危機管理プログラム

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危機管理システムの構築
Structure of Crisis Management System
1
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覚えること
3 ~ 10
1.危機管理の概要
2.危機管理のステップと役割・責任
 予防
11 ~ 30
 準備
31 ~ 52
 対応
53 ~ 78
 復旧
79 ~103
システムの継続的改善
2
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危機管理とは?
業務を営む上、必然的にその継続を阻むハザード
(危機的側面)が大なり小なり存在する。
これらの管理を怠ると、とり返しのつかない事態へ
と被害が拡大する可能性が高まる。
起こりうる危機を特定し、予防し、準備し、対応し、
復旧するのが危機管理(Crisis Management)である。
3
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何が危機か?
例えば何かが、
止まり、
無くなり、
機能せず、
違反し、
誰かを失い、
データを失い、
取扱いを誤り、
災害が起こり、
壊れ、
漏れたら、
工程は、
システムは、
会社は、
社員は、
地域は、
顧客は、
社会は、
どうなり?
どう感じるか?
兆候は?
回避策は?
未然防止は?
4
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危機管理のキーワード
危機管理のキーワード、




Prevention
Preparation
Response
Recovery
P2R2
予防
準備
対応
復旧
5
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危機管理(システム構築)手順:予防
1.予防: 危機を特定し、未然防止を図る。
組織を作り、兆候を監視する。
A. 危機管理組織
B. ハザード(危機側面)影響評価
・
・
・
・
ステップ1:
ステップ2:
ステップ3:
ステップ4:
各部門毎、ビジネス毎にハザードを抽出する。
ハザード毎に発生する確率を分析する。
ハザード毎にした場合の影響度を調査する。
リスク(危険度)より、著しいハザードを特定し、
対策の優先を決める。
・ ハザード毎に必要な危険回避策等を検討する。
6
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危機管理(システム構築)手順:準備
2.準備: 危機対応の手順を作り、教育訓練を行
い、危機に備える。
A. 危機管理プログラム
・ 緊急対応手順
・ 事業復旧手順
・ 準備する内容:
①動員及び通知の手順、②危機管理リソースの連絡先(コンタクトリスト)、
③役割と責任、④事故対応のチェックリスト、⑤組織の情報、
⑥使う様式(フォーム)、⑦予備の復旧手順、⑧計画の管理
B. 危機管理の教育訓練
7
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危機管理(システム構築)手順:対応
3.対応: 危機に組織的に対応(短期・長期)する。
内外の情報を管理する。
A. 危機への対応
・ 危機管理の鍵
・ 管理技術(対応順序)
・ 考慮点
B. 本社への報告
8
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危機管理(システム構築)手順:復旧
4.復旧: 復旧または代替にて事業を再開する。
事故の教訓を活かす。
A. 事業の復旧
・ ステップ1: ビジネス(事業側面)影響評価を行い、最も主要
な工程や復旧に時間の影響する機能を明確に
する。
・ ステップ2: 主要な機能に関する“事業復旧計画”を作成する。
・ ステップ3: 危機の際、迅速に“事業復旧計画”を実行する。
B. 事故後のレビュー: 対応を評価し、継続的改善に繋げる。
9
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危機管理システムの定義

「規定」: 危機管理マニュアル
(Crisis Management Manual)
「手順」: 危機管理プログラム
危機管理教育訓練
(Crisis Management Program)
(Crisis Management Training)
「運用」: 事業継続計画 (Business Continuity Plan)
 緊急対応手順
 事業復旧手順

(Emergency Response Procedure)
(Business Recovery Procedure)
「組織」: 危機管理組織 (Crisis Management Organization)
 危機管理委員会
(Crisis Management Committee)
 コアチーム Core Team + P2
→ CMPの推進、BCPの維持
 予防チーム Prevention Team : 影響評価、予防対策、監視巡回
 準備チーム Preparation Team : 計画運用、教育訓練
 危機対策本部
(Crisis Re-mediation Commander)
 本部
Commander + R2 → CMPの実践、BCPの実行
 対応チーム Response Team
: 警備誘導、初期消火、漏洩処理、救出救護、点呼連絡
 復旧チーム Recovery Team
: 警備誘導、復旧対応、指揮進行、手配調達、公報応対
10
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予防
Prevention
11
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ハザード(危機側面)影響評価
事業に関する“危険性”や“弱点”等を影響評価で分析すること。
遭遇する恐れのある最も重大な(著しい)ハザード(危機側面)
とそのリスク(危険度)を特定し、予防、準備、対応、復旧を行う
効果的な危機管理システムを構築する第1ステップとなる。
ハザード影響評価プロセスの4つの基本ステップ
ステップ1:
ステップ2:
ステップ3:
ステップ4:
遭遇する恐れのあるハザード(危機側面)を抽出
ハザード毎に発生する確率(%)を分析
ハザード毎にインパクト(影響度)を調査
リスク(危険度)を総合判断(著しいハザード特定)
12
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ステップ1: ハザード(危機側面)抽出
以下の考慮点をベースに、また、次頁の例などを参考にして、職場で
考え得る遭遇する恐れのあるハザードを抽出する。
人の要因
・作業者が失敗する恐れ
・点検/メンテナンス手順
・社員の態度/モラル
・トレーニングの種類と量
・セキュリティの効果
・作業者の作業負荷
・管理者の業務負荷
・手順の理解度
・社員の能力
技術的要因
・設備の設計/年数/状態
・バックアップ体制
・製造工程/運転条件/能力
・危険有害性のある作業
・主要部品/材料の調達性
・通信能力
・コンピューター設備
・自然災害の影響度
・輸送や物流
組織的要因
・組織力(体制や運用など)
・個人の権限/責任
・経営層の支援
・コミュニケーション体制
・事故報告の仕組み
・予算
・社内/地域のリソース
・計画/手順
・監督官庁との関係
13
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ハザード(危機側面)の例
自然災害
環境、健康、安全
・豪雪/凍結
・地震
・雷雨
・洪水
・台風/竜巻
・大気汚染
・水質汚染
・土壌汚染
・化学物質の暴露/漏洩
・傷病
製品関連
ビジネス上の問題
・不良/欠陥品の流出
・未検品/異品種混入
・ブランドイメージ失墜
・否定的な批評/非難
・不買
・顧客の苦情
・サービスの問題
・顧客の死傷
・安全性や責任の訴訟
・主要部材の入手不可
・流通上での問題
・納入業者の倒産
・偽造
・改ざん
・赤字発表/株価下落
・突然の市場喪失
・信用失墜
・脅迫
・資金問題
・競争に不利な誤報
・重要な契約逃し
・合弁相手の破産
・誤った噂や告発
・官庁の調査/規制
・操業停止
・政治/国際問題
・特許の侵害
・機密情報流出
産業に関わる事故
・PCウィルスや故障
・設備の誤動作
・作業者の重大な失敗
・火災、爆発
・通信システムの故障
・交通機関の事故
・停電
第3者による攻撃
・抗議者
・運動員
・ゆすり
・中傷
・名誉毀損
・匿名告発
・集団訴訟
・爆破予告
・産業スパイ
・テロ
・社会不安
・人質/誘拐
人事関連項目
・差別
・嫌がらせ
・セクハラ
・人員削減や解雇
・窃盗
・暴力/破壊行為
・自殺
・職場放棄/ストライキ
・モラル低減
・密告/告発
経営上の問題
・セキュリティ違反
・株主決議
・代理人闘争
・大幅な政権交代
・本社機能の攻撃
・経営層の死傷
・横領
・敵意ある乗っ取り
・インサイダー取引
14
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ステップ2: ハザード発生の可能性
各ハザード発生の確率を調査し、或いは度数として想定し、
プロットすれば、発生の可能性を視覚的に判断できる。
注) グレー及び境界の場合は高めに採ること。
|_____|_____|_____|_____|
確率
度数
例)
1
1
起こる恐れ有
数十年に1度
千人に1度
操業が停まる
25
2
近い内起こる
数年に1度
百人に1度
工程が停まる
50
3
稀に起こる
数ヶ月に1度
十人に1度
設備が停まる
75
4
100
5
珠に起こる
数日に1度
数人に1度
作業が停まる
良く起こる
数時間に1度
殆ど全員に
休憩する
15
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ステップ3: インパクト(影響度)
次の表を参考にハザード毎に人的及び施設的、事業的、報道的の
4要素に対する影響度(インパクト)を調査する。
影響
影響:小(1点)
影響:大(2点)
致命的な損害(3点)
人的
被害:
重大な傷病はない
何らかの重大な傷病あり
施設的
被害:
極少の損害、生産影響無し
計画外生産停止が4時間未満
社員による通常処置で復旧
極めて小さいか、無い
幾つかのプロセス移転が必要
計画外生産停止が4時間以上
構内での5kg 以上の小規模漏洩
収益や売上げ、キャッシュフロー、
シェア等に多少の影響有り
会社の評判やイメージ、株価に
多少影響する恐れ有り
地方の報道有るか、
問い合わせが多少増える
5人以上の重大な傷病あり
事故や暴力、その他不審な死亡
誘拐や脅迫あり
大規模な移設や製造拠点の移動
計画外の生産停止が1日以上
構内外への大規模漏洩や流出
収益や売上げ、キャッシュフロー、
シェアに相当な損失有り
会社の評判やイメージ、株価に
影響有り
国内、国際的な報道有るか、
問い合わせが相当増える
事業的
被害:
報道的
被害:
例)
報道や問い合わせ無し
ハザード
ランク
人的
火災
地震
漏洩
1
2
3
3
2
1
施設的 事業的 報道的
3
2
1
2
2
2
2
2
3
影響度
可能性
危険度
10
8
7
3
2
2
30
16
14
結果
16
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ステップ4: ①リスク(危険度)の評価
起こり得る 可能性 と 起こった場合の 影響度 を次のチャートにプロットする。
影響:大
12
準備
確率:低
0(1)
火災
赤信号
地震
100(5)
漏洩
監視
確率:高
予期
4
影響:小
17
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ステップ4: ②著しいハザードの特定
発生の可能性と影響度からハザード毎に重み付け(著しいハザードの特定)を行う。
リスク(危険度)のランク付けを行い、対策の優先決め等に反映する。
仮に度数が同得点の場合は
影響度が高い方を重大ととる
1.災害予測による危険度評価
⑤ ランク
(Rank)
① ハザード
:
(Hazard)
:
② 可能性
(Probability)
③ 影響度
(Impact)
④ 危険度
リストより抽出
:
:
(Risk Index)
:
②×③
1
2
3
火災
地震
漏洩
3
2
2
10
8
7
30
16
14
防火
固定
二次受
、…
18
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ステップ4: ②著しいハザードの特定
(続き)
2.危険防止策
・ 危険回避のため、ハザード毎に必要な対策
(費用対効果で検討)をあげる
・ 応急対策→再発防止→予防処置→恒久対策
(必要な場合、更に監視管理等)
19
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ハザード評価結果の例
次を参考にハザード及びリスクの評価結果を危機管理に活用する。
例1. 可能性と影響度のグラフ化(域)より、対応や優先度を決める。
・
・
・
・
赤信号は、最優先に対応する。
準備は、 計画的に対策する。
予期は、 対応の可否を検討する。
監視は、 兆候の監視を検討する。
可能性:影響度(3:8, 5:12)域
可能性:影響度(1:8, 3:12)域
可能性:影響度(3:4, 5:8)域
可能性:影響度(1:4, 3:8)域
例2. ハザードの重み付け(リスク評価)より、対応や優先度を決める。
A. 危険度
・ 15以上は管理プログラム、30以上は著しいハザードに特定
・ 影響度(≒3)かつ発生度(≒5)のハザードは管理プログラム
B. ランク
・ ランクの順位をそのまま優先度に用いる。
20
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C.予防に関する役割と責任の例
管理統括部門
 警告の兆候を得るためメディアの報道を監視する。
 利害関係者と定期的なコミュニケーションを図り、危機の兆候
の予防措置及びブランドイメージや評判を保つ
・ビジネスパートナー
・地域のリーダー
・緊急対応官庁
・保険会社
・流通業者
・競合他社
・投資家や株主
・法務執行機関
・社員
・経営層
・コントラクター
・顧客
・サプライヤー
・メディア
・学校や病院
21
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C.予防に関する役割と責任の例
管理統括部門(続き)
 経済性へのインパクト報告やニュース報道など会社に関する
情報を作成し配布する。
 業務オペレーションの評価を行い、予防となる法的なアドバイ
スを行う。
 危機となり得る懸案の法律問題に関して、マネジメントにアド
バイスする。
 種々の行動の遵法性や法律問題の予防についてマネジメント
にトレーニングを行う。
 投資家、アナリスト、その他利害関係者と良好な関係を維持
する。
22
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門 (続き)
 問題の尺度として経済界、産業界のトレンドを追跡する。
 リスクと保険の填補範囲を毎年見直す。リスク管理戦略を確
立し、ビジネス状況に応じて改定する。
 社員が示す関心、人の行動、うわさや危機へと展開し得ること
を監視する。適切な予防措置を行う。
 健康に関する事故を追跡する。
 新入社員やコントラクターの経歴を調査する。
 ストレスの減少、社員支援のためのリソース、その他可能性
のある問題に対応するトレーニングを提供する。
 危機管理組織と情報を共有する。
23
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
セキュリティ部門
 工場での資産の出入りについての手順や重要箇所の監視に
関する設備導入及び手順を確立する。
 セキュリティに関する事故を監視し、追跡し、適切な予防措置
を行う。事故の傾向をレビューする。
 状況に応じてセキュリティの警告を発する。
 危機管理組織と情報を共有する。
24
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
環境安全部門
 環境に関する事故や負傷記録、ニアミス(ヒヤリハット)を追跡
する。
 官公庁の法令等の動きと危機への兆候を監視する。適切な
予防措置を行う。
 何らかの危機への傾向があるか確認する。適切な予防措置
を行う。
 できる限り毒性の低い化学物質の代替品を探し、代替を進め
る。
 危機管理組織と情報を共有する。
25
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
施設部門




施設の定期点検スケジュールを作成し、実行する。
必要に応じて設備や施設の修理や保守を行う。
防災設備や警報システムを定期的にテストする。
危険性が考えられる場所の立入を規制する。
26
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
情報システム部門
 ネットワークのセキュリティシステムを明確にし、導入し、管理
する。
 ピークとなる時間帯を明確にし、設備の接続性/有効利用度
の拡張等を改善する。
27
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
品質保証部門
 顧客のクレームを監視し、整理する。
 会社の製品の情報を競合する業界内で監視収集する。
 クレームの傾向を分析する。適切な予防措置を行う。
 危機管理組織と情報を共有する。
28
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C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
製造部門
 全ての製造工程に関してリスク調査を行う。
 問題が危機に発展する前に対応する問題管理チームを選任
する。
 リスクの高い製造工程に関して定期的な巡回や点検を行い、
タイムリーに是正措置を行う。
 設備や施設の状況を定期的に点検し、監視する。適切な予
防措置を行う。
 危機の兆候を掴む為にスタッフのレポート等をレビューし、適
切な予防措置を行う。
 製造工程の危険有害性や手順について社員に適切なトレー
ニングを行う。
29
 危機管理組織と情報を共有する。
ESH DATABANK
C.予防に関する役割と責任の例
(続き)
資材部門
 ジャストインタイムやキーとなるサプライヤーの経営状況を監
視し、関係維持を確認する。
 主要な納入品確保のため、サプライヤーが独自の危機管理
計画とビジネス継続計画を持つように共同作業をする。
 ピークとなる活動期間を明確にし、それに従って計画する。
 主要な納入品について代替のサプライヤーを手配しておく。
30
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準備
Preparation
31
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A.危機管理プログラム
次の8項目を網羅した危機管理プログラム《緊急対応手順(ERP)
+事業継続計画(BCP) 》を策定し、その最新版を持っていること。
1.(組織の)動員と通知の手順について
2.内外部の危機管理リソースの連絡先(コンタクトリスト)
3.組織(機能)上の役割と責任について
4.事故対応のチェックリスト
5.組織に関する情報について
6.危機の際に使う様式(フォーム)
7.予備の事業復旧手順
8.計画の管理と改定
*最低でも年1回は見直し、必要あれば改定する。
32
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B.危機管理教育訓練
組織や関連する社員等にて危機対応に効果的な演習や教育訓練
を行う。
1.
危機管理教育: 組織及び社員等に問題管理や指令系統、
特定危機への対応手順、予防と準備、対応、復旧に関する
一般事項を提供する。
2.
危機想定討議: 組織にて想定される危機への対応を討議す
る。各自の役割と行動、協調部分等の自覚・認識に役立つ。
組織は年1回以上行う。
3.
緊急対応訓練: 組織にて手順を準備し、部分訓練や避難訓
練等を通じて、総合的なテストを行う。
組織や社員にて年1回以上行う。
33
ESH DATABANK
B.危機管理教育訓練
4.
コミュニケーション演習: 組織や社員にて手順やリストに従
い、緊急連絡やメディア対応等を討議し、対応能力をテストす
る。組織は年1回以上行う。
5.
危機演習: 組織にて各自の役割や手順を討議し、対応能力
をテストする。
6.
メディア対応訓練: 公共メディアや聴衆等の公報担当を対
象にテストする。
34
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
管理統括部門長
 予め危機の際に使う一般的なコミュニケーション情報を準備し、
定期的に内容を更新する。次が含まれる:






設立や歴史、将来計画などを含む事業概要、最新状況等
製品や工程の概略
社員数や給与等
事業の運営費や購買力、その地域経済への寄与度
慈善行為や地域へのボランティア活動のまとめ
会社や社員に対する官庁、団体、関連業界等からの表彰リスト
35
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
 発生確率が高い危機に対しては予め声明文やQ&A集を準備
し、常に持っていること。次がその例である:
事故や労災には:
設備メンテナンスの記録
傷病の件数や傾向
業界との比較
安全表彰等の情報 等
薬品漏洩等には:
事故と対応の履歴
汚染予防活動費
規制適合性の履歴
改善対策の情報
等
36
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
経営層の死去には:
各経営層の写真と略歴
考えられる後任についての情報
事業継続の計画
等
レイオフには:
地域採用の社員数
地域経済に対する事業の寄与に関する情報
等
 危機の際に必要な情報収集計画を作成する。情報収集責任者
を任命する。情報の報告先を明確にする。
 メッセージを作成し、コミュニケーションを行う担当が緊急連絡
で迅速に召集できることを確認する。
37
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
 危機のケースに応じ、誰が、どんな情報を、誰に発表するかを
網羅したコミュニケーション計画を作成する。
 メディアその他公式な公報担当と代理者を任命し、関連するメ
ンバーと共にメディアとの対応訓練を行う。
 構内視察や定期的な会見、インタビュー等によりメディアとの
良好な関係を維持する。
 危機報道時のインタビュアープロフィールや進行等の情報を
入手し、公報担当や関連メンバーに提供する。
 ラジオやテレビ局の電話番号(夜間時も含め)を入手し、コンタ
クト担当者と代理者を任命しておく。
38
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
 内外部の利害関係者と定期的なコミュニケーション実施を確認
し、警告の兆候があれば、予防措置を取る。
会社側コンタクト
工場長 経営層
管理統括部門
管理統括部門/ESH
人事総務部
品質本部
財務部
資材部
利害関係者グループ
活動家、メディア、法務執行機関、取締官、政府
/公務関係者
緊急対応官庁、学校/病院
地域リーダー、社員
ビジネスパートナー、顧客、競合他社
ブローカー、保険会社、債権者、株主、
投資アナリスト
サプライヤー、流通業者
39
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
 広報内容の責任者、広報担当、方法、その他の手順を含め、
危機下でのコミュニケーション計画を立てる。
 フリーダイヤルを準備し、オペレータの応対状況を確認する。
困った際等のキーパーソンを含め、感情的な 電話にも冷静か
つ親身に応対し、情報を入手し、記録し、担当者に渡す手順を
準備し、トレーニングする。
40
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
経理部門
 給与支払いや経費処理、集金などの作業に代替の施設とス
タッフを予め準備する。
 税金の支払いや地方自治体その他の官庁に支払われた特別
の課税額に関する情報を維持管理する。
 最も起こり得る危機を明確にし、保険の適切な補填範囲を得る。
 業界及び世界の発展状況を監視し、必要に応じて保険の補填
範囲を変更する。
 債権者や保険会社、その他との危機下或いは定期的なコミュ
ニケーション計画を作成する。
 緊急時の費用処理の権限者と手順を事前準備すること。
41
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
人事部門
 予め準備した医療サービス施設で当面の健康管理を行えるよ
うに計画する。
 危機の際に発生した傷病のタイプと件数の情報を速やかに収
集する手順を作成する。
 社員及び退職者(近親者も)の最新リストを維持管理し、迅速
にコミュニケーションや郵送ができるようにする。
 危機下の社員や退職者、犠牲者や家族との問い合わせ対応
や定期的なコミュニケーションを行う計画を作成する。
42
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
人事(続き)
 業務に支障を来す可能性がある社員の世話のため、予め準備
をしておく。その方法として:
どこで業務を行うか、レポートが必要か等を助言する
移動手段と食料を提供する
家族に事態の進展を知らせる
個人の資産を保護する非定常経費のための現金をアドバンスする
託児施設を準備する
 全ての準備活動中に、危機の犠牲者や対応者のために心理的
及び家族のカウンセリングを準備する。
43
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C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門/製造部門/施設部門
 工場所在地や工場長の名前、窓口情報、社員数、及び施設や
保険の観点よりの資産価値の所有リストを持つ。
 法律の観点より最も有り得る危機のシナリオに対する戦略を
立て、文書化する。
 発展し得る懸案事項について発展した場合の対処の仕方と共
に要約し、アドバイスする。
 製品の種類や製造装置、製造工程、最新の検査や点検等の
情報を持つ。
 危機下で物理的に対応できる設備(例;フォークリフトやトラック
で撤去作業や移動等)リストをまとめておく。
44
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門/製造部門/施設部門(続き)
 危機対応設備の提供業者との連絡体制を確立しておく。迅速
な搬入と対応ができるようにしておく。
 設備や作業者等、必要なリソースを24時間体制で調達できる
体制や緊急連絡網を維持管理する。
 工場の地図や系統図、施工図、配管図を維持管理しておく。
 短い通知で必要な経営層とのコミュニケーションができる手順
と体制を作る。
 ビジネスパートナーや競合他社、協力会社との定期的及び危
機下のコミュニケーション計画を作成し、準備する。
 自然災害等にプロによる清掃作業や修理、復旧、救助の迅速
なサービス体制を事前準備する。
45
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
管理統括部門/製造部門/施設部門(続き)
 バックアップの工場へ設備を移設する輸送手段を準備する。
 事業の停滞を避けるための仮設の工程等、バックアップ体制
を準備する。施設や生産設備、事務機器、PC、コミュニケー
ション設備、必要不可欠な記録やソフトウェア等も考慮すること。
46
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C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
環境安全部門
 緊急事態対応計画を維持管理し、地域の緊急対応官庁も交
えて、緊急訓練、避難訓練を行う。
 非定常時の代理機関も含め、外部官庁その他の緊急連絡リ
ストを作成する。
 緊急対応設備を維持管理し、外部官庁の緊急対応に先立っ
て準備する。
 構内の最新の化学物質リストを維持管理し、MSDSがすぐに
見られることを確認する。
 地域の官庁に可能性のある危険性と緊急計画について定期
的に情報を提供する。
47
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
環境安全部門(続き)
 管理統括部門長と連携して危機下の緊急連絡計画を作成し、
維持管理する。
 廃棄物の処理ルートのバックアップを準備する。
 緊急事態対応に伴う廃棄物(廃液を含む)処理、浄化処理の
業者を選定し、契約する。
48
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
セキュリティ部門
 外部リソースの緊急連絡リストを作る。
 緊急時のサポート体制を維持する。必要な場合、応援を要請
する。
 危機下で工場及び社員のセキュリティを確保するためのス
タッフを計画する。
 危機下で機密文書その他の記録を保護する手順を準備する。
 初期対応及び危機に発展した場合の群集管理やメディア対
応等、緊急手順についての訓練を行う。
49
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
情報システム部門
 時間面からの要求、情報の感度から適切と思われるデータの
バックアップシステムを準備する。
 危機の最中にオペレーションの継続に必要なハードウェアと
ソフトウェアを明確にし、準備する。
 オペレーションの復旧のシーケンスを明確にし、準備する。
 危機の状況下で使える代替のコミュニケーション手段を事前
準備する。
50
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
品質保証部門
 顧客との定期的なコミュニケーションを行い、危機下の応急計
画を作成し、問い合わせ対応の準備をする。
 危機下のケースに応じ、顧客に対して言って良いことと、なら
ないことを関連する社員にトレーニングする。
 キーとなる顧客を明確にし、予め継続してサービスを行うため
に代替方法等を準備しておく。
51
ESH DATABANK
C.準備に関する役割と責任の例
(続き)
資材部門
 主要サプライヤーを明確にし、コンタクトリストを維持管理する。
 主要な原材料等に関しては緊急時の代替サプライヤーの計画
を持つ。
 代替の製造場所に主要な原材料等を輸送する計画を予め作成
しておく。
 サプライヤーや流通業者との定期的及び危機下でのコミュニ
ケーション計画を作成し、準備する。
 主要製品の流通チャンネルを明確にし、代替を事前準備してお
く。
 主要サプライヤーの危機対応手順をレビューし、危機下の供給
停止の予防に有効か確認する。
52
ESH DATABANK
対応
Response
53
ESH DATABANK
A.危機への対応について
危機直後の対応とその後の継続した管理に組織が効果的に機能
すること。
効果的な危機管理の鍵となる要素
1.
2.
3.
4.
一人一人の責任を明確にすること
決断(意思決定)の権限
コミュニケーション
迅速な対応
54
ESH DATABANK
A.危機への対応について
対応の順序
1. 周知の事実を確証する
2. ワースト及びベストケースを洗い出す。
3. キーとなる事柄を明確にする。
4. 代替となる戦略を列挙する。
5. 事故を抑制する。
6. 問題を解決する。
7. ダメージを管理する。
8. コア(核)となるメッセージを伝える。
9. 事態を復旧する。
10. 対応を評価する。
55
ESH DATABANK
A.危機への対応について
(続き)
考慮点
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
環境安全衛生影響を最小限にするのが重要課題。最優先
に進める。
社員や隣人等、影響を受ける立場で観察し、関心を求める。
より迅速に上記を言及し、コアとなるメッセージを作成する。
事実と関心を理解し、率直で正直にコミュニケーションする。
大きな問題の兆候や考え得る影響全ての対応に留意する。
電話やメディアの全てに受け身にならず、振り回されない。
「解決すべき」事故と客観的に捉え、問題解決に集中する。
各人の役割や体制を活用し、組織的に活動する。
56
ESH DATABANK
A.危機への対応について
(続き)
考慮点(続き)
9.
10.
11.
12.
13.
定期的に原点に戻り、問題と優先順位を再度考えてみる。
必要に応じ、客観視できる者に意見を求める。
長期的な展望を考える。
全体意思を反映し、最終決定権を持つ一名を指名する。
電話メモや議事録等を、“何を、いつ、知ったか”等の証拠と
して残す。
14. 事故への精神的な反応より、ストレスとなる場合がある。
57
ESH DATABANK
公的な問合せやメディアへの対応
次をガイドラインとして、訓練された公報担当に事故の全情報が
提供され、会社の方針等と照会の上、メディアその他公的な問合
せに対応する。
1. 次の事実を収集し、質問に対応する。
 どんな被害がどの程度か ⇔ どうしてそれが起こったか
 いつ問題に気付きどう対応したか ⇔ 何故気付かないか
⇔ 何故気付こうとしないか
 いつ事故の兆候がありどう対応したか ⇔ 何故兆候がな
かったのか
 会社の責任による事故か ⇔ 会社はどう対応するのか
58
ESH DATABANK
公的な問合せやメディアへの対応
2.
3.
4.
5.
6.
世間が会社を犠牲者或いは英雄ととる様、迅速かつ誠実で
思慮深いコミュニケーションに努める。
信用は会社を回復するが、信用無しは評判やブランドに傷を
付ける。
情報不足でも悩まず、率直に相手に伝え、即座に情報収集に
努める。
権限もなく準備もしていない者に公的な話をさせてはならない。
仮定の質問への回答は控える。
59
ESH DATABANK
B.本社への報告について
特定事故の本社報告は他事業所など同様の事故の重なりを未
然防止する等、極めて重要な意味を持つ。
但し、これは本社機能に必要な情報収集及び提供が主目的であ
り、本社は必要に応じて支援を行うが、事故処理まで統括して面
倒をみる訳ではなく、通常、事業所での事故処理は事業所にて行
う。
60
ESH DATABANK
B.本社への報告について
次は事故の“程度”による報告先だが、判断が曖昧なら、より上層に行う。
影響
レベル1
レベル2
人的
被害:H
重大な傷病がない
何らかの重大な傷病あり
施設的
被害:F
極小の被害か、生産影響無し
予定外の生産停止が4時間未満
構内の薬品漏洩のクリーンアップ作業
事業的
被害:B
小さいか、無い
報道的
被害:M
メディア報道や問合わせがない
他へ生産を幾つか移す必要があ
るような組織的な被害
予定外の生産停止が4時間以上
構内での小規模の薬品漏洩
収益や売上げ、キャッシュフロー、シェア
に多少の影響がある
会社の評判やイメージ、株価への
ダメージの可能性がある
地方メディアが報道か、メディアの
問合わせが多少増える
報告先
 管理本部長
 ERT
 工場長
 危機管理組織
 本社ESH
レベル3
5人以上の重大な傷病あり
事故や暴力、その他不審な死
誘拐や脅迫
大規模な移設や移転が必要な組織的な
被害
予定外の生産停止が1日以上
構内の大規模薬品漏洩や構外流出
収益や売上げ、キャッシュフロー、シェアに相当の
損失が考えられる
会社の評判やイメージ、株価へのダメージの
可能性がある
国内、国際的な報道があるか、メディアの
問合わせが相当増える
 本社社長
 本社ESH
61
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
危機管理組織リーダー
 組織をいつ招集し、行動させるか決定する。
 何が、いつ起こり、誰が関わり、どうしたか、事故情報を総合的
に入手し、確認する。
 問題の核心を明確にする。何が問題を引き起こし、何が問題で
あるかを明確にする。
 効果的な対応のために何が必要かを確認し、発動すべき適切
なリソースを決定する。
 意思決定者に事故の情報及び推奨事項を伝える。
 組織にて問題を徹底的に討議し、迅速でタイムリーな決定を行
い、決定事項を記録し、実施する。
62
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
危機管理組織リーダー(続き)
 経営層や他の事業所とコミュニケーションし、必要に応じて一
緒に活動する。
 危機統括管理統括部門を設置し、組織が効果的に機能できる
様に活動を指揮する。
 広報担当と連携して外部とのコミュニケーションを行う。
 事故の指揮者と調整を行う。
 組織間コミュニケーションの調整や携帯機器(無線機、バッテ
リー、充電器等)の維持管理を行う。
 組織、経営層、その他リソースの最新コンタクトリストを維持管
理する。
63
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
危機管理組織リーダー(続き)
 利害関係者及び彼らの関心を明確にする。対応すべきメンバー
を招集する。
 写真やビデオ、データ等のドキュメントを準備する。
 組織その他、事故の対応者のために交通や宿泊手段を手配す
る。
 必要に応じ、犠牲者や家族、その他の人々に経済等の支援を
行う。
64
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長
 メディアを監視し、組織内でシェアする。不正確な箇所等、会社
の立場を伝えるべき場合、最新情報を提供する。
 メディアやその他全ての問合わせに回答がなされていることを
確認し、回答ログ等を保管する。
 電話の応対者に立場や応対手順を説明する。必要に応じて応
対トレーニングやバイリンガル準備を行う。
 会社の立場のコア(核)となるメッセージを作成する。必要に応
じて各部署より背景となる事実情報等を入手する。
 全てのメッセージをレビューし、全てのコミュニケーションの調
整(流す内容、タイミング、方法等の管理)を行う。
65
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
管理統括部門長(続き)
 広報担当を選任し、コミュニケーション資料や更新内容を提供
し、いつでも話せる状態にしておく。
 公式に声明を発表すべき時期を決め、声明を準備し、リハーサ
ルを行い、プレゼンテーション内容を調整する。
 事故の際に集まるであろうメディアの人間を管理する。彼らが
作業したり、情報を得られる場所を準備する。
 利害関係者の関心事に合致したプレゼン資料を作成し、タイム
リーにコミュニケーションできるよう調整する。
利害関係者には次が含まれる:
ビジネスパートナー/地域のリーダー/緊急対応官庁/保険会社/
流通業者/競合他社/投資家や株主/法務執行機関/社員/経営層/
コントラクター/顧客/サプライヤー/メディア/学校や病院
66
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
環境安全部門
 危険有害物質の漏洩と安全に関わる事故は、迅速に、効果的
に調査する。
 必要に応じて、通信機等の緊急対応設備を提供する。
 危険有害物質の暴露を避け、社員や隣人が直ちに避難したこ
とを確認する。
 危険有害薬品の種類や保管場所を含めた環境安全プログラ
ムの情報を提供する。
 傷病統計や時系列的な薬品漏洩とその対応を示す環境と安
全に関する事故の情報を提供する。
67
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
環境安全部門(続き)
 事故或いは影響等に関する適切な情報を管理統括部門長と
調整し、官庁に提供する。
 管理統括部門長と調整し、官庁やその他の利害関係者らと適
切なコミュニケーションを行う。
68
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
経理部門
 事故の間も、給料、支払小切手、経費明細、その他の経理業
務が停滞していないことを確認する。
 緊急時の資金と臨時経費についての権限を与える。
 ダメージと債務を推定するために保険会社とコンタクトし、保険
に関する苦情を処理する。
 管理統括部門長と調整し、債権者や保険会社、利害関係者ら
と適切なコミュニケーションを行う。
69
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
人事部門
 救急救命士や医療機関等、地域と通じた緊急医療対応を行う。
負傷者数と種類に関する情報を提供する。
 医療のための避難方法や代替の作業場所へ行かなければなら
ない社員の交通、宿泊手段と食料を手配する。
 危機対応及びビジネスに必要な臨時スタッフを手配する。
 社員と退職者のデータへのアクセスができるようにする。
 管理統括部門長と調整し、社員や退職者、犠牲者とその家族、
利害関係者らと適切なコミュニケーションを行う。
 心理的カウンセル、経済的援助、病院や葬儀の手配など、社員
や家族に必要なリソースを提供する。
 犠牲者とその家族を支援する。
70
 社員関係や労務問題について組織にアドバイスする。
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
管理統括部門
 組織の行動や決定、コミュニケーションの法的な影響について
組織にアドバイスする。
 各人に彼らの行動の関連する法的な問題についてアドバイス
する。
 公的、或いは社員らに向けたコミュニケーション案を法律面か
らレビューする。
 法律面から最も影響の少ないアクションをどのようにとるかを
推奨する。
 必要に応じて外部のカウンセルと調整を行う。
 事故に伴って起こる会社に対するクレームや他の団体から起
こり得るクレームを取り扱う。
71
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
品質保証部門
 特に製品の納期に関わる場合は、顧客やサービスユニットに
事態の展開についてのアドバイスを続ける。
72
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
管理統括部門/製造部門/施設部門
 地域の緊急対応機関との調整を行う。
 危機対応とダメージ管理に必要な設備や空間、補給手段など
を入手し、提供する。
 製造工程や製品、社員数、管理職、所有権、設備の種類、緊
急対応能力、主な取引先等、代替工場の情報を提供する。
 最新の配置図、設計図、配管系統図などを提供する。
 製造、コンピュータ、通信、事務間接を含む生産再開に必要な
仮のスペースや設備を入手する。
 代替工場への交通手段についての調整を行う。
73
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
管理統括部門/製造部門/施設部門(続き)
 ビジネスパートナーや協力会社、緊急対応機関、利害関係者
らと適切にコミュニケーションする。
 食料や通信手段、会議室、設備の修理、補給等、構内での緊
急対応者の要求を全て満たしていることを確認する。
 製造再開のための協力会社と清掃業者を管理する。
74
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
セキュリティ部門
 社員や管理職、犠牲者とその家族のセキュリティを確保する。
 事故が発生している区域のセキュリティを確保する。
 セキュリティの懸念や突破の可能性を明確にし、管理するた
めの対策をとる。
 セキュリティ手順についての技術的な情報を提供する。
 セキュリティ関連及び公的な安全機関との調整を行う。
 群集の管理及び報道機関や訪問者などのエスコートを明確化
し、提供する。
 人質交渉人や犯罪専門家をいつ雇うか決定する。彼らとの行
動を調整する。
75
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
セキュリティ部門(続き)
 身の代金交渉を含め、脅迫の事態の取扱いを調整する。
 将来、証拠となり得る危機の間のドキュメントやビデオ、記録
等を提供する。
 必要に応じて組織の各人にセキュリティの概要を説明する。
76
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
資材部門
 最新の供給元リストと主要な供給元の情報を提供する。
 サプライヤーや利害関係者らと適切なコミュニケーションを行
う。
77
ESH DATABANK
C.対応の役割と責任の例
(続き)
情報システム部門
 システムへのダメージの拡大と必要な代替リソースを明確に
する。
 システムを修理すべきか、入れ替えるべきか決定し、実行する。
 システムを調整し、利害関係者からの問い合わせに十分対応
できることを確認する。
 電話会議等のビデオを編集し、その他必要とされるコミュニ
ケーションのリソースを提供する。
78
ESH DATABANK
復旧
Recovery
79
ESH DATABANK
A.事業の復旧
事業の復旧には長期間を要す場合もある。
危機後の主要な事業の代替も含め、迅速に正常化するプロセス
を実行し、事業の停滞と顧客への影響を最小限に抑えることが
危機管理における事業復旧計画の目的となる。
次の3段階を理解し、効果的に事業の復旧を行うこと。
ステップ1: 予め、“ビジネス(事業側面)影響評価”を行い、最も主要な
工程や復旧に時間が影響する機能等を明確にする。
ステップ2: 予め、主要な機能に関する“事業復旧計画”を作成する。
ステップ3: 危機に至れば、できるだけ迅速に復旧計画を実行する。
80
ESH DATABANK
ステップ1:“事業側面影響評価”
特定ハザードにて機能が一定時間停止した場合の影響度の定
量化より著しい(最も時間的・経済的被害が大の)機能を特定し、
救済処置をとる。
ブレーンストーミングによる手早く簡単な分析例を参考として次に
示す。
1.事業の運営に責任を持つ主管部署のキーマン全てを召集する。
2.各自の知識や経験より、比較的正確な高いレベルの想定結果を導く。
3.生産に必要な機能を個々の要素に洗い出し、リストアップする。
例) 受入、製造、出荷、PCサポート、顧客サービス、インボイス発行
/支払い勘定、電話、…
4.その中より、最も生産に主要と考える機能を5つ選び出す。
5.各機能について、次頁の討議を行う。
81
ESH DATABANK
機能停止時の影響評価
特定ハザードで特定機能が特定時間停止した際の時間的及び
経済的影響(被害)を想定し、定量化(その程度による次の点数
付け)を行う。
・
・
・
・
被害無し
若干被害有り
痛みを伴う被害有り
存亡に関わる被害有り
0
1
2
3
注) 財務、顧客、法令、会社の4つのカテゴリーに対し、1時間、4時間、12時間、
72時間、1週間以上機能停止の被害を考慮すること。
82
ESH DATABANK
(事業側面)影響評価の例
例) “火災が発生し、製品の出荷に支障をきたす”場合
被害
財務
顧客
法令
会社
1時間
0
1
1
1
4時間
1
2
1
2
12時間
3
3
1
2
72時間
3
3
2
3
1週間以上
3
3
3
3
以上より、生産停止が4時間以上では痛みを伴う被害、12時間
以上では重大な被害といった影響を想定する。
従って危機の予防と復旧計画には、4時間以内、長くても12時
間以内に(たとえ他工場を使っても)プロセスを復旧しなければ
ならない。
最も時間影響を受ける機能を特定し、事業復旧の優先順位を付けることがで
きる。
83
ESH DATABANK
影響評価:その他の例
もっとシンプルに特定ハザードがビジネスに影響するか、否か
をブレーンストーミング等で決定する手法もある。
火災
地震
ビジネス
影響なし
漏洩
ビジネス
影響あり
(要BCP)
84
ESH DATABANK
ステップ2:“事業継続計画(BCP)“
事業継続計画には次の4つの基本要素を考慮し、反映させる。
事業継続計画の4つの基本要素1:
運営は、顧客の要求仕様を満足し、生産の継続を保証する代
替の機能や方法を持つこと:
① 他工場に同様の生産工程を設ける(ミラーファシリティ)
② 同様の設備と標準化された工程を異なる場所に設け、リスクを分散
する
③ 問題発生時には生産支援を要請できる様、他会社との相互協定を
結ぶ
85
ESH DATABANK
ステップ2:“事業継続計画(BCP)“
事業継続計画の4つの基本要素2:
場所は、迅速性や冗長性(支障無く通える距離、仮に工場が
被災しても影響を受けない)等、復旧のために効果的な条件を決
め、次を参考に実状に合った代替場所を選ぶこと:
① 「活動状態の施設」: 同様の設備により、いつでも同様の生産が
可能
② 「待機状態の施設」: 生産設備はないが、ネットワークやサービス
は可能
③ 「停止状態の施設」: 設備等を移設可能(な空間がある)
86
ESH DATABANK
ステップ2:“事業継続計画(BCP)“
(続き)
事業継続計画の4つの基本要素3:
ハードウェアは、
① 主要な設備仕様を明確にし、それを保証すること
② 所定時間内で必要な修理や設備入替等を可能とする計画を
組むこと
③ 事前に業者を調査し、例え事故が全域拡大しても仕様及び計
画通りに迅速な対応がとれる様、必要な場合、業者にも準備
させる。
87
ESH DATABANK
ステップ2:“事業継続計画(BCP)“
(続き)
事業継続計画の4つの基本要素4:
サービスは、
① 緊急時の人やソフトウェア、支援等への要求事項であり、「ど
の社員をどんな日程でどの場所に送るか」など、作業性に配
慮した手順等を準備すること
② 交通手段や資金、食事、清掃、電話、PC、事務用品等、必要
な生活環境を考慮し、準備すること。
88
ESH DATABANK
“事業継続計画”概要
次が“事業継続計画”の概要である。次頁にその策定ステップを示す。
1.重要資材確保
・ JIT/二社購買
・ 緊急サポート体制
(Critical Resource Assurance)
2.災害時情報伝達
(Crisis Communication)
・ 確度の高い災害情報の入手/警報システム
・ 緊急連絡システム
トランシーバー
3.製造拠点配置
・ バックアップ
・ OEM
(Manufacturing Resources Allocation)
4.事業継続計画
(Facility, Business Continuity Plan)
・ 復旧、交通・通信手段
常備品・応急手当
・ 防災・保安システム
89
ESH DATABANK
“事業継続計画”策定手順
手順1.緊急時の準備と予防
① 社員および緊急対応チームへの教育訓練(危機管理
教育、危機想定討議、緊急避難・対応訓練、コミュニ
ケーション演習、危機演習、メディア対応訓練)
② 防災設備および常備品の点検保全
③ 保安体制(危機管理組織、BCP推進委員会、警備、
施設チーム)
④ 緊急対応手順、設備リスト、復旧手順
⑤ 重要資材やユーティリティ等の供給・排出、バックアッ
プ、権限委譲
90
ESH DATABANK
“事業継続計画”策定手順
手順2.緊急時の対応と復旧
① 緊急対策本部、緊急対応チーム(シフト隊)
② 緊急時警報システム、防災システム
③ 緊急連絡網、通信手段
91
ESH DATABANK
“事業継続計画”策定手順
(続き)
手順3.事業継続策
①
②
③
④
⑤
⑥
社員名簿、来訪者名簿、工事関係者名簿、取引先名簿
重要資材リスト、取引先名簿
非常時持出品リスト、常備品リスト
復旧対策本部、復旧対応チーム
交通手段、通信手段
生産のバックアップ(代替サイト)
92
ESH DATABANK
ステップ3: “事業継続計画“実行
次に復旧が必要な場合、“復旧チーム”が適切に行動するための
要を示す。
1. 危機による事業及び生産への被害や影響を調べる。
2. 予め計画を準備し、戦略を決め、状況に応じて修正を加え
る。
3. 所定の主要な作業を代替の工場や設備、必要な人員によ
り行う。
4. 所定の主要な供給品を代替工場に配送する。
5. 予め他の生産拠点と相互依存の相関項目を決め、代替を
要請する。
6. 最新情報のバックアップを維持管理し、代替工場に移送す
る。
93
ESH DATABANK
ステップ3: “事業継続計画“実行
7. 電話の代替基幹線を手配する。
8. キーとなる製品流通チャンネルを決め、代替として手配する。
9. キーとなる顧客を決め、迅速に代替処置を準備し、サービス
を継続する。
10. 被害を受けた施設の後片付けと復旧に携わる業者を手配す
る。
11. 代替工場での社員の安全や適性等を確認する。
12. 必要な代替の交通手段、支払、経費、食事等を行う。
13. 保険や訴訟等のためにも、記録を残す。
14. 特別のチャージコードを指定し、上記同様、その履歴を残す。
94
ESH DATABANK
メンタルヘルスケア
事故体験による精神的ダメージが行動に出ることがあるので良く
注意すること:
・
・
・
・
・
能力低下或いは向上
意気消沈
集中力低下
睡眠不足
無断欠勤の増加
・
・
・
・
・
不平不満の増加
神経過敏
意気消沈または高揚などの態度の変化
フラッシュバック(その場面の再現)
退社
上記兆候を確認した場合、専門家指導の下、即座に対応することで軽減できる。
1.即座に被害者の社員らに面会し、感情を発散させ、事故の体験を話させる。
2.被害者らにカウンセリングを行い、精神的な障害を克服できるようにさせる。
3.社員らに事故の結果や今後守るべきことについて等の情報を提供する。
4.彼らの給料や仕事に関して事故による影響は全くないことを伝える。
95
ESH DATABANK
B.事故後のレビュー
“事故の教訓”をレビューする。
大切なのは“発言責任を問わず”、非難せずに言動を評価し、建
設的に今後はどう改善すべきかを決めること:
評価の実施
1. 事故による生産への影響内容をレビューする。
2. 事故への対応効果を評価する。
3. レビュー結果を記録に残す。
4. 計画変更や教育訓練、設備購入等、対応項目とその完
了日を決める。
5. “事故の教訓”について他の工場とシェアする。
96
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B.事故後のレビュー
インタビューの実施
事故に関連した社員や顧客、近隣住民、官庁団体等に次の
様な質問をすること:
どんな事故で原因は/最も危険、安心な場所は/解決策は/教育訓
練は/復旧は適切か/未然防止に/体制に/リスク低減に何が必要
か/何に驚いたか/完全に準備できたのは/良くできたのは/できな
かったのは/強みは/弱点は何か/コミュニケーションは/電話は/
アナウンスは/メディアや利害関係者らに核心を伝えたか/評判は/
誠実さは/資産は/財務は/記録やデータ類は保てたか/対応プロ
グラムは/復旧は計画通りか/連絡先は/情報は最新か/各人は/
チームの行動は/役割と責任は/改定/追加/改善すべきか/
97
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C.復旧の役割と責任の例
管理統括部門
 被害の利害関係者と情報交換する努力をする。
 可能性のあるクレームや訴訟に備えてドキュメントを準備する。
 操業が正常復帰まで世論やメディア動向を監視する。
環境安全部門
 是正措置や報告など官庁と調整する。
 除去作業を監視する。
98
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C.復旧の役割と責任の例
(続き)
施設部門
 工場の清掃と復旧を管理する。
 代替工場への人と設備の物理的な移動、復旧作業の調整を
行う。
 復旧できる項目とできない項目を決定し、調整する。
 ユーティリティや防災システム等が正常であることを確認する。
経理部門
 保険やその他の目的のため、対応及び復旧費用を計算する。
 事故の生産影響や損害を計算する。
 保険会社と保険の支払いについて交渉を進める。
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C.復旧の役割と責任の例
(続き)
人事部門
 社員のメンタルヘルスケアを進める。
 事故の間に達成した結果や、その後従うべき事について情報
を提供する。
 社員に業務についてアドバイスする。必要に応じて代替業務
を手配する。
 社員の作業場所への復帰を調整する。必要に応じて臨時ス
タッフを雇う。
 代替工場で生産開始の場合、交通手段、食事、現金のアドバ
ンス等、必要なサポートを手配する。
 社員及び家族の精神的なカウンセリングを継続する。
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C.復旧の役割と責任の例
(続き)
情報システム部門
 必要に応じてバックアップ(代替コンピュータのハードとソフト
等)を準備する。代替工場へ供給する。
 必要に応じて回線やシステムの修理及びテストを行う。
 プログラムが正常に機能していることを確認する。
営業部門
 キーとなる顧客を明確にし、製造とともに製品の納入に支障が
無いことを確認する。
 必要に応じ、製品のための代替の交通と物流の手段を準備す
る。
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製造部門
 製造に必要で且つネックとなる機能を明確にし、それらの機能
を復活させるための適切な対応をとる。
 工程の清掃と復旧を手配する。必要に応じて代替工場を手配
する。施設と設備に関して次を考慮する:
製造/コンピュータサポート/データサービス/電話の基幹線/携帯電話
/空調/電力と照明/事務所施設/環境のモニタリング/健康と安全/
オペレーションのための供給物質/セキュリティシステム/消火システム
/交通と出荷手段/郵便と通信サービス/廃棄物の取扱いと廃棄
 他の生産拠点と相互依存する鍵となる項目を明確にする。必
要な代替を手配する。
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セキュリティ部門
 被災工場と代替工場の人員と資産のセキュリティが適切であ
ることを確認する。
 事故の調査を援助する。
資材部門
 キーとなるサプライヤーを明確にし、必要な納入物資を手配す
る。
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