1 中性子イメージングを用いた セメント硬化体中の水分測定 茨城大学 茨城大学 茨城大学 京都大学 京都大学 ○ 沼尾達弥 舟川 勲 手島直之 川端祐司 齊藤泰司 研究背景 2 劣化量が 水分移動 に影響 ⑦乾燥収縮メカニズム 水分移動 ⑨ ⑥ 物理的性質 水分量 (細孔構造・体積変化) ⑩ 熱伝導(移動) ⑧膨張・収縮メカニズム 劣化 ⑪ ひびわれ 劣化量が 熱移動に 影響 セメント硬化体中の水分移動・熱伝導・物理的性質の関係 3 水分移動 ②水分拡散モデル 濃度・圧力勾配 (化学ポテンシャル) 毛細管張力 ①水分特 性曲線 共通要因 ⑥: ②と⑤は相互 に影響し、水分 移動と熱移動 を同時にシュ ミレーション する。 a)気化 蒸気圧 b) 水 分 と 湿気の量 c)温度 物理的性質 ③気化熱 ④水分と熱伝導の関係 水分移動 (熱を持った物質) 熱伝導率 ⑤熱拡散モデル 熱伝導(移動) セメント硬化体中の水分移動と熱伝導の関係 研究目的 4 ● 水セメント比および含有水率を変化させたセメント硬 化体を用いて,セメント硬化体内部の含有水分分布を定 量的に評価するための基礎データ取得。 ● セメント硬化体の乾燥過程において,体積変化量(収 縮量)、水分逸散量と中性子ラジオグラフィにより測定し た中性子強度との関係を検討。 中性子ラジオグラフィの原理 5 I I 0 exp( ) I0 :入射中性子強度 I: 減衰した中性子強度 δ:均質な厚さ [cm]の物体 μ: 線吸収係数 [1/cm] m / ρ: 物体の密度 Fig.1 中性子強度の物体による減衰の概念 μm:質量減衰係数 [cm2/g] 質量減衰係数とは,放射線が物質を通過するとき放射線が減衰 する割合を示すもので,物質が定まれば一定となる。 施設概要 6 実験ポート:E2 撮影システム:理研システムを利用 利用期間:1ヶ月間(平成23年9月) 電子天秤: 試験体の重量測定 E2 ガイド内 試験体 デシケーター パイプホース 試験体 中性子 アルミチャンバー 差動トランス: 試験体の乾燥収縮 温湿度発生装置 薄肉円筒試験体 厚さ約1mm、長さ100mm、外 径15mmのペースト硬化体 データロガー パソコン 測定システム 施設概要 7 50 4,500 45 4,000 40 3,500 35 3,000 30 2,500 25 2,000 20 1,500 15 画像撮影 1,000 10 水分重量変化 500 5 0 0 date 重量変化率(%) 5,000 9/6 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17 9/18 9/19 9/20 9/21 9/22 9/23 9/24 9/25 9/26 9/27 9/28 9/29 9/30 ひずみ( x10 -6 ) 利用期間:1ヶ月間(平成23年9月) 30%-1 30%-2 40%-1 40%-2 実験状況 アルミチャンバー設置場所 実験装置 アルミチャンバー 収縮量測定 温湿度管理 重量測定 画像処理方法 10 透過画像 画像処理には,連続撮影した3 枚の画像を用いた.1枚の 撮影時間は30秒. 撮影によって得られた透過像を暗電流補正,シェーディン グ補正,ノイズ除去等の必要な処理を行った後,必要な情報 を抽出. 通常,デジタル画像処理では,画素数の輝度がその画素上 の数値データを決定する.輝度と中性子強度の相関から試 料の中性子透過率を求めることで,含有水分を定量的に評 価した. 中性子強度と,試料中元素の密度や厚さの関係 11 ( p p w w ) I I0e I:透過中性子強度,I0:入射中性子強度,Σ:巨視的断面積 (線吸収係数),δ:厚さ,λ:質量減衰係数, ρ:密度 添え字は,p:試験体マトリクス(ペーストなど),w:自由水(蒸 発性水分) P ln(I / I 0) ppp www P: 減衰率, I/I0 :中性子透過率 実験方法 12 実験1: 試験体:セメントペースト硬化体(タブレット型) 形状:直径10mm,厚さ3mm(薬の錠剤のような形状) 水準:4水準 透過画像→セメント硬化体の含有水分と水分強度の関係を求める。 実験水準 水セメント 比:W/C(%) 30 含 有 水 率 100%、97%、94%、90%、85%、 (%) 80%、70%、60%、50%、40%、 30%、20%、15%、10%、5%、0% コンバー ターとの距 離(cm) タブレット型供試体 3, 5, 8, 10 含水量調整後のパック 中性子照射準備 実験結果 13 0.3 0.25 0.25 0.2 0.2 0.15 0.15 ⊿P ⊿P 0.3 0.1 0.1 y=2.802x R2=0.9407 0.05 0 0 0.025 0.05 0.075 ρw・ δw(g/cm 2 ) 含水率( %) 0 5 10 15 20 30 40 50 60 70 y=3.088x 80 R2=0.9528 85 90 94 0.025 0.05 0.075 0.1 97 ρw・ δw(g/cm 2 ) 100 コ ンバーターとの距離10cm コ ンバーターとの距離3cm 0.1 0.05 0 0 質量減衰係数とコンバーター距離 ※近似線の傾きがセメント硬化体の含有水分の質量減衰係数λwとなる。 実験方法 14 実験2:セメント硬化体の水分評価 試験体:セメントペースト硬化体 形状:直径15mm, 厚さ1mm, 高さ100mmの薄肉円筒試験体 W/C:30%,40% 実験1の結果を用いて、セメント硬化体の乾燥過程における,水分 逸散量と中性子ラジオグラフィにより測定した中性子強度との関係 の定量化を行う。また、体積変化量(収縮量)との関係も定量化する。 W/C(%) 30,40 薄肉円筒 供試体 形状(mm) 高さ:100、厚さ:1、外径:15 実験水準 使用セメント 普通ポルトランドセメント 各測定に 中性子照射 30%1本、40%1本 使用する 重量 30%1本 供試体数 乾燥収縮量 30%2本、40%2本 環境温室度 25℃、RH=50% 本来の含有水分分布(青線) 15 中性子ラジオグラフィにより撮影し た画像から、局所的な水分の濃度が 特定できる。 蛍光コンバータ 薄肉円筒試験体 従来の含有水分分布(緑線) 重量法等の物理的測定方法では、セ メント硬化体内の含有水分分布は平均 化したものとして取り扱っていた。 熱中性子線 含有水分分布を定量的に把握することで、乾燥収縮などの水 分移動を起因とする劣化現象を正確に捉える事ができる。 中性子透過画像例 実験結果(W/C=30%) 17 水分逸散率(%) 0.16 3.1489 0.14 4.9894 -log(I/I0)/mm 0.12 9.9912 0.10 15.1934 0.08 19.9387 0.06 25.1722 0.04 27.5761 0.02 0.00 -0.5 35.6517 4.5 9.5 x軸方向距離(mm) 14.5 39.1949 水分逸散率35%(2週目)と39%(4週目)の水分強 度の値が逆転してしまっている。 X軸 方向 18 単位体積当たりの逸散水重量(g/cm 3) ・重量測定と中性子ラジオグラフィより算出した単 位体積あたりの水分逸散重量の経時変化比較 0.08 算出式 0.07 0.06 0.05 重量測定 0.04 中性子ラジオ グラフィ 0.03 0.02 ⊿ρw = ⊿P λw δw ※差分中性子強度は、0 0.01 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間と各時間との差分 経過時間(h) グラフの概形はほぼ同様であり、中性子強度から単位 体積当たりの水分逸散重量を算出できると言える。 19 ご清聴ありがとうございました。
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