情報数学1 第0-1章 計算機と情報科学 香川大学工学部 富永浩之 [email protected] 1-1 情報科学とは 情報科学 [Information Science] ≒ 計算機科学 [Computer Science] ≒ 情報工学 [Information Engineering] 情報と計算機に関する科学 情報の性質、計算機の原理、情報処理への応用 計算機は道具であるとともに、 それ自体が科学の対象 顕微鏡科学や洗濯機科学はない [クヌス] 1-2 情報科学を学習する目的 計算機の操作に習熟することではなく、 情報と計算機の特性を理解し、 問題解決の手段として、 様々な情報処理を適切に扱う能力を養成 学科での学習目標は、 使う側(利用者)から作る側(提供者)へ 情報系学科は、 ソフトやネットの使い方を教える だけのパソコン教室ではない! 機械工学は、 自動車の仕組みを学ぶのであり 運転が上手くなるわけでない! 1-3 情報数学とは 情報数学 [Information Mathematics] ≒ 離散数学 [Discrete Mathematics] ≒ 具体数学 [Concrete Mathematics] 計算機と情報処理を理解するための数学 離散(デジタル) 有限・具体 ⇔ ⇔ 連続(アナログ) 無限・抽象 全宇宙の知的生命体に必須? 2-1 数値の表現 ● 10進数と2進数 5 = 5[10] = 005[10] 5 = 101[2] = 0101[2] 自由桁と固定桁 ビット列 ● 整数と実数 5 = +5 5 = 5.0 = 5.0×𝟏𝟎𝟏 符号無と符号付 浮動小数点と理科的表記 ● 分数と複素数 5 = 5/1 5 = 5.0+0.0i 分母と分子 (整数の組) 実部と虚部 (実数の組) 2-2 計算の順序と表現 ● 桁落ちによる誤差 ● オーバーフロー 小数点以下第4位で切捨の電卓 100以上は桁溢れの電卓 1×3÷3=1.0000 ◎ 1÷3×3=0.9999 △ 92-45+31=78 ◎ 92+31-45= × 交換律や結合律は必ずしも成り立たない ● 整数の除算 除算の商は整数に切捨 7×5÷3=11 ○ 7÷3×5=10 ○ 1÷3=0.3333 0.3333×3=0.9999 92+31=123 → × 35÷3=11…2 7÷3= 2…1 2-3 計算の有効範囲と解釈 ● 符号無 ● 符号付 下2桁だけを計算する算盤 ±50の範囲を扱う電卓 19+25=44 ◎ 95+73=68 ○ 168 31-45=86 △ -14 19+25=+44 ◎ 47+35=-18 △ +82 31-45=-14 ◎ ● 数円周 ○ 角度 ○ 時計 360度=0度 -10度=350度=710度 12時=0時 7時+8時=15時=3時 有限世界では数直線より数円周の方が便利なこともある 2-4 計算の効率化と打切り ● 効率化 ○ 分配律 ○ 累乗 (A×B)+(A×C) = A×(B+C) ○ 乗算2回 ◎ 乗算1回 a×a×‥×a=a^8=((a^2)^2)^2 ○ 乗算7回 ◎ 乗算3回 ● 計算の打切り 読上式の乗算 659×456×0=0 ○ 0×659×456=0 ◎
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