研究進捗報告 修士1年 山村 将博 06.7.04 1 出発の問題意識(1) 近年地球環境問題が話題になっているが・・・ (例:地球温暖化、砂漠化、大気汚染など) :地球温暖化問題に関しては、アメリカの議定書 脱離や途上国の開発優先という現実がある。 :日本でも、そこまでの危機意識は感じない。 ↓ 今のままで、こうした問題は解決できるの!? 2 出発の問題意識(2) 国際環境問題解決のためには、政治的視点 からだけでなく、科学的視点からのアプロー チも必要。しかし、現実の交渉過程では、まだ まだ政治優位の状況。 環境問題は専門家でない一般の人も意識せ ざるを得ない問題。また、身近に科学を意識 する契機にもなる。 3 出発の問題意識(3) こうした問題を考えていく上で、 科学や新技術といったものはどのような影響 を与えることができるのか、ということに興味 科学の果たす5つの役割 (L.E.サスカインド) 方向づけ、理論構築、理論の証明 科学的報道、科学政策の分析 4 出発の問題意識(4) 各国の環境問題への取り組みに対する温度差の要 因として、国益とのトレードオフ以外にも、科学的報 道・科学政策の分析というのも大きいのでは? なぜなら、我々が日常知る情報は結局メディアに左 右してしまうという側面が大きいので。 つまり、科学にできることを全うできれば問題解決に プラスになるのでは?科学的不確実性の中にも確 かなことは存在。伝えきれていない? 5 オゾン層保護をめぐる例 環境交渉の成功例とされる例、これにより自 分は先の問題意識を持つに至る。 科学者は、フロンとオゾン層破壊の仮説を構 築、証明し、マスコミを通じて市民の危機意識 喚起。 企業はフロンの代替物質という新技術の開発 で大きなインパクト →結果、保護レジームの制定に成功、 確かな削減効果を挙げている。 6 環境問題の分類 :科学的知見が役に立ったとされる例 オゾン層破壊問題、酸性雨、生物多様性条約 :科学がさほど重要ではなかったとされる例 危険廃棄物取引、捕鯨問題、熱帯雨林破壊など 疑問: こうした差はなぜ生じるのであろうか? 7 方法として考えていること 実際に科学や新技術が国際合意形成に影響 を与えた過去の事例を調べ、成功例・失敗例 に共通する要因を検討していきたい。 特に焦点を当てたいのは報道と政策分析。 そのうえで、科学が政治とより相補的になっ て交渉をスムーズに進めていく要素を考える。 8 ひとつのキーワード 知識共同体(Epistemic Community) 「ある特定の分野で、認められた専門知識と能力を 持ち、その分野や問題領域において政策に直接関 係する知識について権威ある発言ができるような専 門家集団」 (Peter.M.Hass) 可能ならば、科学者の集まりとしてのこの知 識共同体も能力も考えてみたい。 9 研究の目的 先に述べたことを通じ、環境外交を考える上 での政治と科学との関係といったものに一石 を投じたい。 また自分自身、この研究を通じて科学や科学 技術と社会との繋がりといったことについて 考えるきっかけとしたいと思っている。 10
© Copyright 2025 ExpyDoc