TTF の酸化還元を利用したケイ素フタロシアニン多量体の分子配列制御

第 25 回記念福岡シンポジウム Poster 発表応募用紙
TTF の酸化還元を利用したケイ素フタロシアニン多量体の分子配列制御
Control of Molecular Alignment of Silicon Phthalocyanine Oligomers
by Redox of Peripheral TTF Units
椎名 祐太、清水 宗治、小林 長夫、古田 弘幸(九大院工)
ケイ素フタロシアニン(SiPc)は分子間脱水縮合により容易に積層型多量体を形成するが、そ
の多量体において 2 つの Pc ユニット間のねじれ角の変化により吸収特性が異なることが知ら
れている
1)。本研究ではこのねじれ角の制御を目的として、テトラチアフルバレン(TTF)が縮
環した SiPc 多量体を合成し、酸化時における隣接 TTF 間の相互作用により、積層方向での
Pc の分子配列制御を試みた。
interaction
Fig. TTF-annulated SiPc (left) and redox-control of molecular alignment of its oligomer (right).
単量体の電気化学測定および電解吸収スペクトルから、Pc 骨格ではなく TTF ユニットのみで酸
化が起こっており、 Pc 外周部の TTF による 2 段階の 4 電子酸化過程 (4TTF→4TTF+→4TTF2+)
を 観測し た。二量 体につ いては 、電気化 学から TTF の酸 化が 2 段階で 4 電子ず つ進 行
((4TTF)(4TTF)→(4TTF+)(4TTF)→(4TTF+)(4TTF+)) することが分かり、分子内での中性 TTF と
TTF ラジカル間の混合原子価二量体形成が示唆された。電解吸収スペクトルでは、第一酸化過程
において、この混合原子価二量体由来の幅広い吸収が近赤外から赤外領域に見られ、予想通りに 2
つの Pc ユニットが重なった分子配列をとっていることを明らかにした。
今回、TTF 縮環 SiPc の 5 量体までの合成、および単離に成功したので、詳細を報告する。
Fig. CV of TTF-SiPc
monomer
dimer
monomer
mixed-valence
dimer
(right)
and electrochemical
Abs.
spectra
of
dimer at 1st Ox.
<参考文献>
potential (left).
1) (a) J. Kleinwachter, M. Hanack, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 10684, (b) K. Oniwa, S.
Shimizu, Y. Shiina, T, Fukuda, N. Kobayashi, Chem. Commun. 2013, 49, 8341.
発表者紹介
氏名
椎名 祐太(しいな ゆうた)
所属
東北大学大学院理学研究科化学専攻
学年
修士過程二年
研究室
古田研究室