名古屋市立大学における 利益相反マネジメント制度

名古屋市立大学における
利益相反マネジメント制度
産学官・地域連携推進センター
事務局学術推進室長 服部 正
第3回知的財産セミナー(2008.2.15)
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本日の説明内容
1.利益相反とは
2.利益相反マネジメントの目的
3.本学の利益相反マネジメントの考え方
4.対象者
5.マネジメントの対象
6.マネジメント体制
7.マネジメントの仕組み
8.今後の予定/課題
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1.利益相反とは
(狭義の利益相反+責務相反)
狭義の利益相反
教職員又は大学が産学官連携活動に伴って得る利益(実施
料収入、兼業報酬、未公開株式等)と、教育・研究という大学
における責任が衝突・相反している状況
責務相反
教職員が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を
負っていて、大学における職務遂行の責任と企業等に対す
る職務遂行責任が両立しえない状態
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利益相反、責務相反の事例
利益相反の例(大学における職務 VS 個人的利益)
 ・奨学寄附金を受けている会社への特許等の技術移転
 ・取締役などを兼業している会社へ設備等を使用させる。
 ・株式を保有している会社の技術評価(臨床試験など)
 ・奨学寄附金や共同研究費等を受けている会社の技術評価
 ・兼業している会社の仕事を指導している学生に手伝わせる。
責務相反の例(大学における職務 VS 外部機関の職務)
 ・会社へのコンサルティングなど外部活動により授業などが
影響を受けている。
 ・兼業先の会社が忙しくなり、大学等での研究が影響を受け
ている。
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利益相反の性質
・大学や教員が産学連携活動を推進すれば、
必然的に利益相反の状況を生む。
・利益相反は、法令違反・契約違反ではない。
また、倫理違反とイコールでもない。
・利益相反の状況は、必ずしも解消しなけれ
ばならないものではなく、上手く管理すること
が求められる。
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2.利益相反マネジメントの目的
「守る」
○教育研究を「バイアス」から守る
○教職員を大学外部の批判から守る
○大学への信頼を守る
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利益相反マネジメント体制とマネジメント業務の流れ
理事長
産学官・地域連携推進委員会
基本指針の制定、勧告・決定
利益相反マネジメント組織
(産学官・地域連携推進センター)
事務局学術推進室
審議結果・研修、自己申告の実施、
情報管理
社会への情報公開
利益相反委員会
利益相反アドバイザー
審 自
議研己
結修申
果 告
利益相反カウンセラー
相
談
教職員
産学官連携・社会貢献活動
社会・外部機関
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3.本学の利益相反マネジメントの考え方
(1)本学は、公立大学として教育・研究の責務を十分
に果たしながら、社会貢献活動を積極的に推進する。
(2)本学は、教職員が安心して社会貢献活動、とりわ
け産学官等連携に取り組むことができるよう、利益
相反の状態を適切にマネジメントすることにより、利
益相反の弊害の抑制を図る。
(3)本学は、利益相反に関する情報等を適切に公表
することによって、大学の公共性と中立性を維持し、
透明性を確保し、説明責任を果たす。
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4.対象者
①マネジメントの対象者
ア)教職員
→教員・事務職員(各就業規則適用者)の全
ておよび常勤役員
イ)利益相反マネジメント組織(産学官・地域
連携推進センター)が指定する者
→例 一定条件下の研究員、大学知的財産
アドバイザー、NEDOフェロー
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5.マネジメントの対象
①産学官連携活動を含む社会貢献活動(企業等への
兼業・兼職、共同研究、受託研究など)を行う場合
②企業等から金銭(給与、謝金、原稿料等)若しくは便
益(物品、設備、人員等)の供与又は株式等の経済
的利益を得た場合
③企業等から物品、役務等を購入する場合
④大学院生・学生等を社会貢献活動に従事させる場
合
⑤その他利益相反マネジメント組織が定める場合
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6.マネジメント体制(その1)
(1)利益相反マネジメント組織(産学官・地域連携推進セン
ター)
利益相反に関するマネジメント業務(審議機関の運営、審議
結果の実施、研修、自己申告制度の実施、情報の管理な
ど)を実施
(2)利益相反マネジメントに関する審議機関
ア)産学官・地域連携推進委員会
利益相反マネジメントポリシーなど基本指針の制定・改廃、
利益相反に関する勧告・決定、自己申告始め調査の方針、
情報公開の方針などを審議
イ)利益相反委員会:産学官・地域連携推進委員会の方針
に基づき、付託された事案についての調査、分析検討など
の業務を実施
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6.マネジメント体制(その2)
(3)利益相反マネジメント専門・補助組織
ア)利益相反アドバイザー(学外の専門家:弁護士、公認会計
士を予定)
専門的見地から、利益相反委員会などの機関や関係者に
アドバイス
イ)利益相反カウンセラー(学内事務職員の中から任命→
事務局総務課長・学術推進室長、各学部事務室事務長、病
院薬剤部主幹(医薬品情報)を予定)
教職員からの利益相反の相談に適切に対応し、必要に応じ
て利益相反アドバイザーの意見も聴き対処
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7.マネジメントの仕組み(その1)
自己申告制度は、教職員と大学の信頼を
取り結ぶ架け橋
(1)自己申告制度
○教職員は、関係している、あるいは関係を予定し
ている企業等との間に生じる責務や利益について、
原則として年1回、その内容を申告
○審議機関は、自己申告書のうち一定の基準を超
える事案について、利益相反アドバイザーが行うヒ
アリング結果に基づき、法人として認容できるかどう
かを審議
○利益相反マネジメント組織は、自己申告を実施し、
審議結果による必要な対応を行う
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7.マネジメントの仕組み(その2)
(2)相談(利益相反マネジメント専門・補助組織の役
割)
教職員からの利益相反の相談に適切に対応
(3)情報の管理(利益相反マネジメント組織の役割)
教職員からの自己申告等に関する情報を適切に
管理(プライバシーの保護)
(4)意識啓発(利益相反マネジメント組織の役割)
教職員の職務等に応じた研修会を定期的に開催
(5)情報の公開(利益相反マネジメント組織の役割)
本学は、利益相反に関する情報を必要に応じ公
表可能な範囲で社会に公表し、説明責任を果たす
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7.マネジメントの仕組み(その3)
自己申告書(試案) 自己申告制度は、教職員と大学の信頼を
取り結ぶ架け橋
自己申告の方法
 自己申告は2段階
 第1次申告:利益相反全般について[有る・
無い]での回答
 第2次申告:第1次申告で「有る」の回答者
が実施
 対象期間:平成19年4月~平成20年3月
の1年間の実績及び今後の見込み
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自己申告書(試案 第1次)
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利益相反に関する自己申告書(平成19年度実績及び見込み)(第1次)
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あなたは、※対象となる産学官連携活動を行っていますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
※対象となる産学官連携活動(具体例)
○他機関の非常勤講師に従事する場合
○他医療機関の非常勤医師に従事する場合
○研究成果を活用するため技術指導に従事する場合
○国・地方公共団体の審議会委員などに従事する場合
○起業にかかわる活動に従事する場合
○企業等から寄附金の供与を受ける場合
○企業等との共同研究、企業等からの受託研究に参加する場合
○特許など知的財産権を企業等に技術移転(譲渡、ライセンス供与など)
するにあたりその意思決定に関与する場合
○企業等から設備・物品・役務サービスを購入するにあたり、その意思決
定に関与する場合
○その他本学における職務以外の産学官連携活動にかかわる諸活動に
従事する場合
(例 その他兼業兼職など)
↓
有る方は以下の質問にお答えください。
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質問 1
あなた又はあなたの親族(配偶者並びに三親等以内の血族及び姻族
に限る。)は、産学官連携活動の相手企業の公開株式(ストックオプション
を含む。)の5%以上を保有したことがありますか、或いは現在5%以上を
保有していますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
質問 2
あなた又はあなたの親族(配偶者並びに三親等以内の血族及び姻族
に限る。)は、産学官連携活動の相手企業の未公開株(ストックオプション
を含む。)を保有したことがありますか、或いは現在保有していますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
質問 3
あなたは、産学官連携活動の相手方から、ロイヤルティ収入(個人が
保有する特許、プログラム著作権等に関わるもので、相手企業等から受
け取るもの)を得たことがありますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
質問 4
あなたは、産学官連携活動の相手方の企業(又は法人・団体)から、1
企業(又は法人・団体)当たり年間合計100万円以上の兼業報酬を得た
こと、又は今後得る予定がありますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
質問 5
あなたは、産学官連携活動(受託研究、共同研究又は寄附金の受入)
の相手方の企業(又は法人・団体)から設備・物品を購入したこと、役務
サービスを受けたこと、あるいは施設・設備の無償利用を許可したことが
ありますか。
これまで(□ 有る
□ 無い) 今後(□ 有る □ 無い)
所属・職名
氏
名
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自己申告書(試案 第2次)
 利益相反に関する自己申告書(平成19年度実
績及び見込み)(第2次)の方針
第1次申告の内容について、相手先企業名、株
式取得・ロイヤルティ収入の実態、など更に詳し
く申告いただく
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8.今後の予定/課題
【予定】
平成20年4月
施行
利益相反マネジメントポリシー・利益相反マネジメント規程
平成20年4月~6月 利益相反セミナー(全教職員受講)
参加者から自己申告書(第一次)提出
平成20年7月 自己申告書(第一次)(その他関係者)
平成20年8月 自己申告書(第二次)
【課題】
・教職員一人一人への周知徹底を図る
・より良い制度に向けた検討を継続
・臨床研究に関する利益相反の手続についての検討
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問合せ先
産学官・地域連携推進センター
事務局学術推進室学術推進係
TEL:052-853-8041
FAX:052-841-0261
Email:[email protected]
本資料の作成にあたっては、あずさ監査法人産学官連携
推進室「利益相反マネジメントについて」2004年12月を参
考にさせていただきました。
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