米国農務省のHACCP規則(1996年) が赤身肉施設と食鳥肉施設に及ぼし た経済的影響の多段階評価 講演会場・期日 モントリオール、ケベック州 2003年6月27~30日 講演者 研究の全般的背景 食品安全検査局(FSIS)は、最終規則に規定された PR/HACCP法を事後評価するよう求めた その範囲は広範な研究を網羅する PR/HACCPによる食品媒介性疾患の減少 法的検査の有効性と効率 国内的および国際的な経済的影響 食品の安全性に関する消費者の信頼 食肉と鶏卵の安全な生産活動 研究は2002年10月に完了し、RTI と FSIS の職員は、 FSIS 長官 Garry McKee に研究成果を報告した 国内的および国際的な経済的影響: 研究課題 下記の点についてのPR/HACCPの影響: 米国の赤身肉施設と食鳥肉施設における生産性 赤身肉施設と食鳥肉施設の参入率と廃業率 赤身肉施設と食鳥肉施設の廃業に影響する要素 米国の赤身肉と食鳥肉の輸出 米国の赤身肉と食鳥肉の輸入 PR/HACCPシステムの世界的採用 PR/HACCPの 施行計画 期日 1997年1月 対象施設 全ての施設 要件 衛生標準作業手順(SSOP) と体の一般大腸菌検査 1998年1月 大規模施設(従業 員500名以上) HACCP 生肉製品のサルモネラ検査 1999年1月 小規模施設(従業 員10~500名) HACCP 生肉製品のサルモネラ検査 2000年1月 極小規模施設(従業 員10名未満かつ年商 2.75億円未満) HACCP 生肉製品のサルモネラ検査 PR/HACCPが施設の 生産性に及ぼす影響 目的: PR/HACCPがコスト、収益、ならびに、 その他の生産性と関連する変更に及ぼす影響 を説明する 方法: 27回のスケジュールに基づいた面談: 施設管理者(9)、FSIS地域代表(5)、大学の公 開講座(6)、事業者組合(4)、FSIS技術サービ スセンター職員(3) 2002年夏に、主な知見を公表 主な知見: 生産性への影響 大規模施設は、小規模施設に比べて、PR/HACCPに関 連する変更をより多く実施していた 大半の変更は、(物理的または化学的危害よりも)微生物 学的危害に対処するものであった 食品の安全性を向上させるために、施設は生産コストの 増加を余儀なくされた 新たな資本設備の導入 食品安全活動のための要員を増員 作業員に対する訓練の増加 病原体の自主的検査の増加 大半の施設は、PR/HACCPが事業に有益な影響をもた らしたと受け止めていた PR/HACCPが施設の参入および廃業 に及ぼした影響 目的: PR/HACCPの実施前、準備期間、ならびに、施行 後における施設の参入と廃業の割合の変化を調べる 方法: Enhanced Facilities Database(EFD)のデータ を使って、割合の変化を計算し、統計学的検定を行う 施行準備期間の知見は、2003年に「Journal of Agricultural & Food Industrial Organization」に公表 した 主な知見: 参入率 と畜施設 食鳥処理場 処理のみの施設 PR/HACCP以前 施行準備期間 施行後 年 間 平 均 参 入 率 VS=極小規模施設、 S=小規模施設、L=大規模施設 主な知見: 廃業率 と畜施設 食鳥処理場 処理のみの施設 PR/HACCP以前 施行準備期間 施行後 年 間 平 均 参 入 率 VS=極小規模施設、 S=小規模施設、L=大規模施設 PR/HACCPが施設の廃業要因に及ぼ した影響 目的: 期間を通して廃業率を説明できる要因を判定し、 廃業率がPR/HACCPを理由としてどのように変化したか を判定する 方法: 施設が廃業したかどうかを示す2元従属変数から なるクロス・セクション・データ・セット(1993年、1996年、 2000年前半、2002年前半)を用いてプロビットモデルを作 成する 施行期間の成績は、2002年のJAREと2003年のJAFIO に公表した パネル・データ・セットを用いた新しい成績は、まだ公表し ていない 主な成績: 施設の廃業に関する プロビットモデル(Ⅰ) 施設の規模と種類 施行準備中 対 PR/HACCP前 施行後 対 PR/HACCP前 と畜施設 極小規模 小規模 大規模 食鳥処理場 極小規模 小規模 大規模 8.9%増(p=0.03) 7.2%増(p=0.04) 5.8%増(p=0.06) NS=10%の危険率で統計学的に有意差はない 9.4%増(p=0.06) 5.6%増(p=0.04) 主な成績: 施設の廃業に関する プロビットモデル(Ⅱ) 変数 廃業に対する影響 と畜施設 施設の経過年数 と畜規模 家畜の種類 地域の集中度 牛の価格 32年までは、経過年数とともに廃業率は減少 540万頭までは、100万頭毎に廃業率は減少 牛をと殺する施設は、廃業率が低い 市場集中度が高い地域の小規模施設は、廃業率が高い 生体牛の価格が高い州の施設は、廃業率が高い 食鳥処理場 処理羽数 七面鳥 州の賃金率 処理羽数が7,200万羽までは、100万羽毎に廃業率は減少 七面鳥を処理する施設は、廃業率が低い 賃金率が高い州の施設は、廃業率が低い 註:統計学的に有意な変数のみを記載した PR/HACCPの 国際貿易に対する影響 目的: PR/HACCPが赤身肉と食鳥肉の輸入と輸出、な らびに、世界におけるPR/HACCPの採用に影響したかど うかを調べる 方法 米国国際貿易委員会から得た赤身肉と食鳥肉の 取引データを解析する 事業者団体、輸入業者および国際政策・技術支援 センター職員と面談する 同等の文書を精査する 国際貿易の権威者の調査結果を解析する 主な知見: 国際貿易 赤身肉と食鳥肉の国際取引は変化に富んでおり、 PR/HACCP の明らかな影響を特定することは困難である PR/HACCP を理由として、赤身肉と食鳥肉の米国への輸 出を認可された国は僅かであるが、輸入量への影響は無 視できる程度であった 註: 米国に輸出する国は、PR/HACCPシステムと 同等のシステムを持たなければならない PR/HACCP は実際には輸出に影響しなかった: 米国の 製品は既に高品質であると看做されている 米国に輸出していない国であっても、多くの国が PR/HACCP の要件を採用している 最終評価報告資料は、 下記に掲示されている
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