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Cr-アセチリド-テトラチアフルバレン型錯体による
フェリ鎖を基本構造に持つ磁性結晶の開発
分子研
西條
純一
Cr-アセチリド-TTF系錯体 [CrCyclam(CCMeEDT-TTF)2]n+
特徴
・配位子のTTF部位を酸化可能
・生じたスピンがCr3+上のスピンと強く相互作用
(2J / kB ~ -30 K)
・隣接分子のTTF部位がスタック出来る
→ 分子間でスピンと電荷の非局在化が可能
1次元鎖内での強い相互作用は実現
……では鎖間は?
スタックを利用し,強い鎖間相互作用を目指す
系を持つ磁性分子
(ラジカル,配位子)


スタックを介した
強い分子間相互作用
結晶作成
電解酸化
(0.4 A, 1-2 week)
[CrCyclam(CCMeEDT-TTF)2][TCNQ]3
+0.75
-0.75
1/2
3/2
-0.5 (×2)
0(Singlet)
・スタックが実現
・結合長からの電荷を見積もる
→ TCNQ-TTFのペア(Singlet, スピンの消失)
磁化率測定
3
・S = 3/2(Cr3+)と1/2(TCNQ2-)の和
・相互作用は小さい
T / emu K mol-1
2.5
2
1.5
スタックは実現できたが
相互作用が強すぎSingletに
1
0.5
0
0
50
100
150
T/K
200
250
300
他のS = 1/2のアニオンを使った場合も同様の結果
+
様々な組み合わせで,非常に強い相互作用でSinglet化
S = 1/2の系磁性アニオンとの組み合わせでは,
TTF部位のスピンとの相互作用が強すぎてSingletに
より大きなスピンを持つアニオンを用いる
[CrCyclam(CCMeEDT-TTF)2][Cr(phen)(NCS)4]2(Acetone)2(Toluene)
(TTF)2+とアニオンの系の間に重なりを持つ
構造から推定されるスピン構造
[Cr(phen)(NCS)4]-
Cr3+
(TTF)2+
(隣接する1次元鎖と弱く相互作用)
磁化率測定
10
25
20
15
M / B
T / emu K mol-1
5
0
10
-5
2K
5
0
-10
0
50
100
150
200
250
300
-5
-4
-3
-2
-1
T/K
・TN = 4.8 Kのソフトなフェリ磁性体
・Cr3+ - (TTF)2+ - 2[Cr(phen)(NCS)4](3B - 1B + 2×3B = 8B)
0
B/T
1
2
3
4
5
分子場で相互作用を大雑把に見積もる
7
[Cr(phen)(NCS)4]Cr3+
(TTF)2
J'
T / emu K mol-1
6.5
2J' / kB~ -4 K
6
5.5
5
+
0
50
100
150
T/K
既知の系の結果から
2J / kB = -28 K
200
250
300
まとめ
[CrCyclam(CC-TTF)2]n+系錯体 + 系を持つ磁性アニオン
強い鎖間相互作用&高い転位温度を狙う
・スタック → 強い分子間相互作用
「潜在的には」高い転位温度が可能
・しかし,S = 1/2のアニオンはSingletペアを形成
部分的に非磁性化,磁気転移が期待出来ない
・S ≧ 1のアニオンなら,Singlet化せずに相互作用が実現
今後S ≧ 1の遷移金属錯体を対アニオンとし物質開拓を行う予定