化学物質管理における 行政の役割

化学物質管理における
行政の役割
岡敏弘(福井県立大学)
琵琶湖セミナー2003年11月12日
滋賀県琵琶湖研究所
化学物質の規制や処理事業の評価
• 費用──社会的費用
• 効果
– 排出量の削減
– リスクの削減
• →費用/効果
– 「ダイオキシン規制強化 費用は 1グラム排出削減1億円」
(朝日新聞2003年10月22日夕刊)──これは単位排出量
削減費用
– 単位リスク削減費用
環境化学物質規制のリスク削減費用単価
(Cost Per Life-Year Saved)
事例
CPLYS
(万円/人・年)
出典
4500
Oka et al, 1997
57000
Nakanishi et al, 1998
2200
Nakanishi, 1995
ガソリン中ベンゼン規制
23000
Kajihara et al, 1999
ダイオキシン(緊急対策)
790
Kishimoto et al,2001
ダイオキシン(恒久対策)
15000
Kishimoto et al,2001
8600
Oka, 1996
クロルデン禁止
苛性ソーダ製造での水銀法廃止
乾電池の無水銀化
自動車NOx法
費用/効果の使い道
• これから行う規制や事業への優先順位付け
• 過去の規制や事業と比較しての、対象規制・
事業の正当化
──これらを費用効果分析という
• あるいは、費用便益分析へ
– しかし、…
PCB廃棄物処理事業の評価
• 背景
– 政策評価法(2001)
10億円以上の公共事業は政策評価を行わなければな
らない
– POPs条約(2001)
→PCB特別措置法(2001)…15年以内の処理の
義務づけ
• 環境事業団による処理施設の建設、処理事
業(北九州、豊田、東京、大阪、室蘭)
PCB廃棄物処理事業の政策評価
• 効果の評価
– 保管を続ける場合と比較して
• 存在するPCBがどれだけ減るか
• 環境に排出されるPCBがどれだけ減るか
• PCBの人への曝露がどれだけ減るか
• 費用の評価
• 費用/効果の他の政策との比較
PCB廃棄物処理事業とダイオキシン対策との
費用/効果の比較
PCB廃棄物
処理事業
ダイオキシン対策
存在量の削減
(億円/kg-TEQ)
4.9
54.2~171
放出量の削減
(億円/kg-TEQ)
46~140
54.2~171
78(Kishimoto et al.)
曝露量の削減
(億円/mg-TEQ)
0.5
0.46
(Kishimoto et al.)
福井市の公共事業評価から
• 農業集落排水事業(福井市酒生西部地区)
農産物被害解消効果
746万円/年
営農経費節減効果
482万円/年
不快農作業解消効果
16万円/年
用排水施設維持管理作業軽減効果
32万円/年
不快用排水施設維持管理
3万円/年
処理水リサイクル効果
247万円/年
汚泥農地還元効果
32万円/年
水洗化による生活快適性向上効果
5445~16148万円/年
水周り利便性向上効果
5025万円/年
農村空間快適性向上効果
2070万円/年
衛生水準向上効果
1987万円/年
公共用水域水質保全効果
776万円/年
維持管理費節減効果
1711万円/年
合計
18570~29273万円/年
福井市の公共事業評価から
• 農業集落排水事業(福井市酒生西部地区)
– 便益(年あたり効果から総便益を計算)
32億6000万~51億4000万円
– 費用は、19億8300万円
– よって、便益>費用
• しかし…