ごみの処理と最終処分

2015/2/15
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“ごみ”について知ろう
明星大学理工学部 環境・生態学系
宮脇健太郎
日野市ごみゼロ推進員研修会
日野市ごみゼロ推進員研修会
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日野市ごみゼロ推進員研修会
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廃棄物(ごみ)とは?
• 塵(ちり)
• 芥(あくた)
• Waste
• Garbage
• ごみ(ゴミ)
• Trash
• 廃棄物
• Litter(散乱ごみ)
• 循環資源
• Junk(ごみくず)
• Dust(ちり、ほこり)
• Rubbish(くず、がらくた)
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ごみ・カラス
対策
東京都環境局HP
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ごみ埋立
昔の日本の状況 →
↓
ガラス産業連合会HPより
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廃棄物とは何か?(定義)
+ 有価物=商品
ー 不要物=廃棄物
(古いもの、汚いもの、不快なもの、
要らないもの)
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商品の価値
価値
+
市場価値
時間
ー
個人的評価価値
廃棄物発生
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廃棄物の定義(廃棄物処理法)
廃棄物の定義
• 「占有者が自ら利用し,又は他人に有償で売却できないため
に不要になった物」
分類,特徴
• 産業廃棄物 事業者自ら処理,委託
• 一般廃棄物 自区内処理・市町村責任
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一般廃棄物の分類
可燃物
ごみ
し尿
一般ごみ
不燃・
生活系
事業系
燃焼不適物
粗大ごみ
紙類
厨芥
繊維
木,竹類
プラスチック
ゴム
金属
ガラス・陶磁器
雑物
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一般廃棄物の処理・処分
• 排出(分別)
• 収集・運搬
• 資源化(リサイクル)
• 中間処理(焼却,破砕)
• 最終処分
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日野市のごみ処理(H25)
収集可燃ごみ
26,304t
焼却処理
32,504t
不燃ごみ
5,378t
持込不燃ごみ
5,552t
174t
5,552t
資源物
9,542t
62t
収集資源物
9,447t
持込資源物
74t
剪定枝チップ化 21t
破砕処理
6,027t
475t
28t 破砕不適物
(資源化)
埋 立
117t
焼却鉄 387t
(処分場搬入時の重量)
施設処理資源化
845t
破砕鉄 791t
資源化 1,232t
アルミ 26t
破砕不適物
乾電池
蛍光管 28t
45t
17t
処 分 62t
資源化
集団回収 1,754t
3,651t
不燃残渣
117t
5,093t
収集粗大ごみ
粗大ごみ
1,244t
1,610t 持込粗大ごみ
366t
3,651t
1,107t
収集不燃ごみ
有害ごみ
エコセメント
残 灰
可燃ごみ
21,671t
持込可燃ごみ
26,304t
4,633t
11,296t
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ごみ処理費用(例:日野市H25)
• 収集経費 23,196円/トン
• 人件費,委託料
• 中間処理 29,397円/トン
• 清掃工場,リサイクル施設
• 最終処分 140,833円/トン(参考値,焼却灰および不燃残渣の重量当た
り・不燃残渣密度1.5t/m3として)
• 東京たま広域資源循環組合 負担金(エコセメント,埋立)
• ごみ処理全体 56,654円/トン(日野市公表)
• 収集,中間処理:経費/収集量
• 最終処分:経費(負担金)/処分場搬入実績
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ごみの排出・処理状況(全国H24)
• ごみ総排出量 4523 万トン(災害廃棄物含む5733万トン)
• 1人1日当たりのごみ排出量 964 グラム(災害廃棄物含む1221グラム)
• 総処理量 4262万トン
• 最終処分量 465 万トン
• 直接埋立率 1.3%
• 総資源化量 926万トン
• リサイクル率 20.5%
• 直接焼却率 79.8%
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ごみ排出量(全国)
環境省データ
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ごみ排出量(日野市)
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リサイクル率
環境省データ
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焼却・埋立の必要性
• 3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進
• 3Rできないものの存在 → 適正処理
• 焼却 ≒ 衛生的処理
• 腐敗性有機物,病原性細菌,有害有機化学物質の無害化・無機化 →
焼却灰
• 最終処分場(埋立地)での害虫獣,悪臭の減少
• 焼却 → 埋立量削減
• 可燃ごみ 約1/20に減容 → 埋立地の延命化
• 焼却灰→最終処分場(埋め立て)
• 直接焼却 3399万トン → 全焼却量 3541万トン
• 処理残渣の焼却 142万トン(焼却以外の資源化施設594万トン受入)
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焼却施設の例
小平,村山,大和衛生組合HPより
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焼却炉(ストーカ(火格子)式)
排ガス
ボイラーおよび
エコノマイザー
(熱回収)
ごみ投入口
二次
燃焼室
(完全燃焼)
ごみ
炉内温度:約900℃
二次空気
二次空気
火炎
乾燥
ストーカ
一次
燃焼室
燃焼
ストーカ
後燃焼
ストーカ
動画:横浜市資源循環局Webより
燃焼用一次空気
灰
ストーカ(火格子)
川崎市Webより
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熱利用
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ふじみ衛生組合
HPより
• ごみ発電
• ボイラーで熱回収し、蒸気タービンで発電
• 電源分散の意味からも重要視
• 例)ふじみ衛生組合 288t/日 9,700kW
• 温水利用
• 温浴施設、温水プール、温室(植物)、農業など
2014視察
• 例)多摩ニュータウン環境組合 400t/日 温水プール・福祉センター
多摩ニュータウン環境組合HPより
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排ガス処理
• バグフィルター(ろ過式集塵機)
• 塩化水素対策
• 消石灰吹き込み
• ダイオキシン対策
• 温度制御200℃以下
東洋紡(株)HPより
図 三好康彦:ばい煙・ダイオキシン類処理の知識と技術(オーム社)
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排ガス(煙の上昇と拡散)
ばい煙・ダイオキシン類処理の知識と技術P229(オーム社)
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排ガスのダイオキシン問題(平成初期~)
• 埼玉県 産廃焼却によるダイオキシン騒動(マスコミ報道平成7年)
• 原因の一つとして塩化ビニール樹脂(塩ビ)の塩素など
• 科学的な調査,危険性の把握,規制強化(予防原則)
• 既設(4t/h以上) 80ng/m3 → 1ng/m3
• 新設 0.1ng/m3
• 家庭用プラスチックから塩ビが排除(プラスチック中塩素削減)
• 平成14年より新基準 → 直前の立て替え・改修
• 例)燃焼管理、バグフィルターによる排ガス処理など
• 現在 清掃工場からの排出量は極微量(1990年代の1/1000
~1/10000程度)
• 現在、食塩なども原因
1
2
Cl
3
4
o
o
9
8
Cl PCDDs
6
7
注)Clは1~9の場所に付く
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焼却残渣
• 焼却灰(燃え殻)
• そのまま,埋立地へ
• エコセメントの原料
• 多摩地区26市町など
• 飛灰(ばいじん)
• 有害物質含有
(特別管理一般廃棄物)
• 安定化処理後 埋立地へ
• エコセメントの原料
• 多摩地区26市町など
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焼却関連の最近の動向
• 発電重視(熱回収施設としての位置づけ)
• 高効率発電、白煙防止等の熱利用廃止、無触媒脱硝技術導入など
• 災害拠点施設としての活用(電力、熱供給)
• 避難場所としての活用、自立起動・運転可能な施設
• 熱利用から見たごみ分別の見直し(特にプラスチック)
• 例)汚れたプラスチックは可燃に分類するケース、23区内では特に重視
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最終処分(埋立)
陸上埋立地
二ツ塚処分場(日の出町)
建設工事費約500億円
海面埋立地
中央防波堤外側・新海面 処分場
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二ツ塚処分場(日の出町)
エコセメント化施設(300t/日)
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埋立地の状況(一般廃棄物)
• 施設1742ヶ所
• 残余容量 1億1,226 万m3
• 残余年数 19.7年
(平成24年度末現在)
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管理型最終処分場(都市ごみ埋立地)
• 有害性が無いが,環境を汚染する可能性がある廃棄物を
埋立処分
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環境安全対策:汚水処理
降雨
汚泥など(金属含有)
廃棄物
浸出水(保有水)集排水設備
降雨による洗い出し
風化、微生物作用による安定化
降雨
処理水
河川など
調整池 水処理施設
廃棄物の安定化後(廃止後)
河川など
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環境安全対策:遮水工
• 地下水汚染を防ぐ仕組み(二ツ塚処分場の例)
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まとめ
• 3R(排出抑制,再使用,再生利用)は,重要
• (リサイクル率,約20%)
• しかし,リサイクルできないものは,適正処分(焼却・埋立)
• 排出される廃棄物の約80%は焼却
• 焼却技術レベルは高い(環境安全性は確保)。
• 日野市を含む多摩地区(26市町)では,焼却灰は資源に (エコ
セメント)。
• 最近の最終処分技術レベルは高い(環境安全性は確保)。
• 技術はあるが,最後はごみ減量が必要です。
• 市民と行政が協働して努力することが望まれます。
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学習のための参考文献・連絡先
• ごみ問題の総合的理解のために 松藤敏彦 技報堂出版
• 廃棄物工学の基礎知識 田中信壽 技報堂出版
• ごみ焼却技術絵解き基本用語 タクマ オーム社
• 環境省HPデータ
• プラントメーカ各社HP
発表者:宮脇健太郎
メール:
[email protected]
研究室Web:
http://www.hino.meisei-u.ac.jp/es/miyawaki/