松本 悠 輪講@川村研 2012.04.10 1. 2. 3. 4. 5. 擬人化とは 擬人化体験学習の例 実験教室の結果・考察 先行事例 まとめ イメージ化・モデル化・可視化 人、動植物、自然現象、・・・ 対象物 対象物に自己投影 「対象の中に仮想的な自己を投入する」 ことで、その対象の原理を認識する =擬人的認識論 自己と他者を区別できることが前提 ⇒ 他者の行為をただ真似るのではなく、置かれている状況を把握し、 どのように行動するのが自然かを理解しなくてはならない まめ磁石モデルを用いた磁性の体験学習 「磁石」という対象を、「まめ磁石モデル」化し、 まめ磁石一つ一つに、自己投影する体験学習 まめ磁石に自己投影 まめ磁石の行動原理: ①S極とN極をその両端に持つ ②同じ極同士は退けあい、異なる極同士は引きあう 与えられたのは単に行動規則のみ。ここから様々な 磁気的現象を再現する ・外から大きな磁石が近づくと皆一斉に同じ方向に なる = 磁化の理解 ・時間が経つとまめ磁石の向きがバラバラになる = 熱による磁化消失の理解(エントロピー) ・磁石の途中を切っても、ちゃんとS極とN極が現れる = 磁石の第1規則の理解 ・磁気カードの暗号化の理解 ・常磁性や強磁性の理解 ・まめ磁石の体験学習により、磁石の様々な性質が表現できた。 ・「面白かった」という意見はたくさんあったが、磁石に対する理解が深まったのは小学4年生 以上。小学1年生は「ゲームは楽しかった」が、そのゲームの意味については「よく意味が わからなかった」と回答。 ⇒ 磁石の性質を学校で既に習っていたから? 自己と他者の識別ができる年齢の違い? 体験学習自体がもっと磁石の不思議に迫るものであるべきだった? 擬人化の体験学習は、物理現象の具体的イメージの構成を手助けし、物の性質を 系統的に理解するために非常に役に立ち、高い学習効果が得られる(と期待) 擬人化は自己と他者の区別が前提。科学的認識の段階的発展と子どもの学習内容の 適時性の対応を見極める必要がある 対象物へ自己投影する前に、対象物のより簡易的なモデル化が必要。提示するモデル が子どもたちにとって分かりやすいか、検討が必要 電子模型 擬人化 : 導線中を動く自由電子に自己投影(頭に風船をつける) 行動原理 : 大きな風船を持った指導者を避けながらトンネルを潜る ⇒ 抵抗の原理を理解する : トンネルが長いと抜けるのが大変、トンネルが狭いと 進むのが大変、大きな風船が揺れていると進むのが大変 気体分子模型 擬人化 : ブラウン粒子、又は容器の壁に自己投影 行動原理 : じっとしていて、ぶつかってくる大きな風船から受ける力を感じる ⇒ ブラウン運動や圧力の原理を理解する 自発的対称性の破れ 擬人化 : ブラウン粒子、又は容器の壁に自己投影 行動原理 : じっとしていて、ぶつかってくる大きな風船から受ける力を感じる ⇒ ブラウン運動や圧力の原理を理解する 核分裂 擬人化 : ウラン235に自己投影 行動原理 : 中性子がぶつかったら(核分裂して)中性子を3つ投げる ⇒ 核分裂の連鎖反応を理解する、制御棒の働きを理解する 自然現象のより深い理解には、現象のモデルを可視化し、その発展的展開によって 「概念の可視化」という、より高度な認識に至る つまり、擬人化による現象の理解は、小学生・中学生・高校生に限らず、すでに物理を 学び、知識として持っている人でも有効であり、更なる理解につながっていく。 場の実体的把握 式の美しさ 高度な知識 電磁気学 (マクスウェルの方程式) 擬人化 可視化 大学の授業でも、数学的な扱いを重視せず、自然現象の仕組みが「見える」という 経験をその教育の中に組み入れる必要性がある 波 : 波の媒質に自己投影 ⇒ 波の伝播(横波or縦波)・屈折、の理解 水 : 水分子に自己投影 ⇒ 熱膨張・沸騰、の理解 化学 : 元素に自己投影 ⇒ 化学式・化学反応、の理解 核 : 陽子・中性子に自己投影 ⇒ 核融合・核分裂・安定核、の理解 放射線 : 放射線源と細胞に自己投影 ⇒ 3原則の理解
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