スライド 1 - Education in Palliative Care : がん医療

PEACE
Palliative care Emphasis program on
symptom management and Assessment
for Continuous medical Education
Module3 : 症状の評価
症状の評価
メッセージ
症状評価は、患者自身の評価が基準(ゴールドスタ
ンダード)である
開かれた質問(Open-ended question)が重要で
ある
日 常 生 活 へ の 影 響 と 満 足 度 、 Numeric Rating
Scale(NRS)を用いる
疼痛の評価では以下の評価を行う
痛みのパターン・強さ、部位・経過、性状、増悪・軽快因
子、治療の反応、頓服薬の効果と副作用を聞く
疼痛の評価シートがある
症状を包括的に評価するツールがある
目的
この項目を学習した後、以下のことが
できるようになる
簡便に症状を評価することができる
疼痛の評価を行うことができる
症状を包括的に詳しく評価するための、患
者や医療者が記入するツールがあることを
知る
背景
医師・看護師は患者の症状を過小評価
しやすい
McDonald, ONF, 1999., Inouye, Arch Inter Med, 2001
症状を正確に、かつ包括的に評価する
ためには、評価ツールを使用すること
が推奨されている
臨床疑問
評価
簡便に症状を評価する方法は?
痛みについて詳しく評価する方法は?
痛み以外の症状を包括的に詳しく評価する
方法は?
評価の概要(1)
評価ツールを使用す
るか
使用しない
簡便な症状評価の問診
・開かれた質問
・日常生活への影響と満足度
・NRS
使用する
疼痛を詳しく評価する
・問診
・疼痛の評価シート
複数の症状を包括的に評価する
・患者が記入する評価シート
(生活のしやすさに関する問診表)
・医療者が記入する評価シート
(STAS-J)
評価の概要(2)
簡便な症状評価の問診
開かれた質問
生活の影響・満足度
NRS(Numeric Rating Scale)
疼痛を評価する方法
問診
疼痛の評価シート
複数の症状を包括的に評価する方法
患者自身が記入する評価シート
医療者が記入する症状評価シート
簡便な症状評価の問診(1)
開かれた質問
開かれた質問、で患者がもっとも心配
していることを聞く
(症状で)一番困っている
ことは何ですか?
簡便な症状評価の問診(1)
開かれた質問の重要性
開かれた質問(Open-ended question)
「いちばん困っていらっしゃることは何ですか?」のよう
に、はい・いいえで答えられず受け手の自由な応答を促す
質問
最も重要である
閉じた質問(closed-ended question)
「痛みがありますか?」のように、はい・いいえで答えら
れる質問
特定の問題についての情報を収集するために有用である
痛いのはいいんだけ
ど、もっと違う心配が
あるんだけどなあ‥
痛いですか?
簡便な症状評価の問診(2)
生活の支障・満足度
症状の生活への影響、今の治療につい
ての満足度を聞く
症状について今の治療で
満足されていますか?
それとも生活に支障があるので
対応が必要なくらいですか?
簡便な症状評価の問診(3)
NRS
NRS(Numeric Rating Scale)を
きく
症状が全くないときを0、
これ以上ひどい症状が考えられないとき
を10とすると、今日の(症状の)強さは
どれくらいになりますか?
疼痛を詳しく評価する方法(1)
概要
VIDEO
評価する項目
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
日常生活への影響と満足度
疼痛のパターンと強さ
疼痛の部位と経過
疼痛の性状
増悪因子・軽快因子
治療の反応
頓服薬の効果と副作用
疼痛を詳しく評価する方法(2)
問診-1
1. 日常生活への影響と満足度
2. 疼痛のパターンと強さ
NRS
10
10
NRS
0
1. ほとんど症状がない
1日に
NRS
回
NRS
10
10
0
0
NRS
0
2. 普段はほとんど症状がな 3.普段から強い症状があり、 4. 強い症状が1日中続く
いが1日に何回か強い症
1日の間に強くなったり弱
状がある
くなったりする
間欠痛の治療
持続痛の治療
疼痛を詳しく評価する方法(2)
問診-2
2. 疼痛のパターンと強さ
(1)
パターン
• 持続痛か、間欠痛かを聞く
例:
「痛みは1日中ずっとありますか。それとも、
たいていはいいけど、ときどきぐっといたくなります
か」
治療の方針
10
基本的な治療方針
10
持続痛
オピオイドを増量する
0
0
10
間欠痛
レスキューを使う
0
疼痛を評価する方法(2)
問診-3
2. 疼痛のパターンと強さ
(2) 疼痛の強さ
• NRSを用いてきく
これ以上
耐えられないほど
ひどかった
全く
なかった
痛み
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
例: 痛みの強さを数字で言うのは難しいと思うんですけど、血圧のように数字で教えてい
ただくとわかりやすくなりますので教えてください。これが正解というものがあるわけで
はないし、人と比べるものではないので、あなたの感じを教えていただければ結構で
す。ぜんぜん痛くない時を0点、もうこれ以上考えられない位すごくいたいときを10点
とすると、普段いちばん弱いときの痛みは何点くらいになりますか?(○点です) で
は、痛みが一番強くなったときは何点くらいになりますか?(△点です) その強い痛
みがくるのは何回ですか?(□点です)」と聞く。
疼痛を評価する方法(2)
問診-4
3. 疼痛の部位と経過
• がんと関係のない痛みの合併(ヘルペス、蜂窩織炎)や以
前からの痛みの合併(頸椎症)に注意する
4.
疼痛の性状
• 「ズーンと重い」、「ズキっとする」、「ピリピリ電気が
走る・しびれる・じんじんする」を区別する
内臓痛
腹部腫瘍の痛みなど、局在があいまい
オピオイドがききやすい
な鈍い痛み
「ズーンと重い」
体性痛
骨転移など、局在のはっきりした明確な 間欠痛に対するレスキュー
痛み
「ズキっとする」 の使用が重要になる
神経障害性
疼痛
神経叢浸潤・脊椎浸潤など、「ピリピリ
電気が走る・しびれる・じんじんする」痛
み
難治性で鎮痛補助薬を必要
とすることが多い
疼痛を詳しく評価する方法(2)
問診-5
5. 増悪因子・軽快因子
• 痛みを「強める」「やわらげる」要因を聞く
• ケアに生かす
6. 治療の反応
• 効果
る
• 眠気
・・・・・・・・・・・・・
だいたいよくなる
・・・・・・・・・・・・・
はない)
あり(不快)
• 見当識障害 ・・・・・・・・・・・・・
• 吐き気
・・・・・・・・・・・・・
• 便秘
・・・・・・・・・・・・・
かい・普通・硬い)
7. 頓用薬の効果と副作用
• 何回、いつ使用しているかをきく
• 効果
• 眠気、吐き気
なし
少しよくな
なし
あり(不快で
なし
なし
なし
あり
あり
あり(やわら
疼痛を詳しく評価する方法(3)
評価シート
「疼痛の評価シート」を
使用する
もれなく、効率的に疼痛の
評価を行うことができる
複数の症状を包括的に評価する方法
患者自身が記入する評価シート(1)
患者の症状を包括的に詳しく評価する患者が記入するシートがあ
る
生活のしやすさの問診票
Open-ended question
VIDEO
生活の支障と治療の満足度
症状のパタンと強さ(NRS)
複数の症状を包括的に評価する方法
患者自身が記入する評価シート(2)
患者の症状を包括的に詳しく評価する患者が記入するシートがあ
る
生活のしやすさの問診票
VIDEO
頓服薬の効果と副作用
気持のつらさの寒暖計
精神医学的な治療が必要な
抑うつ状態を簡便に
スクリーニングできる
複数の症状を包括的に評価する方法
患者自身が記入する評価シート(3)
VIDEO
複数の症状を包括的に評価する方法
医療者が記入する症状評価シート
患者の症状を包括的に詳しく評価する医療者
が記入するシートがある
STAS-J Support Team Assessment Schedule 日本語版
STAS-J の評価の目安
0 症状がない
1 現在の治療に満足している。時折・断続的な症状
2 時に悪い日があり日常生活に支障をきたす(中程度)
薬の調節や何らかの処置が必要だが、ひどい症状ではない
3 しばしばひどい症状があり、日常生活に著しく支障をきたす(重度)
4 ひどい症状が持続的にある
http://plaza.umin.ac.jp/stas/
まとめ
症状についての治療が十分かどうかは
患者自身に評価してもらう
開かれた質問、日常生活への影響と満足度、
NRS(Numeric Rating Scale)を用い
る
痛みの評価は、評価ツールに従って行
うとぬけがなく、便利である
必要に応じて、症状を包括的に評価する患
者や医療者が記入するツールを用いる
概論: Module2
症状の評価