山岳を利用した大気観測 乗鞍岳でのエアロゾル 岩坂泰信、長田和雄、 柴田 隆、松永捷司 西田千春、大坪利治 名古屋大学大学院環境学研究科 鈴木款 静岡大学理学部 観測の実施 • 期間:2002年7月26日-8月2日・8月20日-23日・ 9月21日-27日と2003年8月頃 • 観測項目:粒子数濃度,粒子の直接採集,粒子の混 合状態,オゾン濃度,二酸化硫黄濃度,気 温,相対湿度,風向,風速,日射量,雨量など • その他 自由対流圏のエアロゾル観測 • 自由対流圏 地表面の直接的影響が少ない • 自由対流圏 新粒子生成が起きる可能性大 足場となる既存粒子少ない (homogeneous nucleation) 凝縮可能な状態が時として生まれる (低温、光化学反応、ほどほどのガス濃度) • 新粒子生成の環境への寄与が無視できないと の報告ぽつぽつ:海の上が多い 自由対流圏の新粒子生成の観測 •新粒子生成の観測=ナノ粒子の粒径分布の測定が不可欠 •過去の自由対流圏の粒径データは少ない。 •測器の時間分解能が悪いため飛行機観測では× •山岳での観測は時系列のデータを長期間得られるため、粒 子生成が観測される可能性がある。 粒径分布の観測結果 •夏季に支配的な海洋大気で新粒子が観測された。 •流跡線から、下層から上層へ輸送されてきた気塊は、既存粒子が少 なく、新しい粒子を含んでいることが多いことが明らかになった。 新しい粒子のピーク dN/dlogDp (cm-3) 400 Type B 2002/8/10 4:00 Dp,Nucle.= 20 300 logNucle.= 0.08 NNucle.= 54 200 Dp,Aitken= 58 logAitken= 0.27 NAitken= 94 100 0 10 100 Particle diameter (nm) 上昇または水平に輸送 •既存粒子が多いエアロゾルには新粒子は観測されず。 •上層から輸送されてきた気塊には意外と粒子が多い。 •火山の影響か?上層は降水による除去のチャンスが少ないために、粒 子が蓄積している可能性がある。 高濃度 dN/dlogDp(cm-3) 4000 3000 2000 既存粒子 Type A 2002/8/6 2:00 Dp,Aitken= 52 logAitken= 0.13 NAitken= 1083 Dp,Accum.= 141 logAccum.= 0.15 NAccum.= 510 1000 0 10 100 Particle diameter (nm) 緩やかに下降 種々の気塊を比較 • いろいろな履歴を持った接地境界層大気や 自由対流圏大気が通過してゆく (気塊に含まれるエアロゾルのタイプ) • 気塊の違いを利用したエアロゾルの hygroscopic feature の理解 (エアロゾルの化学組成と吸湿性) エアロゾルの化学組成と吸湿性 100 N K 020821(R H =22.8%,fine,N W ) 360 1.0E +07 K c01 8:20-35 180 40 dN /dlogD p /L 60 W D (°) 270 R H (%) K r12 8:23-26 1.0E +06 80 1.0E +05 1.0E +04 1.0E +03 1.0E +02 90 1.0E +01 20 R H (%) W D (°) 0 26-Jul 28-Jul 30-Jul 1-A ug 1.0E +00 0.1 20-A ug 22-A ug 23-A ug 日付 22-S ep 0 24-S ep 26-S ep 1 D iam eter,? N K 020801 (R H =90.8%,W ) K r12 0:06-09 1.0E +07 ※KR12は外気を直接観測 KC01は外気を湿度40%以下に乾燥させて観測 K c01 0:00-11 1.0E +06 山岳地域のため湿度変化が大きい 1.0E +05 dN /dlogD p /L 低湿度時と高湿度時には個数粒径分布 に大きな違いが見られる 10 1.0E +04 1.0E +03 1.0E +02 1.0E +01 1.0E +00 0.1 1 D iam eter,? 10 個数粒径分布の差から、エアロゾル中水分を見積もった。水分と硫酸イオ ン、アンモニウムイオンに相関がみられる。室内実験においてこのような結 果は既に報告されているが、実大気観測によって得られた結果報告は少 ない。さらに、エアロゾル中水分と化学組成の情報は、雲粒核形成や水溶 性ガスの取り込み等を究明するために必要不可欠である。 600 500 7000 6000 400 5000 300 4000 3000 200 2000 100 1000 0 0 1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 サンプルナンバー 51 56 61 66 71 76 水分,ng/m 3 当量濃度,neq/m 3 8000 アンモニウムイオン 硫酸イオン 水素イオン 水分 まとめと今後 • 乗鞍岳での大気観測:手法としての有用性 • 最近の動き: ハワイのマウナロア山での大気観測(長期 観測に加えて国際的なキャンペーンにキース テイションとして参加) ヨーロッパでも同様 韓国-中国-日本で長白山の利用 富士山のレーダ観測終了・閉鎖
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