スライド 1

鹿児島経済同友会
3月例会
食の安全性向上の枠組み
安全と費用便益: 衛生費用の負担方法は?
鹿児島大学農学部獣医学科病態・予防獣医学講座
獣医公衆衛生学分野教授 岡本嘉六
国民の健全な食生活に係わる課題
安全性(Safety): 健康障害を起こさない
品質(Quality): 栄養価・風味・食感
自給(Security):
食料不足による健康障害の防止
防犯(Defense): 犯罪やテロによる意図的汚染の防止
食育(Education): 生命倫理の向上=命をいただく感謝
自給(Security):
食料不足による健康障害の防止
「岡本嘉六」でネット検索し、一番上のものをクリック
● 公衆衛生に関する各国の法令等一覧
衛生管理責任者等講習会
最終更新 2006年9月25日
パート1:食品を取り巻く世界と日本の情勢
1.1:国際的食料事情、WTO体制、Codex委員会
(スライド、ナレーション)28枚
1.2:国際獣疫局(OIE)、米国の政策
(スライド、ナレーション)35枚
1.3:日本の動向、「食育基本法」、「食品安全基本法」、「食料・農業・農村基本法」
(スライド、ナレーション)47枚
● 国際的食料事情
新世紀の発展目標に関する報告 2005
国際連合
目標 1:
目標 2:
目標 3:
目標 4 :
目標 5 :
目標 6 :
目標 7 :
目標 8:
極度の貧困と飢餓の克服
一般的な初等教育の達成
男女平等の推進と女性への公的権限の付与
小児死亡率の低減
母体の健康増進
HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服
環境の持続性を確保
発展のための地球的規模での提携の推進
新世紀の発展目標に関する報告 2005 国際連合
サハラ以南のアフリカ
南アジア
目標
Goal1.1. 極度の貧困と飢餓の
Eradicate extreme
poverty
克服
& hunger
サハラ以南のアフリカ
南アジア
東南アジア
東アジア
ラテンアメリカとカリブ海沿岸
西アジア
北アフリカ
発展途上地域
2015年の目標
不十分な食事で生活し
ている人口の割合(%)
Global poverty rates are falling, led
世界の貧困率は低下しており、それは
東南アジア
by
Asia. But millions more people
アジアがもたらした。しかし、サハラ以南
have sunk deep into poverty in subのアフリカだけで100万人以上が貧困に
東アジア
Saharan Africa, where
the poor are
体重が足りない5歳以
喘いでおり、しかも貧困が更なる貧困を
getting poorer. 下の子供の割合(%)
西アジア
生んでいる。
Progress has been made against
飢餓対策は進展してきたが、農業生産
hunger,
but slow growth of agricultural
北アフリカ
output
and expanding populations
高の成長が遅く、ある地域では増大する
have led to setbacks in some regions.
人口が後戻りさせている。1990年以降、
ラテンアメリカとカリブ海沿岸
Since
1990, millions more people are
サハラ以南のアフリカと南アジアにおい
chronically hungry in sub-Saharan
て数100万人が恒常的な飢餓状態にあ
発展途上地域
Africa
and in Southern Asia, where
り、それらの地域では5歳以下の子供達
half the children under age 5 are
の半数が栄養失調に陥っている。
malnourished.
Dietary
Energy Consumption (2000
(2000 -- 2002)
2002)
1日当りカロリー摂取量
サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人)
1969-71 1979-81
92.8
127.0
1990-92
169.0
1995-97 2001-3
196.6
206.2
穀類
インド
砂糖類
中国
芋・豆・野菜
エジプト
肉類
日本
卵類
乳製品
イギリス
魚介類
ドイツ
その他
フランス
米国
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
1人1日当たりKcal
カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年)
(総務省統計局)
肉(kg)、伸び率(%)
60
乳(kg)
600
Live stock to 2020
The Next Food Revolution
50
500
1999, FAO
40
400
30
300
20
200
10
100
0
0
-5
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
牛肉
豚肉
鶏肉
乳
一人当たり年間摂取量の予測
:1993年、
:2020年(推定)、
:伸び率=2020年/1993年
食品1kgを生産するた
めに必要な穀物量
(農水省試算)
牛肉
11 kg
豚肉
7 kg
鶏肉
4 kg
鶏卵
3 kg
大豆油
5 kg
菜種油
2 kg
食肉については、可食部の
生産に必要なとうもろこし量。
油については、各原料の量。
飼料要求率=
飼料摂取量
増体量
鶏肉の飼料要求率=約2
100
90
80
70
60
億 50
人 40
30
20
10
0
世界
発展途上国
先進国
世界人口の推移と予測
(総務省統計局)
食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取
量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に
少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が
輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内
容の改善であった(日本も同様)。
リスク解析: リスク査定、リスク管理、リスク・コミュニケーション
1996
堺市学校給食事故
リスク解析: リスク査定、リスク管理、リスク・コミュニケーション
1996
堺市学校給食事故
細菌
40,000
35,000
細菌
600
30,000
25,000
自然毒
化学物質
自然毒
500
20,000
400
15,000
300
化学物質
200
100
0
食中毒患者数の推移
20
:総数
:細菌
:自然毒
化学物質による死亡者はいない
18
16
14
年 12
間
死 10
亡
数 8
6
4
2
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
25
20
累
積 15
死
亡
者 10
数
5
0
原因食品別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
40
30
累
積
死 20
亡
者
数 10
7年間で67名の死亡者が発生したが、
その中の36名が家庭の食事を原因とし
ており、自分で取ってきたフグ、キノコを
自分で調理して起きた事故である。
0
食事場所別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
死亡者の大半は家庭の食事 (2003~2008)
年
2003
2004
2005
2006
2007
2008
死亡数
6
内家庭
4
その他 販売店
仕出屋
5
3
販売店
不明
7
6
飲食店
5
4
仕出屋
7
6
その他
4
3
販売店
植物性
1
キノコ
4
キノコ3
3
4
キノコ2 キノコ2
トリカブト
グロリオサ グロリオサ
2
キノコ
イヌサフラン
動物性
3
フグ3
1
2
フグ2
2
34名中26名が家庭の食事で死亡!
2
フグ2
1
0
3
3
1
フグ3
フグ3
フグ
細菌性
0
1
2
フグ14名、キノコ9名、グロリオサ2名、トリカブト1名、細菌7名
主な毒成分はアルカロイドの一種、アコ
ニチンで、全草(特に根)に含まれる。食べ
ると嘔吐・呼吸困難などから、摂取後数十
分で死亡する。即効性で、解毒剤はない。
トリカブトによる死因は、心室細動ないし心
停止である。
1986年には「トリカブト保険金殺人事件」
が起きている。
トリカブト
グロリオサ
きれいな花には棘(毒)がある。
美人には手を出すな!
英語でGlory Lily(栄光のユリ)、Flame
Lily(炎のユリ)。和名で、ユリグルマ、キツ
ネユリとも言い、観賞用栽培が広がっている。
球根はヤマノイモやナガイモに似ているが、
コルヒチンやグロリオシンという毒がある。
てっぽう
その毒に「当たる」ことがあることから、昔からさまざまな言い伝え
がある。このため関西では「滅多に当たらないが、当たれば命が危な
い」という意味で「てっぽう」という。「てっさ」、「てっちり」という料理名
はここから来ている。
がんば
長崎県島原地方でフグを指す方言「がんば」は、「がんば置いてで
ん食わんば(棺桶を置いてでも食べなくちゃ)」の略とされている。
町人出の俳人一茶
フグ食わぬ 奴には見せな 不二の山
出自が侍の芭蕉
あら何ともなや 昨日は過ぎて 河豚汁(フクトシル)
八代目 坂東 三津五郎
1975年(昭和50年)1月16日、京都南座の初春公演に出演、滞在中
てっさ
に食したトラフグの肝4人前によるフグ中毒により急逝。享年68歳。
(フグ刺し)
安全性(Safety):
健康障害を起こさない
日本人の安全性意識
ウメーモノ 食って死ねれば 本望テ モンジャ ネーカ
「安全性}は生産者の義務ダロガー
どんな食い方しようが ソリャー 俺の勝手だ!
「安全性}テナー 生産者をヤリコメテ 楽しむ コッタロー
「安全性に金を払え?」 ソンナ アホナコト ホザクナー
ドコノドイツダ ドンデモネーヤローダ 一発カマシタロカ!
「安全性」は 食品添加物 と 農薬 の問題でしょ
無農薬の ナチュラル 製品しか買わないのよ
銘柄品 しか買わないから、食中毒とは関係ないわ
4
2
0
0~4
累
積
死
亡
者
数
12
10
8
6
4
5~9
:動物性自然毒
:植物性自然毒
:大腸菌
:サルモネラ
:ぶどう球菌
:腸炎ビブリオ
10~14
15~19
20~29
中高年への衛生教育
2
0
30~39
40~49
50~59
60~69
70~
年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数
(1996~2002)
年齢
死者数
人口
50歳
15歳
患者数
0
20
40
60
80
100%
食中毒患者数および死者数の年齢別割合
:0~4
:30~39
:5~9
:40~49
:10~14
:50~59
:15~19
:60~69
:20~29
:70~
米国の食品規格コード(Food Code )
1-201 用語の定義と適用範囲
(44)高感受性集団(Highly susceptible
population)とは、次の理由で、一般集団の人より食
品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。
(i) 免疫低下者、就学前児童、老人
(ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または
療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または
補助生活を受けている人。
日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に
関する法的根拠を設けることが重要である
健康弱者
(ハイリスク集団)
自主衛生管理
免疫低下者(HIV、糖尿病、
癌、重度の疾患など)
子供、老人、妊婦、病弱者
に対する特別措置
高度の安全性 = 付加価値
第三者認証
HACCP
(食肉処理場・食品工場)
HACCP
(食肉処理場・食品工場)
一般健康成人
衛生教育
ISO
SQF
Global GAP
農場でのQAP
一般的衛生管理
法律による規制
一般的衛生管理
食品衛生法
一般衛生基準
(PP;Prerequisite Program)
適性製造規範
(GMP;Good Manufacturing Practice)
衛生標準作業手順
(SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure)
衛生基準
営業許可
営業停止
食品の安全性に関わる社会システム:食品工場
永続的改善システム
衛生標準作業手順
SSOP
再吟味
検証
記録
衛生標準作業手順
SSOP
危害分析
再吟味
重要管理点
検証
記録
衛生標準作業手順
SSOP
標準作業手順
SOP
危害分析
一般的衛生管理
PP
重要管理点
HACCPは定まった衛生水準を規定
するものではなく、衛生水準を向上さ
せる永続的システムであり、そのシス
テムの可否を認証するものである。
HACCPと衛生水準
2. 標準作業(SOP)手順書
分類
タイトル
SOP No.
0001
農業用化学物質:
0002
使用と安全性
0003
抗生物質/化学物質の運搬及び保管
放牧場に散布した農
化学物質使用と土質試験
薬が残留基準値以下
散布
家畜の取扱い
0004
0005
0006
0007
0008
家畜の購入
家畜の特定
淘汰
家畜の取扱い、販売と移動
家畜の検疫
飼料
0009
0010
0011
0012
発注と納入
飼料の保管
飼料の配合
飲水
家畜衛生
0013
0014
0015
注射
経口薬、ワクチン接種と寄生虫制御
成長促進ホルモン剤の使用
人工授精
0016
技術の見直し
感染症の持込みと
持ち出しを防ぐ
有害物質等による
飼料や水の汚染防止
薬物の
適正使用
自分で行う場合の研修
出産管理
乳牛の管理
0017 分娩手順
0018
0019
0020
0021
0022
0023
0024
0025
0026
0027
0028
子牛育成
出産後の乳熱
薬剤投与した牛の搾乳手順
乳房炎の監視
病原体の防除
搾乳手順
畜舎環境
畜舎の管理と清掃
廃水処理
廃乳の処分
生乳の冷却と保管
事故に際しての対処法の訓練
酪農に関しては、繁殖、保
育・育成、搾乳など、畜産分
野において最も複雑な作業
工程があり、特別の項が設
けられている。
訓練
0030 従業員の雇用、技術の点検と訓練
一般
0031
0032
0033
0034
0035
0036
内部監査
HACCPの再検討
顧客の苦情
保守
在庫調査
機器の校正
SQF認証に先立って、
農場自らが整備しておかな
ければならない項目
農業用化学物質: 使用と安全性
抗生物質/化学物質の運搬及び保管
SOP No.
0001
目的:適切な方法で化学物質及び抗生物質を運搬及び保管するよう徹底するため
背景:化学物質及び医薬品は、畜産物製品の完全性を保ち、家畜や子供等による偶発
的な汚染や摂取を避けるために、安全で適切な方法で運搬・保管されなければならな
い。
担当
場所
作業・処置
参照
記録
獣医師
用薬剤
の安全
な使用
冷蔵庫
温度記
録
● 農場において使用許可登録されている承
使用前
認製品を使用すること
国の規
後及び
● 鍵付きの倉庫に化学物質や医薬品を保 制当局
使用中
管すること
農場化
学物質
一覧
● 低温で安定した温度で運搬するよう要求
されている化学物質や抗生物質については携
帯用クーラーを使用する
● 冷蔵庫の温度を毎週点検・記録し、2 ~
必要に 8℃の範囲外であった場合は温度調整する
応じて ● 大量貯蔵庫は、抗生物質や化学物質に対
する適切な防御状態であるよう保証すること
● 製品の偶発的汚染は、経口投薬器、注入
器、注射針、試験用バケツ等の機材を完全に
洗浄することによって防ぐことができる
全て
の従
業員
作業
員
時期
農場
/搾
乳室
家畜の取扱い
SOP No.
家畜の購入
0004
目的:適切な家畜の取扱い手順に従い、家畜の健康と安全を確保するための計画を実施し継続す
るため。抗生物質/化学物質の残留状況が不明である家畜の購入を避け、病気や寄生虫の既存の
群への持ち込みを防ぐため。
背景:家畜の健康は、乳製品と肉製品の品質を決める決定的要素である。病気の家畜は、品質の
低下と生産の非効率の原因となる。全ての家畜を信頼できる供給業者から購入することが重要で
ある。これには、育成牛、種雄牛/未去勢牛の入替えを含む。
担当
場所
時期
監督者
家畜
市場
売買時
飼育係
作業
場
敷地内に
家畜が到
着した時
● 家畜に寄生虫に対する処置をすること
農場
家畜の購
入時
● 購入前に家畜の治療標識札を検査すること。
「家畜処置記録票」によって確認すること
● 保留期間の確認
● 不明または汚染された残留状態の家畜の販売
を保留すること(42日間)
農場
家畜を農
場に移動
する前
● 保留期間を必要とする化学物質の使用につい
てパドック記録を点検する
農場
家畜を農
場から移
動する前
● 有害残留物およびヨーネ病について、移動す
る家畜がいた土地を査定する
● 西オーストラリア農務省/DPIおよび獣医師
に連絡する
監督者
/助監
督者
監督者
/助監
督者
監督者
作業・処置
参照
● 売り手から納入業者申告書を入手すること
● 病気のない家畜を購入すること
記録
家畜購入受
領書
Farmnotes
No. 44/91
Agdex
415/28
Guidelines
for a Dairy
Farm
HACCP
System:
Reference
Manual.
1997.
Fact Sheets
2-1 – 2-7.
家畜治療記
録
家畜購入受
領書
パドック記
録および穀
物保管記録
農場外放牧
記録
What
should I consider when buying eggs?
卵を買う時に、何を考えなければならないか?
Buy uncracked Grade AA or A eggs from
冷蔵されている、ひび割れのないグレード
refrigerated cases only. Then, get them home
AAまたはAの卵のみを購入しなさい。
quickly and refrigerate them immediately. If it’s
そして、速やかに帰宅し即座に冷蔵庫に
hot outside or the distance is great, pack
eggs and other perishable foods with ice or commercial coolant in an
しまいなさい。暑い日や道のりが遠い場合は、パック卵とその他の腐
insulted bag or cooler in your car, rather than the trunk. Keep eggs
り易い食品は、車のトランクではなくクーラーに入れるか、氷を入れ
refrigerated until you’re ready to use them.
た携帯クーラーで運びなさい。卵は、使うまで冷蔵しなさい。
市販鶏卵に表示されている「品質・安全性規格」
リスクが減るのは2箇所だけ
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
薬食動病
剤中物気
耐毒薬
性菌残
菌 留
農
づる 獣
く法 医
検律 師
査に に
基よ
的温 間増 る 輸
基度 も殖 に 送
準管 長に つ 距
も理 く必 れ 離
な等 な要 、
細が
いの るな 菌 延
。法 。時 び
場
食肉センター
流 通 過 程
素 飼 畜 動
畜 料 舎 物
薬
・
飲 環
水 境
食 解 カ 出
肉 体 ッ 荷
ト
検
査
輸 市 問 小
送 場 屋 売
店
ばを し を調
、室 か 殺理
菌温 し 滅時
はで 、 すの
増の 食 る加
殖放 材 。熱
す置 や は
るす 料 細
。れ 理 菌
消費過程
調 保 喫
理 存 食
食肉の安全性に関わる社会システム(1)
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
農場における
適正な衛生管理
Pathogen
Reduction / HACCP
病原体低減/HACCP
解体処理工程など
食肉センターの
衛生管理
GAP
QAP
?
HACCP
流通過程が
変わらなければ
農
消費者は
?
リスクは
残る!
場
食肉センター
流 通 過 程
消費過程
素 飼 畜 動
畜 料 舎 物
薬
・
飲 環
水 境
食 解 カ 出
肉 体 ッ 荷
ト
検
査
輸 市 問 小
送 場 屋 売
店
調 保 喫
理 存 食
食肉の安全性に関わる社会システム(2)
Sanitary
Food Transportation
Act
食品輸送衛生法
(米国、1990)
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
GAP
QAP
流通過程の
衛生基準
?
消費者
教育
?
HACCP
農
場
食肉センター
流 通 過 程
消費過程
素 飼 畜 動 食 解 カ 出
輸 市 問 小
調 保 喫
「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実
畜 料 舎 物 肉 体 ッ 荷
送 場 屋 売
理 存 食
ト
環
薬
検
店
・
飲
施することによって、初めてリスクが小さくなる。
査
水 境
食肉の安全性に関わる社会システム(3)
0.25
100
:カンピロバクター、
:サルモネラ
0.2
80
10
万
人 0.15
当
り
死 0.1
亡
率
10
万
60 人
当
り
40 罹
患
率
20
0.05
0
0.0014
0
日本
0
英国
米国
日本
英国
米国
カンピロバクターとサルモネラ食中毒の発生率
2004年に英国が行った 「EU食品衛生規則を統合する提案に対す
る全面的な法令影響査定(Full Regulatory Impact Assessment
on proposals to consolidate EU food hygiene legislation)」に
おける費用便益解析: 設備投資を含まない記録に要する費用。
食品産業における実施費用の要約
要件/費用の要素
影響を受ける企業数
/企業当りの費用
1度限りの業
界費用
SFBBモデルの採用
210,000/30,000円
63億円
SFBB情報―印刷資料
105,000/8,000円
8.4億円
SFBB日誌
413,250/6,000円
24.6億円
製造部門における記録管理
7,000/131,200円
9.2億円
日誌が適していない非製造
部門における記録管理
61,750/131,200円
80.5億円
SFBB日誌の完成
413,250/17,600円
35.8億円
第一次生産部門の費用
160,000/26,000円
42億円)
60万食品企業の費用総額
71.4億円
企業の年間
費用
192.2億円
便益は食中毒事故に伴う費用がHACCP導入によって減少する
として計算された。「痛み、悲しみおよび社会的苦痛に対する追加的
金銭価値」は、交通事故による死亡や傷害等に支払われた慰謝料
等を参考に試算された。
2000年における病気の費用の計算
(i) 病気の実際の価格/費用
(イングランドとウェールズ)
= 328億円
食品媒介性疾患の総症例数
一般開業医を受診した数
一般開業医を受診しなかった数
1,338,772症例
368,516症例
970,256症例
(ii) 食品媒介性疾患による痛み、悲しみおよび社会的苦痛に対する貨幣価値
死亡: 480症例×213,100,800円 =1022.8億円
= 2252.8億円
永久の障害: 480症例×377,740,00円 =181.4億円
一般開業医を受診せず7日以内の症例: 941,148症例×31000円=291.8億円
一般開業医を受診せず7日を超える症例: 29,108症例×392,000円=114.2億円
一般開業医を受診した7日以内の症例: 221,110症例×31000円=68.6億円
一般開業医を受診した7日を超える症例: 146,446症例×392,000円=574億円
(iii) 生産活動停止費用:
= 151.2億円
328億円+ 2252.8億円+151.2億円=2732億円
食品衛生規則: 費用と便益に関する証拠の要約
年
費用
便益(年3%)
1
2
3
264億円
192億円
192億円
90億円
180億円
272億円
4
5
6~10
192億円
192億円
192億円
352億円
456億円
456億円
イングランドとウェールズの2732億円からスコットランドと北アイルラン
ドを含めた英国全体の費用を推定すると、3,016億円。
3,016億円 ×0.03 = 90.48億円
消費者による「返済意志(WTP:willingness to pay)」が調査され
たが、それは購入する食品が改善された食品安全手順に従うものとす
る保証に対して割増金を払う意思があるかどうかというものであり、そ
の結果として3%の割合で費用が減るという根拠が作られた。
低
個人衛生
自主衛生管理
法的規制
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
衛生教育に掛かる費用
法的規制の水準を上げると、その分、
衛生対策費と監視業務の経費を税金で
賄わねばならない。赤字国債が問題と
なっている現状で、実行できますか?
商品価格
HACCP等
の費用
国民経済として
無駄な経費
法的規制
税金
高
ハイリスク集団
一般健康成人
リスク管理と経費負担のモデル
(千頭、人)
40
英国におけるBSEとvCJDの発生の推移
1992年 37,280頭
免疫学的検査法(エライザ法、
ウエスタン・ブロッティング法)の確立
35
30
25
20
15
この間に英国民は、
70~100万頭の
未発症感染牛を食べた。
BSE
10
5
0
2000年 28人
23年間で
わずか164名の
患者に留まった。
vCJD
日本のBSE検査状況
食肉センター
検査頭数
確定
家畜保健衛生所
検査頭数
確定
年度
2001
523,591
2
1,137
1
2002
1,253,811
4
4,315
0
2003
1,252,630
3
48,416
1
2004
1,265,620
3
98,656
2
2005
1,232,252
5
95,244
3
2006
1,218,285
3
94,749
5
2007
1,228,256
1
90,829
2
2008
834,962
0
56,352
0
計
8,809,407
21
489,698
14
100万頭当り陽性率
2.4
28.6
検査費用概算(億円)
880.9
48.9
国際基準: 30ヶ月齢以上の牛について1万頭当り1頭
安心立命
科学と宗教は
車の両輪
安全性
仏教
仏陀釈迦牟尼の教え
キリスト教
イエスの教え
自然科学
宗教
生物学、医学、農学、工学、・・・
社会科学
イスラム教
科学
マホメットの教え
法学、経済学、・・・
人文科学
現実によって動く心の世界の解明と導き
歴史、心理学、文学、・・・
2000年変わらぬ世界
現実にある事象の解析と解決方法の提示
日進月歩の世界
世界観
生命観
危害(Hazard)とリスク(Risk)
「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物
学的、化学的、あるいは物理学的因子、もしくは状態をいう。
他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴
露集団の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推
定値である。」
「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解す
ることは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとく
に重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リス
ク』のような事態はありえない(その他の何についても言え
ることだが)。」
「食品の品質と安全性システム」
FAO: Food Quality and Safety Systems - A Training Manual on Food Hygiene
and the Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) System. 1998
閾値がない
化学物質
▲
栄養素
閾値がある
化学物質
▲
健
康
へ
の
悪
影
響
▲
●
●
●
NOAEL
●
無有害作用
濃度
●
●
●
●
●
●
●
化学物質の用量・反応関係
LOAEL
最小有害作用
濃度
用量(摂取量)
WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource
book for school, college and university students. 2000
無有害作用濃度
一日摂取許容量(ADI )=
100
食品中の残留許容濃度
生
体
反
応
の
強
度
閾
値
致死量
無
有
害
作
用
濃
度
中毒量
閾値がある
化学物質
薬効
用量
一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性)
(μg/ Kg/ day)
1
ニトロソアミン
1O
STRC
(魚の二級アミン + 野菜の硝酸塩)
4NQO
BP
1O 2
BNU
DMBA
MNU
DBNA
3MCA
魚の焼け焦げ
1O 3
Trp-P2
TOX
DBA
Trp-P1
1O 4
AF2
1O
DAN
5
1O 6~
TCE
~
~
~
癌
原
性
の
強
さ
(
動
物
に
癌
を
作
る
用
量
)
カビ毒
AFB1
アフラトキシン
-3
10
-2
-1
2
3
4
5
10
10
1
10
10
10
10
10
Ames法による突然変異原性の強さ(変異コロニー数/μg)
生活環境中物質の発癌性と突然変異原性
10
6
日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより
十分に低いことをもって安全とする。
一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率
発
癌
率
閾値がない
化学物質
10-6
低濃度直線性
実質的安全量
用量
DNA 障害性物質の安全性基準
1930年代の世界不況
自国の産業保護
関税引き上げ
貿易数量制限
為替制限
1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国)
世界戦争の回避策
1947年 第1回関税交渉妥結 → ガット採択
第二次世界大戦
国際復興開発銀行( IBRD ;1945)
国際通貨基金( IMF ;1947)
ガット体制(GATT; 1948 )
「関税及び貿易に関する一般協定」
経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則
(i)貿易制限措置の削減
(ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇)
GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置
「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」
ケネディ・ラウンド(1967) 、東京ラウンド(1979 )妥結
ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1994)妥結: 農産物貿易の原則自由化
1995年 世界貿易機関( WTO ) ← ガット体制
「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」
「農業に関する協定」
食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み
危
害
因
子
に
つ
い
て
の
国
の
衛
生
基
準
B国
A国
非関税障壁
(WTO訴訟)
E国
C国
国
際
基
準
D国
自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図
衛生および食物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)
貿易の技術的障壁に関する協定(TBT協定)
コーデックス委員会
( FAO/WHO 合同食品規格委員会)
( ):部会数、 〔 〕:休会中
事務局
執行委員会
一般問題部会(9)
個別食品部会(11)
一般原則
食品衛生
食品表示
分析・サンプリング
食品輸出入検査証明制度
食品添加物・汚染物質
栄養・特殊用途食品
残留農薬部会
残留動物用医薬品
専門家会議
食品添加物(JECFA)
残留農薬(JMPR)
乳及び乳製品
食肉・食鳥肉衛生
魚類・水産製品
生鮮果実・野菜
加工果実・野菜
油脂
〔ココア製品・チョコレート〕
〔糖類〕
〔穀物・豆類〕
〔植物タンパク質〕
〔ナチュラル・ミネラル・ウォーター〕
特別部会(2)
果実・野菜ジュース
動物用飼料
地域調整部会(6)
アジア
アフリカ
ヨーロッパ
ラテンアメリカ・カリブ海
近東
北アメリカ・南西太平洋
コーデックス委員会の組織図
リスク・アセスメント
リスク管理
Risk Assessment
Risk Management
危害の特定
危険性の評価
Hazard Identification
Risk Evaluation
危害の特性解明
管理措置の査定
Hazard Characteristics
Management Option Assessment
暴露査定
管理措置の実行
Exposure Assessment
Option Implementation
危険性の特性解明
監視と再吟味
Risk Characterization
Monitoring and Review
リスクの情報交換
Risk Communication
リスク・アナリシスの構図
Structure of Risk Analysis.
Risk Management and Food Safety. FAO, Rome, 1997
● 生物学的・化学的実験データ: 性状、純度、
規格、分解性、代謝、薬理作用、変異原性など
毒性評価
(毒性の把握と
認識)
安全性の
科学的評価
● 動物実験データ: 一般毒性、特殊毒性
● 臨床データ: 有効性、副作用など
● ヒト・他の生物の接触経験: 食品成分、
環境物質、代謝物質
● 疫学調査データ: 外国および国内での
使用経験
● 類推される間接科学知見: 化学構造からの類推
意思決定の科学
(行政基準値等)
● 暴露レベル: 生産量、流通、用途、使用法、
一般人との接触度
● 規制の評価: 規制が可能か、規制の効果があるか
● 有用性・有益性
再評価
● その他: 分析技術、感度
化学物質の安全性評価チャート
澤村ほか: 「食品衛生学」、南江堂を基に改変
演
繹
的
資
料
帰
納
法
的
資
料
ヒ
ト
と
の
関
係