Document

経済数学
講義の目的
• 経済学に出てくる数式を一目見て、
• 「わてには、関係ないわ」
• と思わない程度に、経済モデルで出てくるよう
な数学に慣れてもらうこと
• 大学院に進学して経済学を勉強すると仮定し
て、聞いたことがない数学が出てくることがで
きるだけ少なくなるように、広い範囲をカバー
数学は、慣れ
• "To paraphrase J. von Neumann, it is not
that we understand mathematics, rather
mathematics just become familiar with
practice"(Estep "Practical Analysis in one
variable")
経済学の数学に慣れる 問題(1)
• 大学の先生は、高校生が、どの程度の数学
を勉強しているか、ほとんど知らない
• 「この本は、高校程度の数学があれば、わか
ります。」と書いてある本のほとんどは、高校
程度の数学では、わからない
経済学の数学に慣れる 問題(2)
• 数IIIに属する 部分がある
• 文系の人は、数IIIコンプレックスがある
• 数IIIは、忍耐があれば、ひらめきは、不要で
やさしい
• 数IIIにコンプレックスを持つと工学部や理学
部に支配される?
• 理系の人でも大学で勉強する経済学の数学
の殆どは大学で初めて見る
記法(notation)の問題
高校までの数学では、変数や関数は、明示
– x2+3x, f(x)
– x,y,z:変数の例
• 経済学では、文脈で、同じ記号が様々な用い
られ方をする
– K :資本(変数)
– K (t) :時点tの資本(関数)
– K :時間を省略し関数
• 数学的表現は、コミュニケーションの手段なの
で、通じるように、違いを知らせたいところを強
調
スパッとでることは、ほとんどない
2x
2
x  3x
x  5 3
• といった陽表的な表現はほとんど出ない
– D(p,Y) :需要関数の表現例
D  p1 , p2 , Y  DC  p1 ,V  p1 , p2 , Y  
D  p1 , p2 , Y 

 D  p1 , p2 , Y 
p
p1
Y
• スルツキー方程式・・どこにありがたみがあり
そうかツボを心得る必要がある
経済学の数学に慣れる 問題(5)
• 適当な練習問題が作り難い
• 普通の教科書の問題が一番簡単なことが多
い
• 一般化すると、雑誌に載りそうな問題になる。
講義の進め方
• 話を聞いて、フーンと思う 程度にとどめる。
• 家で、本を見て、ウーンと考えること (証明な
ど)は、少ない。
• 基本的に何も見ないで話せる範囲にする。
講義での「例」
•
•
•
•
できるだけ、経済モデルから取る。
古風?
例は、主要部分でおまけではない。
一つの例は、結構重たい
講義の構成
• 1変数の関数の微積分・・数IIIに対応
– ここまでで、10点か20点
• 基礎的な概念・・ここは難しい概念がたくさん
出てくる
• 複数変数(多変数)の関数と偏微分
– いろんなものの価格など複数変数がすぐに出る
• 線形代数の要約
• ここまでが、物語が始まるまでのプロット
講義の構成(続き)
• 比較静学の問題
– 税の効果などいたるところに出る
– 一次式で近似して、連立方程式を解く
– 数学的には、難しい陰関数定理
– 難しいことを考えなくても、微分して式を整理すれ
ばいい。
講義の構成(続き2)
• 関数の最大化・最小化
• 関数の制約付最大化・最小化
– 希少な資源の制約の元で、目的を遂行するのが
経済の目的
– ラグランジュ乗数法
• 包絡線定理の応用
• ここまでが、講義の主要部分・・ここまでわか
れば落ちない。
追加的なテーマ
• 時間を含むモデル
– 利子の計算など・・・微分方程式
• 確率モデル
– 金融や不確実性の経済学に出てくる
– 推測問題がないので、統計学よりはるかに易し
い。
• いずれも、微分より嫌われている積分を使う
形で紹介・・・この前に積分の議論