飯田市 環境研修会 環境自治体会議 環境政策研究所

住民フォーラム
貴志川線が残らんようでは
他にどこが残るんや!
2004年12月11日
環境自治体会議 上岡直見
(交通権学会・鉄道まちづくり会議)
1
1
存続の要点
① 鉄道の社会的価値を関係者が認識する。
世論の下地はある。費用便益分析で補強。
② 結局のところ「カネの話」になる。
上下分離の枠組みが不可欠。
「行政が赤字を補填」という表現をやめる。
③ 都市圏交通ビジョンの一環として。
路線が残ればいいというものではない。
④ 地域で支えるしくみ作り。
行政・事業者・利用者のパートナーシップ。
⑤ 積極的な増客シナリオ。
2
ダイヤ・駅改善・LRT化など…。
2
2004年
現状
CO2換算
3,700万t 増加
輸送密度
4,000人/km日
以下を除いた場合
3
もともと省エネ型の日本の都市
公共交通を核としたまちづくり
80000
1人あたり年間交通エネルギー
[メガジュール/年]
米国
70000
本来省エネ型の日本の都市
60000
50000
カナダ
40000
欧州
30000
日本を除く
アジア
日本
20000
10000
0
0
50
100
150
都市圏人口密度 [人/ヘクタール]
Peter Newman&Jeffrey Kenworthy "Sustainability and Cities"
200
4
交通手段分担率~自動車が増加
地方都市圏 平日
0%
20%
1987 3.0
3.9
40%
42.3
60%
23.9
3.6
1992 3.3
50.2
1999 3.6
3.2
53.6
19.5
17.9
80%
地方都市圏 休日
100%
26.9
0%
鉄道
バス
自動車
二輪車
徒歩
23.3
21.7
20%
1987 2.3
2.8
20%
40%
1987
12.33.3
34.6
1992
14.1 3.4
39.8
1999
13.62.8
43.2
60%
22.2
18.6
18.5
80%
60%
53.8
2.5
1992 2.1
1999 2.4
1.8
80%
21.7
62.2
100%
19.5
17.0
70.1
三大都市圏 平日
0%
40%
鉄道
バス
自動車
二輪車
徒歩
16.1
12.8 12.9
三大都市圏 休日
100%
27.6
24.1
21.9
0%
鉄道
バス
自動車
二輪車
徒歩
1987 7.82.7
1992 8.12.4
1999 7.52.1
20%
40%
46.3
53.5
61.4
60%
80%
21.5
100%
21.7
17.6
鉄道
バス
自動車
二輪車
徒歩
18.5
14.4 14.7
5
年間1人当りガソリン購入量 [リット
ル]
国民1人当たりガソリン消費量の増加
~家計負担の上昇
160
140
120
100
80
60
40
20
0
78
80
82
84
86
88
90
年度
92
94
96
98
00
6
持続可能な…具体的には? 生活の質(QOL)
最近の富山県での調査…山の中の小学校ほど肥満が多い。
WHO Regional Office for Europe, A Physically Active Life through Everyday
Transport,2002。
7
個人の条件とモビリティ(移動の自由)
8
「持続可能な交通」達成のための要素
Synthesis Report of the OECD project
on Environmentally Sustainable Transport EST
presented on occasion of the International est! Conference
4th to 6th October 2000
Vienna, Austria.
9
3
鉄道存続のメリット
~沿線住民だけではない
道路を使うすべての人に影響がある。
県道13号線
現在でも激しい渋滞
もし鉄道がなかったら?
10
旧京福電鉄
運行停止の
影響
福井新聞
H13.6.28
費用便益分析で
は、通常「時間損
失」が最大
11
転換前の旧国鉄線名
12
宮之城
大隅
志布志
妻
宮原
佐賀
漆生
矢部
室木
添田
勝田
香月
小松島
倉吉
高砂
清水港
魚沼
赤谷
日中
瀬棚
胆振
富内
羽幌
湧網
広尾
士幌
万字
美幸
白糠
興浜北
興浜南
渚滑
岩内
相生
乗客の減少率 [% ]
バス転換による乗客減少
─公共交通全廃への過程─
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
4
公共交通と道路の費用負担
13
「住民のモビリティ確保は自治体の責務」
を基本に、上下分離の枠組み。
現実的には「第三セクター」か?
14
利用者数と、市民1人あたり年間負担額
『万葉線懇話会』資料より。
15
公共交通は必要か? 意識調査の結果より
0%
20%
40%
60%
29
80%
25
100%
三大都市圏
40
7
地方都市圏
43
30
21
7
全国計
42
29
22
7
廃止もやむをえない
現存路線には行政が補てん
新規路線を行政が整備拡充
不明
国土交通省都市地域整備局・国土技術政策総合研究所『H11年全国都市パーソントリッ
16
プ調査』に付帯する意識調査より。
0%
三大都市圏
20%
40%
45
60%
80%
48
100%
33
地方都市圏
53
41
33
全国計
51
43
33
環境
公共交通は必要か?
意識調査の結果より
低公害(低燃費)車重視
公共交通・徒歩・自転車重視
その他
不明
0%
三大都市圏
20%
24
40%
60%
80%
48
100%
23
23
地方都市圏
34
40
22
13
全国計
31
43
22
13
中心街活性化
道路・駐車場整備で活性化
歩行重視、公共交通で活性化
中心市街地活性化不要
その他
不明
17
0%
20%
40%
60%
80%
100%
三大都市圏
77
20
3
地方都市圏
79
19
2
全国計
78
19
3
財源
他のサービス低下しても税金を転用
他のサービス低下不可、市民が負担
不明
0%
負担意思額
20%
40%
60%
80%
100%
三大都市圏 2
19
22
42
地方都市圏 2
19
22
38
2 16
全国計 2
19
22
39
3 15
1か月当たり 100円未満
500~1000円
5000円以上
4 12
100~500円
1000~5000円
不明
18
国土交通省鉄道局財務課長
室谷正裕氏提供
地方鉄道の再生に対する支援
・地方鉄道は疲弊
地方鉄道における取組み
①事業者のサービス改善努力
地方鉄道の再生
地方鉄道の魅力向上→ 利用促
進
→ 事業基盤の強化/地域に活
力
②地域のマイレール意識&積極的支
援
③国の重点的・戦略的関与
・鉄道の利便性向上は
都市・地方に共通の課題
地 域
鉄道事業者
(関係自治体、地元経済界、住民
等)
国
<地方鉄道の再生に対する
国の関与>
再生計画の策定・実施
目的と効果の明確化
■ハード施策
具体的支援
■財政的支援(近代化補
助 協調補助、固定資産
税減 免、上下分離、基
金の造成 運営費補助等)
■まちづくり(駅広、P&R
駐車場等の整備、沿線で
の 公共施設整備等)
■観光振興とのタイアップ
■NPO、住民等による業
務
支援
■その他
イベント等利用促進の取
組 マイレール意識の普及
■利用者利便の増進
■中小性、脆弱性に対する補完
・速達性向上
(曲線改良、軌道強化、追越し設
備 整備、変電所・き電線改良等)
支援
・フリークエンシー・輸送力・快適性
向上 (行違い設備整備、部分的複
線化、
車両の増
備等)
・高齢者対応・バリフリ化
(駅舎のバリフリ化、ホーム段差解
消等 )
・乗継ぎ改善、アクセス改善
(ICカード導入、相直、延伸、P&R
駐車場駐輪場整備)
・情報提供機能の向上
(駅における情報端末、等)
・まちづくり連携
(駅舎改修、駅の新設等)
■ソフト施策
・サービス改善
(ダイヤ改善<始発列車の繰上げ、
最終列車の繰下げ、列車の増便
> 運賃値下げ等)
支援
■環境改善その他21世紀的課題
への対応
事業者・地域の主体的で連携し
た
取り組みに対し効果的
に支援
近代化補助による
重点的支援
■優先採択
■計画期間中の黒字転換事
業
者への補助継続
■補助メニュー拡充
(アンダーライン)
■補助率嵩上げ
幹線鉄道等活性化
補助等による支援
運輸局による支援
■ベストプラクティスの提供
19
等 による助言
■バスのフィーダー化 等
充分に挽回可能な貴志川線
新潟交通と万葉線の事例
何が明暗を分けたのか?
5
300
貴志川線
年間利用者数 [万人]
250
200
万葉線
150
廃止表明
存続
100
新潟交通
50
廃止表明
廃止
0
92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
20
存続成功事例 万葉線
森田哲夫・杉田浩・長瀧元紀「地方都市における鉄軌道の存廃決定要因に関する考察」『土木
21
計画学研究・講演集』2001年11月,Ⅳ-362より。
廃止容認事例 新潟交通
その他の要因も…。
● 県庁前まであった市内線がはがされてしまった。
● 沿線7自治体の足並みが揃わない。
森田哲夫・杉田浩・長瀧元紀「地方都市における鉄軌道の存廃決定要因に関する考察」『土木
22
計画学研究・講演集』2001年11月,Ⅳ-362より。
万葉線(富山県)
新潟交通(新潟県)
貴志川線
23
えちぜん鉄道(福井県)
貴志川線より
条件の悪い路線
存続例
一畑電鉄(島根県)
24
6
地方鉄道として成立可能な範囲
貴志川線
3,100 (2002年度)
営業収支率は償却後 2001年度の値
今城光英「地方鉄道の維持と費用負担」『運輸と経済』2004年3月,p.15に上岡補足。
25
駅500m人口(丁目別)
約64,000人
26
富山港線LRT化事業
● 沿線人口 概ね同じ
● 県都に直結
27
28
駅密度と鉄道分担率
100
鉄道分担率 [%]
80
60
都市的地域
平地農業地域
中間農業地域
山間農業地域
40
20
0
0.0
0.5
1.0
1.5
駅密度 [駅数/km2]
2.0
2.5
29
● 「市民はこれからもどんどんごみを出すから、
行政もどんどん焼却炉を作れ!」→×
● 「クルマを使いやすくするのが行政の義務だ。
渋滞解消のために、どんどん道路と駐輪場を
作れ!」→???
交通計画への市民参加
● これまでの交通計画
少数の専門家や行政が、市民のライフスタイ
ルを想定して、最大公約数的な計画。
● これからの交通計画
自分たちが欲しい交通システムを計画。
30
(以上)