医療技術進歩の成果と人的医療資源配置の関係 【プロジェクトメンバー】 安川文朗、中田喜文、井上恒男、川口 章、長谷川敏彦、森山美知子 【プロジェクトの概要】 すぐれた医療技術の成果を国民が享受するためには、すぐれた医療従事者が適切に介 在することが必要である。本研究は、これまでおこなってきた看護師の需給研究の結果 を発展的に拡張させながら、医療における技術進歩が国民の well-being を高めるための 条件としての、医療従事者の確保と配置のあり方を検討する。 具体的な研究対象は、近年高度医療機器の普及が進んでいる在宅医療、および高齢期 疾患に適用される新薬の開発・普及に関する分析である。前者では高度医療を実施する ために必要な人的医療資源の投入量や質のあり方が、当該医療を受ける患者や家族、当 該施設・地域の医療成果指標にどう貢献しているか、後者では地域における新薬の普及 (売り上げや処方量で評価)と医療統計指標との関係を量的質的に明らかにする。 本研究は以下の3つの段階から構成される。 1)データの収集 在宅高度医療(在宅人工呼吸器、在宅高カロリー輸液、在宅人工透析)の 全国レベルでの普及実態調査、および坑アルツハイマー治療薬等の高齢期 疾患対象薬剤の開発と普及(国内、国外)実態を調査し、国内数地域の研 究協力施設で研究対象薬剤の使用頻度(地域売上高、処方件数)、在宅高 度医療実施の実態(診療報酬、訪問回数等)に関するデータを収集する。 また、当該地域の人口当たり医師数、看護師数、患者:医師・看護師比率、 および調査対象施設における医師、看護師配置(インプット指標)と、調 査対象施設における在院日数、外来日数、延べ受診日数、予後状況に関す るミクロ医療統計(アウトプット/医療成果指標)データを、施設への聞き 取りや在宅ケアの実態観察などと併せて収集する。 2)分析フレームの構築 データ収集、観察結果から、医療技術の成果と人的医療資源との関係に関 する典型例を抽出し、分析フレームを構築する。このフレームは、データ 解析の基礎となるとともに、医療人的資源の配置と医療の成果に関する将 来的なシミュレーションをおこなう際にも基本となる。 3)データの分析 上記分析フレームにもとづき、アウトプット指標の変化に影響を与える要 因として、インプット指標および技術評価指標との関係を解析する。 4)国際比較 医薬品技術開発に関して、海外における売り上げや医療費動向と、当該地 域の健康指標の変化との関係について日本と同様の分析をおこない、日本 の結果との比較検討をおこなう。
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