支援と対処法 - 大分県教育委員会

発達障がいの支援と対処法
適切な支援,指導を行うためには,
障がいを正しく理解することから
始まります。
大分県教育センター
特別支援教育部
支援と対処法
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集団の授業場面での個への支援
授業のユニバーサルデザイン化
個に応じた指導のポイント(数学),(農業)
授業以外での支援
連携の必要性
赦し(ゆるし)合う関係づくりを
生活の質の改善を
薬物療法
行動療法「トークンエコノミー」
集団の授業場面での個への支援
できるだけ個別指導
を取り入れるとよい
ことは分かっている
のだが・・・
どうしても集団の中
での一斉授業になら
ざるを得ない。
しかし・・・
授業のユニバーサルデザイン化
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一斉授業の内容そのものを個への支援を意識した
ものにしていく必要がある
誰にでもわかりやすく,安心して参加できる授業の
形態
授業のユニバーサルデザイン化
授業の時間を短く区切る
授業の見とおしを持たせる
50分間苦手な生徒も10~15分なら集
中できる,これを利用して授業を短く区
切るという発想。
・ゲーム性のあるもの,声を出したり,活
動を伴うもを取り入れる。
「短い時間ならがまんできる」
「がまんすれば好きな学習ができる」
予定は変わる場合もあるが,急な変更に対
応しにくい生徒が少しでも早く心の準備がで
きるように,見とおしを持たせる。
・通信等で週の予定を知らせる。
・朝のHRで,その日の予定を確認する。
・授業のはじめに,授業の内容を知らせる。
「次に何をやるのか」
「何をがんばればいいのか」(授業のめあて)
授業のパターンを作る
授業の流れや内容をできるだけ同じパ
ターンにする。
ノートの書き方や課題のやり方など,み
んなが同じやり方で取り組むようにする。
同じルール。
繰り返すことで次第に定着し,安心して
課題に取り組める。
学年間,教科間で統一す
ることは高等学校でも可
能な部分はあるはず。
個に応じた指導のポイント(数学)
~指示や説明の理解が遅く,
見とおしを持って考えることができない生徒~
ノートをとる時間,先生の質問の時間,自
分で取り組む時間の区別を明確に
 チョークの色は3色以内で,課題は黄色,
重要ヶ所は赤などと,色ごとに使い分ける
(蛍光色も百円ショップ等で購入可)
 レベルに合わせて,答えられる発問をし,
自信を持たせる
 机間指導の際に赤ペンで○つけをする
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個に応じた指導のポイント(農業)
<野菜作り>~説明を理解し,実行するまでに
時間を要する生徒~ 実体験を生かした指導
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巡回指導と声かけ←順序立てて説明
ノート記入を徹底←完了後は認めの声かけを
実体験で理解を深める←イメージを持たせる。発芽率
を求める計算では,実際に種をまかせ,発芽データから計算させる

4~5人班で栽培管理←班員で協力することを学ばせる。
一つ一つの作業への取組を確認

発表会←人前で発表することでしっかりしたものを作ろうと真剣
に取り組む。準備からかかわらせ,必ず何らかの役割を担当させる
授業以外での支援
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授業での支援と考え方の基本は同じです
発達障がいの生徒が抱えている困難な状態を把握し,
理解し,適切な支援をする
やるべきことを具体的
周囲の生徒が見本
見通しがもてるように
「協力して」は難しい
居場所づくり
周りの対応
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できていることを認め「セルフエスティーム」
(自尊心)を高める対応に努めましょう。
長所と短所を伝え,長所を生かして生活で
きるように支援していきましょう。
連携が必要
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当事者や家族は努力している。一方で関係
者(学校等)もよく頑張っている。
当事者と専門家の連携を深めること。専門
家以外のより多くの関係者の協力を得るこ
とが必要です。
当事者や家族が誰かを頼ればいいのだが,本人
や家族である当事者と学校,医療機関などの関
係者との間には意識の差がある。
赦し(ゆるし)合う関係づくりを

「許す」という字には許容するという意味合いがある。一方,
「赦す」という字には間違いを赦して,とがめないという意味
がある。この「とがめない」という気持ちを持つことが大切。
赦し合う
支え合う
最も重要で
最も難しいこと
認め合う
つながり合う
生活の質の改善を
生活の質を充実させ
るためには,他分野の
人たちの協力も必要。
<社会的な4つの支援>
 情緒的な支援:対話や共感,配慮など
 道具的な支援:仕事の手伝い,環境の提
供など
 情報的な支援:特性に対処するための情
報提供
 評価的な支援:よい面への正当な評価
薬物療法
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薬を併用することで特性をやわらげる効果があります。
ただし,専門の医療機関で診療を受け,適切に使用す
る必要があります。
メチルフェニデート
(商品名:リタリン)
中枢神経刺激薬。神経系,特に
ドーパミンの働きに作用し,衝動性,
不注意の特性をやわらげる効果が
ある。服用の調整をしやすい薬。
一部の人の乱用が問題とな
り,使用できなくなった。
メチルフェニデート徐放剤
(商品名:コンサータ)
リタリンと同じ作用を持つ中枢神経
系刺激薬。薬の構造が違うため,リ
タリンよりも効き目がゆっくり現れる
(徐放)。
18才未満に使用が制限され,大人に
は処方されない。これまでリタリンを
使っていた大人が,薬のない生活に
なっている。
行動療法「トークンエコノミー」
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賞賛や罰を与えることで行動を変えていく
のが「行動療法」です。つまり,やってはい
けない行動が現れたときには,本人にとっ
て嫌な条件を与え,反対に望ましい行動が
現れたときには,好ましい条件を与えるこ
とで行動を変えていく方法です。
具体的にADHDでは「トークンエコノミー」
という行動療法などが行われます。
トークンエコノミー
前もって,よい行動とやってはいけない行動を指示。それぞれに点数を決めておく
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課題を提出できた
課題を完成できた
離席しなかった
私語をしなかった
授業の準備ができた
日程どおりに
課題を始めた
忘れ物をしなかった
+80点
+80点
+20点
+20点
+5点
望ましい行動には,
・ 点数を増やす
・ 賞賛を与える
+5点
+5点
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離席した
ー50点
私語をした
-50点
教師の指示を
聞かなかった
-20点
始業時に授業準備が
できなかった
-20点
課題を提出
しなかった
-50点
やってはいけない行動には,
・ 点数を減らす
・ 「罰」を与える
引用・参考文献
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中学・高校におけるLD・ADHD・高機能自閉症等の指導
自立をめざす生徒の学習・メンタル・進路指導
東洋館出版社
大人のAD/HD 田中康雄 監修
講談社
ササッとわかる最新「ADHD」対処法 榊原洋一 講談社