プリント - 富山大学

経営経済の基礎数学 II 第 13 回(2014/1/27) Key Words:ラグランジュ乗数法
基礎数学 II の頂上:制約付き最適化問題
1
1.1
制約付き最適化問題の基本形
制約付き最大化
制約付き最小化
最大化
f (x, y)
最小化
f (x, y)
条件
g(x, y) = 0
条件
g(x, y) = 0
註 1 (日欧どちらでもどうぞ)
【最大化】は max 【最小化】は min 【条件】は s.t.(subject to) とおな
x,y
x,y
じこと。どちらでも好きな方を使って下さい。
1.2
解きたい問題の具体例:
『経出る』 例題 7.5 改題
最大化 f (x, y) = xy
条件
1.3
g(x, y) = 2x + y − 4 = 0
♥
基礎数学のあいことば:数学になるとやさしい ♥♥
い
文章題 ←そのまま答えるのはむずかしい ♠♠♠
ろ
最適化問題:文章題の数理モデル化←解くためのツールが 1 階条件(これまで)や Lagrange(今回)
は
方程式:数学なので解けばいい←やさしい ♥♥
1.4
♥
文章題って:公務員試験の例
問 1 (国 II-2 改題)
X 財と Y 財を消費するある個人の効用関数(満足度)が、u = xy (X 財を x 単位、Y
財を y 単位消費)で測られるとする。
いま、X 財の価格が 2 万円/単位、Y 財の価格が 1 万円/単位であるとするとき、この個人の効用(満足
度)を最大にするには、X 財と Y 財をそれぞれどれだけ消費すればよいか。ただし、この個人の所持金は 4 万
円とする。
1
2
制約付き最適化問題の解き方:基礎数学 II(2変数をダイレクトに扱う
∼ラグランジュ乗数法∼)
2.1
問題



 最大化
(P)



条件
f (x, y)
··「
· 目的関数」という
g(x, y) = 0
··「
· 制約条件」という
註2
(1)
目的関数はもとの問題の文脈によっては「最小化」の場合もある。
(2)
制約条件は、一見 g(x, y) = 0【右辺 = 0】に見えない場合でも、書き直すことはたやすい場合が多い:
(
)
例: y = 1.05 4.8 − x
問2
⇔
1.05x + y − 5.04 = 0
次の条件式を、上の例にならって【右辺 = 0】の形に書き直しなさい。
⇔
(1)
2x + y = 4
(2)
4x + y = 12
(3)
x+y =2
(4)
2x + 3y = 18
(5)
4x 2 y 2 = 12
1
1
⇔
⇔
⇔
⇔
ラグランジュじょうすう
2.2
Lagrange 乗数
次のギリシア文字は数学や統計で頻出のものだが、このうち λ
じない】だと思ってOK ♥
を、ラグランジュ乗数として使う。【おま
数学
統計
図 1: λ(ラムダ)の筆順
図 2: σ(シグマ)の筆順
2
ラグランジュじょうすうほう
Lagrange 乗数法 :解法
2.3
{
i 問題
最大化
条件
{ ∂f
∂x (x, y)
∂f
∂y (x, y)
ii 偏微分
∂g
∂x (x, y) =
∂g
∂y (x, y)) =
=
=
 ∂f

 ∂x (x, y) + λ ·
∂f
∂y (x, y) + λ ·


g(x, y) = 0
iii Lagrange
2.4
f (x, y)
g(x, y) = 0
∂g
∂x (x, y)
∂g
∂y (x, y)

x =
y=

λ=
=0
=0
⇒
· · · 3変数:x, y, λについての3本の方程式を解く
1 階の条件はどうだっけ:比較
i 問題
最大化 f (x, y)
{ ∂f
∂x (x, y)
∂f
∂y (x, y)
ii 偏微分
{ ∂f
iii 1 階の条件
∂x (x, y)
∂f
∂y (x, y)
=
=
=0
=0
例題 1 (『経出る』 例題 7.5 改題)
解答
{
i 問題
最大化
条件
{ ∂f
∂x (x, y)
∂f
∂y (x, y)
ii 偏微分



iii Lagrange


{
⇒
x=
y=
· · · 2変数:x, y についての2本の方程式を解く
次の最適化問題をラグランジュ乗数法を使って解きなさい。
最大化
u = xy
条件
2x + y = 4
f (x, y) = xy
g(x, y) = 2x + y − 4 = 0
=y
=x
∂g
∂x (x, y)
=2
gy (x, y) = 1
y+λ·2 =
0
x+λ·1 =
2x + y − 4 =
0
0
=⇒


 y + 2λ
x+λ


2x + y
= 0
1
···
= 0
= 4
2
···
3
···
iv 連立方程式を解く
1 −
2 ×2
y + 2λ = 0
−)2x + 2λ = 0
−2x + y
=⇒
3 に代入
y = 2x を
=⇒
=0
2x + 2x = 4
=⇒
∴

x = 1
y=2

λ = −1
終
3
2.5
練習問題
問3
次の最適化問題をラグランジュ乗数法によって解きなさい。
最大化 f (x, y) = x2 y
条件
4x + y = 12
(1)
条件式を g(x, y) = 0 の式に書き改めなさい:
(2)
偏微分しなさい:
(3)
∂f
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂f
(x, y) =
∂y
∂g
(x, y) =
∂y
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
方程式を解くときのヒント
•
おまじないの λ の書き方、黒板みてまねしてください ♥
•
一般に、まずラグランジュ乗数 λ を消去し、x, y の式にするとうまく解けることが多い。
•
なので λ を求めなくても、そもそもの x, y の答が最初に求まるはず。検算になるので λ も
求めてみましょう ♥
4
問4
次の最適化問題をラグランジュ乗数法によって解きなさい。
最小化 f (x, y) = x2 + y 2
条件
x+y =2
(1)
条件式を g(x, y) = 0 の式に書き改めなさい:
(2)
偏微分しなさい:
(3)
∂f
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂f
(x, y) =
∂y
∂g
(x, y) =
∂x
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
5
問 5 (『経出る』 練習問題 7.3(1) 改題)
次の最適化問題をラグランジュ乗数法によって解きなさい。
1
2
最大化 u(x, y) = x 3 · y 3
条件
2x + 3y = 18
(1)
条件式を g(x, y) = 0 の式に書き改めなさい:
(2)
偏微分しなさい:
(3)
∂u
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂u
(x, y) =
∂y
∂g
(x, y) =
∂y
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
6
問 6 (費用最小化問題:
『経出る』 例題 7.6 改題)
次の最適化問題をラグランジュ乗数法によって解きなさい。
最小化 z = x + 4y
条件
(1)
条件式を g(x, y) = 0 の式に書き改めなさい:
(2)
偏微分しなさい:
(3)
∂z
=
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂z
=
∂y
∂g
(x, y) =
∂y
1
1
x2 y 2 = 4
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
7
問 7 (異時点間の消費)
中学生の飛葉1 は、正月の年賀状配達のバイトで 48, 000 円をかせいだ。このうち今
年は x 円を消費し、来年は y 円になる残高(来年の利息でふくらむ ♥)を使おうと考えている。飛葉の満足
度 u は積 u = x · y で分かるものとする。飛葉は今年何円使うのだろうか。飛葉の満足度を最大にする条件付
きの問題として、定式化しなさい。ただし貯金には年 5% の利子がつくものとして、条件式を考えなさい。
(1)
x 円を使った残りが貯蓄にまわることから、貯金額 s を x の式で表しなさい。
s = 貯金額 = 給与額 − 消費額 =
(2)
上で求めた貯金額 s が利息を得ることから、来年の残高 y と x の関係式を表しなさい。
y = |{z}
s + 0.05s
| {z } = 1.05s =
元本
(3)
利息
飛葉の満足度 u が最大になる x を求める問題となるように、定式化しなさい。
最大化 u(x, y) =
条件
(4)
(5)
g(x, y) =
偏微分しなさい:
∂u
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂y
∂g
(x, y) =
∂y
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
1 昭和 50 年に中学生だった私は、唯一、学校から許可が得られるバイトとして、お正月に郵便局で配達のバイトをしました。最年少だ
し、当時の最低賃金だったはずです(時給のこと)。16 日はたらいて、合計で 40, 000 円もらいましたが、時給が 400 円だったはずなの
で、そんなものでしょう。大学生のおにいさんに配達の途中に茶店でコーラをおごってもらったりして、けっこうたのしかった。当時は
鷹揚だったので、このサボの時間も労働時間に(笑)。サラ金に配達に行った時は、受付のおねいさんのうしろから「ナニ金」なアニキが
でてきて、「大きくなったら借りにおいで」っていわれたことも・
・
・当時は消費者金融のことはサラリーマン金融→なのでサラ金といって
いました。ちなみにナニ金は名作『ナニワ金融道』のこと。ナニ金の舞台は、サラ金というよりはマチ金。
8
富山大学経済学部 経営経済の基礎数学 II 第 13 回演習プリント(2014.1.27)
学科(○で囲む) 済・営・法・その他
学籍番号
氏名
個人情報の取扱いについて
返却時に他人の目に触れることで、個人情報の保護に危惧があると考えるのであれば、下の「返却を希望しな
い」に○をつけて提出して下さい(この場合、提出としてカウントしますが、個別に返却はしません)。
• 返却を
(1)希望する
(2)希望しない
いずれにも○がないプリントは返却します。
問 1 次の最適化問題について以下の問に答えなさい。
最小化 f (x, y) = x2 + y 2
条件
(1)
(2)
g(x, y) = x + 2y − 10 = 0
偏微分しなさい:
∂f
(x, y) =
∂x
∂g
(x, y) =
∂x
∂f
(x, y) =
∂y
∂g
(x, y) =
∂y
ラグランジュ乗数法を使って、解を求めなさい。
講義・その他なんでも,要望・意見があれば自由に書いてください.