第5章 価格の決定 F班 宗村・森田・藤田・岡田・羽鳥 2013年 10月30日 1 1.ブラック・ボックスの内部へ ・ブラック・ボックス=どのようにして個別のものの価格が決まるか →Accounting Theory =間違った理論である ・材の供給者との関係する経済主体の「交渉」によって、 本来価格上昇が起こる = ヒックスとオーカンの「公正」(fairness) →個別に「相対価格」を変えるものが、「絶対価格」の変化 カーネマンの示す、公正の観念の「実験例」 1.生産コストが上昇していないのに、需要の増加を安易に価格の上昇に反 映させると、カスタマーによりアンフェアだとみなされる(雪かきシャベルの 例) 2.コストの変化を反映した価格の変更は比較的スムーズに受け入れられる (レタスの例) 3.雇用については、労働者の「権利」が「公正」さの中で大きな比重を占める (雇用関係の例) 2 2.二部門アプローチ 個々のモノやサービスの価格はどのように決まるのか? ⇒カレツキー(1954) 「生産費用によって決まるつくられたモノやサービス」と一次産品のように「需要によって 決まる価格」を明確に区別する必要があることを指摘。 価格決定の違い 生産されたモノや サービス(完成財) 一次産品(石油・鉱 産物・農産物など) 生産費用(生産数 量の変化) 価格決定要素 需要と供給 生産者 価格決定場所 市場 少ない 価格変動 多い 需要が増減しても、それが一定の範 囲内である限り価格は変わらない。 市場の需給を反映し激しくアップ・ ダウンする。 3 3.生産数量の決定 ○ 有効需要の原理とは (by ケインズ経済学) ・「つくられた」モノやサービスは,「数量」が「数量」を決める。 ・生産と雇用は,総需要によって決まる。 ・超過供給状態では,現在の価格で売りたくても売れない。 ・景気の変動を生み出す主因は,投資の変動である。 ○ 有効需要の原理は,「実質」の理論 ← 古くさい? ・有効需要の理論が,現実の経済(生産数量)の動きを説明できる。 ・リーマンショック後の不況時だけではなく,一般的に成り立つ。 有効需要の理論は健在であり,正しい。 4 4.価格を決める生産コスト 「つくられた」モノやサービスの価格はどう決まるか? 価格は「生産費用」に利潤マージンを足して生産者が決める。 ↓ P(価格)=マークアップ×製品1単位当たりの生産費用 *マークアップは短期的には変動しないため、価格の変動を決め る主因は「製品1単位当たりの生産費用」であるといえる。 生産費用 生産費用(COST)=WL+PRR/Y W:賃金 L:労働投入量 PR:原材料価格 R:原材料投入量 5 ・価格を変化させる要因 ①労働コスト(人件費)の変化 ・名目賃金Wの上昇は労働コスト(人件費)の上昇を通して価格を上昇させ る要因となる。 しかし、賃金が上昇しても生産性が同じだけ上昇すれば、価格に上昇圧力 は生じない。 ②原材料コストの変化 日本は原材料のほとんどを輸入しているため、国内の物価水準に影響を与 える。 価格Pの「変化率」をΠで表し、Π=△P/Pで表す。 Πが正⇒インフレーション Πが負⇒デフレーション 6 貨幣数量の役割 *Mは変数、とりわけ名目賃金や為替レートの変化を通して物価 の変化率に影響を与える。 スタンダードなマクロ経済学では… Mを増やすと利子率が低下し、これが「投資」を増大させる。 利子率の低下により、有効需要が増大し、生産水準が上がると、 物価への上昇圧力が生まれる。 波及経路 ☆市況性の強い素材価格の上昇 ☆生産水準が上がると、労働時間が増えるため 雇用が増え、失業率は低下する。 7 日米独のフィリップス・カーブ • フィリップスは1958年、イギリス経済について名目賃金の変化率と失 業率の間に負の関係があることを見出した。 =フィリップス・カーブ • Mの増大は、景気をよくして名目賃金を上昇させる。 例:1970年代初頭の日本経済 Mが過大に供給され「超低金利」に。 ~景気の過熱、インフレ • 一方で、Mの減少は、不況を生みだすことによって名目賃金の上昇 率を低下させる。 例:1970年代末、インフレに悩まされていたアメリカ経済 「新しい金融政策」 短期金利TBレートの導入 ~景気が落ち込み、戦後最悪の不況に 8 <2つの例から分かること> • プラスにせよマイナスにせよ、Mが物価上昇率に影響を与え るのは、「景気」を通してである • Mが「景気」=有効需要に影響を与えるのは、利子率の変化 を通してである • Mが物価の変化率πに影響を与える際の要因は、 ①名目賃金、②市況性の強い素材価格 9
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