アドホックルーティングにおける 省電力フラッディング手法の提案 神奈川大学大学院 有川 隼 松田 充敏 能登 正人 序論 • アドホックネットワーク – 自律無線端末群により構成される – 通信インフラが存在しない • IETFのMANET WG – 1994年設立 – プロトコルの標準化 – いくつかがRFC化 プロトコルの分類 Reactive型(On Demand型) 通信要求があってから,経路を確保する すぐにデータ通信を行うことができない 代表例:DSR,AODV Proactive型(Table Driven型) 一定時間間隔でフラッディングを行っている すぐにデータ通信を行うことができる 代表例:OLSR,TBRPF プロトコルに共通 • Route Discovery ①Route Request ②Route Reply ①Route Request: DEST (Destination node)を 発見する為の動作 ②Route Reply: DESTからSRC (Source node)へ 受信できる事を通知 Route Requestにおける 無駄なフラッディング A A A A A A A A A A A A A A A S A A Hop数の制限をす る事も可能だが 狭い範囲でしか通 信できない D RREPがすぐに届いたにも関わらず、周辺でRREPのブロードキャストが 次々に行われてしまう。 本研究では • 無駄なフラッディングをなくす為の フラッディング手法を提案し, 実装する事によりシミュレーション実験を行った. • まず基本的なプロトコルとしてDSRを 取り上げ,本手法が有用であるか どうかを確かめた. 以下,DSRと本手法について述べる DSRのRREQにおけるキャッシュ Cache [S,A,B,C,D] Cache [S,A,B] B Cache [S,A,B,C] D Destination C A S Source Cache [S,A] E Cache [S,A,B,C,E] キャッシュを用いたRREP D B Destination C A Cache [A,B,C,D] S Source RREP E 中継ノードAがDに繋がるキャッシュを所持していた 場合,Dに変わってRREPを返すことができる. Route Error Packets 現在SからDまでのルートが今現在確立されている C Cache [B,C,D] RERR B D Destination A E S Source BはCに送ろうとして,Cがいない事に気づく. まずBは,キャッシュリストから該当キャッシュを削除する. Route Error Packet 生成し,それを返す. 返す相手は,送信要求をしたノード(S)である. 提案フラッディング手法 • • 以上のような無駄を防ぐために、送信ノードから (m,n,l)ホップ先の隣接ノードは、RREQを受け取った後、 すぐに周辺ノードにブロードキャストせず、パケットを所持する。 所持して、一定時間tstopを過ぎるとブロードキャストを再開する。 A A A A A A A A CP(Closing Packets): 経路が見つかったことを知らせる 為に、送信元が送るパケット A A A A A CP A S RREP A A D パケットを溜めること によって,余計に時間が 掛かってしまう[1] 経過時間よりもノード負荷を 下げることを優先 0 パケットを溜めるアルゴリズム 時間 10 20 1hop先の待機時間:2 2hop先の待機時間:4 RREPの送信時間:3 D CPのフラッディング時間:3 S RREQ RREP CP シミュレーション • 正方平面上をランダムにノードが移動する モデル長 ノード数 通信可能距離 移動距離 試行回数 Case1 150×150 2~80 20 5 100フェーズ×1000 Case2 100×100 2~200 20 5 100フェーズ×1000 Packetを溜めるホップ数:提案(i) 1hop先 提案(ii)1hopと2hop先 提案(iii)1hopと2hopと3hop先 パケットの送受信について • 評価パラメータ W(送信にかかる電力消費) Wall (ネットワーク全体の電力消費) T(一回の送受信時間) Tall (到達時間) 1 W ×受信回数 1 DESTに届くまでの時間 一回のデータ送信に1packet送信し, その時にかかる受信電力消費を1とする。 Wall=1*3=3 Tall=1*2=2 結果(総電力消費量(Case1)) ①ノード数が増加すると指数的に電力消費量が増加する ②しかし提案と既存との差に決定的な違いは現れない 結果(総電力消費量(Case2)) 12.0%減 39.0%減 50.0%減 密なネットワークでは,提案手法により大幅に負荷を軽減できた 結果(DEST到達時間(Case2)) 2.4倍 1.62倍 1.13倍 n=44 n=40~45付近で最大値をむかえ徐々に減衰 n=40まではDESTまでのホップ数が少ない n=45からは遠回りのルートが少なくなってくる おわりに • 本研究では,既存のDSRに提案手法を組み込む 事によって,負荷の軽減を行った. その結果,手法によっては負荷を半減させる 程の効果が現れた. • 今後は,負荷と時間双方を考慮したフラッディン グ手法を構想することが考えられる.
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