慶祝 興南会15周年 畜産・園芸に関するシンポジウム 2002年10月30日 鹿児島大学農学部獣医学科 岡本嘉六 国立大学が置かれている現状 ・法人化=大学の構造改革 ・予算の重点配分 中核的研究拠点(COE)形成 国際競争力 産官学協力 地方の時代 鹿児島大学農学部の目指すもの 理念:新しい知の構築による地域振興と世界への提言 目標:高度職業専門人の養成 大学(国立大学)の構造改革の方針(遠山プラン) 文部科学省 平成13年6 月 今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針 経済財政諮問会議 <新世紀維新が目指すもの- 日本経済の再生シナリオ> グローバル化した時代における経済成長の源泉は、労働力人口ではなく、「知 識/知恵」である。「知識/知恵」は、技術革新と「創造的破壊」を通して、効率 性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へヒトと資本を移動 することにより、経済成長を生み出す。資源の移動は、「市場」と「競争」を通じて 進んでいく。市場の障害物や成長を抑制するものを取り除く。そして知恵を出し、 努力をした者が報われる社会を作る。 ・・・・・・ 2.構造改革のための7つの改革プログラム (4)知的資産倍増プログラム 人材大国と科学技術創造立国を実現するために、知的資産を倍増するとの観 点から、教育改革を進めるとともに、ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロ ジー・材料の4分野への戦略的重点化を図る。 大学教育に対する公的支援については、機関補助に世界最高水準の大学を 作るための競争という観点を反映させる。 ・・・・・・民間からの教育研究資金の 流入を活発化するため、大学が受ける寄附金・大学が行う受託研究の充実のた めの環境整備について、税制面での対応を含め検討する。また、社会人に対す る自己啓発の支援を充実する。 「21世紀COEプログラム」 「大学の構造改革の方針」(平成13年6月)に基づき、平成14年度か ら文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置され た。我が国の大学に世界最高水準の研究教育拠点を学問分野毎に 形成し、研究水準の向上と世界をリードする創造的な人材育成を図る ため、重点的な支援を行い、もって、国際競争力のある個性輝く大学 中核的研究拠点(COE)形成 づくりを推進することを目的としている。 Center of Excellence 重点的支援の条件 ① 当該分野における研究上、優れた成果を挙げ、将来の発展性もあ り、高度な研究能力を有する人材育成機能を持つ研究教育拠点の形 成が期待できるもの ② 学長を中心としたマネジメント体制による指導力の下、個性的な将 来計画と強い実行力により、世界的な研究教育拠点形成が期待でき るもの ③ 特色ある学問分野の開拓を通じて創造的、画期的な成果が期待で きるもの ④ 21世紀COEプログラムで行う事業が終了した後も、世界的な研究 教育拠点としての継続的な研究教育活動が期待できるもの 21世紀COEプログラム採択状況 生命科学化学: 28 / 112 、材料科学: 21 / 82 、情報電気、電子: 20 / 78 、 人文科学: 20 / 79 、学際・複合・新領域: 24 / 113、計: 113/464 拠点プログラム名 機関名 <生命科学分野> 動物性蛋白質資源の生産向上と食の安全確保 食資源動物分子工学研究拠点 新世紀の食を担う植物バイオサイエンス 細胞系譜制御研究教育ユニットの構築熊 生理活性ペプチドと生体システムの制御 帯広畜産大学 近畿大学 名古屋大学 熊本大学 宮崎医科大学 <学際・複合・新領域> 野生動物の生態と病態からみた環境評価 生物・生態環境リスクマネジメント 岐阜大学 横浜国立大学 主たる専攻等名 平成15年度概算要求等 帯広畜産大学: 原虫病研究センター 岐阜大学: 連合獣医学研究科獣医学専攻 知的クラスター創出構想 大学としての戦略??? 農学部の改組(岡本私案):附属施設を中核とした産官学連携組織 農学部の改組(岡本私案) 鹿児島食品安全推進会議の設立準備ならびに将来構想(案) 設立目的: 国内外との競争に打ち勝つために、「安全・安心な 鹿児島ブランド」を創る. 準備作業: 業種毎に趣旨説明し、業界のニーズを把握する. 作業主体: 県、大学、「食品安全性問題研究会」、その他 設立準備: 業種毎の作業部会ならびにそれらをまとめる専門 部会を立ち上げ、複数の専門部会の準備が整った段階で推進 会議の設立構想を図る. 準備作業: 畜産部門および水産部門の設立を先行する 作業主体: 畜産課と水産課が主体となり、大学、「食品安全性 問題研究会」等が手伝う. 当面の事業: 業種毎に生産段階での危険性解析を進め、危険 性の低減を確認する.適格事業者の既存の安全性・品質認証 システム(HACCP、ISO)への申請を援助する. 作業主体: 「鹿児島食品安全推進会議」 当面の事業 ステップ1 準備作業: 業種毎に危険性解析を行なうための「査定」、「管理」、 「情報交換」の組織を創る.同時に、危険性管理教育(RME: Risk Management Education)・講演事業をスタートする. 作業主体: 「鹿児島食品安全推進会議」 ステップ2 準備作業: 「査定」、「管理」、「情報交換」の作業を行ない、最重要 の危害因子に関して管理措置と管理基準を設定し実施する.この過 程で、適格事業者の安全性・品質認証システムへの申請を援助する. 同時に、HACCPインストラクター育成事業を始める. 作業主体: 「鹿児島食品安全推進会議」 ステップ3 数年後 将来構想: この組織を母体に、「国際HACCP同盟」に認定される 「鹿児島HACCP同盟」を結成する. 準備作業: 「安全・安心鹿児島ブランド」認定製品マークを作成する. 国内外に宣伝する. 作業主体: 「鹿児島HACCP同盟」 組織図(岡本私案) 危険性解析(Risk Analysis)こそ、HACCP や ISO などの品質・安 全性保証システムの基本的方法論であり、FAO は危険性解析が 査定、管理、情報交換の三つの独立かつ統合した要素からなると している。 日本獣医師会雑誌 「農場から食卓までの食品の安全性と国際基準」 1999 組織図(岡本私案) 専門部会と作業部会における危険性解析の作業分担 (Risk Analysis) 危険性査定(Risk Assessment) 担当:家畜保健衛生所(主)、食肉検査所 課題:食中毒菌の制御法の確立(病原大腸菌、サルモネラ、カンピロバ クター等) 1.選定されたモデル農場を調査し、汚染源、汚染経路を特定する. 2.各種の防除法、予防法の効果を評価する 肉用鶏におけるサルモネラの危険性査定の作業手順例 危害の特定(Hazard Identification):肉用鶏汚染サルモネラの種類 危害の特性解明(Hazard Characterization):各サルモネラの生物学的 特徴と被害状況の把握(鶏、消費者) 暴露査定(Exposure Assessment):種鶏場~農場の鶏、飼料、環境に おける各サルモネラの汚染濃度と頻度の測定 危険性の特性解明(Risk Characterization):汚染源の確率的評価と特 定された制御ポイントにおける各種制御法の効果判定・管理措置と管 理基準の策定 専門部会と作業部会における危険性解析の作業分担 (Risk Analysis) 危険性管理(Risk Management) 担当:生産者(主)、生産団体 課題:安全な畜産物のブランド化に向けた生産管理体制の構築 1.立地条件や経営体制(素畜、飼料、畜舎環境)等から農場を類型化 しモデル農場を選定する. 2.当該農場の防除法、予防法について記録、図面とともに詳述する. 肉用鶏におけるサルモネラの危険性管理の作業手順例 危険性の評価(Risk Evaluation):サルモネラ汚染による経営的得失 (対費用効果:苦情、返品等と清浄化経費) 管理措置の査定(Management Option Assessment):管理基準の達成 に関わる問題点の抽出・整理 管理措置の実行(Option Implimentation):情報交換して合意した管理 措置を実行し、記録する. 監視と再吟味(Monitoring and Review):管理措置の実施における管 理基準の達成度の検討 専門部会と作業部会における危険性解析の作業分担 (Risk Analysis) 情報交換(Risk Communication) 担当:畜産課(主)、生産団体(牛、豚、鶏)、大学 課題:査定と管理の双方にまたがる課題の策定、実施計画策定、なら びにデーター解析の妥当性を検証する. 1.円滑な危険性査定の協力体制構築 2.管理措置と管理基準の策定に関わる協力体制構築 3.管理措置の実行において生じる諸問題の整理・解決 肉用鶏におけるサルモネラの情報交換の作業手順例 合意形成:業界のニーズを確認し、問題解決の技術的および経営経 済的可能性を検討して事業目的を策定する. 実施計画:事業目的達成のため、具体的な実施方法と手順を検討し、 査定担当および管理担当と打ち合わせて実施計画を策定する. 食品事業者を格付け評価 全国初、北海道が導入 北海道では、平成11年7月に「北海道食品安全協議会」を設置し、安全で健康的 な食環境づくりのための諸施策、特にHACCPに基づく自主衛生管理の導入推進 について検討を始め、平成14年3月に、協議会から「HACCP導入促進に関する 試案」の中で、評価基準となる141のチェック項目からなる「評価調書」が示されま した。 「評価調書」を策定するに当たっては、次の点が留意されました。 ① 事業者が自主的に取り組みやすいように、基本的なものからチェック項目を設 し 、徐々 に高いレベルを目指すように、項目を設定する。 ② HACCPを導入するためには、その土台として、手洗いの徹底や調理機器の洗浄消毒な ど一般的衛生管理の取り組みが重要なため、一般的衛生管理事項に重点を置いた評価基 準とする。 ③ ハード、ソフト両面で判断し、なるべく人的、資金的負担をかけない基準とする。 段階 評価 7以上:☆☆☆☆ 6 :☆☆☆ 5 :☆☆ 4 :☆ 3 : 1~2: 1未満: HACCPに基づいた高度な自主管理を実施しています。 HACCPに基づいた自主管理に積極的に取り組んでいます。 HACCPに基づいた自主管理に取り組んでいます。 自主管理ができておりHACCPに基づいた取り組みが可能です。 自主管理に積極的に取り組んでいます。 自主管理に取り組み始めました。 もう少し努力しましょう。 鹿児島大学農学部の 目指すもの 慶祝 興南会15周年 理念: 新しい知の構築による地域振興と世界への提言 目標: 高度職業専門人の養成 1.国内生産拠点として生産技術体系の高度化と安定供給 2.農林畜産物の付加価値向上 3.循環型社会の構築と農村のアメニティー向上 4.生産に係わる地域文化・経済・社会の特色の総合評価 5.動植物海外疾病の浸入防止体制の構築 6.高度職業専門人としての教育改革・生涯教育 7.海外協力によるアジア圏の拠点構築 方策: 農業生産技術の高度化は、それに相応しいフィールドとの連 携が不可欠であり、「21世紀新かごしま総合計画」に基づく行政施策 との協調によって、農林畜産分野の産官学連携プラットホームを構築 する。このセンターを媒体として、 教育・研究活動の多様化・活性化を 図り、産業と結びついた科学の展開と人材養成を行う。
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