経営資源の展開 塗 真之子 原田 慎也 渡辺 大輔 目次 1.経営資源と経験効果 1-1.経営資源の重要性 1-2.経験効果 1-3.マーケットシェアの拡大 2.資源配分 2-1.資源配分 2-2.PPM 2-3.PPMのプロット(1)(2)(3) 2-4.PPMの問題点 3.多角化戦略と経営資源 3-1.多角化の定義 3-2.多角化タイプ(1)(2)(3) 3-3.シナジー効果(1)(2) 3-4.最近の多角化企業 4.経営資源のタイプ 4-1.経営資源のタイプ 4-2.情報的経営資源の 重要性 4-3.経営資源の活用 1-1.経営資源の重要性 ペンローズ[1959]:企業成長の要因として, 資源展開の重要性を提唱した 未 資 源利 用 未利用資源とは・・資金調達力や販売力、従業員や管 理についての知識と経験など、もろもろの力の集合体 1-2.経験効果 平 均 生 産 コ ス ト 経験効果:経験が蓄積されるにつれてコス トが低下していく 100円 80円 64円 経験曲線 51円 100個 200個 400個 800個 累積生産量=経験 1-3.マーケットシェアの拡大 平 均 生 産 コ ス ト 企業C Cの平均 生産コスト Bの平均 Cの損失 Bの粗利 販売価格 企業B 生産コスト Aの粗利 Aの平均 企業A 生産コスト 経験曲線 Cの累積生産量 Aの累積生産量 Bの累積生産量 累積生産量=経験 2-1.資源配分 エクスペリエンスカーブでは、 マーケットシェアが第一という考え方 しかし マーケットシェア拡大には、膨大な資金が必要 そして 市場成長率とマーケットシェアの二次元で概念化 =Product Portfolio Management 2-2.PPMとは 多種類の製品を生産、販売したり、多角化企業が戦略的観 点から、経営資源の配分が最も効率的、効果的となる事 業相互の組み合わせ(ポートフォリオ)を決定するための 経営分析 基本的枠組み 1、全社的な全体像を描く部分 2、望ましい資源配分を提示する部分 市 場 成 長 率 花形 問題児 金のなる木 負け犬 相対的マーケットシェア 2-3.PPMのプロット(1) 株式会社原田 ・3つの事業をしている多角化企業 ・売上高:1000億円 売上高構成比 事業1 10% 30% 60% 事業1 事業2 事業3 事業2 事業3 2-3.PPMのプロット(2) 事業2マーケットシェア 事業1マーケットシェア 5% 15% 5% 30% 10% 15% 原田会社 企業1 企業2 企業3 企業4 その他 6% 9% 40% 10% 25% 原田会社 企業1 企業2 企業3 企業4 その他 30% 事業3マーケットシェア 事業1市場成長率:低 10% 事業2市場成長率:高 事業3市場成長率:高 15% 5% 45% 25% 企業1 企業2 原田会社 企業3 企業4 2-3.PPMのプロット(3) 花形商品★ 問題児? 高 市 場 成 長 率 低 事業3 事業2 金のなる木\ 負け犬× 集中と選択的投資を示唆するもの 事業1 4.0 2.0 1.0 0.5 相対的マーケットシェア 0.25 2-4.PPMの問題点 問B 題C 点G マ ト リ ッ ク ス の のP 問P 題M 点自 体 4セルマトリックスでは単純すぎ 成長率は産業全体の魅力度を指し示すのは不 十分 マーケットシェアは競争ポジションを指し示すに は不十分 事業活動から生みだされる情報的経営資源を 無視している 定義の困難性 非現実性 新事業が発生しにくい 3-1.多角化の定義 多角化とは… 『企業が事業活動を行って、外部に販売する製 品分野の多様性が増すこと』 (吉原他1981) 製品分野:意思決定の相対的独立性 (ルメルト1974) 3-2.戦略タイプ(1) 専業型 企業戦略 多角化型 垂直的統合多角化 多角化 集約型 本業中心型 拡散型 関連分野型 集約型 非関連分野型 拡散型 3-2.戦略タイプ(2) 専業型:トヨタ自動車 垂直型:東レ(合成繊維→化学) 本業中心・集約型:資生堂(化粧品→トイレタリ-製品) 本業中心・拡散型:ヤマハ(ピアノ→オ-トバイ,スキ-,ステ レオ) 関連分野・集約型:ホンダ(オ-トバイ→自動車など) 関連分野・拡散型:味の素(調味料→油脂,飼料,加工食品な ど) 非関連分野型:宇部興産(セメント,化学,機械,石炭) 3-2.多角化タイプ(3) 収益性の戦略タイプ間格差 5 4 3 投下資本 収益率(%) 2 1 0 -1 垂 直 型 本 専業 業 ・集 型 本 約 型 関 業 連 ・拡 分 散 型 関 野 ・ 連 集 分 約 野 型 ・拡 非 関 散 連 型 分 野 型 系列1 多角化の程度 3-3.シナジー効果(1) 要因 ・経営資源の共有 ・相互の補完性 種類 ・販売シナジー・生産シナジー ・投資シナジー・経営管理シナジー 3-3.シナジー効果(2) EX:ソフトバンクのシナジー効果 日本テレコムを完全子会社化 →事業向け通信事業を強化 ソフトバンク社長 「連結の収益力が大幅に強化される」と強調 生産・投資シナジー効果に期待 3-4.最近の多角化企業 現状: 専業型・本業中心集約型の 収益性が最も高い 背景:経営手法の改革の必要性 多角化戦略そのものや 連邦型分権組織の見直し 4-1.経営資源のタイプ 経営資源:ヒト・モノ・カネ 可変的資源:必要に応じて市場から調達可能なもの 固定的資源:保有量を増減させるのに時間がかかる その調整に相当なコストがかかるもの 情報的資源 人的資源 物的資源 資金的資源 環境情報:市場や技術についての企業の日常活動を通じて得られるもの 企業情報:ブランドイメージ・企業の信用などその企業に対して便宜を与えてくれるもの 情報処理特性:組織独特のものの考え方や価値観といった個々人の情報処理パターン 4-2.情報的資源の重要性 第一の理由:競争上の優位性の真の源泉だから 例)宅急便-トラック・システム・セールスドライ バーの訓練 第二の理由:それが変化対応力の源泉だから 例)シャープ-電卓事業で蓄積した液晶技術を 使って液晶技術を中心とする企業展開をした 4-3.経営資源の活用 経営資源の活用・利用という視点からは、二 点が重要である ①蓄積された経営資源が、負債になってしまう ことがある ②経営資源をうまく活用する能力が重要な意味 を持つ 参考文献 ・「ゼミナール 経営学入門 」 日本経済新聞社 伊丹敬之,加護野忠男 ・「日本企業の多角化戦略」 日本経済新聞社 吉原英樹,佐久間昭光,伊丹敬之,加護野忠男
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