその他の消費物資を受取る権利を有する。 transportation practices; (2) the United States public is threatened by the transportation of (2)米国民は、食品やその他の消費物資を輸送するトラックや貨車に products potentially harmful to consumers in motor vehicles and おける、消費者に対して潜在的に有害性をもった製品の輸送によ rail vehicles that are used to transport food and other consumer る脅威に直面している。 products; and (3)そのような輸送作業による消費者のリスクは、余計なものであり、 (3) the risks to consumers by those transportation practices are unnecessary and those practices must be ended. それらの作業行為は終わらせなければならない。 Products Potentially Harmful : 潜在的に有害性をもった製品 Potentially Hazardous Food: 潜在的危害性食品 A: 細菌、ウイルス、寄生虫、害虫などの 生物学的危害因子 B: 重金属やカビ毒などの 加熱によっても失活しない危害因子 リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル A B 加熱調理 衛生検査 生産過程 処理・加工過程 流通過程 消費過程 危害因子の種類による 「農場から食卓まで」を通したリスクの変動 食品による健康障害の現状 リスク・アナリシス 農薬A 食品Ⅱ~X 食品Ⅰ リスクの低減目標 リスクの低減目標 農薬B~X リ ス ク レ ベ ル 第三者による監視(モニタリング) 現状 改善後 生産段階 処理段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 加工段階 流通段階 消費段階 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(残留農薬) 食品による健康障害の現状 リスク・アナリシス 危害因子A 危害因子B~X リ ス ク レ ベ ル 食品Ⅱ~X 食品Ⅰ リスクの低減目標 リスクの低減目標 第三者による監視(モニタリング) 現状 改善後 生産段階 処理段階 加工段階 流通段階 消費段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌) 21CFR Part 110 Transportation and Storage Requirements for 潜在的危害性食品の輸送および保蔵の要件 Potentially Hazardous Foods 細菌の発育に好適な 水分活性、pH、蛋白質を備えて いる食肉、食鳥肉、卵、卵製品、魚、海産物、乳製品 重要管理点 記録 輸送・保管を含む全ての 取扱者に、2年間の記 録の保管と閲覧提示義 務を課した。 1.積込み前のトレーラーの検査 2.積込み製品の温度の確認 3.適正な積み方 積み過ぎが交叉汚染の原因となり、 責 任 4.積込み中の温度管理 保冷効果をなくする 5.輸送中の温度管理 運転手および授受者が 6.荷降し中の温度管理 記録を確認する。 食中毒事故の際に、遡及調査を可能にした。 これが トレーサビリティー (過失責任の所在確認) パート3 ● 適正農業規範(GAP)の推進: 生産システムにおける 安全管理体制の構築 参考資料 1.Salmonella Enteritidis Risk Assessment Team: Salmonella Enteritidis Risk Assessment: Shell Eggs and Egg Products(Final Report, 1998) 「Salmonella Enteritidisのリスクアセスメント: 殻付き卵および卵製品」 1-2.Parameter Values for a Risk Assessment of Salmonella Enteritidis in Shell Eggs & Egg Products(1997) 「殻付き卵および卵製品中Salmonella Enteritidisの リスクアセスメントのための各種パラメータ」 表3.公衆衛生の結果(まとめ) 区分 第5パーセンタイル 正 常 集 団 暴露 419,559 発病 80,631 医療処置なしで回復 76,485 医師の診察と回復 3,733 入院と回復 256 死亡 20 反応性関節炎 2,341 感 受 性 集 団 暴露 116,111 発病 43,448 医療処置なしで回復 40,130 医師の診察と回復 2,898 入院と回復 324 死亡 41 反応性関節炎 1,263 平均(割合) 第95パーセンタイル 1,889,200 ( 100.00 ) 448,803 ( 23.76 ) 425,389 ( 22.52 ) 21,717 ( 1.15 ) 1,574 ( 0.08 ) 123 ( 0.007 ) 13,578 ( 0.72 ) 4,533,566 1,188,635 1,151,290 58,556 4,386 350 38,268 ( 100.00 ) ( 40.80 ) ( 37.63 ) ( 2.78 ) ( 0.34 ) ( 0.052 ) ( 1.23 ) 1,255,584 550,891 506,557 37,860 4,802 756 17,384 521,705 212,830 196,295 14,491 1,776 269 6,416 註: 原表の総集団(正常集団と感受性集団の和)は翻訳の際カットし、割合を付け加えた。 米国の採卵鶏群 ▼ SE陽性鶏群の割合 高度汚染鶏群 ▼ ▼ SE陽性鶏群 ▼ 強制換羽鶏群の割合 ▼ ▼ 高度汚染 強制換羽鶏群 軽度汚染鶏群 ▼ 高度汚染 非強制換羽鶏群 強制換羽鶏群の割合 SE陽性鶏群中の高度 汚染鶏群の割合 ▼ ▼ 軽度汚染 強制換羽鶏群 軽度汚染 非強制換羽鶏群 鶏群の規模;鶏群1日当り卵 生産量;鶏群の生産期間 高度汚染強制換羽 鶏群が生産したSE 陽性卵の割合 高度汚染非強制換 羽鶏群が生産した SE陽性卵の割合 軽度汚染非強制換 羽鶏群が生産した SE陽性卵の割合 軽度汚染強制換羽 鶏群が生産したSE 陽性卵の割合 モジュールのアウトプット: SE陽性卵の年間総生産量 Key: モジュール・インプット変数 計算されたモジュール変数 図A-1 .生産モジュールのダイアグラム 0.14 0.12 0.10 0.08 平均: 22% 標準偏差: 0.9% 第5パーセンタイル:20% 第95パーセンタイル:23% 確 0.06 率 0.04 0.02 0.00 強制換羽を受けた採卵鶏群の割合 図A-4 .強制換羽鶏群の分布 0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 平均: 0.07% 標準偏差: 0.05% 第5パーセンタイル: 0.01% 第95パーセンタイル:0.17% 0.20 確 率 0.15 0.10 0.05 0.00 SE陽性卵の割合(%) 図A-6 .高度汚染/非強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 0.25 確 率 0.20 平均: 0.16% 標準偏差: 0.13% 0.15 第5パーセンタイル: 0.02% 第95パーセンタイル:0.41% 0.10 0.05 0.00 SE陽性卵の割合 図A-7 . 高度汚染/強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 表 A-4. SE陽性鶏群の区分ならびにそれらの区分に おける規模層がSE陽性卵に占める平均割合(%) 鶏群当り羽数 鶏群の区分 全体 1~1.9万 2~4.9万 5~9.9万 >10万 高度汚染、強制換羽鶏群 15.44 1.28 1.79 2.26 10.12 高度汚染、非強制換羽鶏群 50.94 4.43 6.34 7.15 33.02 軽度汚染、強制換羽鶏群 小区分1 小区分2 軽度汚染、非強制換羽鶏群 小区分1 小区分2 7.49 0.25 0.64 0.02 0.91 0.03 1.05 0.04 4.88 0.17 25.02 0.85 2.15 0.07 3.03 0.10 3.52 0.12 16.31 0.55 計 100.00 表 A-6. インプット変数とSE陽性卵の年間生産数との相関 インプット変数名 高度汚染/非強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 10万羽以上の鶏群規模層におけるSE陽性鶏群の割合 軽度汚染/非強制換羽鶏群(小区分1)におけるSE陽性卵の頻度 高度汚染鶏群の頻度 10万羽以上の鶏群規模層における明らかなSE陽性鶏群の割合 廃鶏調査から計算された明らかなSE陽性鶏群の割合 環境試験の感度 強制換羽後のハイリスク日数 高度汚染/強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 試験で陰性の鶏群における明らかな鶏群内割合 相関係数 0.62 0.54 0.34 0.26 0.24 0.10 0.09 0.08 0.06 0.03 表4. 5種の軽減策によるSE患者の予測数と減少数 軽減策の種類 SE患者数 ベースライン 661,633 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 期間 温度 期間と温度 減少数 減少率 ME 584,884 575,621 522,028 76,749 86,102 139,605 11.6% 13.0% 21.1% 0.46 0.52 0.84 561,065 567,681 496,225 449,910 100,568 93,952 165,408 211,723 15.2% 14.2% 25.0% 32.1% 0.61 0.57 1.00 1.28 Ⅰ:家庭、公共施設および小売店における貯蔵期間の25%短縮、温度上昇機会の25% 減少、あるいはその両者の組合わせ。 Ⅱ:最大羽数規模層( >100K )における鶏群のSE 陽性率を25%減少 Ⅲ:高度SE 汚染鶏群の25%減少 Ⅳ:SE 陽性鶏群の全卵の25%を転用 Ⅴ:最大羽数規模層( >100K )における鶏群のSE 陽性率を25%減少とⅠとの組み合わせ ME :軽減策の弾力性 HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)の歴史: 米国 1996年 食肉センターへHACCPシステムを導入 (連邦公報、1996) Pathogen Reduction and Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) Systems (PR/HACCP) (Federal Register、1996) 「病原体低減とHACCPシステム」 PR/HACCP 1997年 HACCP Based ModelsNotice, Project The HIMPHIMP事業のスタート project was initiated in July 10, 1997 Inspection Federal Register "HACCP-Based Meat and Poultry Inspection Concepts". 「HACCPに基づく食肉および食鳥肉検査の概念」 (連邦公報、1997) 1. maintain and enhance the food safety and other consumer protection 1.現在の≪と畜検査システム≫における「安全性」および「その他の消費者保護」の利点 benefits of the current carcass inspection system; を維持し強化する 2. effectively and efficiently oversee, evaluate, and verify industry 2. PR/HACCP規則について、効果的かつ効率よく監視し、評価し、施設の実行を検証する。 implementation of the PR/HACCP regulations. HACCPに基づく食肉検査モデル事業は、2つの過程を踏みます The HACCP-Based Inspection Models Project is composed of two phases: (1)基準作成期と、(2)モデル試行期 the Baseline Phase; and (2) the Models Phase. (1) During the Baseline phase the Research Triangle Institute (RTI), an independent 基準作成期には、 第三者としてのコンサルト企業でもあるTriangle研究所が、従来の伝統 consulting firm, collects organoleptic and microbial data, which indicates the 的検査システムで稼動している施設における肉眼的、微生物学的データを集めます。 accomplishments of the plant’s current traditional inspection system. The Models phase consists of a Transition period and a second data collection モデル試行期は、新システムへの移行期間と第二のデータ収集期からなります。 period. FSIS: The HACCP Based Inspection Models Project. January 2002 FSIS: An Overview of the HACCP-Based Inspection Models Project. June 2002 日本獣医師会 獣医師研修体制整備推進事業 「HACCP手法研修用教材 」 生産段階においてはHACCPの考え方に基づいてGAPを 確立することが現時点の最重要課題である。それでは、適 正規範とは何か? 「適正」や「規範」という日本語から「良 心的」というニュアンスを連想する懸念が生まれている。製 薬会社等でGMPやGLPの作成に当った方なら経験してい るが、「規則に則る」ことが「適正」の意味であり、その規則 は法令、規格、基準などの公的なものから、業界団体や自 社で定めた自主的ものまで全てが整合性をもった文書とさ れなくてはならない。そうした文書化された工程管理規定が 遵守されたことを示す点検記録も必要となる。 これらの作業は、「良心」とは一切関わりがない。善人し かできないことなら僧院か教会でやるしかないのであり、善 悪兼ね備えた一般社会人が遵守すべき事項を定めたもの が規則である。 GAP管理基準作成 産業界のそれぞれ の部分において、自 主管理基準を検討・ 合意する。獣医界は その基礎となる法令 等に基づく基準を整 理する。 生産過程における HACCPシステム の構築 米国の家禽向上国家計 GAPシステム 画(NPIP)のような法令 を構築すること でGAPを定めた場合に が先決であり、と あっても、それへの参加 くに、認証組織と は自由意志に委ねられ 検査を含む検証 ている。自主的取組み 体制(公的試験 とすることで、衛生対策 機関)をどうする 費を非参加商品に上積 かが大きな課題 みする道が開ける。 である。 GAP認証による付加価値 自主衛生管理項目 食品衛生法等に基づく 畜産物の安全性確保に関する義務規定 家畜伝染病予防法等に基づく 家畜伝染病に関する衛生管理基準 安全性向上に関するGAP管理基準の仕組み 「家畜伝染病予防法」 「家畜伝染病」と「届出伝染病」 「飼養衛生管理基準」平成16年9月 「食品衛生法」 「と畜場法」 第九条: 「病畜は食わず」という原則 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」 「食鳥検査法」 これらの法的基準は、 一括して示されてお 「循環型社会形成推進基本法」 らず、農家は判らな 「産業動物の飼養及び保管に関する基準」 い。これらを整理して (昭和62年10月9日総理府告示) 農家の具体的作業に 「薬事法」 生かすことがGAP推 「動物用医薬品の使用の規制に関する省令」 進の先決問題である。 「動物用医薬品等取締規則」 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」 「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」 「飼料の有害物質の指導基準」 家畜保健衛生所 ・危害因子等の定期的な モニタリング調査 ・食肉衛生検査所等にお ける検査成績の分析 情報の収集 検査 衛生管理方法の改善指導 食肉衛生検査所 モニタリング体制等 構築の指導 畜産農家(農場部門) HACCP方式による衛生管理 (日常の点検、確認、記録の実施) ・素畜・飼料・資材の適切な取扱い ・家畜の健康管理、適切な運搬 ・施設の保守管理、点検 ・従事者の衛生、教育等の一般的衛生 管理の徹底 生産者団体等 実施状況 チェック (組合、農協) (管理部門) HACCP方式の考え方に基づく衛生管理体制: 生産段階における実施体制モデル(農水省審議会) 衛 生 管 理 の 向 上 飼養衛生管理基準 都 道 府 県 知 事 ( 家 畜 衛 生 保 健 所 等 ) 家畜の衛生管理の方法に関し遵守すべき 最低限の基準 遵守 指 導 ・ 助 言 勧 告 命 令 罰 則 衛生管理の改善のための具体的な方策 家 畜 の 所 有 者 衛生管理の方法に関する既存の指導・通知等 家畜防疫対策要綱 指導 家畜防疫を総合的に推進するための指針 衛生管理マニュアル ・・・・・・・・・・・・ 家畜伝染病に関する衛生管理基準の仕組み 伝 染 病 の 発 生 予 防 ヒナ白痢検査実績(日本) 年度 2000 2001 2002 2003 2004 検査羽数 366,273 0 患 畜 331,591 0 312,472 30 357,891 519 427,315 0 家禽向上国家計画 NATIONAL POULTRY IMPROVEMENT PLAN (9 CFR PART 145) 145.4 すべての参加者のための総則 (2) 繁殖群の中に導入する前に、全ての鳥を隔離 (segregation)する。性成熟に達するまでに、 隔離した鳥は雛白痢・家禽チフスの検査 に供し、陰性でなければならない。 症状が現れる家禽サルモネラ症が制御 できない種鶏場が、不顕性感染するSE を制御することはできない。 鶏卵生産システムに関係する法令等 「ふ卵場等養鶏施設における衛生対策指針」 家畜伝染病予防法に基づく「家畜防疫対策要綱 」 「採卵養鶏場におけるサルモネラ衛生対策指針」 (平成5年9月10日畜産局衛生課長通知) 「食品衛生法施行規則」 第二十一条 賞味期限 「卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について 」 厚生省 平成10年7月22日 「最近のサルモネラ等による食中毒に関する分析及び評価について」 食品衛生調査会 厚生大臣への意見具申 殻付き卵の衛生対策について 生産段階における衛生対策 卵選別包装施設の衛生管理要領 これは法令にまでなっていな いがGAPの参考とすべき 育種用基礎系統群、系統造成群、 海外に依存 原原種鶏農場(GGP) インテグレーション(略称インテ): 飼料工場ならびに種鶏農場から 鶏卵生産農場までを自社組織と して保有する企業体。 飼料工場 原種鶏農場(GP) 種鶏農場(PS) 穀類 (大半は輸入) 食品工場 割卵工場 飲食店 卵問屋 動物性 蛋白質原料 育雛場 インライン方式* オフライン方式* 消費者 小売店 孵化場 鶏卵生産農場 (コマーシャル鶏) GPセンター *:洗卵、乾燥、検卵、重量選別、包装、出荷 鶏卵生産農場がGAPを実施するには、その上流にある種鶏場や孵化 鶏卵の安全性と関わる養鶏産業システム 場、飼料工場が品質保証を出せる体制作りが先行しなくてはならない 飼養規模別にみた成鶏雌の飼養戸数・羽数の割合 飼養規模(羽数) 戸数(割合) 羽数(割合) 1,000 ~ 4,999 1,260 (27.0) 3,025 (2.2) 5,000 ~ 9,999 750 (16.1) 5,250 (3.8) 10,000 ~ 49,999 1,660 (35.6) 38,125 (27.4) 50,000 ~ 99,999 340 (7.3) 23,522 (16.9) 100,000以上 340 (7.3) 69,207 (49.7) 4,350 (93.3) 4,660 * (100.0) 139,129 (100.0) 計 *:(雛のみ飼養320戸)、平成13年「畜産統計」 採卵用雌の餌付け羽数と地方別割合 (2002年) 地方別 餌付け羽数 割合 県別 餌付け羽数 割合 県別 割合 北海道 5 040 4.52 埼玉 8 358 7.49 東北 14 556 13.05 千葉 7 215 6.47 北陸 6 718 6.02 鹿児島 6 470 5.80 宮崎 3.50 関東・東山 28 240 25.32 愛知 6 129 5.50 茨城 3.54 東海 14 722 13.20 青森 5 608 5.03 岐阜 3.39 近畿 6 506 5.83 北海道 5 040 4.52 福岡 3.06 中国 9 799 8.79 新潟 4 943 4.43 福島 3.02 四国 7 030 6.30 兵庫 4 977 4.46 香川 2.94 九州 18 005 16.14 広島 4 609 4.13 三重 2.89 沖縄 907 0.81 群馬 4 513 4.05 岡山 2.75 餌付け羽数 3000~4000 都道府県については、餌付け羽数4000羽以上をリストアップした。 健康弱者 (ハイリスク集団) 自主衛生管理 免疫低下者(HIV、糖尿病、 癌、重度の疾患など) 子供、老人、妊婦、病弱者 に対する特別措置 高度の安全性 = 付加価値 第三者認証 HACCP (食肉処理場・食品工場) HACCP (食肉処理場・食品工場) 一般健康成人 衛生教育 農場でのQAP 一般的衛生管理 法律による規制 一般的衛生管理 食品衛生法 一般衛生基準 (PP;Prerequisite Program) 適性製造規範 (GMP;Good Manufacturing Practice) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 衛生基準 営業許可 営業停止 食品の安全性に関わる社会システム:食品工場 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 生産管理手順に、法令に定められた 衛生基準を組み込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 法令に基づく適正規範(GMP、GAP) 永続的改善システム 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 危害分析 再吟味 重要管理点 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 標準作業手順 SOP 危害分析 一般的衛生管理 PP 重要管理点 HACCPは定まった衛生水準を規定 するものではなく、衛生水準を向上さ せる永続的システムであり、そのシス テムの可否を認証するものである。 HACCPと衛生水準 リスク・アナリシス (Risk Analysis) 生産過程で制御すべき 危害の特定 重要管理点 (CCP;Critical Control Point) 危害分析 (HA;Hazard Analysis) HACCP 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) GAP 家畜の飼養管理に関する管理記録簿(標準作業手順)に、家畜伝染病予 防、と畜場法、飼料安全法などの法に定められた衛生基準を盛り込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 適正農業規範(GAP)とHACCPシステム 食品の安全性制御プログラムに対するリスク・アナリシスの適用 Food Quality and Safe System. Annex 2. FAO 1998 1.食品の健康危害についての関心が増大 2.食品の世界流通の急激な発展と重要性 3.安全な食品供給についての消費者の要求 食品と関連するリスクの解析が以前より重要になった 危害(hazard): 健康に悪影響をもたらす可能性がある食品中の物質または状態 危険性(risk): 危害に曝された集団における健康障害の確率と重篤度の推定値 Understanding the association between a reduction in hazards that may be 危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切 associated with a food and the reduction in the risk of adverse health effects to な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 consumers is of particular importance in development of appropriate不幸なこと food safety に、食品について「ゼロ・リスク」のような事態はありえない(その他の controls. Unfortunately, there is no such thing as "zero risk" for food (or for anything else). 何についても言えることだが) 。 リスク・アナリシス(危険性解析)は、三つの独立かつ統合した要素からなる リスク査定(risk assessment) リスク管理(risk management) リスク情報交換(risk communication) 「危害分析」と混同され、あたかも 「ゼロ・リスク」可能であるかのよう な錯覚が広まっている。 農場から食卓までを通した 「卵および卵製品におけるサルモネラ(SE)の リスクア・セスメント」(米国モデル、1997) 5つのコンパートメントに分けて、それぞれについて 全国的実態調査を実施し、それらの検査結果に基づ いて危害緩和策(衛生基準と管理基準)を提言した。 殻付き卵 処理/流通 卵生産 調理と摂取 卵製品 加工/流通 公衆衛生上の 影響 鶏卵の生産過程におけるサルモネラ汚染の査定 感染若雌 殻付き卵の SE汚染率 SEの毒性の程度 0~60% 1万個に1個 汚染環境 5~70% 汚染飼料・水 0~40% 採卵鶏群の 保菌率 卵の汚染率 1~70% 1 30%~ 10万 強制換羽の 有無 卵製品の SE汚染率 危害緩和策としては、 サルモネラ検査実施済みの雛、飼料を購入 すること、鶏群の定期的なサルモネラ検査の実施などを定めた「家 禽向上国家計画(NPIP)」が策定された。種鶏業者、孵化業者、飼 料製造工場などの衛生管理基準が次々と法律で規制された。 食肉センターにおけるサルモネラ汚染: 米国の基準 子牛 肉牛 挽肉 豚 豚ソーセージ ブロイラー 陽性率 サンプル数 陽性サンプル 数の上限 1.0 2.7 7.5 10.9 NA 23.6 82 58 53 55 NA 51 1 2 5 6 NA 12 NA :基準策定のため調査中であり、将来設定する。 食鳥センターの基準は別の法律であるが、ここでは併記した。 これは、食肉センターにHACCPを適用する法律を作成 するための事前調査に基づいて策定された基準である。 大規模施設における豚と体のサルモネラ陽性率 不 す が 規 陽性率(%) 足る 高 制 す だ く に 0.0 – 5.0 る け な よ 5.1 – 8.7 可で れ っ 8.8 – 11 能な ば て 廃 く 、 性 棄 11.1 – 15 価 、 が絶 す あ 対 格 る 15.1 – 20 る量 が 割 高 。 が 合 45.0 – 50 騰 全体 施設数 12 0 0 3 1 1 17 割合(%) が 全 あ 安 問性 り 全 71 題を 得 性 など な に 0 のの い 絶 0 で程 。 対 あ度 「 ( ど 18 るの の 1 0 。価 程 0 6 格度% 6 での) 」安は 100 11%( 55頭中6頭)の基準を定める根拠となった1998-1999の調査 米国におけるHACCP実施に伴うサルモネラ陽性率の推移 HACCP 実施前調査 大規模施設 1998-1999 1998-2000 * 豚 8.7 6.5 (1532) 牛挽肉 7.5 4.8 (1184) 5.8 (1696) ブロイラー 20.0 10.9 (5697) 10.3 (9639) 七面鳥挽肉 49.9 36.4 (748) 34.6 (1537) 4.4 (2475) *:汚染%(検査施設数) 着実に減少し、基準以下であるが、日本で流布している 「ハサップ(HACCP)神話」 からすると信じられない!? HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国 カテゴリー 内容 例示 基準 食品安全 1 感染症 敗血症/毒血症、膿血症、嚢虫症 ゼロ 食品安全 2 消化管内容物汚染 糞便、腸内容物、乳 ゼロ 食品安全 3 解体後検査 神経症状、瀕死状態、発熱、嗜眠 ゼロ OCP 1 と体の病変 関節炎、削痩、丹毒、局所膿瘍、 乳房炎、鳥結核、腫瘍、心外膜炎、 気嚢炎、肺炎、尿毒症 4.1% Other Consumer Protection その他の消費者保護 OCP 2 内臓病変 OCP 3 その他 嚢胞腎、腸炎/胃炎、内臓の糞便汚染、 7.2% 腎炎/腎盂腎炎、嚢虫以外の寄生虫、 腹膜炎 貧血/むれ肉、付着した胆汁、挫傷、 水腫、外部断節、骨折、黄疸、臭気、 皮膚病変、痂皮、毛玉、趾爪 出典: Federal Register(連邦公報) November 2, 2000 [Docket No. 00-042N] HACCP-Based Inspection Models Project (HIMP): Performance Standards for Young Turkey, Young Chicken, and Market Hog HIMP Plants. 20.5% 農畜水産物の安全性向上のための社会システム ○○地域における 適性農業基準(GAP) ●●地域における 適性農業基準(GAP) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 ○○県食品安全推進会議 ●●県食品安全推進会議 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 生産者、消費者、流通業者ならびに専門家が参加する 全国食品安全推進会議 品質保証計画(QAP) 第三者としての民間の認定機関・試験機関 チェックリストの概要 「家畜の生産段階における 衛生管理ガイドライン」を基に、気象条 件や疾病の発生状況などの地域特性を考慮し、実際に農場で点検 することにより、実務に即した重要項目を選び出したものがチェックリ ストです。安全性を高めるだけでなく、その基礎となる生産性の向上・ 安定にも役立つもので、以下の大項目からなっています。 Ⅰ.素畜・飼料・飲水: 受入れ、検疫、保管、衛生管理 Ⅱ.施設の設計等の要件・保守・衛生管理: 洗浄・消毒、保守管理、 衛生動物 Ⅲ.家畜の取扱い: 健康管理、ワクチン、薬物、病畜、淘汰 Ⅳ.家畜・畜産物の出荷: 集荷、出荷、生産管理情報 Ⅴ.作業員の衛生・教育・訓練: 健康管理、作業内容、衛生教育 ガイドラインには多くの誤り、問題点がある。実態調査に基 ガイドラインの衛生管理マニュアルに沿って作業記録が作成されま すが、従来の生産管理記録と組合せることで、衛生管理と生産性の づいて、適正なものに修正する必要がある。業界の知恵を 関連が明確化されるでしょう。 出し合って、適正な管理項目と管理基準を作っていこう! D.家禽の取り扱い 一般生産農家にとって最も重要な日常管理の要件である。GAPとし てどのような管理基準を設けるかは、日常作業に直接関わることであ り、一般生産農場についての実態調査を実施し、その結果について農 家を交えて十分に検討し、鶏卵の安全性向上に必要でかつ実施可能 な項目を整理し、管理基準を定める必要がある。ガイドラインはこうし た経緯を経ておらず、地域の安全推進会議で検討するための素案を 提示しているに過ぎない。とくに、SE汚染で重要な要素である強制換 羽に関する項目がないことは、ガイドライン作成時に委員の合意がで きなかったためと思われる。 強制換羽を行わない鶏群はわずか1年しか産卵しないとし、NPIPで 強制換羽自体を禁止した訳ではない。農務省統計局(USDA-NASS) の統計では、採卵鶏群の22%が、年間のどの時点でも、強制換羽を 受けている」という記載にあるように、米国における強制換羽の実施 率は年間を通して2割以上とかなり高い。それでも、強制換羽を禁止し た訳ではない。非汚染農場で強制換羽を実施してもSE陽性卵を産む ようになることはなく、重要なのは非汚染農場か汚染農場かの区別で ある。SEに汚染されていない農場を増やすことが肝心である。 ガイドラインでは、下記の4項目を管理基準に上げている。 1 適切な飼料設計について決定されていること。 2 農場で飼料添加物を追加する場合は、飼料内に均一に混和する こと。 3 飼料等添加物等は用法・用量どおりに給与されていること。 4 入雛後、1週間間隔で体重測定を実施すること。 家畜の取扱いにおける飼料の衛生管理項目として、第2、3項目は 不適当である。飼料そのものの安全性に関しては、飼料安全 法に基づいて飼料工場で確保されており、一般生産農場で 抗菌性の飼料添加物を飼料に混合することは違法である。 ビタミン、ミネラル等の「飼料添加物を追加」する場合においても、プレ ミックスを飼料に均一に混合する設備を所有する一般生産農場は稀 であり、そうした飼料攪拌機を備えた所は、飼料工場と同様に飼料安 全法に準拠した基準を適用すべきである。付加価値を高めるために 化学物質を飼料に添加する場合に、その化学物質に不純物が含ま れている可能性もあり、カネミ油症を想起すれば明らかなように、濫り に化学物質を添加すべきではない。 衛生標準作業手順 SSOPの作成 生産管理マニュアルにし たがった生産管理記録 衛生管理マニュアル 各工程の危害要因の制御手順書と 作業記録書の作成 各工程の作業手順書と 作業記録書の作成 A.衛生管理総括表 作業工程 危害要因 防止措置 管理基準 モニタリング 改善措置 記録 B.記録簿のフォーマット 日常作業の重要点検項目、日常的な農場重要点検項目 素畜搬入時検査、 飼料/資材受領と検査、畜舎間移動、薬物/ワクチン使用、疾病発生と 死亡・淘汰、畜舎清掃消毒、使用水消毒、鼠族駆除、機材保守管理、来訪者・車両、化学薬 品在庫、従業員研修、試験室テスト C.検証方法と検証記録 農場内のHACCPチームによる検証から始め、第三者認証組織による検証に移行する。 安全推進会議でチェックリストを作成する手順 1. 法令に定められた基準およびガイドラインの大項目に含まれる 項目について、当該地域の農場における実施状況を調査する。 2.調査結果の解析による重要項目の選定 (1) 実施率が100%または0%の項目はリスト外。 (2) 実施率20%未満または80%以上の項目については、衛 生管理上の重要性が高くないと判断されればリスト外。ここでリスト 内とした項目は、評価点を高くする。 (3) 実施率20~80%の項目について、評価点を検討する。 3. 大項目毎に実施した解析の結果出された重要項目と評価点に ついて、全体のバランスをとる。 4. 原案を安全推進鍵で審議する。 適正農業基準は誰かが決めて一夜でできるものではない。定めた基 準の実施率を高める工夫がないと、「絵に描いた餅」になる。生産段階 に競争の原理を導入すると同時に、消費者の安心を獲得する。 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 認証マーク 無印 安 自 安 全分心 ★ 性に価 を見格 ☆ 購合で ☆☆ 入 っ でた ☆☆☆ き る ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 衛生管理 コスト 市場価格 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ パート4 ● 衛生対策の強化には、モノも 労働も必要です。その経費を公正 に負担する社会システムを皆で考 え、作り上げよう。 300 250 年 間 生 200 産 量 150 (万t) 100 50 0 1966 1972 年 生産量 (億個) 1955 1960 1965 2000 67.4 95.6 186.3 416.3 1978 1984 人口 一人当たり (万人) 年間摂取個数 9008 9430 9921 1,2693 1990 75 101 188 328 1996 日本における鶏卵生産量の推移 2002 350 日本 アメリカ 年 間 300 1 人 当 た 250 り 消 費 個 200 数 フランス ドイツ イギリス 日本でもSE問題で消費が若干落込んだが、米英に比べると軽度で 150 あった。SE食中毒は米英ほど多発せず、世界で唯一の生食文化を 支える日本の鶏卵が安全である証である。問題はそれを消費者に説 明する安全システムがないことにある。GAP推進はそのシステムを 主要国の鶏卵消費量の推移 作ることにある。産官学連携によって、認証システムを作ろう! 調査対象: 300羽以上 ⇒ 1000羽以上 (1000万羽) 千羽 30 一 戸 当 り 25 飼 養 羽 20 数 ( ● ) 15 ● ◆ ● ● ◆ ● ● ◆ ◆ ● ● ● ● (千戸) ● 農産物貿易の自由化による国 際競争の中で、小規模経営農 家は廃業せざるを得なかった。 日本農業の競争力を維持発展 させる環境整備の一つとして、 ◆ GAPを推進しよう! ◆ 飼 15 養 羽 数 10 ( ● ) ◆ 10 8 6 ◆ ◆ ◆ 4 成鶏雌の飼養状況の推移 飼 養 戸 数 ( ◆ ) 円/Kg 250 213 197 ● ●●● 179 ●● 200 150 163 ●● ● ● ● 140 100 50 ● ● 141 171 ● 166 157 ● ●● ● ● 144 ● ● ● ● 183 ● ● 127 安全性を巡る需要の激減と価格 の暴落は、養鶏産業全体に深 刻な打撃を与える。そうした風評 被害を防ぐGAPを推進しよう! ● 95 高病原性 鳥インフルエンザ 0 4 5 6 7 8 2002 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 2003 9 1011 12 1 2 3 4 5 2004 鶏卵卸売価格の変動(全農東京M規格): 養鶏協会資料 10500 ●:餌付け羽数 10000 1998-2003年平均 左目盛り(万羽) 350 9500 300 9000 1㎏当たり 8500 250 ▲:鶏卵の小売価格 8000 2002年、東京 右目盛り(円) 200 1パック当り (白色卵、Lサイズ、10個入り) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 150 採卵用雌雛の餌付け羽数と鶏卵の小売価格の年間変動 Objectives of application HACCP システムを of the HACCP system 適用する目的 Prevention of foodborne illness 食品媒介性疾患の防止 Reduction of costs 食品検査に要する of food analyses 費用の削減 More efficient より効果的な quality assurance 品質保証システム system Reduction of 製品回収による losses due to 損失の削減 product recall Protection of reputation 企業の評判を守る WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚 国際食品微生物規格委員会(ICMSF)による 食品の微生物学的危害因子 危害因子 危害特性 食品例 A 乳幼児、高齢者、虚弱者または免疫力 の低下したヒトのために作られた製品 B 微生物の増殖を支持する成分を含む 生の魚介類や食肉 C 製造過程に管理された殺菌工程がない 調理パン、ケーキ、 惣菜 D 加工後包装までに再汚染される可能性 がある 弁当、カットハム、 カット野菜 E 輸送や消費者の誤った取り扱いで増殖 生の魚介類、食肉、 する可能性がある 卵。調理パン、惣菜 F 包装以降、最終消費の際に加熱工程が 生の魚介類や食肉 ない 国際食品微生物規格委員会(ICMSF)による 食品の微生物学的危険度分類 カテゴリー 食品の性状と危害特性 食品例 Ⅵ 危害因子 A 乳児食、老人食、特定の病人食 Ⅴ B~Fの危害因子を 5個 刺身、幕の内弁当、洋菓子、 生野菜サラダ Ⅳ B~Fの危害因子を 4個 握り飯、ポテトサラダ、惣菜 Ⅲ B~Fの危害因子を 3個 ハム、ソーセージ、無包装蒲鉾 Ⅱ B~Fの危害因子を 2個 スライスハム、調理パン、 Ⅰ B~Fの危害因子を 1個 食パン、包装蒲鉾、乾燥麺 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する インスタントコーヒー、煎餅、 危害発生の恐れがない 0 法的根拠を設けることが重要である 乾し海苔、調味料 低 衛生教育に掛かる費用 個人衛生 自主衛生管理 リ ス ク ・ レ ベ ル 法的規制 高 商品価格 HACCP等 の費用 衛生検査と監視に使われる税金 ハイリスク集団 一般健康成人 リスク管理と経費負担のモデル 低 個人衛生 自主衛生管理 法的規制 リ ス ク ・ レ ベ ル 法的規制 高 衛生教育に掛かる費用 法的規制の水準を上げると、その分、 衛生対策費と監視業務の経費を税金で 賄わねばならない。赤字国債が問題と なっている現状で、実行できますか? 商品価格 HACCP等 の費用 国民経済として 無駄な経費 衛生検査と監視に使われる税金 ハイリスク集団 一般健康成人 リスク管理と経費負担のモデル ハイリスク者により高度の安全性を確保した食品 を届ける流通システムが必要とされています。 より高度の安全性を確保するには、様々な衛生対策費 が発生します。生産段階でも、通常の衛生管理では防げ ない家畜の健康保菌を制御する工夫が必要です。餌や素 畜について、汚染がないことを確認するだけでも大変です。 それらの経費を上乗せしたら、消費者は買うでしょうか? 一般健康成人は、買わないし、買う必要を感じていない でしょう。問題は、ハイリスク者が死亡を含む重大な健康 障害を起こしていることです。 より高度の安全性を付加価値として価格に上乗 せすることが、HACCP普及の鍵です。ハイリスク 者の負担について、税金の補助があっても良いの では? ⇒ 流通システムの工夫が待たれる! GAP推進検討会 本検討会は、次の事項について検討を行う。 ア.わが国におけるGAPの確立・普及に関する基本的事項 イ.個別作物別のGAPの策定・普及 ウ.国内外のGAPの取組に関する情報の収集・分析 エ.その他必要な事項 作物別部会 穀類GAP部会 果樹GAP部会 きのこGAP部会 野菜GAP部会 講習会 アンケート方式による実態調査 調査票配布とりまとめ 海外実態調査 農協(生産基準) 乾燥調製施設・倉庫 事業者の取引基準 消費者の認識 生鮮農産物安全性確保対策事業 (GAPの導入・確立) 農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 生鮮野菜衛生管理ガイドライン 農薬使用基準・適正施肥基準 コーデックス委員会基準 米国・EUの衛生プログラム 各工程の危 害分析によ る衛生対策 方針の策定 GAPの導入・確立 Good Agricultural Practice 適正農業規範 効果の確認 実 経費の負担 施 監査システム 第三者認証 検査・認証 システムの検討 <協議会の作業> 衛生管理措置と衛生管理基準の設定 施設・設備、生産環境・水、農薬・資材、 鼠族昆虫、従業員の衛生教育・訓練、 危機管理体制整備、記録文書 <農家の作業> 危害の種類 微生物 化学物質 GAP構築のための ● 調査研究 ● 指導者養成 作業手順の設定と記録 生産工程のフローチャート作成、 各工程の作業手順の文書化 生産管理記録簿の整備、 ● 協議会設置 ● 実態調査に 基づく方針決定 ● 農家の講習 会 ● GAP導入経 費の負担方法 ⇒価格への転化 とそれに必要な 認証 安全性向上には、経費が掛からないのか? あたかも、 タダでできることを、怠けている 儲けるために、必要なことを省いている やるべきことを、やらないでいる といった「生産者のモラル」を汚す主張が氾濫してい るように思えるが・・・ そうした主張は、事実誤認の悪意によるものです。 家を掃除するにも、掃除機を買わねばならない 食器を洗うにも、洗剤を買わねばならない 衛生対策を強化するには、モノも労働も必要です。 その経費を、誰が負担するかを決めないと、先に進 まないのではないでしょうか? 一部の不祥事から全体を判断する誤り 何時の世も、善人もいれば悪人もいます。 善人とは、悪人とは、もって生まれた性分か? 100%の善人と、100%の悪人がいるのか? 大多数のヒトは、四分六ではないでしょうか? 腐った大根を食材として売りつけるような犯罪人はごく一部 であり、大多数はまじめに働いています。 それでも食中毒事故は起きるのです。 誰かの悪意によって食中毒が起きているのではないので す。 気付いていない作業に、危害が発生することが多いのです。 作業手順のちょっとしたミス、それが原因となるのです。 そのミスは、「農場から食卓まで」の全てのヒトが起しうるの です。食べるヒトのミスによる死亡事故(フグ中毒)が、実は 最も多いのです。誰かを攻め立てる快感に酔いしれている限り、食 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 認証マーク 無印 安 自 安 全分心 ★ 性に価 を見格 ☆ 購合で ☆☆ 入 っ でた ☆☆☆ き ☆☆☆☆ る ☆☆☆☆☆ 衛生管理 コスト 市場価格 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ チェックリストによる評価システム Q1: チェックリストは誰が作成したのですか? ○○県食品安全推進会議が、生産者、消費者、流通業者なら びに専門家を加えた委員会を設け、農場の生産工程を詳細に調 べ上げ、危害が発生しやすい作業工程を探しだし、管理措置と管 理基準を設定したものです。この方法は、HACCP手法に基づい ており、透明性が高いものです。 Q2: チェックリストはどのようにして作成されたのですか? 農林水産省が専門家に委嘱して「家畜の生産段階における 衛 生管理ガイドライン」を2002年に刊行しました。素畜、飼料、畜 舎、家畜の取扱い、作業員の健康と作業内容、出荷など、農場内 の全ての要因について衛生管理マニュアルが示されています。こ れに基づいて、全国的に「生産衛生管理体制整備事業」が展開さ れています。 ガイドラインの内容を、実際に農場で点検することにより、実務 に即した重要項目を選び出したものです。 Q3: チェックリストは地域によって違うのですか? 基本的にはガイドラインに沿っておりますが、寒冷地と温暖地で は家畜の飼養形態や気候によるストレスも異なり、疾病の発生状 況が若干違います。こうした地域特性をガイドラインに付け加える 作業を行っているためです。将来的には、全国統一のチェックリス トを作成する予定です。 Q4: 衛生管理コストとして消費者が余分の負担をするのですか? 食中毒菌に対する抵抗力は、一般健康成人でも一人毎に異な ります。体調を崩している時もあるでしょう。安全性を高めるには 費用がかかります。全てのヒトに健康障害が起きないようにする には、全ての生産物に安全性のコストを掛けなくてはなりません。 それを補助金で賄えば、税金が重くなります。 税金として一律に負担するよりも、体調不順の時に多少の負担 を払った方が、総体として低コストで健康障害を防ぐことができま す。現状でも一般健康成人が食中毒に罹る頻度は高くはありま せん。罹っても、下痢・腹痛程度で、死亡等の重大な障害はあり ません。一律負担で増税するより、合理的なシステムです。 Q5: 衛生管理コストは誰が決めたのですか? 食品安全推進会議が、経営経済学の専門家に依頼して、これ まで実施してきた一般的な衛生対策に新たな対策を付け加える ために必要な費用を集計してもらいました。その結果を、推進会 議で検討し、妥当であると合意したものです。 Q6: 衛生管理コストの内容はどんなものですか? 素畜、飼料、畜舎、家畜の取扱い、作業員の健康と作業内容、 出荷など、農場内の全ての要因について衛生管理マニュアルに 従って実施するために必要となる費用です。畜舎の補修・改善に は費用がかかります。畜舎の洗浄・消毒を徹底するには、消毒薬 の使用量が増え、作業時間が長くなります。畜舎への出入りの際、 着衣や履物を交換するなど、ガイドラインを忠実に実施するには、 作業効率が落ちることもあります。作業員が衛生的に家畜を取扱 うには、教育時間を設けて学習することも必要になります。これも 賃金として支払われます。 こうした費用を専門家が積算して衛生管理コストを算定し、推進 会議でも妥当と判断したものです。 Q7: 品質保証計画(QAP)とは? 工業製品では「品質保証」が付いていますが、農業分野では、 工場のように管理された空間で製造されるものではないため、一 定の品質を確保することは容易ではありません。そのため、品質 規格を設定し、それを保証する取組みが遅れていました。 特定の危害要因に絞って、生産過程の危害発生要因を分析し、 さらに試験検査によって具体的に発生状況を調べ、最も効果的に リスクを下げる工程を定め、定期検査することによって、リスクが 極めて低いことを「品質保証」するものです。 これを実行するには、第三者としての民間の認定機関・試験機 関を育成する必要があります。 Q8: 適正農業基準( GAP)と品質保証計画(QAP)の関連は? 適正農業基準が充足された段階でしか品質保証計画は実施で きません。安定した生産性が保たれなければ、検査の度にデータ がバラつき、解析できません。検査に耐えられる高い生産性を確 保することが先決です。 生産環境がほぼ完全に制御された水耕栽培野菜などでの実施 が先行するものと思われます。 食生活における不安をなくし、安全性につ いての自信を取り戻すためには、農場から食 卓までの関係者すべての努力が必要とされ ています。 衛生対策の強化には、モノも労働も必要で す。その経費を公正に負担する社会システ ムを皆で考え、作り上げましょう。 安全性についての正しい知識と理解を広げ ることが、何よりも大切です。 <その他の視聴覚資料> 1.「基礎編」 HACCP手法研修用教材(日本獣医師会 ) 2. 「危害の紹介: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因」 Robert博士(米国 CDC、病原体低減に関する科学的意見交換会、2002 )
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